飛越トンネル〜薬師岳・黒部五郎岳 山スキーツアー報告
  
その2(5月2日編)

薬師岳を正面にウマ沢へ滑る

 ツアー2日目も好天に恵まれました。
太郎平小屋からまず黒部五郎岳を目指し、そして大きな滑降2本、黒部五郎岳からのウマ沢への滑降、北ノ俣岳からの滑降が待ってます。ともに標高差600mを超える滑降で特にウマ沢の滑降は満足度の高いものでした。

タイムデータなどの記録は、その1(5月1日編)をご覧下さい。

朝の北アルプス。今日もいい天気です。

 中央が黒部五郎岳、左手が三俣蓮華岳です。まずは、黒部五郎岳を目指します。標高差はそんなにありませんが、距離が長いです。
 でも、どこでも滑れそうでしょ、この辺りは。
黒部五郎岳からの眺望−その1

 カールの向こうに双六岳の稜線、最奥に槍・穂高の峰々が望めます。
黒部五郎岳からの眺望−その2

 南には、笠ケ岳、乗鞍岳そして遠く御岳が、高さを競うように並んでいます。
黒部五郎岳からの眺望−その3

 北に目を転じると、昨日登った薬師岳の右奥に、剣・立山連峰が聳えています。
さあ、滑降−その1

 黒部五郎ピークからスタート。
 北面の斜面を飛ばします。遠くに白山が見えます。
どんどん、滑降ーその2

 広いバーンはとっても気持ちがいいです。
 稜線伝いに北ノ俣岳へ戻るのは余りにもったいないので、そのままウマ沢を標高2,150mあたりまで滑った後、赤木沢との間の尾根を登り返します。
 
黒部五郎ピークからウマ沢へ

 写真中央の奥にあるピークから、ほぼ真っ直ぐにウマ沢へ、そして沢の中を左に滑って行きました。
 じりじりと肌を焼かれながら登り返していく途中から
感激のバーンをパチリ。
ツアーも終わりに近づいて。

 北ノ俣岳から大斜面を滑っていきます。
 このコース、下りも結構時間がかかります。これが難点。尾根に沿って、写真左の寺地山に一旦登り返し、そこから左に進路をかえ、樹林の中を滑ったり、歩いたり、ちょっと登ったりして、飛越トンネルに向かいます。

【記録】

 前夜は自炊部屋で盛り上がった後、20時に就寝。さすがに朝5時までぐっすり眠れました。
おぉ、今日もいい天気です。さぁ、みなさん、楽しみましょう。といっても、ほとんどの方は小屋をベースに近辺を滑りまくる予定の人(うらやましいです、ハイ。)ばかりのようで、まだお休みです。

 簡単に食事を済ませ、さぁ、出発。北ノ俣岳への登りの途中で滑ってこられる多くのスキーヤーに出合いました。きっと、北ノ俣避難小屋に泊まられたのでしょうか。北ノ俣岳では多分昨日の雷鳥がまた姿を見せてくれました。ここからは稜線伝いには行かず、シールをはずして若干下り気味にトラバースし、中俣乗越のやや下を目指しました。再度、シールをつけていよいよ黒部五郎を目指します。小さなアップダウンを2つ超えて、最後に300mほどシールを効かせていくと、四季を通じて初めての黒部五郎岳ピークに着きました。

 目の前の大きなカールが気になるんですが、雪庇が張り出しておりちょっと怖い。カールには縦走スキーヤーの滑り込んだシュプールなどが多く残されていました。
 この山頂からの眺望は抜群です。槍穂高、笠・乗鞍・御岳、中央ア、南アの山々さらに、目を反対に転じると、雲の平、薬師、遠く剣、立山、そして白山、後立も少しなどなど、満ち足りた気分です。

 でも、山スキーの本当の楽しみはもちろん滑ること。さあ、まず、北面の広いバーンからウマ沢へ滑り込みましょう。部分的に堅いところもありますが斜面も広くとっても快適に滑っていけます。さらに標高を落とすと適度に緩んだ絶好の春スキーバーン。もう、どこでも滑れます。ウマ沢の中に滑り込むと前日のものでしょう、2人ほどのシュプールが別方向から滑り込んでいました。沢状の斜面を標高約2,150mあたりまで滑ると、大分沢も狭まり、緩斜面になってきたので、ここで滑降を止めて、さあ、登り返しましょう。じりじり陽は照りつける中、赤木沢とウマ沢の間の尾根を中俣乗越に向かって約1時間のシール登行。乗越からは稜線の北斜面をトラバース気味に北ノ俣岳へ戻ります。この途中の斜面ももう、どこをすべっても、百人が一度に滑ってもぶつからないような広大斜面が赤木沢に続いています。

 北ノ俣岳山頂でこのツアー三回目のビールクルクル速攻冷却をして、乾杯!すると、20人ほどのテレマーカー+ボーダーの皆さんが登ってこられ、北ノ俣岳北面のおいしい斜面を楽しんでられました。今回は山スキーヤーよりテレマーカーの割合が多いように感じられ、その機動性、その滑りの華麗さ、他方で力強いショートターンも目にしたみやけさんはテレマークの魅力にかなり心が奪われて…。来シーズンは、登場するか!

 さあ、北ノ俣岳2,840m頂上から少し廻りこんで西側の大斜面の大滑降へ。一気に標高2,050mの避難小屋分岐まで、これまた気持ちよく滑っていけます。ここからは樹林帯に入り、木の間をゆっくりとくだり、鞍部で一旦シールをつけて、寺地山まで登り返しました。トラバースも試みましたが結局ダメで稜線をそのまま行った方がいいようです。寺地山で90度左に方向を変え、少し急な斜面をすぎると緩斜面が多くなった尾根上のコースを滑ったり、ストックでこいだりして、△1,842m地点へ。ここで神岡新道に入り、途中△1,700mと△1,643mの小ピークには板をはずして少し登り返し、標高1,550mあたりで滑走終了となりました。

 雪解けの水にぬかるんだ登山道を下って林道へ。林道沿いには、このツアーの間の陽気のせいか数多くのフキノトウがでていました。このコース北ノ俣岳はアップダウンもあり、ちょっと大変ですが、それでも薬師から黒部五郎周辺に広がる数々の斜面はとても素晴らしく、今回のボクらみたいに1泊2日というようなせわしない山行ではなく、何日か太郎平小屋に滞在して、滑りまくるというのが、正しい楽しみ方なんでしょうね、きっと。

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