☆節度をもって
2015.1.10
「骨董が趣味です。」というと一歩引かれる。たいそうゆとりのある暮らしぶりを想像させてしまうのだろう。確かに、日々の生活に汲々とはしていないが、普通に質素な生活である。ただ、普通でないのは優先順位だけなのだ。私のまわりの骨董仲間もおそらくは似たような状況だろうと推察する。
人の評価はともかく、自分では一応節度ある人間だと思っているが、こと古い物に関しては、時折ブレーキが甘いか、まれにほとんど故障状態になることがあった。しかし最近ではさすがにそれもなくなった。この歳にしてようやく人間ができてきたのである。
かくしてわが家のデコフィギュア専用のショーケースにまた一人仲間が加わったが、彼(女?)はすでに、ずっと前からそこに居たような顔で納まっている。
オールドノリタケのフィギュア物は楽しく、特にピエロは好きなので欲しいアイテムはいろいろあるが、これがそう簡単に手に入るものではない。ピエロの顔には、愛くるしさとともに欲を言えば悲哀がほしいし、当然保存状態は重要だ。こうなると何よりも価格が問題となってくる。人気のアイテムともなれば、ネットオークションでも競争相手は多い。かなりな値上がりは当然覚悟しなければならないが、それでもブレーキのかけ時を意識しなければならなくなると、財力の歴然たる差を思い知らされることもある。
そんな事情で今まで入手できずにいたが、昨日の骨董ジャンボリー(東京ビッグサイト)では念願のアイテムに出会った。ラスター彩の色抜けはともかく、フィギュアでは直しのあるものは避けたいので、欲しい気持ちが目を曇らせてしまった過去の数々の失敗から、店主も気を悪くするほど慎重にチェックした結果、最終的には納得の価格で入手することができた。