山野草の寺 指定遺跡散策・巡拝 −伊吹山大乗峰 長尾護国寺 [米原市大久保]−

 

縁起

寺伝の縁起書によりますと、今を去る1350年余の昔、白雉2年(651)慈照上人により長尾寺が開山されました。
創初は法相宗でしたが、天長年中(824)この地を弘法大師が巡錫いたされ真言宗となりました。仁寿年中(851)僧三修が、長尾寺、太平寺、観音寺、弥高寺の4か寺をくるめて伊吹山四大護国寺を創建、また、三修のはたらきにより元慶年中(877)には、長尾護国寺は定額寺に昇格されました。その後、鎌倉時代に深宥上人によって、山門(仁王門)、護摩堂、毘沙門堂、地蔵堂、不動堂、権現堂など寺観が大いに整えられ、長尾寺四十九坊と呼ばれるようになりました。
しかし、天正年中(1573)姉川の合戦の折、織田軍の兵火により堂宇の大半を焼失。その後復興を見るも、明治9年には大久保村の大火により、本堂や宝物庫などの他貴重な文化財を失いました。幸い2躰の毘沙門さまは災をまぬがれ、今日、伊吹山仏教文化圏を代表する文化財として、また地元の人々からは「長尾寺の毘沙門さん」と親しまれ篤い信仰をあつめてまいりました。
ところで、当寺はかつての四十九坊の内の一つ、惣持坊が長尾護国寺の跡目を継いだことから、通称伊吹山長尾護国寺と申しますが、正式には寺号を「惣持寺」と称しています。現在、真言宗豊山派に所属し、牡丹で有名な奈良の長谷寺が総本山です。

写真の山門額には「長尾護国寺」と記されており、往事の様子を知る上で貴重な文化財の一つです。


天部形立像(手前)・毘沙門天立像(奥)

・天部形立像
写真手前の御尊像は、毘沙門堂の御本尊さまとして安置いたされております「天部形立像」です。
像高178cm、そのお姿は憂いを含んだ神秘的で物静かな言い知れぬ迫力に満ちています。
平安前期の作と推定され、伊吹山護国寺の遺品として、美術的、歴史的に重要な文化財であり、現在滋賀県の文化財に指定されております。

・毘沙門天立像
写真奥の御尊像は、御前立として安置いたされております「毘沙門天立像」です。
像高167cm、そのお姿は天邪鬼を踏み押さえ、私たちの煩悩や邪心、慢心を戒められておられます。
また、豊満な体躯や柔らかい彫法は藤原様で、平安後期の作と推定され、現在滋賀県の文化財に指定されております。


毘沙門堂


長尾護国寺奥の院毘沙門堂には、御本尊さまとして毘沙門さま(天部形立像)が、また御前立ちとして毘沙門さま(毘沙門天立像)がお祀りされていました。
昭和60年、京都国立博物館に併設されております美術院にてこの2躰の毘沙門さまが細部にわたり調査、修復され、これを機に新たに毘沙門堂を建立、平成元年、御堂の落慶法要、並びに遷座法要を執り行いました。
また、当寺の弘法大師像(鎌倉時代)も修復、彩色が施され、現在毘沙門堂内陣にお祀りいたしております。


| HOME | 縁起・文化財 | 遺跡散策 | 山野草 | アクセスマップ | リンク | ブログ |
〒521-0307 滋賀県米原市大久保 TEL/FAX:0749-58-1141    Copyright(C)2007 宗教法人 惣持寺 All Rights Reserved