☆ドームはドリーム

 まあしかし、それならせめて小品のランプシェードでも楽しもうと、以前手に入れた天使のシーリングライトを、いつも目にするようダイニングの天井に取り付けることにした。

2014.10.2

 寿命がまた縮んだという、そんな命がけの取り付けの結果、この種の照明には珍しくなんとも繊細で愛らしい天使と、深い複雑な色合いの古いガラスシェードを、身近な生活空間で楽しめるようになったのである。

 “ガレ”と“ドーム兄弟”と言えば、フランスのガラス工芸を代表する2大ビッグネームであるが、後の工房物ならともかく、当時の作品などと言えば、それこそ富士の高嶺の花である。しかし、一生に一度ぐらいビッグな買い物をしてみたっていいじゃないか、そう、退職金を手にしたら、ヌーボー期のドームのテーブルランプをドーンと一つ買おう、などと、とんでもないことを考えていた頃があった。

 しかしその夢も、思わぬ展開から家を新築したことで、儚くもうたかたと消え去った。ドームはドリームで終わったのである。

ところが、この天井がことのほか高い。それでまず、大きいサイズの脚立の購入が必要となった。今物のアルミのものでは面白くない。普段でも室内に置いて違和感のないもの、とくれば自ずとレトロなものとなる。それを探すのも大変だったが、幸いピッタリの雰囲気のを見つけて、かなり競ったがオークションで購入した。それをダイニングテーブルの上に置いての使用である。そして登るのはもちろん、夫である。最上段に立てば天井にはもちろん届くが、支えもなく不安定で、しかもかなりな高さである。これではまるで肝試しの危険な罰ゲームである。そこで残念ながらこの方法はあきらめ、代わりに、脚立を梯子状にして近くの梁の上に登り、片腕は柱にしがみついたまま、もう片方の手だけを使い、苦労の末ようやく取り付けは完了した。