あの夜 ひと声 悲痛な叫びをきいた それっきり あとは 闇 わたしより先に 失うことのむごさを知った 雌猫のサビ 夜を重ね 昼を重ね 胸のうち どんな風が吹き抜けているのか もうすぐ 雄猫ペロの逝った初夏が めぐってくる 水の底 貝殻になってたゆたいながら ペロよ わたしたちのその日まで 待っていて (2016年5月)