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短歌なるものを始めてみれば 
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近つうみ古代人らが畏れけむけふもたゆたふやはらかき湖
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瑠璃色の壜より注ぎし生酒はぷりりと君が喉元をゆく
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重なれり赤き甍に海風は何百年も吹きて来たらむ
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ふくいくと絹風の吹く坂道をすれ違うひとジャスミンのひと
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影つくる曲がり坂道転げ降り赤シャツの児はチャオと声上ぐ
哀しみのバラード響けるファドの家ラム肉食らう人々があり

惜しみなく富士は拡ごり陽を集め余白の碧を車窓切りとり
雲写す湖面はキャンバス青々と移りゆく観る三十八階
鈍色の池の面に映ゆ一人梅潔きほど無駄を捨ており
何百の真白き腹を見せて飛ぶ鳥とりとりこ我杭になる
ダウダウと宙舞う手綱はアレッグロ美しリズムに光撥ねおり

若人の声に押されて細道を君と手つなぎ歩を速めけり
とくとくと口を開けてや密やかに罪深き身は小さく死ねり
微睡みて頬はひたひた耳澄ましきみが心音確かめており
木々の葉がそよぐ下にて肌合わすそれもいいねと言ったじゃない
ゆげ巻きて流れよ流れ滝のごと薄紅き痕を愛しというや
山と山が力くらべする夜は静かに眠れ赤子のように
爆竹とマズルカ流るる宴どき我ら眠らむ子犬のように

白壁に竹炭映えて影長し手折る南天たわわに添えり
丈伸びて天を突かむや利休梅君の植えたる去年の寒ら日
市松の羽織たたみし日暮れ時母も触れたる鬱金の絹紐

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