オールドノリタケに“画帖”というのがあって、これは当時、主な輸出先のアメリカ人の好みに合った製品を作るために、渡米した画工が嗜好や流行を取り入れ作成したデザイン画である。それが日本の絵付け工場に送られ製品化されたのだ。現在、焼失せずに残った何十冊かの画帖の中から選ばれた100の図案が、「画帖 その華麗なる世界 森村組の画工たち」(2005年 ノリタケアーティストクラブ発行)という本に収められている。
ところで、復刻版には -/30 とか -/50 というシリアルナンバーが付けられているはずだが、ここにはただ“関係者”とある。販売されたものではなかったのだ。
<実際の製品>
画工の腕と意気込みに圧倒されるその画帖と、それを基に作られた実際の製品を眺めていると、何度か海を渡ったモノと想いが、とても新鮮で身近なものとして感じられるのだ。
☆海を渡る想い
2016.1.29
また、2004年に創立100年を迎えたノリタケカンパニーリミテドが、所蔵する画帖の中から復刻発売したものがあるのだが、印刷技術の粋を集めたものだけに原画を彷彿とさせるレベルである。ところが私は不覚にもこの復刻版の発売を知らなかったので、数年前たまたまネットオークションでこの復刻版が出品されていた時も、その品の意味をよく理解しないまま、安価でしかも他に入札者がいないという理由だけで何となく買って仕舞ってあったのだった。
ところが先日、その図案を基に作られた、まさにその実物がオークションに出品されているのをたまたま見つけ、少々無理をして落札した。