山スキー報告
北ア 杓子岳(2,812m)と杓子沢滑降
−双子尾根の雪稜とロケーション抜群の杓子沢−

杓子沢を滑降

 猿倉ベースの白馬東面の山スキーツアー。天候にも恵まれ、素晴らしいツアーとなりました。
 まず第1日目は、長走沢から双子尾根のバリエーション雪稜入門コースを経て杓子岳ピークへ、そして、白馬鑓ケ岳への登りの途中から杓子沢滑降、さらに双子尾根樺平に登り返して、長走沢の滑降。
 いうことなしです。

日 時:2005年5月4日(祝)   天 候:晴れ 稜線は強風
メンバー:ひじかたさん、たかはし
コースタイム:猿倉5:55−奥双子のコル9:20−ジャンクションピーク10:35−杓子岳11:40−白馬鑓ケ岳手前2,820m稜線12:50/13:15−(杓子沢滑降)−双子尾根樺平14:20−(長走沢滑降)−猿倉15:25
1/25千図:白馬村

 GW真ん中の三連休の真ん中の4日未明の猿倉駐車場はさすがに満杯。5時くらいから登りだすパーティーを見ながら慌てて準備し、6時前に出発。いろいろありましたが、長走沢をつめていきます。先行者2名がだいぶん前方を登っています。雪も適度に緩んでシールもきき、左側の双子尾根の奥双子のコル(△2,270m)までスキーで登りあげます。ここからは、傾斜も急になり、アイゼン、ピッケルに切り替えます。先行者のステップがしっかりして登りやすいですが、疲れもでてきて慎重に行きます。

奥双子のコルから望む杓子沢と白馬鑓ケ岳

 ここで、29日から滞在し白馬主稜など登攀し、今日は遊びですと双子尾根を登るベテランの単独行の人と一緒になり、「ここはいいですよ」と教えてもらう。この頃は風もなく順調に歩を進め、杓子尾根と合流するジャンクションピークに着くと、右手遥か下に大雪渓が広がり、たくさんの登る人下る人が点々と小さい。
 ここから、ピークまでは入門コースながら、いわゆる核心部で尾根も痩せて高度感もありますが、今回は条件もよく比較的安全にピークまで到達できました。

ジャンクションピーク(JP)から白馬岳、大雪渓 JPからピークへの稜線

 数人のボーダーパーティーが下を覗き込んでいる頂上にようやくたどり着くと、そこではこれまでの春うららから一転し、強風に迎えられた。アイゼンを外し、この日の目的であった白馬鑓ケ岳からの鑓沢滑降を目指して、早速、縦走路に下って行くと、ますます風は吹きまくる。杓子岳と鑓ケ岳のコルで杓子沢に滑降準備しているパーティーとすれ違って、いよいよ鑓ケ岳の登りにかかるが、もう烈風状態。弱くなる合間もなく黒部側から吹きまくる。標柱のある標高2,820mあたりからさらに登ろうと行くがもうだめ。仕方なく、そこまで戻りここから、杓子沢に飛び込むことに変更。
 これが大正解!

杓子と鑓のコルからの合流付近 雪の具合も斜面も、上等!

 斜めにエントリーした急斜面は雪も緩み絶好の条件。快調にターンを重ね、あっという間に杓子岳と鑓ケ岳のコルからの斜面に合流する。青空と岩峰に包まれた杓子沢、最高です。あの烈風がなかったら、難なく白馬鑓ケ岳に登って反対側の鑓沢に滑り込み、この杓子沢を滑ることはなかっただろうと考えると、吹き荒れた烈風にも感謝。
 両方から岩が迫り沢の幅が狭くなるあたりから、聞いていたように落石も多くなり、ガリガリと嫌な音も頻繁に聞こえるようになるが、この斜面を滑れていることの満足感が勝ってしまい、板を傷つけている悲しみをマヒさせてしまう。

杓子沢から滑ってきた上部を振り返る
杓子沢全景 赤いラインを滑降

 でっかい杓子沢に合流すると雪も悪くなりデブリもあって、快適さもここまで。ここから左にトラバース気味に岩峰を巻いていき標高2,030mあたりで再度シールを付けて、双子尾根上の樺平をめざしてゆるやかに登っていきます。そして着いたはテントも張ってあり、のんびりとしたいいところ。見上げれば双子尾根の先に杓子岳が聳え、下山してくるツボ足のパーティーも。

樺平からJP、そして杓子岳 猿倉台地に向かって長走沢を滑る

  さあ、最後に長走沢の滑降といきましょう。ここがまた快適。上部はデブリも少なく沢の右側の斜面を気持ちよく滑っていけます。
  本当は、このツアーは翌日に針ノ木から蓮華岳へ転進する予定でしたが、やっぱり、ここまで来て鑓温泉は外せないと、明日滑ることに決めた鑓沢への通過点である小日向山のコルへの登り口を確認しながら、大雪渓から下ってきた多くのスキーヤー、ボーダーに合流して、猿倉へ戻りました。でも、林道に入るより長走沢から猿倉台地を経由する方が楽です。


ホーム 山スキーで行こう 翌日の鑓沢へ