TOTO

2012.6.17

 従って日本陶器と東洋陶器は姉妹会社であり、それを明確に印象づけるのが、写真の2枚のペア大皿である。いわゆる“販促製品”で、“東洋陶器”の名を広めるため、販売店向けに製作されたもの。迫力の35cm直径である。

今“TOTO”と言うと私たちはすぐ、住宅などの水回りの製品を思い浮かべるが、TOTO(株)のホームページによれば、1904年(明治37年)に設立された“日本陶器合名会社(現在のノリタケカンパニーリミテド)”から、1917年(大正6年)に衛生陶器部門が分離されて小倉に誕生した“東洋陶器株式会社”がその起源である。しかし、実際には衛生陶器だけでなく磁器食器の生産にも力を入れていて、食器製造が中止されたのは1970年(昭和45年)“東陶機器株式会社”と改名した後である。

 東陶の洋食器もいくつか持っているが、今回改めて見てみると、ノリタケと比べても質的に遜色はなく、むしろモダンで用の美を備えており、ある意味未来志向とも言える。かつて市場価値だけに目がくらみ、“ノリタケ“ではなく”トートー“の裏印だとガッカリしていたのは間違いだったと気づかされる。実際、”オールド東陶“の熱心なコレクターもいるようである。この世界では、“トートー”は“TOTO”ではなく”東陶“なのである。