山スキー報告
越中五箇山 大滝山(1,498m)

−パウダーにかわって、素晴らしい光景がお出迎え−

1,303m地点から人形山(左)、カラモン峰(右

 奥美濃からさらに足を延ばし、越中の五箇山にある大滝山へ。
 ところが期待のパウダーは一体どこへ。この異常ともいえる陽気にすっかり雪も変質してしまいました。
 でも、写真のとおり美しい人形山など初めての越中の山々、おなじみの白山や北アなど展望、コース上のブナ林や白い雪原など印象深い山行となりました。

日 時:2004年2月21日(土)   天候:晴れのち曇
メンバー:やまもりさん、たかはし
コースタイム:6:55猪谷寺院−7:35NHK中継所−8:22林道分岐(720m)−10:10/50標高1,303m地点−11:28/12:15大滝山(1,498m)−12:35標高1,303m−14:05NHK中継所−猪谷寺院14:20
1/25千図:上梨

登山口となる集落からの1,303mピーク

 いかにも五箇山、合掌村。といっても、大滝山北東尾根の登山口となる集落の合掌づくりはこの一棟だけと思いますが。
 遠く霞み、せり上がっている稜線の上が標高1,303m地点で、右端で北北東尾根と合流します。
林道から、パッと開けて人形山がカラモン峰が!

 NHKテレビ中継所からの林道を進むと、標高650mあたりで、人形山とカラモン峰の白い山稜が目に飛び込みます。
林道分岐から1,303m地点へ続く尾根

 標高720m地点の林道分岐地点からは、左手の杉林に沿う形で尾根に取り付き、正面のピークへのやや急な尾根を登っていきます。
尾根上のブナ林

 標高880m地点から先は、いよいよブナの急な尾根に取り付きます。木々の間には適度に間隔があり、滑降も楽しみです。
 でも、今日ばかりは春の陽気に負けました。
青空にはえるブナ

 急なブナ尾根もこの大木を過ぎるとなだらかなな雪原に。
光景が一変します。
1,303m地点まであとわずか。

 素晴らしい稜線歩きです。左手には冒頭の写真のように人形山、カラモン峰の美しい山稜が聳えています。
大滝山山頂を望む

 北北東からの尾根と合流して少し行ったあたりから大滝山山頂を望みます。左手奥に人工物の反射板が立っている所がピークです。
 もうすぐです。
遠く金剛堂山の山稜

 手前に低く人形山への登山ルートのある尾根、次がマルツンボリ山の尾根、そして奥に、スノーバレー利賀スキー場から右へ金剛堂山に続く稜線が一段と白く印象的です。
人形山とカラモン峰

 山頂から間近に見る雄姿。
 大滝山からは標高差は200mほどですが、細く長い稜線が右手カラモン峰まで続きます。
1,303mから下ったブナ疎林

 1,303m地点から少し下ったブナ疎林の斜面です。春のような雪の斜面を滑ります。
 
ブナ尾根の中の滑降

 朝はあんなにきれいだったブナ尾根斜面が一滑りで大量に雪の塊を生産し転がし、斜面はボコボコになってしまいました。その中を飛ばすやまもりさんです。ヤッホーっ!


【記録】


 先週に大量の雪が降った。これは早川さんや中村さんの記録にもあるように、北向き尾根のパウダーを狙って、大滝山へ遠征だ! ところが、平年を10度も上回る春(いや、初夏のようですらある)の陽気に、貴重な大量のパウダーはどこへ。見るも無残に変質してしまいました。でも、いいんです。行動時間も短縮できたし、人形(ひとかた)山やカラモン峰の素晴らしい白き山稜などが展望でき、楽しい山スキーとなりました。
でも、今度は絶対パウダー狙い!

 前夜発で東海北陸道経由で、白川郷ICから五箇山ICまで再度高速を利用し、今日のお宿は、道の駅「上平」。ここのトイレはセンサーが人の入場を感知すると暖房が入るなど、とってもいい施設でした。
 さて、翌朝は快晴、でも全然寒くありません。準備を済ませて一路、北東尾根の登山口となる猪谷の寺院へ。ここで準備をしていると地元のおじいさんに出合い、「大滝山へ行くんです。」と言うと、「遠いで、雪崩に気をつけてや」と心配していただくなど、とっても優しいおじいさんでした。帰ってきて、お話したおばあさんも優しかったです。
 さて、ここからシール登行にかかります。寺院裏からちょっと急な斜面をジグザグに上がると、植林された杉林の尾根の上に出て、ここから忠実に南へ向かいます。杉の植林帯に雑木林が混じる尾根を登っていくと、NHKと民放のテレビ放送中継所2つに出合います。その横を抜けると、杉林の中に林道がズンっと切り開かれてました。

 この林道を利用して、672m地点を左からまいて、林道をしばらく進むと、左手の眺望が開け、遠く人形山とカラモン峰の真っ白い山稜が素晴らしいです。また、前方遠くには標高1,303m地点に登る尾根が伺えます。このあと尾根上の平坦に近い林道をひたすらスキーで歩き、標高720mの林道分岐から林道から外れ、正面のやや狭い尾根に取り付きます。雑木林と植林帯の間を登り、一旦880m地点で平坦となった地点で一本いれ、さあ、ここから今日の頑張りどころである、やや急なブナ尾根を登りましょう。比較的木々の間も広く滑りやすそうな斜面がつづいてます。
 ここしばらく続いた陽気で、幸か不幸かラッセルは全く無かったんですが、この陽気の中で予想していたとおり、シールに雪がくっつきだした。静かな山に「カーン、カーン」とストックでスキー板を叩く音、板を揺らして無理やり雪を落とす「音」が響きます。やまもりさんもシールワックスを塗ったものの、すぐにまた雪がひっつき効果が無かったと嘆かれてました。

 でも、頑張った分だけご褒美があります。尾根を登りきると光景が一変し、真っ白な雪原が広がり左手には人形山、カムラン峰の素晴らしい展望がまっていました。行く手にはさほど標高差も無く大滝山の山頂反射板が望め、遥か下には五箇山の集落、山の向こうには富山平野が広がってました。
 さあ、あと少し、山頂を目指しましょう。ここからは概ね緩やかに登っていき、出発から休憩を含め4時間半でピークに到着。ラッセル無く、意外に簡単に着いたという感じです。でっかい反射板は目障りですが、ここからの眺望も第一級です。これまで隠れてた白山から北に続く白い峰々も姿を現してくれました。反対には遥かに北アルプスの峰々も。一方、カラモン峰へは細くて長い雪庇の発達した稜線がずっと続きますが、平坦な部分も多くスキー滑降には向きません。

 さあ、シールを外して出発です。1,303m地点の少し下までは、春のような雪の滑降を楽しめ、さあ、いよいよブナ尾根へ滑り込んでいきましょう。おやおや、折からの陽気ですっかり緩んだ雪はターンするごとに雪の塊が下にどんどん転がり、さながら「巨大バウムクーヘン製造斜面」とでもいいましょうか、ごろんごろん、次々とスノーバウムクーヘンが大きくなって転がり落ちていきます。登りに見たまっさらの斜面は、いっぺんにボコボコに成り果ててしまいました。
 でも、汗かきながらの滑りも、木々の間隔が広くて、その面では滑りやすくそれなりに楽しいものです。あぁあ、パウダーだったら、どんなに素晴らしいか。今度は絶対、パウダーを頂くこととしましょう。

 林道まで下ってからは、今度は腕力にも大いに活躍していただき、往路を戻ります。林道から外れ、テレビ中継所からはスギや雑木の中の緩んだ雪の斜面を滑って、14:20、無事、登山口まで戻ってきました。
 このコース、特に標高880mから上部のブナ尾根や頂上への稜線はいいところでした。標高650mから700mあたりの平坦な林道はこのコースのマイナス要素ですが、全体としては面白いコースで、北東尾根なので通常ならいい雪が期待でき、パウダーだったら最高でしょうね。ホントに。きっと。


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