オールドノリタケの初期ボーンチャイナの傑作、踊り子のフィギュアはランプになっていて、金属部分もオリジナルだ。顔はデコレディーの流れを汲んで美しく、ボーンチャイナならではの柔らかで動的なからだの線も魅力だ。
✩会いたかった
二度と出掛けることはなかろうと思っていたオークションに、このところまた参加するようになった。景気の閉塞感とともに縮小してしまったオークション市場から、当方の資金難の事情も重なり随分足も遠のいていたが、一方で、過熱していた当時には高額過ぎて買えなかったものも、手に入れるチャンスが到来したとも言えるのだ。もちろん出品数も内容も十分なものではないが、なかには投げ売り状態のものもあり、目当てのものさえあればラッキーというものだ。
オールドノリタケバブルの頃とは隔世の感があるが、今こうして静かに、やや遅れて自分の元にやってきた品を見ると、人間の騒ぎとは何の関わりもなく美しく、またなぜか無性に懐かしくてしんみりしてしまう。コレクションの整理、縮小を考えている一方で、また集めようとしている自分に嫌気がさすこともあるが、しばし縁あって自分の元に留まっている古物を見ると、不思議なほど心休まるのもまた事実なのである。
アールデコの真骨頂とも言うべきこの蓋物は、金彩銀彩の擦れも少なくて嬉しい。折り紙のような造形が以前からたまらなく好きで、いつか手にしてみたいと思いながらほとんど諦めていたものだ。図柄と色彩のセンスも抜群だ。
というわけで、以前随分な価格で買い込んでいたことなど都合よく忘れ、未明に家を出て一路オークション会場へと向かったのであった。幸い強力な競争相手もなく、以前から欲しかったものを二点、予定内の価格で落札できた。
2013.12.3