横山城趾について戦後の滋賀県教育委員会の滋賀県中世城郭調査によると、南北６５０ｍ、東西３５０ｍの大きさであるが、このほか北尾根の頂部には郭(曲輪）も見受けられる。また、この調査によると北側に３ヶ所、南西側尾根に２０ヶ所の郭が確認されている。主郭は最高部（３１２ｍ）の北主郭と、２００ｍ南側にある南主郭（３０４ｍ）の、一城二郭の連郭式の珍しい城構えであった。この二つの主郭の間には広い腰郭があり、井戸も掘られており、城を守るために駐留する多数の城兵が居住する建物もいくつかあったと考えられている。 　北主郭は三方の尾根につながっており、特に西側尾根は小谷城と対面しており、主郭より大きな郭に繋がっている。更にその郭と郭の間には珍しい深い二重堀切も設けられており、その先端には高い土塁と北主郭の虎口があり城の防御を固めている。さらに西側の郭は広い敷地となっており、堀切をも備えた郭である。北主郭は見晴らしもよく、西は北国街道のある琵琶湖東岸の平地を望み,北側は小谷城や虎御前山や賤ヶ岳、合戦の舞台となった姉川を望む。東側は伊吹山や関ヶ原と,軍事的に重要な北国脇往還も見渡せる。北主郭は三角形をしており、約１０ｍ×１５ｍ程度の大きさで,土塁等も見当たらないので見張櫓などが設けられたのではないかと考えられている。 　南主郭は長方形をしており、１５ｍ×２５ｍの周囲は土塁により囲まれており、虎口は北側の北主郭側に設けられている。切岸として主郭の周りは急峻に削られており,その下には帯郭（帯曲輪）が取り巻いて防備を固めている。また竪堀と堀切もいくつか設けられており,主郭の北西隅には井戸が掘られている。この南主郭は木下藤吉郎秀吉が城将として横山城を信長より任されたとき、大掛かりな改修を行い城としての体裁を整え、小谷攻め前線基地とした。この主郭にはある程度大きな建物も建てられたと考えられており、信長も京へ上る途中この城を何度か立ち寄ったとされている。この主郭跡には現在は鐘楼が建てられており、地蔵尊も祀られている。この鐘楼は昭和１２年に昭道和尚により姉川の合戦の戦死者や、その後の戦没者を慰霊するために建てたものである。この鐘はだれでも撞くことができるので、登城の節はぜひ試してみよう。