☆紋章
2014.8.22
地味な図案であるために、専門書などでもあまり前面に出ることはないが、見れば見るほどよく描けていて惚れ惚れする品がある。
もう1点、こちらは脚付き鉢だが、円錐形をしていてまずこの形が心地よい。インパクトのない図柄だと思われるかもしれない。だが細部にわたって見れば見るほど、その尋常でない職人技に驚嘆する。まず線対称の中心となる紋章風の部分には、ライオンと王冠が描かれている。不勉強でわからないが、どこかの王家に似た紋章でもあって参考にしたのだろうか。同じ図柄の異なるアイテムもいくつか確認されている。いずれにせよ、可憐な小花が散らされていたり、白い生地に同色の盛り上げの花が配されていたりして実に繊細だ。周囲には可愛い薔薇まで描き込まれている。ひとつひとつを見ればバラバラな雰囲気の素材が、1か所に不思議なほどしっくりとまとまっていて、これも私のかなりお気に入りの一品である。
渋い色の組み合わせにも強く惹かれるこの皿に、描かれている動物は何だろう。中央の鳥は羽ばたく小鳥を正面から捉えたものだが、古伊万里にもよく似た構図のスズメ図柄がある。周囲には、ドラゴンとワシ、見方によってはオウムとも思われる鳥の姿もある。さらにその周りには細かい唐草模様まで施されている。いずれにしても実にしっかり描かれていて、しばらくは見惚れてしまう。