双六岳(2,860m)

−新穂高から日帰り山行 大斜面と槍穂高の展望に感動−

双六岳からの槍・穂高連峰 壮観!

 08年GW後半は、新穂高から大ノマ乗越をこえて、双六岳を目指しました。
 累積標高差は2,200mを超え相当ありますが、頑張った分、得られた感動は大きいものでした。
 双六山荘が営業していないため、これまでGWといえば混雑していたであろうピークも、10人程度と静かで、のんびりできました。 

日 時:2008年5月4日(日)   天 候:晴れ
メンバー:ひじかたさん、やまもりさん、たかはし(滋賀労山山スキーネット)
コース・タイム:新穂高駐車場4:06−ワサビ平小屋5:32−大ノマ乗越9:11/38−双六谷2,230m9:45/57−双六岳山頂11:57/12:55−双六谷2,230m13:25/39−大ノマ乗越14:27/15:00−小池新道・左俣谷分岐15:57−新穂高17:39
1/25千図:笠が岳、三俣蓮華岳

 連休の後半、いずこに。悩んだ末に選択したのは、双六岳の日帰り往復。感覚的に槍ヶ岳往復よりも短いかな、と思っていたのが間違いで、根性すえて頑張らなあかんロングコースでした。

大ノマ乗越から広がる大斜面

 秩父沢のデブリランドあたりから望む弓折岳(正面)と手前に広がる大斜面。意外にきれいです。
 これは帰りが楽しみ。
大ノマ乗越を望む

 標高2,450mの大ノマ乗越まであとわずか。
乗越までは思ったより斜度はなく、シールで楽に登れました。
 今日の気候はすこぶる暖かく、雪も緩み登りやすいですが、汗がどんどん流れます。

 先を行く金沢の単独行の人に引っ張られて、間もなく乗越に到着。

槍をバックにひじかたさん到着

 乗越は特に雪庇も出てなくて、難なく乗り上げられる。
 展望は、このとおり槍、そして穂高連峰と文句なく第一級の素晴らしさ。
 笠が岳に続く稜線の縦走路には、ツボ足のトレースが続いていました。
目指す双六岳方面

 大ノマ乗越からは望む双六岳方面。
双六岳本峰(2,860m)は写真の中央の白い斜面を有する双六南峰の奥にある。
 乗越からは一旦230m近く、シールを外して双六谷へ下る。双六谷へ滑り降りた後は、いよいよ山頂へ高度差600mほどの登り返し。
 30分ほど進むと、双六小屋と山頂への分岐。
山頂からの展望:天を突く槍ヶ岳(左)とスケールの大きな山容の黒部五郎岳(右)

 新穂高から7時間と50分あまりのシール登行で到着した双六岳山頂。
その展望は素晴らしいものでした。

双六谷へGO!(大滑降第一幕)

槍穂高連峰を目の前に谷に滑り込む快感は、他では味わうことのできない贅沢なシーン。

 大ノマ乗越への標高差230mの登りは嫌だが、登らんことには帰れない。もくもくと登り50分弱で乗越へ。そして、大滑降の第二幕が始まる。

大ノマ乗越からGO!(大滑降第二幕)

 この大斜面、右手は大ノマ岳方面からのデブリが発生しやや荒れているが、左手の弓折岳から広がる斜面は
きれいで、雪もこの天気の割には、予想以上に滑りやすいいい雪に恵まれた。


【記録】

 新穂高の有料駐車場を4:06に出発し、穴毛谷への分岐を経て、その少し先からは林道の雪が続き、シール登行とします。途中幾度か、スキーを外すときもあったが、順調に進め、ワサビ平小屋を過ぎた下抜戸沢の大デブリまでが1時間と50分の所要時間。ここから先、大ノマ乗越に続く斜面は大きく広がり、帰りも楽しめそうである。ツボ足の一団が秩父沢のデブリ帯を登っている。

 秩父沢のデブリを越えるときれいな斜面の登りとなる。振り返ると、雪まだ多い乗鞍連峰(猫岳や四ツ岳も)、ゴツゴツした焼岳がきれいに望める。右手には穂高連峰や槍の穂先も見えてくる。先を行くツボ足の一団は鏡平方面へ進み、乗越からは2人パーティーが滑り降りてきた。雪は適度に緩み、とても滑りやすそう。でも、ぼくたちの目指す双六はまだまだ先。先行する金沢の単独山スキーの方に引っ張ってもらう形で、少しずつ高度を稼ぎ、大ノマ乗越手前も意外に斜度はきつくなく、なんなく乗越についた。

 乗越には、笠が岳への稜線にいくつものツボ足の跡があり、この時も弓折岳へ一人登られていた。ここから双六方面を望むと、本峰は南峰の影で見えないが、双六らしい緩やかな稜線がうかがえる。さて、休憩のあと、一旦標高差で230mほど下ります。こちらは思ったより傾斜があり、高度を落とさないようにトラバースと考えたが、乗越近くは樹林帯により難しく、だいぶん下って2,250mくらいからトラバースし、双六谷に降り立った。

 さて、再度シールをつけて、ピークまであと標高差600mあまり。天気もよく、あわてず進み、2,370mあたりで双六小屋と山頂への分岐になり、左へ。少し登ると、本峰と南峰に包まれた双六谷がいよいよ大きく広がってくる。ジグをきることもなく、ほとんど直登で効率よく登れ、12時前に山頂に着いた。

 山頂では、10人程度、つぼ足と山スキーの登山者がいたが、双六小屋が営業していないこともあり、意外に静かでよかった。ピークからの展望はすこぶる素晴らしい。槍穂高連峰の鋭峰はもちろんだが、カールをもつ山頂から左右に広がる黒部五郎岳の雄大さは特筆もの。さらに、雲の平の奥に、遠く薬師岳、鷲羽岳から水晶岳、野口五郎岳など奥深い北アルプスの峰々が一望に。

 1時間ほどのんびりした後、いよいよ滑降に移ります。第一幕は双六谷の標高差600m、登り返して第二幕は大ノマ乗越からの標高差900m(下部はデブリですが)です。その第一幕、これまでに本で見た写真のとおり、正面の槍に向かって広い谷を滑っていく。その爽快感は他では味わえないもの。特に、上部は雪もいい状態で、斜面も荒らされてない。頑張ってよかった。

 双六谷2,230m地点からのシールでの登り返しは、ひたすら黙々と。ここを登らんと帰れない。登ったらまた、標高差900mの第二幕が始まる。汗流して、50分ほどで大ノマ乗越に到着。先行された金沢の方と話をすると、なんとボクの拙いこのHPをご存知であった。無茶うれしい。そして、乗越から大斜面に飛び込む。ここも、この陽気にもかかわらず、特に弓折岳側の斜面の雪はとてもいい状態。とても気持ちよく滑れる。何度も写真を撮りながら、北アルプス春の山スキーを満喫!

 秩父沢のデブリ帯をこえて、左俣谷の小池新道分岐に到着。ここから振り返ると、青空と弓折岳、そして日が射して輝く大斜面。いいところでしたね、是非また来たい。そう思わせるコースでした。下抜戸沢のデブリを越えたあとは、あまり斜度のない林道を滑って、駐車場に17:39無事着きました。

 例によって、平湯で温泉につかり、滋賀に向かいました。
 今年のGWは、前半は白山東面台地、後半は双六岳と日帰りコース2つ、天気にも恵まれ、効率的に楽しめ、とても満足できるものとなりました。


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