本宮のことば

本宮で使われていることばの解説です。
必ずしも本宮方言だけでなく、熊野地方や和歌山県内全体で使われていることばもあります。
本宮で生活するうえで知っておいたほうが便利という意味で掲載したものです。

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本宮のことば一覧
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「やまびこ」より

本宮のことば一覧

あ行
あい あっぽうしい あまめ あやち 〜い いごく いどこ いびつ いらう うたとい
えんこ おおしゃじき おかいさん おさすり おっぱ おどろく
か行
かけり かつえる きのうの晩 きょうとい くさびら ぐちなわ くど くろにえる けなりい こいさ
こうへいな こしっと こたぐ こぶる こぼこぼ こんこ ごんぱち
さ行
さいめん 〜しか じごく じじばば しび しまえる じょろうぐも しんぎょうに じんじ しんど すこい
た行
だしゃこしゃない たのもと たばる たわ だんだん ちぎ ちゅうじき つかみ つちかい つつこい
てき てご てち どいらい とちわら とらかる
な行
なんば にこい にやにや ねき のら
は行
はーいー はくら はしかい はどる はなっと はび ばべ はらんきょう はんちゃ ひあけ
ひぃはいる ひきさがす ひしる ひちく ひっぱり ひてふつか ひとない ひょげな ぶえん ふるみや
へじゃのかぶ ほいだら
ま行、や行、ら行、わ行
まいする まくれる またい まっせき まなご まほ みと むかじ むさんこ
めずり ようぎ ようさ ようの よじめる よっぴと らくさげない 〜わだ

本宮のことば解説

あい
「鮎」のこと。「あいぃ」と発音する。6月1日解禁。
あっぽうしい
「あっぽし」とも言う。
「不確か」、「あやしい」あるいは「不安」であることを意味することば。
人の言うことが不確かなら、「あっぽうしい話やな」と言う。
空模様が不確かであやしいなら、「天気、あっぽしな」と言える。
あまめ
「ゴキブリ」のこと。「あまめ平八」などと愛称のような呼び方をする場合もある。
「あま」という地域も近くにあるらしい。
あやち
「詳細」「理屈」「区分」などの意味。「あやちわからん」とは、「わけがわからない」の意味。
〜い
「〜へ」という助詞。
「そこへ置いて」を「そこぃ置いて」と言う。
よく聞いていると「そこぃ」の他、「上ぃ」「山ぃ」など、小さい「ぃ」を付けて話している。
いごく
「動く」ということ。
「いごく」という地方は、日本の各地にあるようです。
いどこ
ヒノキ(あるいは竹)で編んだ深い籠のこと。茶摘みはもちろん、栗拾い、マツタケ狩り、梅の収穫など何にでも使えます。
いびつ
ツル性の植物で、この葉で「おさすり」を包む。「さるとりいばら(猿捕茨)」や「さんきらい(山帰来)」ともいう。
 ところで、サルトリイバラ属(ユリ科)のつる植物で Sarsaparilla(サルサパリラ)というのがあるらしいが、この「サルサパリラ」と「サルトリイバラ」の語感が似ているのはなぜ?誰か教えて!単なる偶然?
いらう
「さわる」「いじる」ということ。
うたとい
「困ったこと」、「嫌なこと」、「うっとうしい」、「面倒くさい」ということ。
使用例「この蝿、うたといなぁ。」
えんこ
「猿」のこと。朝からけものの話をするのは、タブーとされています。そのためか「山の若い衆(わかいし)」等の言換えも聞かれます。
山にいたはずの猿も、里に下りて来て、畑の作物に手を出します。猫の額ほどの畑にせっかく作った作物を取られるのは、悲しいものです。
おおしゃじき
正確には「おおしゃじく」と言い、「大車軸」と書く。方言ではないが、古風な言い方で「土砂降り」のこと。
おかいさん
「おかゆ」のこと。当地では、一般に「茶がゆ」を指す。
おさすり
米の粉を練った円形扁平状の餅を二つに折り、中に餡を入れていびつの葉で包んだもの。旧の端午の節句の頃に作る。
他の地方では「かしわもち」ということで柏の葉を使うが、当地方ではいびつ(サルトリイバラ)の葉を使い「おさすり」という。
おっぱ
「おんぶ」のこと。
おどろく
「目覚めている」状態を指す言葉。「寝よんかと思たら、おどろいとるんかよ。」などという。
かけり
「犬走り」(建物外周にある細長い土間)のこと。昔の家は、この「かけり」が結構広くて、雨の日でもちょっとした作業をしたり、洗濯物を干していたり、子供が遊んだりできた。
かつえる
「飢える」の古い言い方。「かつえど」ということばも聞かれる。「飢えた子供」の意味で「かつえる」と「童」の合成と思われる。これは少々軽蔑的なニュアンスを感じる。がつがつと食べている人に「かつえどみたいやな。」という。
きのうの晩
一般には「きのうの晩」といえば「ゆうべ」と同じ意味でしょうが、本宮の年配の方の中には「おとといからきのうにかけての晩」の意味で使う方がいます。「きのうの晩」を使う人は、少なくなっています。年配の方と話していて、これが出てきたら気を付けなければ、まったく話がかみ合わないことになります。
きょうとい
古い言葉の「気疎い(けうとい)=(うとましい)」から「きょうとい」になっている。「てきゃ、きょうといな。」などと言う。
関連語、「しらきょうとい」。
くさびら
食用にならないキノコの総称。食用になるキノコは名前で呼ぶ。例えば、「まつたけ」、「ねずみのて」、「しばもち」など。北の地方ほど食用にするキノコが多い。
ぐちなわ
「ヘビ」のこと。ヘビの古名。
くど
「かまど」のこと。「へっつい」、「へっついさん」ともいうらしい。
昔は、「くど」を解体した後の土などは、川へ流すものとされていた。
くろにえる
身体をどこかにぶつけたりして内出血を起こし、黒いアザ様の症状を呈すること。
 熊野エクスプレス18号(2003年7月10日)の「くろにえる語考」に、上記のように説明されています。
 「まくれてくろにえたよ」などと言います。(転がり落ちて青黒いアザができたよの意)
[2007.11.21UP,11.23更新]
けなりい
うらやましい。とてもうらやましいときには、「やーれ、けなりぃよぉ」と言いましょう。
こいさ
今晩のこと。夜は、「ようさ」ともいう。
こうへいな
かしこい、利巧な。大人のすることを、小さな子供がじょうずにしたときには、「こうへいなよぉ。」と言って驚きます。
こしっと
口汚く「子供」を指すことば。「うちのガキ」くらいの意味。あまり使いたくない。
こたぐ
そこにあるたくさんのものを動かしたり、どけたり、掻き回したりして、何かを探すこと。
用例1、「松茸(まったけ)ないかしらンて思て、山こたいだけど、全然ないわ。」
用例2、「納屋の中、こたいだら出てきたで。」
関連語、「かせぐ」
こぶる
(飴玉などを)口に含んでなめること。
こぼこぼ
雨の降り始めをあらわすことばで、「こぼこぼ降ってきたで。」などと言います。
こんこ
たくあんのこと。これは本宮に限らず、和歌山県内では使われているのではないでしょうか。京都の人は、「おこうこ」と言っていました。上品です。
ごんぱち
春の山菜で、「いたどり」のこと。皮をむいて、さっと湯通しの後、水にさらしてすっぱさを抜き、料理に使います。
「すかんぽ」と言う地方もある。
さいめん
土地の境界、境目のこと。争いも多いのか「さいめん争い」などと言います。
〜しか
「〜さかい」や「〜だから」と同じような意味で、「そやしか」とか「〜しか、〜」のような接続に使う。
じごく
「元に戻せない状態」をいう。元に戻せないようにすることを「じごくにする。」という。
じじばば
「シュンラン」のことで、「ほくろ」とも言う。4月ごろに花が咲く。
しび
「ビンナガ」や「ビンチョウ」と呼ばれるマグロの一種。
詳しくは、http://members.jcom.home.ne.jp/hana-tuna/Albacore.htm をご覧ください。
しまえる
「こわれる」という意味。
じょろうぐも
当地では、「こがねぐも」を「じょろうぐも」と呼びます。
正式な「じょろうぐも」は、別の種類のクモなのですが、子供の頃から「こがねぐも」を「じょろうぐも」と呼んでいます。
しんぎょうに
「熱心に」、「粘り強く」、「繰り返し」物事に取り組む様を表わす副詞。
じんじ
本宮まつりのこと。4月13日から15日に行われる。「神事」の意か?
しんど
「道路」のこと。歩道より車道を指す。「新道」の転化か?
すこい
「ずるい」という意味。
だしゃこしゃない
「台無し」の意味。「だっしゃわや」とも言う。
たのもと
食事の後始末に食器を洗うこと。「たなもと」という地方も多い。
たばる
仏さんのお供え物を「いただく」、「下げる」、「頂戴する」こと。
「賜わる」や「給わる」の転訛だと思われる。
たわ
山の鞍部、峠。「多和」もしくは「田和」と書き、「おおたわ」と呼ばれるところがある。
だんだん
「重ね重ね」の意味。「段々」と書きます。「おおきに、だんだん」あるいは、「だんだんと、おおきによ」などと言う。
ちぎ
重い物の目方を量るのに用いた棹秤(さおばかり)・杠秤(ちぎばかり)のことで「ちんぎ」とも言いいます。 「ちぎ」は方言ではなく、年配の方なら誰でも知っていると思います。最近まで「ちぎ」そのものが実際に使われていましたが、バネ式の上皿秤が安く手に入るようになって取って代わられました。デジタルはかりしか見たことのない若い人にとっては「古語」でしょうか。
ちゅうじき
「昼食」のこと。
つかみ
「ひっつきむし」のことで、コセンダングサなど衣服にくっつく雑草の実。
「つかみ」をひっつけている人を見かけたら、「つかみついとるで」と言う。
つちかい
「あなぐま」のこと。江戸時代の紀伊国産物帳に「つちかい」と記載されている。
つつこい
短くて太い様子。「つつこい指」とか「つつこい奴」などという。
てき
「あいつ」という意味。「てきは」を「てきゃ」と短縮形を使うこともある。
てち
「思いっきり」とか「ものすごく」という意味。
本宮町の「てちの会」による「奥熊野太鼓」は有名。
てご
「てんご」とも言う。 「いたずら」、「ちょっかい」の意味。「よけいな事」の意味もある。転じて「手伝い」の意味で「てごしてくれんの?」などと言う。
「てごのかわ」も同じく「いたずら」、「よけいな事」の意味。
どいらい
「ものすごく」という意味。「どいらい大きい」とか「どいらい良かった」などと言う。
とちわら
「ひきがえる」、「がまがえる」のこと。最近は、あまり見ない。
とらかる
「ころぶ」の意味。現在は主に「こかる」や「こける」が使われている。「田んぼのあぜ歩きよったら、けつまづいて、てちとらかってしもたんやだ。」などと言う。
関連語、「けさまづく」。
なんば
「とうもろこし」のこと。
にこい
「やわらかい」ことを表すことば。どちらかというと「硬くない」ことを表すことが多い。
にやにや
お腹が「にやにやする」とは、お腹に鈍痛があったり、すっきりしない不快感を表す。動詞は「にやつく」です。
ねき
「そば、付近、側」のこと。
のら
「〜だね。」のように文末で使う。「そうだね」なら「そやのら」、「寒いね」なら「寒いのら」となる。「のぉ」も同じ用法で「寒いのぉ」となる。
はーいー
英語で、"Hi !"とあいさつするようなかんじのことばで、アクセントは「いー」にあります。人の家を訪ねるときに、玄関でかけることばです。「ごめんください」の意味ですが、もっと親しいことばで、近所の家に遊びに行ったり、お店に買い物に行ったときに使います。しかし、「はーいー」は、すでに死語となったように思います。30数年前までは、本宮町の四村川地域で主に使われていて、私も小学校に入るまでは、使っていました。
はくら
「日射病」あるいは、「熱射病」のこと。
はしかい
稲・麦などの殻の毛や毛髪などが肌に触れてちくちくして痛がゆいという意味。とげとげしいことから、人の気性が荒いことも表します。 もともと、稲や麦の実の殻にある堅い毛(のぎ)を「はしか」と言い、それが形容詞化したようです。
はどる
「ためらう」、「躊躇する」、「(子供が)人見知りする」。少し怖くて「ためらう」こと。
はなっと
端、特に崖っぷちのように危険な所。用例(子供に)「はなっとぃ行ったらあかんで。」
はび
「マムシ」のこと。草むらには「はび」がいると思って暮らすのが田舎の常識です。捕獲したら、皮をむき内臓を取って干しておき、熱さましに使うのが基本型。はび酒にする人もいます。
ばべ
「うばめがし」のこと。
はらんきょう
「すもも」のこと。 最近は「プラム」と言うらしい。
ところで、「はらんきょう」の漢字を調べていると、「巴旦杏(はたんきょう)」に行き当たりました。中国では、「巴旦杏」と書いて「アーモンド」の意味らしいですが、日本では「すもも(特にトガリスモモ)」のことを指すことばになったようです。この「巴旦杏」が「はらんきょう」となまったのでしょうか。
はんちゃ
「どてら」、「丹前」のこと。
ひあけ
葬儀の後の「忌明け」のこと。
ひぃはいる
「日はいる」、「熱はいる」、つまり「熱中症」あるいは「熱射病」のことです。
(用例)「ひぃはいって、えらかったよ」
ひきさがす
物を散らかすこと。
(用例)「ひきさがしたら、あかんわだ。」
ひしる
「叫ぶ、わめく、悲鳴をあげる」
ひちく
肩甲骨の背骨よりのところ。「ひちく凝ったさか、サロンパス貼ってだ。」と依頼する。
ひっぱり
「(遠い)親戚」のこと。
(用例)「てきはひっぱりになるんや」(あいつは遠い親戚なんだ)
ひてふつか
これは、なんとなくわかるでしょうか。「1、2日」のことです。用例「ひてふつか、待ってくれよ。」
ひとない
「他人の家の」とか「よその家の」の意味で、「ひとないの子」は代表的な使用例。「人の家」の転訛でしょうか。「ひとなえ」とも言う。
ひょげな
「妙な」とか「変な」の意味。
ぶえん
「生魚」のこと。「無塩」、つまり塩をしていない魚。
ふるみや
「本宮大社旧社地 大斎原」のこと。明治22年8月の水害までは、本宮大社があった。
へじゃのかぶ
「膝頭」のこと。「へじゃのかぶ痛いんやだ。」などと言う。
ほいだら
「そしたら」という意味。「ほいだらよぉ、たのもとしといてだ。(そしたらねぇ、食器洗っておいてよ。)」などと言う。
まいする
「やめる」「やめておく」「中止する」ということ。「まいしとくわ」、「まいしょうら」などと言う。
まくれる
「ころげる」、「転ぶ」の意味。「ころげ落ちる」の意味もあり、「まくれ落ちる」や「まくれとぶ」とも言う。
またい
「性格が素直、円満である」という意味で、「全い」と書く。「この犬またいやろ」というように動物等の性格などをあらわす時に使う。
まっせき
「全く」「全然」の意味。「まっせきやったら、〜しょうか。」などと言う。
まなご
カメムシのこと。カメムシの匂いがするときは、「まなごくさい」と言います。
まほ
「まほ」とは、イラクサ科の多年草の茎蒸(からむし)のことで、苧麻(まお)ともいいますが、本宮ではもっぱら「まほ」です。非常に繁殖力が強いのか、根が伸びても増え、種でも増えるやっかいな雑草です。8月〜9月頃に花を咲かせるので、その前に刈り取ってしまいたいところです。戦時中は、繊維を取って供出しました。茎が硬く、蒸して皮を剥いで、繊維を取って織物にしたようです。繊維を取る作業から、茎蒸(からむし)の名が付けられたそうです。
みと
川の水の流れる部分を指し、「水途」と書く。「台風で水途が変わってしもた」などと言う。
むかじ
「ムカデ」のこと。ササユリの咲く頃に姿を見せるので、ゆりの匂いに誘われて出てくると思われている。
むさんこ
「滅茶苦茶」「無闇に」ということ。「むさんこに並べられたら、かなわんわだ」などと言う。
何かちょっとしたものをもらった時に、お礼の気持ちにお返しするものを指します。器でもらった時には、その器を返す時に、「め」を入れたりします。マッチ棒数本だったりするほど、ちょっとしたお返しでした。器を返す時に、適当な「め」がない場合には、「めぇなしやけど。」などと言って返します。
めずり
「目に入ったゴミ」のこと。「めずり入った」と言えば、「目にゴミが入った」と言う意味。
ようぎ
「夕方」のこと。「よぎ」とも言う。「ようぎやったら、かまんで。」などと言う。
ようさ
「夜」のこと。夜には、口笛を吹いてはいけないとか、靴をおろしてはいけないとか、かくれんぼをしてはいけないと言われたものです。「よさり」や「ようさり」という地方もあるらしい。
ようの
「他の」の意味。「余の」が語源でしょうか? 「他のを取ってちょうだい。」を「ようのとってくれよ。」と言います。「ような」とも。
よじめる
片付けること。あるいは、片寄せるだけの場合も言う。
使用例「それ、よじめといて。」
よっぴと
「一晩中」「夜通し」ということ。「よっぴて」という人もいる。「夜一夜(よっぴとい)」からの変化。
らくさげない
ひきさがした(ちらかした)部屋では、くつろぐことができず、「らくさげない」ものです。また、せっかくくつろいでいるのに、回りでうるさく騒ぎ立てられた時に、「らくさげない」という気持ちになります。
関連語、「あたうるさい」「かかりごわい」。
〜わだ
語尾に付けて使う。「ええわだ」と言えば、「いいじゃない」という意味。

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