本機では出力トランス、電源トランスとも自分で巻いたものを使用しています。少しだけご紹介します。


 出力トランス

出力トランスは、関東変圧器材工業から購入したUI11というかなり小さいコアを使用しています。

出力トランスの巻線仕様です。両足巻き(バランス巻き)のレイヤー巻きで、0.16Φのマグネットワイヤーをバイファイラ巻きに なっています。一見難しそうですが、層間紙(紙といってもポリエステルフィルムですが)を線径に対してかなり厚めのものを使用しているのと レイヤー毎のターン数が少ないので、それほど大変でもありません。我こそはと思われる方は挑戦してみて下さい。

CSPPで使う出力トランスは、必ずしも一次巻線をバイファイラー巻きにする必要は無いのですが、めのさんから 一次巻線同士の結合を密にして欲しいとの要望がありましたので、UI15コアを使ってバイファイラー巻きで設計しました。 いわゆるマッキントッシュタイプのCSPP(注1)用のトランスとなります。本機の出力トランスは巻線構造をそのままに、サイズを 小さくして設計し直したものです。

注1:CSPPの成立条件である、片側のカソードともう一方のプレート電位をAC的に固定する方法として、コンデンサで結合するのではなく、 バイファイラ巻きにすることにより電磁的な結合度を高くすることで実現している方法です。

以下に測定したデータのグラフをご紹介します。

バイファイラ巻きの恩恵で高域の周波数特性は非常に良く伸びています。マッキントッシュタイプのCSPPを作る副産物として、この素晴らしい 周波数特性をゲットできます。でも、残念ながら良いことばかりではありません。バイファイラ巻線間の絶縁耐圧は、メーカー保証が100V以下と いうのが普通らしくて、基本的に電圧を掛けられません。しかし、CSPPだとプレート電圧分の直流電圧がバイファイラ巻線間に掛かります。 ということは、プレート電圧を100V以下に抑える以外はメーカーの保証を受けた使い方が出来ないということになり、ちょっと現実的ではありません。 恐らくこのことが、CSPP用バイファイラ巻きOPTが一般品としてこの世に存在しない理由ではないかと思います。

 電源トランス

電源トランスの巻線仕様です。これは出力トランスよりも一回り大きなコアを用いて、同じくレイヤー巻きで設計しています。

電源トランスは必要な容量を、出力トランスの寸法と外観に合わせて設計しました。内鉄型のトランスですので、漏洩磁束が少ないトランスが 作れます。

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