☆シャークスキン

2016.12.15

 石目焼と言うのがあって、明治中期に名古屋で輸出用陶磁器として考案された焼き物である。磁器の素地に上絵を施し、ガラス分を含んだ透明釉の粉末を振りかけて焼成すると、光線の加減できらきらと輝き、上品で華やかな作品に仕上がる。その地肌が石目のようなのでその名が付いたらしいが、海外では“シャークスキン”“と呼ばれ珍重された。オールドノリタケと同じく外貨獲得に一役買ったが、オールドノリタケが現地のマーケティングリサーチを強化し流行に敏感に反応し生き延びたのとは対照的に、この石目焼も以前紹介したコラーレン同様短命に終わる。

 しかし、そこに描かれた日本の伝統的な花鳥風月の図柄は、輸出品だからこそ余計に、時流に流されぬ孤高の美を感じさせて、今見ると迫ってくるものがある。栄枯盛衰、滅びの美と言えば大袈裟か?