☆買っちゃいました

2015.3.30

 先日の京都大アンティークフェアでは、ついに憧れの七宝製品を買ってしまった。このところ、見ないでおこうとすればするほど明治の輸出用七宝が気になって仕方がなかったが、今回は優品がやたら目について、ついに清水の舞台から飛び降りてしまった。

 たった10p高のミニ花瓶だが、その精緻な作りには、とてつもない技と手間が凝縮されていて、細部にわたって見ればみるほどただ溜息が出るばかりだ。しかもこれが無名の職人によるものなのである。名のある作者ともなれば、それは到底私などの手の届く価格ではない。しかしその“無名”にしてこうなのだから、明治の輸出工芸品恐るべし、である。もともとその評価も海外で高く、最近になってようやく国内で火が付き、慌てて買い戻している状態なのである。店主の話では、なにしろ数が少ないので今後ますます値上がりするだろうとのこと。特に最近は中国人の客が増えていて、自国の七宝製品とは比べ物にならないと言いつつ購入していくそうだ。実際、場内でも、束になった万札を数えながら輸出用薩摩を買っている中国人を見かけた。里帰りしたのもつかの間、また大陸へと渡っていくのか、と少々寂しかった。しかし財力の差はいかんともし難い。

 まあそれはそれ、今回は憧れの時代七宝を手に入れたことで幸せな気分に浸りながら、美味しい食事と京都御苑での枝垂桜のお花見まで付いて、久々の“胸キュンキュン”の一日となった。