全体的に少し歪率が高いようですが、これは出力トランスに原因の大部分があると思われます。最低歪率を記録する出力よりも低い領域(本機では概ね30mW以下)においては、歪率波形を観測するとノイズ成分しか見えない(歪率波形がノイズにマスクされている状態)のが普通ですが、このアンプでは、出力が1mWの時ですらトランス特有の歪率波形がしっかり観測できます。このトランス特有の歪率波形が出力に依らず常に観測できますから、この出力トランスを使用して通常以下の低歪率を望むのは難しそうです。

また、DCバランスが崩れているわけでも、コアが飽和しているわけでもないのに100Hzの歪率が1kHz、10kHzと比較して高くなっていますが、これも出力トランスに原因があるものと思います。コアボリュームに余裕の無いトランスでこの傾向が見られます。

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