槍ヶ岳(3,180m) 飛騨沢

その4 −日帰りで飛騨乗越まで往復−

日 時:2014年5月4日(日) 天候:晴時々曇り
メンバー:みやけさん、おおとさん、やまもりさん、たかはし
コースタイム:新穂高4:24−白出出合6:04−チビ谷7:00−槍平小屋8:50/9:18−飛騨乗越12:34/13:10−槍平小屋13:55/14:22−新穂高無料駐車場17:30

 ほんとは、5月4、5日の槍山頂小屋泊の1泊2日で大喰岳カール、飛騨沢を滑ろうという計画でしたが、5日の天気予報が良くなかったので4日の日帰りとして新穂高を出発。
 やっぱり今年の雪は少ない。さらに白出沢まで林道は重機で除雪され、結局夏道を滝谷出合を越えて3時間以上、スキーを担いで歩く羽目に。疲れました。

チビ谷から下流を望む 滝谷からの穂高西面
滝谷を越えて槍平を目指します 槍平からの穂高の眺望

 槍平には多くのテントが設営。しばらく休憩の後、飛騨沢へ。日帰りということで行ける所までとして春の日差しの中、汗をかきながら黙々と一歩一歩を踏み出します。右に大きく回りこむと飛騨沢が大きく広がる。素晴らしい大斜面です。槍の穂先はまだ見えませんが、振り向くと笠が岳や遠くには乗鞍や白山も。
 標高を上げるにつれて雪面も堅くなり、早めにアイゼン、ピッケルに切り替えて標高3,000mを越える飛騨乗越に向かい、12時34分に到着。槍の穂先には雪が一部で張り付き登山者がゆっくり慎重に登り、下山している様子が見える。槍沢を挟んだ東には常念岳や蝶が岳なども展望できます。風も強く時間もないのでここで引き返します。新穂高から日帰りで山頂まで往復したのは2001年と13年前、やっぱり体力は確実に落ちているようです。

飛騨沢の大斜面。久しぶりです。 最後はスキーを担いで飛騨乗越へ。
標高3,000m越えの飛騨乗越からいざ滑降! 常念岳などの峰々

 飛騨沢の大斜面は上部はさすがにカリカリで慎重に下り、そのうちに雪も緩んで春のザラメ雪の快適な滑降を楽しみます。余りにも広く、そして長い!足がもちません。頑張って登ってきた甲斐がありました。

まだカリカリの上部斜面。慎重に。 大きくてきれいな斜面!どこでも滑れます。
今回はとっても滑りやすい飛騨沢でした。 笠が岳を望みながらドンドン滑っていきます。
このあたりはザラメ雪でとっても快適!
だいぶん滑ってきて、やっと槍平が見えてきました。 テントが色とりどりの槍平でノンアル・ドライゼロで乾杯!

その3 −絶好の滑降コンディションに恵まれて−

日 時:2007年4月29日(日) 天候:快晴
メンバー:やまもりさん、ひじかたさん、たかはし
コースタイム:新穂高4:10−白出出合6:00−槍平小屋8:10/8:40−飛騨乗越12:02−槍肩の小屋12:22/1      4:00−槍平小屋15:20/15:45−新穂高無料駐車場19:00

槍平から望む穂高連峰 飛騨沢下部−遠く乗鞍−

 28日に飛越トンネルから入り薬師岳で遊ぶつもりが、当日の不安定な天気予報に急遽計画変更!平湯の森でゆっくり温泉につかり、早くから車内宴会を開始し、午後8時就寝。

 そして、3時起床。見事に星空が広がりモチベーションも高まってくる。4時10分に出発し、先行パーティーの自転車がデポした柳谷出合からは林道に雪も続き、シール登行に切り替え。白出沢出合いから少し先の河原が近くなった地点で河原に下る。そこから少し行くと、聞いたような声がボクの名前を呼ぶような気が。あれ?何と滋賀労山山スキーネットの仲間が下ってきた。昨日飛騨沢をアタックするも吹雪に阻まれ、残念ながら今日の帰還となったらしい。

 槍平小屋には8時10分に予定時間どおりの到着。ここからの穂高連峰の景色はいつ見ても感動的です。 
さあ、ここからあと標高差1,000mあまり。風もなく、穏やかな天気に恵まれ、昨日の雪にキレイにおおわれた景色を楽しみながら行くと、次第に目の前に飛騨沢が大きく広がってくる。早くも稜線からはスキーヤーがきれいなシュプールを描いて気持ち良さそうに滑ってくる。

 稜線に近くなると、スキーの直登もしんどくなりジグをきってのぼり、斜面が光りだすとスキーアイゼンでは心もとなくなって、12本歯のアイゼン、ピッケルの装備に切り替え。さすがに標高3,000mの稜線。猛烈な風が吹き荒れている。何とか飛騨乗越から槍の肩小屋に着くと、今年も大賑わい。

槍の穂先は3月下旬の雪の状態 大喰岳とまっさらないい斜面

 ただ、穂先を見てびっくり。全体が雪を被り登山ルートが雪に埋もれ、一部雪壁となっている。小屋の掲示を見ると今年の山頂部周辺は3月下旬並みの積雪と警告している。この日槍の穂先には十数人のツアー客など多数が登っており、例年と違う状態に危険も感じ、ボク達は頂上アタックを取りやめた。(このページの下にある2001年の穂先の写真が通常の状態らしい。)

 肩の小屋で、ひじかたさんが持ち上げたグレープフルーツを1/4ずつ切って、ガブンとかじった味は格別で、元気を取り戻したボクたちはいよいよ飛騨沢の滑降を楽しみます。

でっかくて快適な飛騨沢の滑降 雪煙上げて−これまでで一番のいい雪−

 飛騨乗越直下でスキーをはき、いざ! いやーぁ!いい雪です。この時期にしては申し分のないコンディション!雪煙を上げ、広さは抜群で、斜度も適度な無茶苦茶楽しい斜面が延々と続く。過去3回はモナカ雪に結構悩まされたが、それは皆無。滑っても滑っても、まだまだ、どんどん。飛騨沢下部の沢はシュプールやツボ足でボコボコに荒れていたため、できるだけダケカンバのあるキレイな左手斜面を選んで、槍平に滑り込む。

笠ケ岳をバックに 飛騨沢、大好き!

 槍平ではひじかたさん作、コンデンスミルクのかかったお手軽ながらもとってもおいしいシャーベットを賞味し、新穂高への岐路につく。ゆっくりし過ぎたせいもあって、新穂高に着いた時は既に薄暗くなって、行動時間約15時間の極上山スキーを終了しました。


その1 −初めてのチャレンジで槍の穂先まで−

日 時:2001年4月29日(日) 天候:晴れのち曇
メンバー:いまむらさん、たかはし
コースタイム:新穂高4:24−滝谷出合7:50−槍平小屋8:40/9:00−飛騨乗越11:36−槍頂上12:19/26−      槍平小屋13:51−新穂高16:32

滝谷出合

 新穂高から夏道をとおり穂高平小屋へ。林道を進み10分ほどで雪が続きスキー装着。白出沢を越え、少しで蒲田川河原に滑り降りたが、本当はもう少し進んでからの方が楽であった。帰りはそうした。ここからは河原を順調に行く。
 滝谷出合の光景。すざましいデブリの跡である。ここから先は谷全体も雪に埋まっている。
槍平からの穂高連峰

 静寂の別天地、槍平。振り返ると穂高連峰の岩峰が印象的である。ここから先、大喰岳西尾根を大きく左に廻って、いよいよ飛騨沢の登りにかかる。
広大な飛騨沢

 飛騨乗越を目指して、適度に緩んだ雪面をシールが捉え、ガンガン登っていく。乗越直下までシールで登れ、雪が切れたためそこでスキーをデポし、時間の余裕があるので槍へ行くこととした。
槍のテン場あたりからの槍の穂先

 槍ヶ岳山荘は連休でもあり大賑わい。ほとんど槍沢からの登山者で飛騨沢からは数人だけ。穂先へは登山ツアーの参加者も多くかなり渋滞した。見た目は雪は見えないが、穂先へのルートの岩陰には雪が堅く残り、アイゼン、ピッケル必携で十分注意が必要。
頂上からの穂高連峰

 絶景かな。頑張ってきたかいがあった。
頂上からの槍ヶ岳山荘、笠が岳

 ピークから360度の大展望を楽しんだ後、今村さんとの待ち合わせ時間もあり、下山にかかる。3,010mの乗越直下からの広大な中斜面に気持ちよくターンしていく。だ−れもいない。左に大きく廻るあたりから、目一杯水分を含んだ雪となり重い重い。槍平の雪原はストックでこぐ。
 ここから滝谷までは快適なコース、さらにチビ谷を過ぎて河原を滑り、夏道とあまり離れないうちにスキーを担いでのぼり、最後は林道を滑り、穂高平小屋手前でスキーを脱いだ。

飛騨沢−その2
−ホワイトアウトと強風、そして雪も降ってきた−

ガスが切れだして飛騨沢上部を望む

 4年ぶりに3回目の飛騨沢へ。
最初は条件に恵まれ、槍山頂まで行けたものの、2度目は稜線付近の強風に苦しめられ、稜線直下で敗退。
 そして、今回は。

日時:2006年4月30日(日)  
天候:曇り一時雨、雪、ところによって晴れおよび雷
メンバー:ひじかたさん、たかはし

コースタイム:新穂高駐車場4:28−白出沢出合6:25−槍平8:14/30−稜線・飛騨乗越11:24/12:04−槍平14:05−白出沢出合15:19−新穂高16:10

 やはり雪は多い。ゲートのある小鍋谷の橋を渡ると、林道は雪に覆われている。すぐにシール登行開始です。小雨がパラパラと降り出しイマイチ気分はさえませんが、天候の回復を念じながら単調な林道を進みます。白出沢のデブリを横断して右俣谷が近づいてきた辺りで沢に下りて、あとは沢伝いに、猛烈なデブリに覆い尽くされたチビ谷出合、滝谷を経て、8:15予定通り槍平に到着。

 滝谷を過ぎた辺りで、正月にデポした荷物を回収に来られた単独行の人から、昨日は晴れて無風だったと聞き、数日前の天気予報で敢えて土曜日から日曜日に日程変更したことを悔やむ。
 いつもなら槍平から穂高の鋭鋒が見られるが今日は上部はガスの中。前日のものと思われる多くの踏跡が残る飛騨沢へのルートを行くと、しばらくで周囲は真っ白。何にも見えなくなってしまった。踏み跡とGPSを頼りに、黙々と高みを目指していきます。この沢は傾斜はそれほど強くないので、かなり上部までスキーで真っ直ぐに登っていける。

 標高が2,800mを越え稜線が近くなると、強烈な風が吹いてきた。ホワイトアウトは相変わらず、斜面は凍り、スキーアイゼンの先をキッと突き刺して、頑張りGPSも3,000mを越え、さあいよいよ稜線だ。と、その時、先行の相棒が「あっ」という声とともに消えた。稜線から信濃側に2mほど落っこちていた。メガネがくもり、視界が悪かったせいもあったが、ほんの数メートルの転落ですんだのは、ほんとに不幸中の幸い。

 少し大喰岳近くに寄りすぎたので、登山道分岐標識のある地点まで少し下って、「もう、今日はここまで!」
ガスの中、いよいよ勢いを増す強風にあおられながらも、アイゼンを装着し、ピッケルを持って、少し下ってからスキーをはこうと決める。慎重に2,850m辺りまで下って、ふう、ここからスキー滑降とする。

 雪の状態は最初はモナカに、時々新雪がミックスという、望ましくないもの。全然快適な滑りができない。そして、ついに雪まで降り出してきた。明日から5月というのに山の天気は怖いものです。
 しかしながら、2,500mからは雪も適度に締まり、いい感じでターンもスムーズに。こうでなくっちゃ。飛騨沢全体がこんな状態だったら、極めてスケールの大きな快適バーンになるのに。なかなかそんな条件にはめぐり合えないなぁ。
 急に天候まで回復し、晴れ間も広がってきた。2,200mあたりで、ビール休憩。

 稜線は吹き荒れる強風の中、冬山のように緊張してアイゼン、ピッケルでの山行スタイル、ここはぽわっと、のんびり春山スキー。めまぐるしく変化する自然の中で、真剣に、十分に遊ばせていただきました。こんな経験もまた、春山ならではの貴重なものです。明日へからの仕事や生活の活力に変化するか?

 休憩の後は、一気に新穂高を目指す。白出沢出合では15時19分。新穂高の駐車料金は12時間を過ぎると500円アップする。これはいかん、少しでも経費節減のため16時20分までには戻らねば。林道で滑らないスキーを腕力でこいで、また降ってきた雨と遂に鳴り出した雷の中、50分で駐車場に戻って来れました。

いろいろあったけれど、楽しい山スキーでした。

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