昼闇山(1,840m)
−すざましいデブリに唖然−

昼闇谷、えぐられたその深さは4,5m

自然のあまりにも大きな力に畏怖する。
その突っ走ったあとは、延々1kmを超えていた。

日 時:2008年4月13日(日)  天 候:くもりのち小雨
メンバー:おばたさん、ひじかたさん、やまもりさん、みやけさん、たかはし(滋賀労山山スキーネット)
コース・タイム:焼山温泉6:12−アケビ平入口鉄橋6:50−昼闇谷手前標高770m7:55−北尾根経由−1,600m     稜線10:37−スキーデポ地点11:35−頂上12:30/45−1,600m稜線13:40/00−標高770m14:     51−焼山温泉15:50

アケビ平上部標高770m地点から烏帽子岳、阿彌陀山

 杉の植林もすっかり大きくなったアケビ平を抜け、展望が広がる。
 特に、西側には、昼闇谷の向こうに烏帽子岳、阿彌陀岳が並んで聳え、壮観。
昼闇谷下部から昼闇山が現れ

 標高780mあたりで昼闇谷に下りる。その名に反して、今日は明るい。前方に開けたスケールの大きな谷は、とても標高が2,000mにも満たない、1,840mの山とは思えない。

 ここまでは、ほぼ予定通りであった。天候もまずまずで、雪の状態も、焼山温泉からアケビ平まで除雪され、スキーの担ぎはしんどかったが、アケビ平の杉林も樹間も十分で、滑りも楽しめそうだったし。
 そして、わくわくして、いよいよ大きな昼闇谷に入っていく。

大きなデブリはほんの数日前のもの。谷を4〜5mも深くえぐり、左へ右へ曲がりながら下方まで続いていた。こんなんに襲われたら、逃げようがない。自然の猛威に驚愕する。
 スキーを脱いで横断するが、その深さに人も隠れる。
標高1,600mの稜線から山頂部を望む

 北尾根の登りは雪も緩み快調。
ようやく、稜線に着く。そこは二重山稜になり、展望も雨飾、金山、海谷山塊など展望も開け、幕営するのも楽しそう。
 
 ただ、ここから山頂へのルートは尾根がかなり細いところもあり、結局スキーをデポし、ピークを目指した。

 
海谷山塊

 左から鋸岳、鬼ケ面山、駒ケ岳の三山に、手前に鉢山。
いずれも1,500〜1,600m級の山ながら、その余分な脂肪をそぎ落としたような形状はまさに個性的。
 東側の阿彌陀山、烏帽子岳と海川を挟んで、両側に聳えるこの山塊は、さすがにフォッサマグナが縦断するこの地域ならではのものか。

 ストックをピッケルに持ち替えて、12:30に昼闇山山頂へ。

山頂からの焼山、左に火打山

 山頂には北東尾根方面からのトレースが一つだけあった。360度の大展望。
 昼闇谷は山頂部は崖のようになって谷に落ち込んでいるが、北東尾根の東側の谷は滑るのにもってこいのいい感じで下に続いている。


デポ地点まで戻り、昼闇谷の滑降はデブリがあり、雪庇も危険でとりやめ、北尾根を滑る。ここもいい。

昼闇谷滑降は次の機会に残して。 赤矢印のように続いていた猛烈デブリ!

【報告】
 以前から記録を読んで、是非訪れてみたかった「昼闇山(ひるくらやま)」へ。
わずか、標高1800mクラスでありながら、北面に雄大なカールを有する素晴らしい山です。

 焼山温泉への橋を渡った辺りで、車中およびテント泊。

《温泉おっちゃんが走る》
 翌朝、6時過ぎに出発。スキーを担いで林道を行く。相当以前から営業活動を終了したと思われ、施設も朽ちてきた焼山スキー場へ進むと、温泉から浴衣姿のおっちゃんがひとり走ってくる。その姿、長靴はいて、上半身をはだけ、裾もたくし上げて。「何だこの人は!」。その姿に呆然とする我々の傍を通り過ぎて、スキー場の中へ入っていった。何だか分からないが、結局は単なるフキノトウ摘みのおじさんか?

《デブリ:想像を超える自然の力》
 林道はアケビ平への橋まで除雪されていた。そこからスキーをはき、たっぷり雪の残った林道を進み、大きく右にカーブする手前から、林道をはずれ杉の植林帯に入る。この植林帯は意外に樹間は広く、帰りも楽しめそう。植林帯を抜け、標高780mあたりで、昼闇谷へ少し下って滑り込む。しばらく行くと、目の前には、大きな北面カールが広がってきた。雪に覆われたその景色、感動的です。
 また、右手の上部には、わずかにデブリが見えていた。「この時期、デブリはつきもんやなぁ」と思いながら、進むと。目の前に現れたのは、自然の驚異と言おうか、すざましいデブリの跡。稜線近くの急斜面に始まったデブリは右へ、左へと曲がりながらカールを深いところでは4〜5mも削り取って、下部にまで続いている。メンバー、声も出ない。こんなもんが来たら、なんともしょうがないなぁ。自然の力の恐ろしさ、心の深くまで感じました。

《今回、山頂へはツボ足で》
 カール右手の広い尾根に取り付いて、シールのまま標高1,600mの稜線へ登りあがる。振り返ると、猛烈デブリの跡が遥か下の方まで流れている。おそろしや。稜線からの展望は鋸岳、鬼ケ面山、駒ケ岳など、普段見慣れない山々や方角からの景色ですごく新鮮。
 二重山稜をしばらく進み、いよいよ頂上への急斜面となる。雪の状態はゆるんでやや不安、見上げると稜線が細くなったところもあり、スキーは諦め、デポしてツボ足でピークを目指した。その時、カールの中に頂上稜線へ直登する単独山スキーヤーを見て唖然。稜線の雪庇などが崩れたりしたら、一体…。ぼくらから見れば考えられない人だ。
急斜面を登りなだらかになった稜線を東へいき、△1,840mの頂上にようやく到着。焼山や火打山、北面台地の展望が広がっている。頂上からカールへは急峻な斜面でぼくらには危険。でも、一週間前にMLで報告のあった一の倉川方面はおいしそうな斜面が広がっており、是非次回は滑ってみたい。

《尾根滑降も楽しい》
 デポ地点への復路の途中で、直登スキーヤーに出会う。ごく普通の人のよう。ともかく、カールの滑降はもちろん止めて、登ってきた広い尾根を滑る。雪がかなり緩んで、すこぶる快適とまでは言えないが、変化のある斜度、広い斜面で楽しい。後続のパーティーは結局、ピークは踏まず、1,600m稜線まで登ってきたのもボーダー一人だけ。
 樹林帯のコースをとれば新雪の時期も楽しそう。

 スキーを外し、デブリを横断する。デブリの底の一部は、雪塊群が猛然と滑ったことを証明するように、滑り台のようにツルツルになっている。人の背丈よりも大きい雪塊もある底で、このスゴイ自然の猛威をカメラに記録して、再度、スキーを滑らす。往路と違い昼闇谷の左手の台地を滑って、標高950mあたりから谷に滑りおりた。

《焼山温泉露天風呂から》
スキーをはいたまま往路のアケビ平に続く台地に乗り上げ、植林杉帯を気持ちよく滑り、除雪終了地点の林道へ。ここからは除雪した林道の山手をずっと滑り、途中からは谷側の雪をつないで旧スキー場の上の田んぼまで滑った。次第に雨もしとしと降り出してきた。
 焼山温泉の男風呂の露天風呂からは昼闇山方面がよく望め、特に、山頂東側に一の倉川源頭部の白い斜面が大きく広がり、僕たちを呼んでいる、次また待っていると。

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