ところで、最近少し集め始めているものに、戦前期の染付洋食器があるが、1920〜30年代に流行したアールデコが、このような国内向け染付製品にまで入ってきているのがよくわかる。デコの幾何学文様が、以前は嫌っていたコバルトブルーと実によくマッチして、派手な原色使いにはないほど粋でお洒落で、それまでとは全く違う新しい染付の世界を見せてくれている。
☆染付再発見
東洋陶器製
染付の器というのは美しい。地の柔らかい白に乗せられた藍色の清新な美には、骨董ファンならずとも惹かれるはずだ。古伊万里に夢中だった頃には、呉須の優しいブルーが好きだったので、文明開化を象徴するあの、鮮やかだが温かみに欠けるコバルトブルーは嫌いだった。
東洋陶器製
別冊”太陽”の『古伊万里』によれば、江戸のあのブルーは“呉須”と呼ばれる鉱物顔料で、中国からの輸入物だったらしいが、コバルト以外にも他の鉱物成分が混ざっていたので、焼成のしかたによって様々な色の変化があらわれて、それが古伊万里染付の一つの大きな魅力となっている。しかし明治以降には西洋の化学コバルトが使われるようになり、そのぶん色の変化の面白味には欠けるようになったようだ。
やはり私は染付が好きなのだと、改めて気付かせてくれるわけだが、とにかく近頃は、輸出用オールドノリタケの金彩や盛り上げや豪華な図柄に少々疲れ、地味な国内向けに回帰傾向である。
2015.3.25
香蘭社製
上の2点はいずれも香蘭社製