その2    白馬鑓沢と温泉と花々と

−初夏。シーズンを締めくくる山スキーと咲き出した高山植物−

6月の山スキーは新緑と高山植物に迎えられて。

 今シーズンの最後は、新緑の中をゆっくりとしたものにしたいということで、猿倉から白馬鑓沢に向かった。もちろん、鑓温泉にゆったりとつかって。
(白馬鑓沢のシラネアオイと残雪と))

日 時:2010年6月5日(土)   天 候:くもり後晴れ
メンバー:ひじかたさん、ながおかさん、やまもりさん、たかはし
コースタイム:猿倉5:22−小日向のコル7:36−鑓温泉9:35−稜線2,730m12:20/35−鑓温泉13:10(入浴)−小日向のコル15:05/30−長走沢と林道出合い16:20−猿倉16:51

 何と猿倉で目を覚ますと、雨が。白馬山頂部は雲に覆われ、モチベーションは上がらず。林道からすぐに鑓温泉へのルートに入るも、なかなか雪は現れず、スキーをはけない。結局、(下山時に利用したコースである)林道を進み、長走沢出合から小日向のコルを目指した方が効率がよかった。
 そして、小日向のコルでも冷たいものが顔にかかる。鑓山頂はガスに覆われ、モチベーションはさらに低下してマイナス域に。3回目だし、鑓温泉にゆっくりつかって帰ろうかと、本気で思うようになってきた。
 コルからの下りも、最初のうちは30cmを超える深い縦溝が走り、全く滑りにくい。いよいよ、もう今日は…。

 稜線手前から右手に白馬鑓山頂を望む 鑓沢をシーズンラストラン。下部はすっかり雪解け

 標高1,620mあたりで再度シールをつけての登りとなる。温泉手前でシールが不調となり、スキーを担いはめに。ほんとに、今日は…。
 でも、つぼ足でも登りやすく、直登でどんどん高度を稼げる。次第に青空も広がり、汗も流れる。稜線は風が強そうで、山頂も雲に見え隠れしている。温泉にゆっくりつかりたいし、稜線手前の2,720mあたりで、スキーをはいてシーズンラストランを楽しむ。鑓沢は縦溝も気にするほどではなく、滑りやすい。やっぱり頑張ってよかった。

標高2,100m辺りから、鑓沢上部(左)、手前に鑓温泉と小日向のコルの向こうに頚城の山々(右)

 今日、鑓沢を登って滑ったのはわれわれ4人と、単独の1人だけかな。鑓温泉には2時ごろボーダー氏も2名着かれたが、時間的にそれ以上はどうか?


鑓温泉

 そして、3回目の山スキーと鑓温泉セット。
 今回は湯加減は丁度良く、冷やしておいたノンアルコールビールで喉を潤す。
 春の日差しも心地よく、残雪の北アルプスの絶景を楽しみながら、いつまでもゆっくりとしていたい気分となる。

 やはり、6月に入るとみなさんスキーを置くようです。雪はあっても滑りにくく条件はよくない、でもこの時期ならではの、楽しみはありました。それは残雪を背景にして咲き出した花々です。

カタクリ  ここのは大きかった シラネアオイ

 白馬鑓沢周辺には、ニリンソウやカタクリの群落、シラネアオイの幾つもの株、ハクサンコザクラ、水芭蕉、リュウキンカなどなど、思いがけない出合いでした。

水芭蕉とリュウキンカ

 鑓沢に別れを告げて、小日向のコルへの登り返しに最後の頑張り。コルから振り返ると白馬鑓岳がようやく全貌を見せてくれました。

白馬鑓岳(左)と杓子沢を挟んで杓子岳(右)

 そして、今シーズンの山スキーも事故もなく、楽しく終えることができました。皆さんに感謝。

その1  白馬鑓ケ岳(2,903m)〜鑓沢〜鑓温泉
                 −鑓ケ岳山頂から大斜面へ、そして温泉にビール。極楽−

小日向のコルからの展望

 真ん中に白馬鑓ケ岳を挟んで、左の鑓沢が山頂まで回り込む。あのピークの裏にでっかい大斜面が広がっているのです。
 一方、山頂の左からは昨日滑った杓子沢が落ち込んでいます。
 鑓温泉は、鑓沢2,020m地点にあり、露天風呂の湯加減もばっちりです。

日 時:2005年5月5日(祝)  天 候:晴れ
メンバー:ひじかたさん、たかはし
コースタイム:猿倉5:00−小日向のコル6:54−鑓温泉8:52−白馬鑓ケ岳12:45/13:10−鑓温泉13:35/14:25−小日向のコル15:25−猿倉16:07
1/25千図:白馬村

 猿倉ベースの第2日目。前日の杓子沢ツアーの疲れも残り、また、猿倉でも朝の風が強く、おいおいこれでは一体稜線はどんな風が吹いているんだろう、まぁ、鑓温泉につかるだけでもいいかなぁ、密かに思いながら出発。
 林道からすぐに別れ猿倉台地へ続くブナ林の中を緩やかに登っていきます。台地には幾つかテントも張ってあります。前方には長走沢から突き上げるジャンクションピークが伺えます。左手のやや急な斜面を登ると小日向のコルへ。

 コルで思案。この1,820mのコルから、できるだけ高度を下げずに効率よく杓子沢をトラバースし鑓沢に向かうにはどうしたらいいか。地形図を眺めて標高1,750mあたりで杓子沢に入ればいいのではと、ずっとトラバースしていったが、結局そのまま杓子沢には渡れず、泣く泣く1,650mあたりまでシールのまま滑って、鑓沢を登ることに。コルからシールを外しここまで滑ってくれば、あっと言う間だったのに、30分くらいのロス。悔しい。
 さて、ここから鑓沢を稜線まで頑張りましょう。大分先に単独行の先行者が見えます。早い!。途中、鑓温泉でテントを撤収しているパーティーと言葉を交わし、ビールを雪に埋めて、帰りの「鑓温泉」+「冷えたビール」を楽しみに先を進みます。夏道のある尾根の南側の沢は登りやすい斜度で、デブリの荒れもなく高度をあげていきます。

稜線間近 ピークは左手奥

 稜線が近くなると、とても大きな斜面が広がっています。鑓温泉まででも、と思っていた割には頑張れ、天候もよく、風も比較的穏やかで、後押ししてくれます。上部からのシュプールも何本か見え、さらに今まさに滑降している3人組も。ここまで来たら頂上までいくしかありません。稜線までシール登行し、そこで、スキーをザックにくくりつけて、ガレた夏道をやや強いものの昨日よりはましな風にあおられながらも進み、ようやく着きました、標高2,903m白馬鑓ケ岳の頂上に。

頂上からの杓子岳、白馬岳

 山頂からの展望を楽しんだ後、いよいよピークすぐ下から滑降に移りましょう。最初は幅が狭い。左側はエキスパート専用の中央ルンゼに落ち込み、ここはボクのテコにはあわないので、慎重にスタートし鑓沢に滑り込みます。

鑓沢へ滑り込む。

 ここは何と滑りやすいのでしょう。その広さ、心地いい斜度、ややゆるんだ雪質。とっても、素晴らしい。この大斜面はふもとの白馬村からも大きく広がって気持ち良さそうに見えますが、まさしくその通りでした、今回は。さあ、温泉とビールが待っています。登ってきた沢をどんどん滑っていきましょう!

大斜面を振り返ると 左手下に温泉、右手上に小日向のコル

 鑓温泉が見えてきました。おっと、意外にたくさんの人たちが露天風呂につかっておられます。ボクたちも早速服を脱いで、冷やしてあったビールを持って、ドボン!あぁーあ、丁度いい湯加減。シュポッとビールをあけて、乾杯。温泉につかり遠く妙高、乙妻・高妻山などの景色を眺めながら、のどを潤す。最高です。来てよかった。穏やかな天候にも恵まれ、想像をはるかに上回る素晴らしさです。

温泉 こんな感じです

 体が温泉とビールでほっこりして、小屋をたたんだ板の上でのんびり寝ころんでいると、このままずっといたい気分になってきます。
 もちろん、そうもしていられません。ここから鑓沢をさらに滑り、その後、小日向のコルへの登り返しも待っています。そろっと出発しましょう。スキーを装着して、標高1,620mあたりまでのんびり滑り、そこから再度シールで最後の登り返しです。

鑓沢と鑓温泉(写真中央)を見上げる

  ただし、この登り返しは斜度は緩いため、ゆっくり登って温泉出発から1時間でコルに到着。ここのコルからは、白馬鑓を真ん中に、今日滑った鑓沢の下部、鑓温泉、昨日滑った杓子沢を眺めることができ、充実した山スキーツアーをさせてくれた白馬の山の神に感謝。
 コルから猿倉台地に滑り降り、ブナ林の中のゲレンデのように掘れた斜面を経て、猿倉駐車場のほん横まで滑り込んで、満足のツアーを終了しました。


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