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  水の匂い



日だまりで
猫たちが並んで食べる背中をみている

もうかかわらないと決めていたのに
からだの奥
遠いところから飢えの記憶がもどってきて
きょう一日を彼らと分かち合っている

食べ終えて ふと
器に満たした水を嗅いでたしかめ
喉をうるおす猫

お腹を空かせて
さまよって
いのちを繋いできた
水の匂い

目を閉じて
もっとも必要なものを
嗅ぎ分けられるか わたしも

さいしょの 一滴
さいごの 一滴
木枯らしの季節は
もうそこまで来ている













                                                     
(2007年11月)

 
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