☆黄金色に咲き誇る
2015.11.22
このようにオールドノリタケは、百年以上の時を経てもなお出来上がったばかりのような輝きを放ちながら、突然私の目の前に現れるから悩ましいのである。
部分部分で金盛りの技法に変化をつけていて、光沢や質感の違いにより深みを出す卓越の技巧である。図柄は確かにカトレアだが、それ自体にそれほどの存在感はない。むしろ黄金色に輝く縁取りの菊花のほうが、コバルトの程よく深いブルーの中から浮き上がる様がこの上なく豪華で、こちらが主役かと思うほど存在感がある。花瓶の、ぐっと張り出した広い肩の部分に描かれているので、その大輪がなおさら強調されて印象的なのである。いずれにしても、この花瓶が金盛り技法の傑作のひとつであることは間違いない。
先日放送の『美の壷』に登場したオールドノリタケは初期の傑作揃いで、テレビの前でただ溜息をつくばかりだったが、昨日の骨董市で偶然その中のひとつが出品されていて、タイミングの良さもあり思わず興奮してしまった。やはり京都大アンティークフェアは覘く価値があるということだ。
多くのオールドノリタケ本に載っているので私の中ではお馴染みのコバルト金盛り花瓶である。ずっと以前一度ネットで手に入れるチャンスがあったが、迷っているうちあっと言う間に売れてしまった心残りの品でもある。