山スキー報告  三方岩岳(1,736m)

その2

三方岩山頂の飛騨岩直下を滑る
(モデル:みやけさん)

 気温は低いけど、なかなかまとまった雪が降らないこの冬。今回も白川郷周辺の山、三方岩岳で3年ぶりに楽しんできました。上部はやや重パウダー、中部はモナカ交じりの雪、下部は重い湿り雪といろいろと味わい深かったです。

日 時:2014年1月25日(土)  天 候:曇り時々晴れ
メンバー:やまもりさん、みやけさん、おおとさん、たかはし
コースタイム:トヨタ自然学校7:29−標高980m尾根上8:32−標高1,150mスーパー林道9:05−△1,590m10:38−山頂11:49/12:30−△1,590m13:20−トヨタ自然学校15:00

 出発前は2週間前の山行以降、積み重なると思われた雪もたいしたこともなく、さらに春並みの気温という厳しい条件で、さあ、いい雪に出会えるか心配でした。曇りのち雨の予報で止めようかなぁという弱気の虫も出てきたが、とりあえず出発!
 いつものように道の駅白川郷で宴会後、きらめく星の下で就寝。朝起きると、やっぱり雲が広がっている。車で移動してトヨタ自然学校に駐車をお願いし、計画書も提出してスーパー林道から登りだします。2台車があり、この先行トレースは林道の途中から多くのトレースと同様に野谷荘司岳に向かってました。ボクらが目指す三方岩岳へのトレースは全くないも同然。

白谷左岸の林道の向こうに県境の白い稜線 スーパー林道直下を登る(標高1,150m手前)
軽くラッセルしながらブナ林を登る 野谷荘司への尾根からはフォールラインが2本!

 白谷左岸の林道をしばらく進んだ後、右手斜面に取り付き標高980mの尾根に乗り上げる。ブナ林をジグザグに登り、スーパー林道のヘアピンカーブを回りこんで林道上で、2週間前、途中で引き返した目の前の猿ケ馬場山などを眺めてしばし休憩。青空も少し見えてきて何か天気はもちそう、いい感じ。
 さらに高度を上げ、標高1,300m辺りから左手の野谷荘司岳への尾根を見ると、あっ尾根の途中からのフォールラインが1本。そして目を凝らすと稜線上に人影が一人。間もなく、その人も谷に飛び込んだ。美しいラインを描き、雪煙も見えるよう。やっぱり北面の雪質はまだまだいいようです。ボクらも白谷の沢ほどの豪快さはないが、三方岩への尾根で北向き斜面のいい雪を探して楽しむこことしよう。

2本の木の間に三方岩の山頂が。 標高1,590mからの山頂(左:飛騨岩、右:加賀岩)
山頂近い厳しい自然の中にも生き物の証が。 飛騨岩直下をまいて登る。

 前回、堅い雪に無茶苦茶緊張した標高1,590mへのトラバース斜面も比較的安定した雪のラッセルですんなり通過。一旦、標高差30mほど下って最後の登りにかかる。途中、枯れ木にキツツキによると思われる新しそうな穴がたくさん開いている。こんな厳しい自然の中でも生き抜く動物の生命力に感動。山頂の飛騨岩を右にトラバースぎみにまいて、加賀岩との鞍部から少しの登りで1,736m三方岩岳の山頂に到着。東側は崖になっていて雪庇に気をつけて、スキーを外して大休止。

山頂からの大門山、猿が山方面 猿が馬場山、籾糠山と遠くに着たアルプスの峰々

 山頂で、男3人はそれぞれ皆ドライゼロをザックから取り出して、乾杯!白山主峰は雲に隠れているが、北の笈ケ岳、大門山、猿が山。東へ転じていくと飛越県境の山々や籾糠山、猿が馬場山の向こうに、剣、薬師、ずっと槍穂高、乗鞍まで見通せます。時折強風が吹きつけるものの、1月にしては極めて穏やかな時間が過ぎていきました。
 さあ、滑りましょうか!

ファットで浮いて飛ばす、おおとさん 逆光シルエットに華麗に、みやけさん
舞い上がる雪の影も一緒にターン!やまもりさん 北面はいい雪が残っててくれた、たかはし

 山頂直下からトラバース気味に滑った後、北面斜面を楽しめました。気温も高く、余り期待してなかったけれど、思いのほか気持ちよく雪を舞い上げられました。標高1,520mあたりまで滑って登り返し。
 一旦休憩の後、できるだけいい雪のある場所を見当つけながらコース取りをします。標高1,190mでスーパー林道に入ってすこしストックで押して滑った後、1,150mのヘアピンカーブから再度林に入ります。
 登ってきた斜面はブナが混んでいるので快適な滑りは期待できないため、前回と同様に木がまばらな沢状斜面で入り、重い雪に足をとられながらも大きくターンして下ります。次第に狭くなった沢では、気温上昇のため上部から落ちてくる雪塊に気をつけながら、斜滑降、横滑りでクリアして、2つの堰堤を越えて無事スーパー林道に下りました。

標高1,590mからの快適斜面、眼下に白川郷。 林道に続く最後の沢状斜面。雪さえ良かったら…

その1
−ブナ林の登りからアイスバーンのトラバースを超えると、三方岩からの大展望−

△1,590mピークから三方岩岳を振り返る

 幾つかの記録に「ここはいいっ!」とあった三方岩岳。ようやく、その魅力を実感できました。
 写真は、山頂手前の標高1,590mピークから山頂を振り返ったところ。
 正面が山頂の飛騨岩、右手は加賀岩というようです。天候にも恵まれ、山頂からの360度の展望が素晴らしかったです。
 中央の沢にシュプールが。

日 時:2011年2月26日(土)  天 候:快晴
メンバー:やまもりさん、たかはし
コースタイム:トヨタ自然学校7:41−白谷左岸から取付き8:14−標高1,000m8:40−△1,266m9:32−△1,590m10:48−山頂12:10/30−△1,590m13:23−トヨタ自然学校15:07

 道の駅白川郷で朝6時起床し、トヨタ自然学校へ。どこに止めようかと考えていたら同学校の職員さんから「道路では支障があるから駐車場にどうぞ、フロントに一言かけてね。」と言われ、出発の時フロントに計画書を持って「お願いします。」というと、「気をつけて、行ってらっしゃい!」と、とってもいい感じの出発となりました。

白谷左岸林道から稜線の峰々−三方岩は見えない 素敵なブナ林の登り

 自然学校から雪たっぷりのスーパー林道を進み、白谷を渡り料金ゲート前から左岸林道に入る。正面には白い稜線の峰々が見え、気合が入る。三方岩はさらに右手であり、ここからは見えない。(上左の写真)
 林道からほぼ夏道取り付きのあたりで山に入り、ブナ林の中を登っていく。雪は多いがブナの木の根元にどんと雪がたまり段差が生じて登りにくいし、帰りもここは滑りにくそう。
 標高1,150mあたりでスーパー林道のヘアピンカーブに出合い、やや緩斜面のブナ林となり堅い雪面に新雪が5cmほど積もり気持ちがいい登り。(上右の写真)

馬狩荘司、野谷荘司方面を望む △1,471mあたりから三方岩への稜線

 高度を上げると左手に、野谷荘司、馬狩荘司岳方面が素晴らしい景色を見せてくれる。稜線からは魅力的な真っ白い沢がいくつも落ち込んでいるが下部にはデブリも見られ厳しそう。尾根を登り、標高1,470m辺りまでくると斜度も緩くなり、前方に三方岩の山頂も望め、気分も楽に。ところが…。
 △1,590mへ続く尾根が細くなり右へトラバース気味にルートを取ったところ、堅いアイスバーンに遭遇。クトーをつけたものの、斜面は下まで落ち込み、手にはピッケルではなく頼りないストック。一歩一歩ビビリながら進み、距離的にはわずかであったが無茶苦茶緊張した。山スキーでいつ以来だろう、こんな緊張感は。

△1,590mから大好きな猿ケ山(左) △1,590mピークを越え、遠くアルプスバックに登る

 何とか△1,590mに着いてホッと。ここからの三方岩の山頂は圧倒的(最初の写真)。バックには北アルプスが時間を追うごとに鮮明に浮かび上がってくる。ルートは一旦50mほど下って、いよいよ最後の登りに。沢の中は新雪が積もって登りやすいが、尾根上では新雪が吹き飛びアイスバーン状態に。
 岩の基部でスキーをデポし、ピッケル、アイゼンに切り替え山頂のでっかい飛騨岩の北側のアイスバーンを慎重にトラバースし(やっぱりピッケル+アイゼンは安心する)、回り込んだところから、ひと登りで着きました、山頂に。
 △1,736mからの展望は素晴らしい!

圧巻!白山連峰 北方の笈ケ岳、大笠山方面
野谷荘司山の右に奥三方岳 猿ケ馬場(左)、籾糠山(中央)の向こうに乗鞍連峰

 特に、白山方面はいくつもの尾根、沢が白山御前峰に向かって集まって、白く大きな山容が圧倒的に素晴らしい!
北方には笈ケ岳、大笠山、東に向くと、遠く、白い連山の上に、剣の一際黒く尖った岩峰から、薬師、北ノ俣の大斜面、そして槍、穂高連峰から、乗鞍、御岳まで。アルプスの前には猿ケ馬場が、籾糠山が。

 さあ、展望を楽しんだ後、いよいよ滑降といきましょう。

標高1,550mへの快適な滑り

 沢では堅い雪面に少し積もった新雪を蹴散らし気持ちいい!ここが一番よかった。
シールで△1,590mまで登り返し、のんびりしてパンをかじる。ここからもいい雪を期待したが、標高1,400mから下はグサグサの雪にかわり、できるだけ北向きの斜面を選ぶものの、残念ながらいい雪は…。変な音がすると思えばスノーモービル2台がスーパー林道や△1,266mあたりのブナ林の中をブンブンと走り回り、うるさい。

鞍部で山頂をながめのんびり、いいところです。 アルプスを目の前に、滑り込む。ここまで雪はよかった。

 標高1,150mのスーパー林道のヘアピンカーブ下からは、登ってきたルートのやや北側の沢状斜面へ。ここは見事な無木立の大きな沢で、だんだん狭くなって標高790mのスーパー林道に続いている。相変わらずグサグサ雪で疲れましたが、条件よければ素晴らしいフィナーレを飾れたでしょう。次回のお楽しみ。
 15:07自然学校に戻り、フロントにお礼の挨拶をして帰途につきました。

 このコースはお薦めです。雪の条件により厳しい面もありますがそれはその時々の判断で。新雪時でも無理しなければ楽しい山スキーを楽しめそうです。

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