はらいたのくすり

2015.1017

ずっと外に置いていたので表面はかなり傷んでいるが、随分固い丈夫な木で出来ていてまだまだ現役でいけそうだ。金棒には“熊膽木香丸”とある。調べてみると、「熊膽」とは熊の胆嚢を乾燥させたもので、「木香」はキク科の植物の根、いずれも健胃生薬なのだそうだ。消化器系の病気には、まさに“鬼に金棒”ということだろう。

 もう何年も前からわが家の玄関先には魔除け(?)の鬼が飾ってある。

“はらいたのくすり”と書かれた木製の古い看板で、高さが80cm以上もあるからなかなかの迫力である。これは名古屋骨董祭で手に入れたものだが、持って帰る電車の中では好奇の目で見られるし、友人たちには格好の笑い種となってしまった。ところが、その後わが家を訪れたその友人たちが、今度は「こうして見ると、これはなかなかの買い物だったねえ」などと言うものだから、今更ながらに人の言葉のいい加減さに呆れたものだった。

ところでこの木製看板、江戸から明治はあるようで、骨董品として人気があり、かなり高額で取引されている有名な物らしい。手彫りなので、皆顔付きが違う。恐ろしくてユーモラスな、文字通りわが家の“看板鬼”である。