津市指定文化財 絵画
絹本著色阿弥陀如来像

(けんぽんちゃくしょく あみだにょらいぞう)


一身田 玉保院所有    平成13年4月5日指定
 一身田の高田本山専修寺の”山門”前に(西に”唐門”もある)、お寺が並んでいる。
西にあるのが智慧光院(ちえこういん)で、石畳の道路を挟んで東が玉保院、その東に厚源寺がある。

厚源寺には三重県指定文化財の聖徳太子立像がある。

平成13年4月5日には、この玉保院に伝来する絹本著色阿弥陀如来像が、新しく市の文化財に指定された。

縦106.5センチメートル、横39.1センチメートルの掛幅装で、正面を向き、来迎印を結んで蓮台の上に直立する阿弥陀如来像が大きく描かれている。
着衣部分は濃い緑色と精ちな截金(きりかね)文様で表され、頭からは光明が四方に放たれている。
いずれも細い截金で表現されていて、見事である。

この画像、作者や制作年代は不明であるが、作風から判断して鎌倉時代、13世紀後半の製作と考えられている。
また、裏面には真宗高田派の僧、真慧(1434〜1512年)による裏書きがはり付けられている。
明応5(1496)年に妙智という人物が願主となって修理が行われ、専西寺(福井県大野市、現在は廃絶)に納められたものと分かる。

どのような経緯で玉保院に伝えられたのだろう。

画像を収納する箱のふた裏にある記録には、もとは比叡山にある松禅院に伝来したものという。
真慧の裏書きにもあるように、修理した後に専修寺へ入り、さらに元禄年間(1688〜1704年)になり玉保院へ移されたものという。

保存状態もよく、鎌倉時代にさかのぼる秀れた芸術作品である。

本文は”津市政だより”を参照しました。


智慧光院と玉保院の間の道には"釘貫門”と呼ばれる門がある。
柱を並べて横に貫(ぬき)を通した簡単な門とあるが、立派な門である。
現在はこの門のみ残っているが、宝暦の木版画には他に3箇所かかれているそうである。
いずれも専修寺境内の手前にあり、区切られた内側が境内に順ずる地域、「寺内」を意味しているものと考えられる。


阿弥陀如来像


    玉保院


  釘貫門と正面が山門


    津市の文化財へ