ドイツのアパート(その2)

ドイツのアパートを借りたときには、造り付けで外せないものを除いて、明かりが付いていません。それらは入居者が自分の好みの照明を取りつけることになっています。ドイツの人々は明かりだけでなく壁の色や水周り、棚なども、退居時に元に戻すという前提で、自分の好みのものを取り付けたり、付け替えたり、製作したりしている様です。

私の場合は、ドイツに滞在している間の仮住まいという意識が強かったのと、前任者が照明器具を残してくれていたので、それらを無理やり取りつけて済ませましたが、ひとつだけ自分ではどうしても取りつけられない場所がありいました。私が借りたアパートは日本式でいう4階、5階部分(ヨーロッパでは日本式の1階が地階、以降1階、2階と呼びます。したがって、この場合は3階、4階ですね。)を専有する、いわゆるメゾネット式の部屋で、居間の照明は吹き抜けの斜め天井に取り付けることになっていました。この取り付け位置がおおよそ5mくらいの位置にあり、かなり高い梯子でもないと作業ができなかったからです。

居間に吊る照明は、前任者から譲り受けたものを使えば良かったのですが、高さ5mの地点から吊り下げて、照明の高さを2.5mにするためには、2.5mの鎖と接続コードの延長をしなければなりません。これをアパートの近くの照明屋さんに頼んだのですが、その店の主人は英語が話せなかったので、たまたま居合わせたお客さんにお願いして通訳をしてもらいました。その時にそのお客さんから「なぜ自分で取り付けないんだ?」と不思議そうに質問されてしまいました。

どうもドイツの人たちはそれくらいのことは業者に頼まずに自分でやってしまうようです。どの町にもBauhaus(バウハウス)と呼ばれるD.I.Y.の店があり、日本のそれ以上の品揃えで、大抵の材料、工具は手に入ります。したがってやる気さえあれば家でも造れるわけです。私がドイツで在籍していた会社では、実際に自分の家を自分で作ってしまった人がいます。自分で家まで作る人は、さすがに多くはないようですが、決して珍しくはないそうです。

ドイツ人、お、恐るべし!

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