MTB山行

余呉町 七七頭ヶ岳(693m)

〜残された湖北のブナを訪ねて〜

残されたブナの大木

 滋賀県内ではわずかにしか残っていないブナ林。先日の新聞によると、余呉町北部に50haの原生林を含む200haという近畿最大級のブナ林の存在が確認されたようですが、ブナを楽しめる身近な山の一つがここ七七頭ヶ岳でしょう。ずっと以前の新聞にブナが伐採された山としてこの山も記載されていたと記憶していますが、現在でもかろうじて山頂周辺にわずかに残り大木もいくつかあります。
 また、この山は伝説の「瑠璃池」も有名です。山頂から西に少し下った「瑠璃池」(現在は樋を使った水場のようになってますが)は、舞を奉納する少女の肌を美しく清めたという言い伝えがあり、ボクも顔をゴシゴシと洗ってきました。
 登山道は片道約1.9kmでよく整備され、標高差も約500mで、ちょっとしたハイキングに最適です。今回からツキノワグマとのばったり遭遇を避けるため、泣Aウトバックの通販で買った「南部熊鈴」をぶら下げ、リンリン鳴らして行動してきました。
 マウンテンバイクを例によって担ぎ上げましたが、急な登山道の部分も結構あり、復路も3分の2程の乗車率だったと思いますが、楽しめました。

日 時:2003年6月30日 天候:曇り
メンバー:単独
標高:190m〜693m(標高差約500m)
コース・タイム:余呉町上丹生12:45−稜線13:00−頂上13:39/14:09−上丹生14:37
2万5千分の1地図:木ノ本、中河内

七七頭ヶ岳遠望

 上丹生の高時川にかかる野神橋の辺りから望む七七頭ヶ岳です。地元では丹生富士とも言われるようにすきっとした端正な姿をしています。橋のたもとには樹齢800年の神木大ケヤキがあり、歴代の区長さんが奉納された薙刀がたくさんありました。橋の手前には「七七頭ヶ岳観音参道」という石柱があり、ここからこの橋を渡らずに登山口まで川に沿って舗装道を真っ直ぐ進み、やたべ橋のところから林道に入っていきます。
 林道はすぐに登山道に変わり、頂上まで1,900mの標識があります。その後も「あと○○m」標識や「○丁」という石柱が案内してくれます。登山道は標高370mの稜線に出るまでは、雑木林の中の落ち葉の積もったジグザグの急登で、溝状に掘れた部分もあり、さすがにMTBは全然乗れません。。
 今日が初装着の「南部熊鈴」もいい音色で鳴ってくれています。熊さん、この音色につられて出てこないでね。約15分で稜線に到着。稜線の左手は植林が進んでそのため展望も開けています。ここから少し自転車に乗って、また担いで、いよいよ頂上へ続く登りにかかります。
落ち葉に埋もれた登山道

 写真のとおり右手は雑木林が残り、左手は植林のため伐採されています。標高をあげてくると、ブナもちらほら現れ、また、左手遠くに、行市山などの湖北の山並みが見えるようになってきます。
 登山道は落ち葉が積もっていい感じ。行きは自転車かついで汗をポタポタ落としながら上りますが、帰りは乗って下っていけそうです。楽しみ楽しみ。この日の登山道には梅雨の晴れ間だった一日前に歩いたと思われる跡がありましたが、やっぱ、MTBで登山道ライディングを楽しもうと思うと、人がほとんどいない平日か、土日の早朝か遅い時間が一番いいなぁ。びっくりささずに済むから。
オカトラノオ

 途中たくさんの咲きかけの「オカトラノオ」を見かけました。この「オカトラノオ」の花穂の形は、伊吹山で初めて発見され多産であることから「イブキ」の冠をつけた「イブキトラノオ」とちょっと違って先がとんがっています。
ブナの大木

 七七頭ヶ岳の特徴はやはりわずかに残されたブナ林でしょう。山頂も近くなった登山道の脇にはにはブナの2次林に交じって大きな木も2本見受けられました。自転車を肩から下ろして、汗がデジカメに落ちないように気をつけながら写真をとり、こんな大きな木を今まで守ってこられた地元の人々の英知に、そして守られてきた木の姿の美しさに感動します。
杉に囲まれた山頂(MTBは中央の杉のところで記念撮影)

 山頂にある両洞山西林寺の祠の前はちょっとした広場になっています。三等三角点はこの少し西側にありました。山頂からは樹間に鏡湖とも呼ばれる余呉湖の水面も、曇天に鈍く光って望めました。
 この山は低山の割には結構登られているようで、「○年○月○日 ○○会」という札がたくさん枝にくくりつけられていましたが、神社の御神籤じゃあるまいし、やめません、こんなこと。りっぱな三等三角点がひとつあればいいでしょう。各人の登頂の思い出は心に残しておきましょう。どこの会がいつ登ったなんてこと、登った本人(会)以外、別に誰〜れも知りたくありません。自然の山々には似合いません。
 さて、伝説の瑠璃池までは50mで、西に行き急坂を降りたところにトタンの屋根の下に樋で水を流したところ、それが瑠璃池でした。ちょっと名前や伝説とはイメージが違いますが、きれいなお肌になるように、髭ずらを磨いてきました。かわったかなぁ。
 菅並から登ってくるもうひとつの登山道はこの西林寺の裏から続いてました。この道も両側が刈り取られてちゃんと整備され、ブナの交じった林の中を下っていました。
菅並の「洞寿院」

 山頂から自転車にまたがり、いざ、ダウンヒル。でもそう格好よく行きません。急な道はあぶないので、降りました。でも、落ち葉の積もった快適な山道を全体の3分の2くらいはライディングを楽しめました。
 ほぼ予定通りに下りてこられたので、MTBでさらに3kmほど県道を奥に進み、菅並の洞寿院を訪ねました。「丹生ダム」工事のため菅並より先は廃村となりましたが、菅並まではとってもいい道ができてました。洞寿院は1406年に開かれた曹洞宗の名刹で「塩谷山洞寿院護国禅寺」といい、山々や木々に囲まれたとっても雰囲気のいいところです。靴下の汚れを払って、お参りしてきました。ここは、「湖北の大屋根、参禅道場である。…夏は緑陰に座禅して暑気涼しく…」とパンフレットに書かれています。いかがですか。


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