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  花のそばで

               

頭を大きく振りながら
いっしんに食べている
庭の真ん中 花のそばで

さきに鋭い眼つきで走り抜けたのは
雌のサビ
ほどなくして
雄のペロが草原のライオンさながら
小さな鳥をむさぼっている

日々はじつに昼寝のように過ぎていた
爪と牙で切り裂かれて
いきなり現れた もうひとつの時間

その餌食はもしかすると
今朝
裏の軒端で相方を呼んでいた
雌のイソヒヨドリ

食事の跡にはもはや何も残っていない
その真上を
イソヒヨドリの雄がしきりに飛び 呼ぶ

それぞれに捨てられて
数ヶ月 数年をさまよっていた猫たち
わが家に落ち着いて
陽だまりで寄り添って暮らしてきた

明日からもきっと
2匹は狩りなど忘れたふりをして
丸まったり 伸びたり

いつか哀しく
互いを呼ぶ日が来るまで








                                                                      (2015年6月)

 
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