クロスシャントプッシュプルアンプへのいざない

2008年ごろからクロスシャントプッシュプル(CSPP)アンプを作り始めました。今でも多いとは云えませんが、当時はCSPPアンプに関する解説ページや 製作例が殆ど見当たらず、最初は手探りで始めましたが、数作作るうちにCSPPの持つポテンシャルの高さに魅入られ、いまや普通のダブルエンデッドプッシュプル (DEPP)アンプを作る気がしなくなってしまいました。

CSPPアンプについては、まだまだ認知度が低いので、解説ページを書いてCSPPファンを増やそうと考えているのですが、私の能力の低さから、 なかなか進みません。まだまだ工事中のページが多いですが、とりあえずこれまでに私が製作したアンプの紹介ページをまとめてみました。今後、少しづつ 内容を拡充してゆきたいと思います。

  
CSPPタイプ 出力トランス 出力管 概略説明
マッキントッシュタイプ バイファイラ巻き 6KT8 このアンプは私のCSPP第一作です。当時CSPPの事がよく分からなかったので、まずは小出力で簡単なアンプから始めることにしました。 増幅度の高い(μ=100)三極部の差動回路+五極部CSPPの構成です。
6MP17 6AU6差動1段で出力管をドライブする回路構成のアンプですが、多極管差動回路にブートストラップを掛けたため、 CSPPらしさが損なわれてしまったようです。悪くはないのですが、あまりに普通の音だったのでガッカリしたアンプです。
6AK6 これは世界最小のCSPPアンプを目指して製作しました。サブミニチュア管のCasComp応用回路で出力段をドライブしています。 今でも電源搭載型アンプとしては世界最小ではないかしら?
6L6GC 染谷電子さんより発売されたバイファイラ巻きOPT、ASTR−12の製作例ページの原稿として作ったアンプです。この製作例ページがアップされてから、いくつか誤った記述が あることが判明しましたが、染谷電子さんはWEBページを外注している関係で修正がままなりません。こちらのページに注釈を付けて更新していきます。
6LU8 これもASTR−12を使ったアンプですが、前作が製作例という性格上、いろいろと制限があったので、それを取り去ったアンプです。 三極部のCasComp応用回路で出力段をドライブし、出力段のアイドリング電流は自動調整回路にてサーボを掛けています。 この作品でCSPPから決定的に離れられなくなりました。
7119 掲示板のやり取りから発展して、新しい小型バイファイラー巻き出力トランス (ASTR−30S)が生まれました。 本機は、ASTR−30Sの紹介ページで設計例として取り上げた7119をそのまま製作したものです。私にとって初めての三極管によるCSPP アンプです。 紹介ページ未作成。
トリファイラ巻き 21A6 バイファイラ巻きを一歩進めてトリファイラ巻きに挑戦したアンプです。6EJ7の差動回路で出力段をドライブし、アイドリング自動調整回路を 搭載しています。水平偏向管とCSPPの相性の良さが認識でき、以降トリファイラ巻きOPTへCSPPの軸足を移す契機になったアンプです。
6LW6 普通のDEPPアンプをトリファイラ巻きOPTでCSPP化したアンプです。DEPPでの諸問題をCSPPが解決してくれました。 ムラード型三段構成の初段6CM4とドライブ段ECC99を直結→C結に変更してブートストラップを掛けています。ムラード型の構成であれば、 バイファイラ、トリファイラの区別無く同じ手法でDEPPからCSPPへ改造することが可能です。
25CD6GB これも6LW6アンプと同様の手法でDEPPをCSPP化したものです。初段に6DJ8、ドライブ段に7119の構成で、ブートストラップを 掛けています。
6ZP1 夏向けのアンプを暑〜い夏が始まってから作り始めました。何とか動き出したのですが、どうも初段が出力段よりも先にクリップしてるみたい... 今のところのアンプ回路電源回路F特出力インピーダンス歪率クロストークです。紹介ページはもうちょっと待ってね!
21HB5A これは最初13JZ8のパラレルCSPPを作るつもりだったのですが、組み上げてみると尋常でないハムノイズと無帰還にも関わらず 中域の平坦部を超える高域のピークが発生して頓挫してしまったので、回路そのままで12AU7+21HB5Aに置き換えて完成しました。 どうやらトランスレス管を電圧増幅、特に初段に使うのは厳しいようです。これまでトリファイラ巻きOPTを使ったアンプはスクリーングリッド(SG) 電源を定電圧化していましたので、本機では敢えて定電圧化をしないで音質がどうなるかを確認する為に製作しました。
6BQ5+EL95 2013年の目標のひとつである2ウェイスピーカーのバイアンプ駆動システム用に作ったCSPP4チャンネルアンプです。高gm多極出力管を用いてCSPPの 良さを最大限に引き出すことを目標としました。初めての平衡入力仕様ですが、これから作るアンプは全て平衡入力にしようかと思うほど良い結果が得られました。 本機はアナログのチャンネルデバイダーとも組み合わせて使いますが、デジタルチャンデバ機能が使えるフリーソフトを使って安価にPCオーディオで マルチアンプシステムが構築できることが分かりましたので、同じ時期に製作したUSBマルチチャンネルDACも一緒にご紹介します。
CIRCLOTRON OPT付き 6MP17 これは初めてCIRCLOTRONに挑戦したバラック実験の結果を紹介したものです。初段とドライブ段をC結にする変則ムラード型回路は この時初めて試してみました。当初は自分でアンプとして仕上げる予定でしたが、手づくりアンプの会の関東お寺大会のオークションに出品し、 結局ステレオアンプとしては石田さんの手によって 完成に至りました。
6L6 いちおう完成させたつもりでしたが、クロストーク特性が非常に悪く、後に電源トランスのB電源巻線間容量が原因であることが判明しました。 電源トランスを作り直せば、恐らく対応できると思いますが、他にやりたい事が山ほどあるのでペンディング中となっています。
OTL 6C19P 私の真空管OTLアンプ第一作です。対称回路ではないSEPPは好きになれず、CIRCLOTRONでOTLに挑戦しました。 12AT7のCasComp応用回路にて出力段をドライブしています。OTLはローギアに入れたまま車のアクセルを全開にするような運転に なりがちですが、電源電圧を低く設定することにより出力管の負担を軽減させています。
6C41C上記第一作をさらに低電圧化しました。出力段のグリッド電圧をプラスの領域まで使い、加えてドライブ段も出力参加するということで 電源電圧低下による出力減少分を補っています。初段にデュアルJ−FET、2SK372+真空管カスコード差動回路、ドライブ段にV−FET、 2SK60という回路構成です。本作は、私としては初めてのモノラルアンプ構成となっています。
6C19P 2作目からさらなる低電圧化を進め、 電圧増幅回路をオペアンプで構成しました。電源にACアダプターを使うことで、非常に作りやすいアンプとなりました。 お手軽CIRCLOTRONの始まりです。
島田式 OPT付き 6R−B11 これは製作予定のアンプです。プレート側とカソード側にOPTを配し、どちらから出力を取り出すかをリレーで選択することができるように 考えています。 両方から取り出すとマッキントッシュタイプ(というか負荷分割型)になります。 さて、島田式のプレート側、カソード側、負荷分割型で それぞれ音が違うのでしょうか??? 紹介ページ未作成。
OTL 17JG6A ものつくりの会関東支部の2012年夏のお寺大会のお題が「OTLアンプ」ということで、5月21日現在、これをターゲットに製作中のアンプです。 島田式CSPPでの多極管OTLのポイントはやはり、スクリーングリッド(SG)電圧をどのようにして与えるか、だと思います。 本機では、 プレート側チョークをバイファイラー巻きのトランスに置き換えて、バイファイラー巻線のもう片方をSG給電用巻線として使用します。 SGにはプレート電圧よりも高い定電圧電源を用意して、OTLアンプでは実現が難しいと思われる対カソードに対するSG定電圧化を図ります。 (ここらへんはちょっぴりフッターマンの匂いも漂ってます。)OTLアンプなのにトランスを使うという点はちょっと中途半端ではありますが、 出力トランスレス(OTL)であることには間違いは無いということで....

☆2013.3.2更新☆