☆オールドノリタケ?

 ホームページの更新も随分ご無沙汰だったので、中には私がどうにかなってしまったのかとご心配の向きもあろうかと思い、久々にワード画面に向かっている。人間は勝手なものだ。普段は、勝手に生きてるから構わないで、と思っているのに、自分の存在が全く軽いのもやはり寂しい。だから少しは心配もしてほしい。まあ実際は、猛暑を口実に怠けていただけなのだから、な〜んだ、やっぱり、ということなのだが・・・。

 近頃はネットオークションでオールドノリタケの入札に参加することもなく、ただ時折目を引く品をウォッチングしているだけの極めて大人しい日々である。実際、いい品の出品は極端に少ないし、稀にデコレディーなどで面白いものが出ると、その分多くの注目を集めてしまい、到底お話にならない高額での争いになってしまうので、こちらはただ外野席から高みの見物である。

最近の出品者の開始価格の設定は一様に低く、だれでも気軽に入札できるようにしているのが以前とは異なる点だが、個人的には品物の価値に沿った妥当な金額からスタートしてほしいものだと思う。開始価格一つにも出品者の思惑がうかがえて、それはそれで面白いものではあるが・・・。

 ただ、最近気になっていることがある。一般に戦後のノリタケ製品は「オールドノリタケ」とは呼ばないが、戦後の裏印の品にも、かまわず「オールドノリタケ」とタイトルをつけている出品者が多くなっている点である。その辺は明確にしておく必要があるのではなかろうか。

 それとさらに、これも裏印のことだが、明らかに他社製のものを「オールドノリタケ」と偽って出品しているのをたまに目にする。具体的には、“オールドノリタケと国産アンティークコレクターズガイド”p.33の“類似印”(画像)にあるような裏印のものなのだが、落札者が承知の上かどうかは別として、憂慮すべき事態であることに変わりはない。

 また、オールドノリタケの裏印なのに明らかに作りが粗雑な品も気になる。裏印での見分けは限られた画像では難しいが、品には強烈な違和感を感じるので、ほぼ間違いなく模造品だろう。オールドノリタケは、だれでも安心して収集できる、というイメージがあるが、それでもやはり勉強は必要だ。

 この蓋物は前回の京都大アンティークフェアで手に入れたものだが、直径は6.5pほどしかない。地色の茶色に、これまた渋い色の泥漿盛り上げが施されている。実は最近ネットで、これとよく似た作りの他社の裏印の品がオールドノリタケとして出品されていて、それが気になっていたせいで今回特に目に留まったのかもしれない。まあそれはともかく、蓋の絵はどう見ても天使のようだ。しかもこの天使は、顔が唐子で、「魅せられて」を歌うジュディー・オングの衣装のような羽が付いている。なんだか不思議な品である。

2015..8.27