白馬岳(2,932m)から白馬沢右俣滑降

−代馬雪形の尻尾をかすめて落ちる爽快コース−

白馬沢右俣を滑る!

 小蓮華岳の稜線直下からノドを通過して、さらに大きな斜面へ。そして、大雪渓に合流。(やまもりさん)

 白馬沢右俣。それは素晴らしい山スキーコースでした。大雪渓〜白馬岳〜三国境〜白馬沢右俣〜大雪渓下部。天候にも恵まれた充実と納得のコース。

日 時:2010年5月15日(土)  天 候:快晴
メンバー:やまもりさん、おおとさん、たかはし
コースタイム:猿倉5:03−白馬尻6:10−白馬山荘10:40/11:19−白馬岳11:37/11:52−三国境12:45−標高2,690m右俣エントリー地点13:10/13:35−大雪渓合流点14:45−猿倉14:55

春の日差しを受け大雪渓を登る

 左の杓子岳や右の白馬岳側から頻繁に落石が。
たまに雪渓の上を音もなく、岩が転がってきて危険です。
白馬山荘からの剣・立山の峰々

 白馬からはアルプスの大展望が広がった。
黒部川を挟んで、毛勝から赤谷、剣、立山と今年は一層白い山々が素晴らしい。

 先週の寒波により、やはりアルプスでは雪になっていた。所々に新雪が純白に広がり、山頂では季節外れのエビの尻尾。

白馬岳山頂で。

 この雪が曲者。山頂から三国境に続く稜線では部分的にカチカチに凍り、慎重に下らねば。

白馬岳とピークに続く白馬岳主稜を望む

 そして、到着した右俣ドロップポイント。陽気で雪も十分緩み、上々の状態のはず。さあ!

まずは、上部の大斜面。快適に飛ばして。

見慣れた代馬の雪形を後から眺めると、

馬の尻尾が右上に斜めに伸びてます。 中央は馬の胴体、右端に岩が切れて尻尾の付け根

 心配していたノドの部分も意外に広く、難なく通過できる。そして、また広く快適な斜面がどこまでも。

ノドから下部を望む 斜度といい、雪といい、ロケーションといい、全部、○

 落石や雪崩れの心配のないところで、振り返る。

遠くなった代馬の胴体の下部を回りこんで滑ってきた。 白馬山頂から落ちるエキストリーム系左俣と右俣の合流点

白馬沢下部の大斜面から代馬雪渓を望む。

充実感一杯で、フィナーレを迎え。(白馬沢下部)

【記録】

 昨年、取り止めた白馬沢右俣に挑戦。
朝5時過ぎ、猿倉をもう既に幾つものパーティーが出発していった。今年の雪は多く、猿倉の駐車場からたっぷり。ずっとスキーをはいて進むと、金山沢の堰堤もしっかり雪で埋まっている。前方には代掻き馬の雪形がしっかり見え、あの横や下を通過すると思うとドキドキする。上部の岩はうっすら白くなっており、右俣上部の大斜面も真っ白でやはり数日前からの寒さで、標高の高いとこは降雪となったようだ。あまり多いと右俣滑降はどうかなと不安になる。

 白馬尻の先でカモシカが横たわって死んでいた。雪崩れにあったのが出てきたのか?大雪渓の登りは予想外に日差しが強くなり汗が流れる。日焼け止めを何回も塗らないと大変なことになると、休憩たんびに塗りまくる。大雪渓で怖いのは落石。音もなく雪渓の上を転がり落ちるので危険この上ない。「ラクーッ」という声が谷に響く。

 部分的に積もった新雪は5cn程度、まだこの時間は堅く締まっている。予定通り白馬沢右俣を滑ることとして、白馬山荘前で大休止をとり、山頂へ。山頂では、標識などにエビのシッポがたくさん付いており、やはり3000m近い高山の厳しい気象条件を窺わせる。山頂のすぐ横の雪庇には大きな穴があけられ、主稜を登ってきたクライマーが現れた。すごい。いろんな楽しみ方ができる白馬です。
 ここから夏道経由で三国境へ向かうが、稜線は雪がつながっていない上に堅く、慎重に進んで時間がかかる。やはり、ここは山頂経由でなく柳又谷源頭部滑降の上で三国境にトラバースするのがよさそうか。でも稜線では何箇所かの岩の上に雷鳥がちょんと止まり、いい被写体を提供してくれた。三国境までで予想外に疲れたので、当初予定していた瀬戸川源流部の滑降・登り返しは省略。

 ようやく着いた小蓮華岳西の△2,719mピークからやや下がった標高2,690mのドロップ地点。
白馬岳を振り返ると山頂に延びる主稜には何人も取り付きピークを目指している。右俣の下部を覗き込むも大きな斜面が広がっておりその下はよく見えない。一体、吸い込まれるようなと表現されている「ノド」の部分はどうなっているのでしょう。
大休止の後、さあ、滑降!
 まず最初の大斜面はザラメ状態で、そこそこ斜度はあるが無茶苦茶気持ちがいい。雪形の背後から白馬岳を望む景色も新鮮で、もう来れないかもしれないし写真をパチパチ。代掻き馬の雪形の尻尾の横を滑っていくと、新雪が陽気で重くなりややターンに苦労するがさほどでもない。ただ、滑った後、ゴロゴロと転がる重雪の塊に襲われる。雪形の胴体の下の辺で、雪形を見上げると、胴体と尻尾のわずかな間に雪が詰まっており、通過は困難そう。記録に書いてあったように、三国境近くから滑り込むとここにつかまってしまい進退窮まるのかと納得。

 標高2,300mあたりのノドも意外に広く問題ない。中央の岩の右手を通過していくと、またザラメのいい斜面が一層大きく広がる。大きいターンで気持ちよく滑降し、感嘆の声もとめられない。振り返るとかなり上部に雪形が見え、あそこを滑ってきたのかと自分なりに充実感を味わう。標高1,800mあたりで白馬沢左俣と合流。左俣は同じ白馬沢でも右俣と性格を全く異にして山頂から落ちてくる超エキストリームコース。2人ほどのシュプールがあった。とても真似できるものでありません。

 大雪渓に合流し、ここではなく念願の白馬沢右俣を滑れた満足感にひたって、猿倉に戻った。
今回は、緊急連絡先をお願いした会のメンバーに、GWの薬師岳の19時ではなく、15時に下山連絡を入れられ、これもホッとしました。

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