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 画・井上眞理子
<掲載拙著>①~⑬力石を詠む(一)~(十三)
【あ】
〔藍沢律〕涼風や力抜けたる力石⑩
〔青木和枝〕
秋蝉の声わき立てり力石⑥力石宮の大樹の下闇に⑥あかがねに光る盤石青しぐれ⑥赤石の梅雨に艶増す力石⑥百万石祭の宮の力石⑥新涼の雅楽ひびけり力石⑥
〔青木豊実〕立冬や百年動かぬ力石⑬
〔青木義春〕うみうみてとおつみおやの古ゆ力競そいしほぞ拝む石④
〔青木由芙〕草若葉力競べの石ふるび⑩
〔青山和子〕力石三体ありて秋社⑫力石素通りしたる秋の風⑫
〔青山壽子〕
力石辺りひつそり秋の風③力石隅に置かれしちちろ鳴く③力石山寺に鳴く昼の虫③
〔赤尾恵以〕いくさ止み菜の花漬けの力石④
〔赤坂紘子〕雷電も担いだのかな力石秋祭(まつり)ばやしが聞こえてくる⑥力石いくつも並ぶ境内は杉の木立の神聖なところ⑥古は賑わいの声力石⑥
 神馬とも共に過ごせし時も有り変わる世の中力石ぞ知る⑦一筋に力石(いし)を求めて行く人の杉の木立の風吹く道⑦力石過ぎし世の常埋もれても歴史と成りて名を馳せまじし⑦
 古えの賑わい偲び力石捜し求めしゆく人のあり⑦風薫る青葉の中の力石秋は華やぐ紅葉に戯る⑦何時の世も仕事のあるは有難き汗の尊さ力石にも⑦
 大杉に負けぬ歳月過ごしおり力を競った力石(いし)の苔むす⑦お神楽のひょっとこおかめその仕草力石(いし)も観ていた目出たき舞も⑧
〔赤塚五行〕下萌えや転がりさうな力石③
〔赤塚靖子〕露けしや里の民話の力石①力石少し傾ぎてちちろ鳴く②
〔あかね〕力石じつと動かぬ百足の子⑧
〔明子〕七噸の動かぬ力石涼し⑧大地にでんと力石春乗せて⑩力石恐れず秋の蛇よぎる⑩五月闇気配消したる力石⑩
〔章子〕力石寒に入りてもたぢろがず⑧春立つや力石とて立ちたかろ

〔秋野茜〕猫の子の眠るとなりの力石⑫
〔秋葉晴耕〕力石産土に古る椎若葉⑧
〔秋葉ふじ子〕ちから石照らして今宵十三夜⑫秋高し土にめり込む力石⑫ちから石役目離れて日向ぼこ⑫
〔秋元某〕力石試す人なし色おとこ金と力のなかりけりらし①
〔秋山保〕排ガスを浴びて石たち何思う⑦
〔秋山嘉恵〕義家のゆかりの宮の力石目立たぬままに寂びたるままに⑧力石に賽の上がれる青葉蔭⑧歳の市賑はひよそに力石力石銀杏黄葉の明るさに
 力石読みとり難き刻字あり石面撫でて其を辿りけり
百貫の熊遊の碑に侍りをる六十貫目五十貫目等 修学旅行長崎よりの女生徒と力石見る暮の浅草寺
〔秋山淳一〕秋の日の温もり残る力石⑫かなかなや静かにひかる力石⑫
〔晶〕紅梅や持つなかれとふ力石⑥
〔芥ゆかり〕ジャケットの去る力石ずれてゐる
〔浅川悦子〕下闇を離れ一つの力石①差し石に小草敷きたる日向ぼこ②
〔浅川加代子〕女郎花地蔵に隣る力石⑪字界に埋まる晩夏の力石⑪ 夕凪や宮に名入りの力石⑫力石十九も据ゑて宮涼し⑫日の濃さに炎ゆる十九の力石⑫
 力石かたへに札場秋に入る⑬秋風や占に使ひし力石⑬春雨や郷倉跡に力石⑬力石をつかの間濡らし膏雨過ぐ⑬力石三つ残して冬行きぬ⑬
〔浅川静子〕道端の噂聞いてる力石⑤禊して担ぎ納めた力石⑤ダム底になるか池田の力石⑤
〔浅川操子〕宮涼し祖父の上げたる力石①理髪屋の庭に差し石夕涼し②
〔浅川正〕力石起こし巣蟻を騒がしぬ①差し石の冷ゆ在るさへも忘れられ②僧兵の力石撃つ木の実かな③度外れの力石なり鵙猛る③野仏を横に炎暑の力石⑩
 力石てふを撫でゐる端午かな⑩見て撫でて叩く炎暑の力石⑩艶少し留めて冷ゆる力石⑩薫風や座るに小さき力石⑩僧兵の力石とや木の実落つ⑩
 夏草や力石てふ只の石⑪力石を迂回して行く穴惑ひ⑪
〔浅田季祐〕啓蟄や頑と根をはる力石⑪
〔朝妻真知子〕差し石は六十余貫小鳥来る②
〔朝妻力〕藤袴揺れ雷電の力石①灼けすぎしゆえに手出せず力石①炎昼や勝負の宮の返し石②実桜や寺に伝はる力石②差し石に握り乗せ行く寒施行③柏餅三つ食うてさて力石③
 行く春の風化きざせる力石③炎天や熱くて持てぬ力石⑦力石の裾を起点に蛇の衣⑩風花や四股名を深く力石⑩秋高し禁札の辺に力石⑪高札場に力石四つ鵙高音⑪
〔淺野義光〕立春や知恵と技出す力石⑨力石抱いて逆立天高し⑨

〔明日香〕しぐるるや刻印しるき力石
秋の蚊を払ひつつ撫づ力石身に入むや慰霊碑に侍す力石この杜の秋聞くならむ力石 秋霖に黒光りせる力石黄葉を帯びる宮居の力石⑩
 
色変へぬ松の根方に力石⑬

〔東人〕力石の裏より落つる馬陸かな⑤
〔足立武久〕朝市の出合い南瓜のちから石④
〔悪鬼夜魔〕埋もれた日本一の力石陽の目を当てた桶地文研②見てほしい六百キロの怪物(ほんもの)を②三ノ宮卯之助持った力石うそかまことか知る由もなし②
 わが街の誇り増しけり力石③力石街道一から日本一稲荷の境内(にわ)に鎮座まします③
〔渥美教代〕奥浜名願いを込めて石抱けばおもかる地蔵に桜舞い散る②
〔家鴨〕冬日向神色自若力石④
〔阿部ひろし〕柿若葉かげさす庭のちから石④露けしや沈みて深き力石⑨
阿保子星寒波来る外湯にどすんと力石⑬
〔天口進〕力石たれも触れずに苔の花⑦若き日に力だめしに担ぎたる石に苔生え境内にあり⑦
〔天沼青道心〕いにしえの響き聴こえし力石若人集う村の鎮守②
〔天野翔〕
たかが石されど石かもその村の歴史を知ればうち捨てがたし④ いつよりぞ力石置く沈丁花④沈丁の香にしづもれる力石④ひよ鳴くや八拾貫の力石④
 いつの世の誰か置きたる力石幹失へる銀杏のそばに④卯之助とふ人の納めし力石奥津宮の亀石が横④力石亀石おける境内に石の鳥居をくぐりて入りぬ④
 力石亀石に幣めぐらせて由来記せり奥津宮は④しののめの奥津宮にしづもれる二つの石を撮りにけるかも④手玉石ふたつ置かれて楠若葉④
 弁慶の腕きたへし手玉石今にのこれり野牡丹の花⑤弁慶が手玉にとりし力石腰越状の寺にのこれる⑥三郎が手玉にとりし力石注連縄張れる松の根方に⑥
 袂石横にならべる手玉石景正公の神霊やどす⑥鎌倉のそこここにある力石名ある武将が手玉にとりし⑥沈丁のかをりがとどく力石⑥ 義経の首を祀りて弁慶の力石置く白旗の杜⑦
 そのかみの石占(いしうら)なりし力石事の成否は軽き重きに⑦弁慶の力石とぞ平たくて十円銅貨二個置かれたり⑦時を経て力試しの石となり街道脇に置かれてゐたり⑦
 境内に餅のやうなる力石子に触らせる初宮まゐり⑦葉桜の奥津宮には亀石と力石あり幣に囲める⑦亀石と力石見てさくら散る道を歩めば竜宮(わだつみのみや)⑦
 景政が手玉にとりし力石袂石より十二貫重き⑦景政が手玉にとりてすり減りし丸き石あり二十八貫⑦袂石十六貫と手玉石二十八貫並べ置きたり⑦ 銀杏ちる村社にふたつ力石⑦
 七五三村社にふたつ力石⑦鎌倉の今日は七夕石めぐり⑧説明もなく置かれたる石あればつやと形に見る力石⑧人見れば神社の所在尋ねつつ道をさまよふ力石まで⑧
 天高し村社にのこる力石⑧力自慢競ひし後に奉納の力石なれ名前刻める⑧秋晴れに復興願ふ力石⑧初秋のわが歌枕力石⑧さねさし相模の国の村々の力石訪ふわが歌枕⑧
 秋風に見つけてうれし力石⑧鎌倉をめぐりて探す力石梅雨の晴れ間の今日は七夕⑧散り来るは銀杏の黄葉力石⑧銀杏散る高来神社の参道に「力石」とふ立札の見ゆ⑧
 炎帝が睨みつけたる力石⑧汗しとどかけば爽快力石⑧秋風の遠近(をちこち)に訪ふ力石⑧そのかみに力自慢を競ひしと今に伝えて力石あり⑧力石欅もみぢを見上げたり⑧
 弁慶の力石より見渡せり義経祀る社のもみぢ⑧力石ふたつあらはに銀杏散る力石ふたつをめぐる落葉掻本殿を正面に見て右左参拾五貫と参拾弐貫
 力石ふたつ据ゑたる境内に子らとあそびし新美南吉南吉の童話に出るか力石八幡神社にふたつ鎮まる亀石と力石置く奥宮の境内に聞くとほき和太鼓力石七つ見おろす吾亦紅
 石の面の文字に影さす吾亦紅力石、手洗石に石燈籠石仏もありドデカミン・ストロング飲みひと休み次の目当ての力石まで一之宮目久尻川のほど近く河原不動と力石あり⑩
 かたはらに大山道の標(しるべ)石六十貫の力石あり⑩弁慶の手玉石とぞ春うらら⑩手玉石、腰掛石も古りにけり腰越状の写し見る寺⑩石五つ残暑厳しき大師堂⑩
 鋒(とがり)には秋の日に照る力石⑩秋風に黒潮匂ふ力石⑩鋒(とがり)とふ珍しき名の漁村には丸と楕円の力石ふたつ⑩大寒に耐へ袂石(たもといし)手玉石⑩秋雨の洗ひてすがし力石⑩
 関城の跡から出でしと伝へられ寺に保存の力石ふたつ⑩ちる花はとどめがたしも力石⑪今ははや持ちあぐることかなはざり伏見稲荷のおもかる石は⑪
 弁慶の手玉石あり義経がとどめをかれし腰越の寺⑪さりげなく板碑の前に置かれたる力石あり五所神社にて⑪小春日のふたつ静かな力石⑪風薫る銀杏のそばの力石⑪
 「力多免しの以志」とあるらし文字などは歳月を経て判読できず⑪西行と蝉のこゑ聞く力石⑪小春日の力石見る円位堂⑪力石炎暑に汗のとめどなく⑪
 白々と石の鳥居の立つ元に力石二つつやめきてあり⑪手玉石古りて今年も暮れにけり⑫弁慶の手玉石あり義経がとどめをかれし腰越の寺⑫初春や幣の真白き力石⑫
 花にほふ奥津宮(おくつのみや)の力石⑫大銀杏の玉垣に寄る力石⑫神木となせる銀杏の玉垣に沿ひてあまたの力石あり⑫相寄れる力石四つ大銀杏⑫手玉石春風分かつ袂石⑫
 秋雨の乾くも早し手玉石⑫春の日は夫婦(めをと)銀杏(いちやう)を透きてくる袂石にも手玉石にも⑫力石見つけて帰り家に飲む焼酎ロック甘露にまさる⑫初春のわが俳枕力石⑫
 見てをれば寒さを忘る力石
力石亀甲石と並べおく奥津宮の柏手の音力石桜の下に年を経ぬ春待つや注連縄(しめ)新しき力石梅雨明けや触れば熱き力石⑬
 持ち上げて年占ひし力石あまた据ゑたり樟の木の元⑬立冬や細き罅入る力石⑬炎帝が見下ろすふたつ力石⑬大神の社に力競ひけむ知る人ぞ知る力石ふたつ⑬
 椨(たぶ)の木の木陰およばぬ境内に力石ふたつ熱き日を浴ぶ⑬
見つけたり梅雨の路傍に力石⑬力石ふたつの横にレリーフの夫婦(めをと)祭神かすか微笑む⑬
 雪雲を案じて探す力石⑬そのかみに力自慢を競ひしと今に伝へて力石あり⑬力石見つけてうれし雪催⑬寄進者は江戸浜町の富之助鴫立庵に力石あり⑬
 頭上まで持ち上ぐる力競ひたり文字刻まれし「さし石」ふたつ⑬抱き起こす力競ひし石三つ「おつたて石」と名付けられたり⑬炎帝がからから笑ふ力石⑬炎天下どこまで探す力石⑬
 弁慶の力石から身を反らしけやき黄葉(もみぢ)のかがやきを見る⑬ひこばえや村社にふたつ力石⑬石上げて力競ひし若者が身体拭きけむ鈴鹿の泉⑬
 親鸞の視線の先に力石鐘楼横の八つ手の下に⑬あぢさゐや親鸞と見る力石⑬力石四つが置かれ竹の春⑬竹林の小暗きを背に力石四つ並べて由来書きたり⑬吉浜の潮風涼し力石⑬
 地蔵堂庭の片隅大小の力石あり潮(うしほ)が匂ふ⑬あらたまの朝日まぶしむ力石⑬ぎんなんの散り敷くを踏む力石⑬

〔天野桃花〕青葉潮にほふ社の力石⑥
〔天野和喜子〕罅(ひび)深く注連鉢巻の力石①緑陰の中に眠りし力石②昼の虫一徹通す力石③
〔天野黎子〕色鳥来恋叶ふてふ力石②
〔連歌〕秤屋の七ツ下れはちから石(甘谷)素袍のゑりにたゝみいはしは(巴人)④
〔雨宮清子〕力石残夢の杜にまどろみて⑤冬銀河富士に抱かれ力石(いし)眠る⑤石二つ恋閉じ込めて固まれり⑤道の神力石しり目にいちゃついて⑤
 力石(いし)尋ぬ古老記憶を巻きもどし⑤夕明かり力石いつまでかくれんぼ⑤力石薬師の庭に揃い踏み⑤石担ぐ父や友らの息づかい八十五翁の記憶に生きる⑤春雨や美男揃いの力石⑤ 朝寒や声なき石の声を聞く⑤人気なき宮居の奥におるものは金精さまと力石なり⑥伊豆巡る「ここだここだ」と力石(いし)が呼ぶ⑥肌ざわり美男の力石(いし)の心地よさ⑥
 見つけたぞ金杉藤吉刻字石⑥山里は力石ごと梅雨に濡れ⑥力石彫られし文字のかぼそさよ⑥大杉に負けじと肩をいからせて大傳石は誇らかに立つ⑥炎天下エンマ大王真っ赤っ赤⑥
 先人の思い刻みし「力石」今しっかりとカメラに収む⑥
ちんまりと寺に身を寄す力石⑥リサイクル狛犬になった力石⑥露天風呂流れる先に力石⑥力石道祖神場に居を定め⑥
 盃状穴どんな願いをかけたやら⑥失せぬ身を恥じるが如き力石⑥長らえて重須の海を眺めおり力石六つ泥にまみれて⑥歌碑として命脈保つ力石⑥身延みち辿れば果てに石ひとつ⑥

 百八十五段を登りつめ力石に会いにゆく振り向けば寥々の空海の満々
⑥金文字で「力石」と刻みたり清見神社は夏草の中⑥人も石も隔絶の中に存在す目の前はただ海と空⑥
 雨叩くひさしの下に力石⑥天高く舞えとばかりに石担ぐせえの神さん二人がかりで⑥力石木の根を友に月を見る⑥力石も十五夜お月さんも一人ぼち⑥
 力石(いし)探す行脚巡礼に相似たり⑥若者の集い遊びし三叉路は力石残し原野となりぬ⑥足元に小さく影を落としつつ見知らぬ町に力石尋ぬ⑥石あげる子らの頭上に夏の雲⑥
 「かあさん、がんばれ」の声援に妻軽々と石を挙ぐ⑥力石刻みし文字の深さかな⑥力石(いし)のほかは我を迎える者もなし笠岡の海は沈黙の海・笠岡市立郷土館⑥
 雲流る力石(いし)どっかりと世を見据え⑥ 大カヤの真下に二つ力石⑥「十九貫担いだ」と老人は語る昨日の如く⑥
 「十九貫担いだ」と語る老人の力石(いし)つかむ指瞬時花やぐ⑥ファインダー覗けば力石(いし)に手を添えて六十年(むそじ)昔の青年がいる⑥
 「いらない」と若き当主は言い放つ亡父の愛でし力石哀し⑦たたずみて土に埋もれし力石(いし)見つむ師の遺志継ぎし探究の人⑦富士氷る裾野の力石(いし)よ風邪ひくな⑦
 力石(いし)発見勇んで寄ればなんと冬瓜⑦力石と並び天下の富士を見る⑦初春や装い新た片手差し⑦息切らせ祭りの子らが登りゆく大カヤの木の力石まで⑦
 杖揃え力石背に並びおり美しきかな翁と媼⑦新しき台座に座る力石⑦わっ立派!さすがお江戸の力石⑦若き巫女の指さす先に力石⑦大ぢょうちん大わらじ見て「熊遊碑」⑦
 那閉神社エビス大黒ちからいし⑦注連縄をしめて胸張る力石⑦力石物言いたげに私見る⑦草生やし蓑亀になる力石⑦春風や力石三つ顔を出す⑦
 力石(いし)囲み遠き日語る老女らに昔と同じ花の香流る⑦
霧雨や三十三メ苔ごろも⑦線路越え力石(いし)の頭を撫でにゆく⑦霧深し井川の峰に力石(いし)尋ぬ⑦
 春うらら浮かれ出そうな力石⑦搗き立ての餅か台座の力石⑦寄り添うて過ぎし日語る力石⑦わが恋は力石の如野辺にあり⑦力石(いし)探す旅の途中の藤の花⑦
 東風はまだ鬼丸石も雪の中⑧てやんでぇこんな大雪屁でもないこちとら江戸の力石だい!⑧花桃に目を奪われつ力石(いし)探す⑧秋葉道に人待ち顔の力石⑧
 家並みも力石(いし)もセピアに塗り込めてこぬか雨降る山あいの町⑧孫の顔見がてら力石(いし)も見て歩き⑧シーサーが見守る謝名の力石⑧
 遠来の客待つ力石(いし)や謝名の村⑧灯ろうの流るる岸辺力石(いし)三つ⑧蝉しぐれchikaraishiworldに遊ぶ日々⑧虫めがねに浮かび上がった力石よくぞ描きたり江戸名所図会⑧
 注連縄を締めて卯之助神になり⑧石を挙げ博打もやった村祭り⑨深川の力持ちらが片手にてさし挙ぐ俵天高く舞う⑨今はただ木の根枕に夢の中力石(いし)は語らず人も語らず⑨
 ここもまた木の根枕の力石⑨まぼろしの大王石を今日も追う⑨幕末の元柳橋隅田川大王石は古写真の中⑨主馬蔵に竹松萬平重吉さん徳蔵囲みみな力石(いし)になる⑨
 力石背後をのたり神田川⑨力石羅漢の如く並びおり⑨♪よーく訪ねてくーれたネと力石群歌いだす右に左に肩を揺らして⑨さし石のし~と伸ばした筆の跡⑨
 力石(いし)残し主は南の海に散る⑨現代の力持ちらに会いにゆく姫路天満石かつぎ⑩力石の全資料を収納す日本唯一の三重博物館⑩水ぬるむそろそろ行くか三重博へ⑩
 徳蔵が足で支えし百度石朱色キリリと炎天に立つ⑩力石老兵の如沈みゆく⑩力石記憶も文字も薄れゆく⑩肩寄せてデコボコ並ぶ力石⑩廃村はただ白し力石に花ふりつむ⑩
 風炎や信玄砦の力石・相沼浅間神社⑩力石居座る砦春はやて⑩学び舎に居並ぶ三つの力石昔と今の若人らつなぐ⑩四百年の眠りから覚めし万治石令和の御世に生きて輝く⑩
 人々の笑顔行き交うみやしろに万治の石は誇らかに座す⑩力石に砕け散ったか春はやて・相沼浅間神社⑪城跡の力石(いし)不動なり春嵐⑪力石と連れ立ち歩む去年今年⑪
 縁結び任せといてと力石⑪縁結び寂しい人はみなおいで⑪大兼の刻字撫でつつ汗ぬぐう⑪力石春夏秋冬出番なく⑪力石なる菓子を食うのも一人⑪万治石のうれし涙か雨の降る⑪
 撫でられて力みなぎる万治石⑪即位の日万治の石に陽の差して門出を祝う浦安の舞⑫みやしろに鈴の音響く神楽舞聞いているかい万治の石よ⑫
 地中より掘り起こされし万治石今日のよき日に寿ぎを受け⑫また一人力石(いし)知る人の逝きにけり⑫春探し草をめくれば力石苔の翁に成果てており⑫春陰や忘れ形見の力石⑫
 春陰ひそと堂に埋もるる力石⑫疎まるるともそこを動くな力石さざれ石から砂になるまで⑫石垣に頭突っ込む力石仲間はずれの春ふたたび⑫石垣の仲間はずれか力石⑫
 今はただ猫の枕か力石⑫初もうで力石(いし)の頭に小銭置く⑬力石探し疲れて寒椿⑬石垣力石の孤独を笑う⑬「青年の力石」と刻みたる板碑のそばに石一つ50年目の廃村の夏⑬
 廃村はただ白し力石に花ふりつむ⑬
〔綾部きみ〕初詣いよよ重たき力石⑩
〔荒井倶子〕
昼の虫寺に謂れの力石
〔荒井龍聲〕大寒のどすんとすわる力石⑤露の世の移ひ今は只の石⑤力石珠といただきて草萌ゆる⑤人肌を忘れし露の力石⑤下萌えや磐持石としてのこる⑤
 蛇穴を出て差し石を離れけり⑤
〔あらえびす〕力石持ち上げ危険冬うらら⑥
〔荒久子〕力石揺るがして立つ霜柱⑧
〔有賀充峰〕さくら咲く社の隅に力石⑥お祭りに力の石が色を添え⑥青い空菊人形と力石⑥さくら散る社の隅に力石⑥お祭りに色を添えおり力石⑥里の宮桜木の根に力石⑥
 牡丹咲く宮の軒先力石⑥注連縄を締めてどっかり力石⑥山装い麓の社力石⑥お祭りや提げて称えて力石⑥山飾る宮の磴の脇力石⑥若葉萌えどっかり坐りて力石⑦
 お祭りの社にずっしり力石⑦牡丹咲く故里(さと)の社の力石⑦山笑い下(しも)の社の力石⑦お祭りに一役買うて力石⑦お祭りに一役支え力石⑦
 山装う力の石も注連飾り⑦山装う下社にすわる力石⑦山飾る峠の茶屋の力石⑦浴衣着て力石(いし)を横目に優男⑦夏祭り提げて抱えて力石⑦村祭り注連縄締めて力石(いし)二つ⑦
〔有賀充つる〕宮の森鯖雲仰ぐ力石⑥力石子等に撫でられお祭り日⑦
〔有田晋作〕若者が競う自慢の力石(ふるさと小川かるた)④
〔有元純〕初詣語り草聞く力石③熱燗や祖父差し上げし力石③アルバムに祖父、父汗の力石③
〔阿波谷和子〕空蝉の縋り付きたる力石②
〔餡子〕鳥渡る村社に苔の力石④力石転がる村社冬ざるる⑫
安渡いてん〕力石田植のそばで相撲の子⑥風薫るお堂の前に力石
〔飯島冶蝶〕文政の世の力石初夏の陽に⑤神田社に初夏の陽を浴ぶ力石⑤境内に初夏の陽を浴ぶ大盤石⑤江戸の世の大盤石や若葉風⑤若葉風吹く境内に力石⑦
 
力石隙間に落葉の飾りつけ⑧冬の晴社に幾つもの力石⑧冬うららこんなにいくつも力石⑧冬日差す社に十三力石⑧力石隙間に落葉積もりをり⑧力石を詠む本頂く春立つ日⑨
 初夏の旅社の境内に力石⑩春日和力石群境内に⑩春日和社の境内に力石⑪春日和社に十三個の力石⑪秋の旅石段脇に力石⑬夏旅に知る日本一の力持ち⑬夏の旅会館前に顕彰碑⑬
 夏の旅前に卯之助顕彰碑⑬夏の旅石碑の後ろに力石⑬秋の旅三つの御力石に触れ⑬秋の旅天神脇に力石⑬秋の旅千葉社に三つの力石⑬冬の旅松の近くに力石⑬
 冬晴の神社に八基の力石⑬冬の旅鳥居の脇に力石⑬
〔伊々山〕力石新米二俵より重たし⑧
〔飯野歌子〕拝殿の鈴鳴りひびく力石⑥初詣光りみなぎる力石⑥
〔五十嵐道夫〕力石差し上げている霜柱⑤磐持の石に縁なく端居かな⑤力石枯葉の中に沈んでる⑤
〔五十嵐信克〕故郷の秋穂の跡や力石⑫懐かしき本家の前の力石今誇らしく社に据わる⑫屈足の今幻の稲穂波永く伝えよ力石かな⑫
〔猪狩千次郎〕しぐるるや光り初めたる力石⑩
いくこ〕菊の香や諸手でゆする力石⑦⑧
〔育田外志子〕日盛や子が押してゐる力石③
〔生田裕子〕力石並ぶ境内別れ霜⑬
〔池内多恵子〕万緑や大樹に守らる力石③力石支え底よりちちろ鳴く③力石の由来読み過ぐ秋燈下③
〔池田章子〕青葉闇貫目で刻す力石⑬
〔池田栄市〕働きてこころをみがき身を鍛え力比べし磐持ち石④
〔池田栄月〕毎夜ごとわら打ち縄なひ働きし祖々の苦労のにじむ石④
〔池田角之助〕秋暑し五十五貫の力石⑬
〔池田京華〕夏草に覆はれ鎮座の力石①力石由来棒読み旅六月①力石里人守り冬に入る②山櫻浴びし力士の力石②里祭鬼の形相力石③
〔池田京子〕力石三つ奉納落葉積む水郷の春風受くる担ぎ石春うらら過去のものなる力石紅白梅咲きそむ宮の力石丸き石丸き風過ぐ宮の春冬枯の境内明るし力石
 
差し石の十四並ぶしゃがの花力石尋ねし宮の臥竜梅庭園は勝負の石や竜の玉春浅し木洩れ日やさし担ぎ石宮の春絵馬重たかる担ぎ石⑩寒風や砂塵の中の力石⑩
 年用意幣(ぬさ)新しき力石⑩担ぎ石昔のことよ桜散る・鹿島神宮⑪来し方の汗も浮き出る力石⑪
〔池田千恵子〕冬木立一つ返らぬ力石⑥凍土や誰も返せぬ力石⑥
〔池野〕何年も人の手わたる力石今度はだれの誇りとなるか⑧
〔井澤やすゑ〕力石を見んと日傘の影ひいて⑪
〔石井忠〕百日紅見上げて居りぬ力石力石抱(いだ)く走り根三尺寝杉の祠雨に洗わる力石
〔石井英章〕若き日にかつぎし寺の力石昔のままに置かれてありぬ①
〔石井みさを〕力石撫でて蘊蓄松納⑬
〔石井露月〕力石横はりけり冬木立⑩
〔石垣喜代子〕さし石の朱の文字しかと春日濃し⑪銀杏若葉肩寄せ合うて力石⑪
〔石川真澄〕夏盛りスイカと競う音比べ⑦
〔石川みさ子〕寒明の硫黄にむせぶ力石①
〔石黒茂〕老梅の根元守りし力石⑪
〔石澤敏秀〕松手入れ根方に百貫力石⑧
〔石田利夫〕中山道桶川宿の力石古武士の如く座して動かず②
〔石野シルク〕ウエルカム里の祭りの力石③幾年月語り部宮の力石③
〔石橋みちこ〕秋風や黒々と坐す力石⑩
〔石脇茉青〕秋桜や六つおかれた力石⑨
〔伊津野ひとし〕夏草や父祖伝来の力石⑧
〔伊津野均〕力石踏んで一声羽抜鶏⑪羽抜鶏すつくと立てる力石⑫力石撫づる親子や七五三⑫初詣終へ力石へも拝す⑫竹春の四十貫の力石⑫
〔泉田政子〕穂芒や石に置かれし力石①
〔伊豆山〕力石神社に土俵ありし夏⑩
〔磯田なつえ〕庭石菖八十貫の力石⑤
〔五十畑文男〕でで虫の登る八嶋の力石④
〔磯丸〕世々へてもつよきちからは名とともにいしにのこれる人のおもかけ⑪世にのこる君かちからにひかれきてこと葉の花をたむけてそ行⑪
板倉肱泉〕八月の堂守観音力石⑧ででむしの昼のねむりや力石⑧緑蔭や母の担ぎし力石⑧八月や三界万霊力石⑧蜩や船形手水力石⑧振り向けば亀鳴き止みて力石⑨
 雪女消えたるところ力石⑨
〔市川翠峯〕着ぶくれに見下ろされをり力石②
〔市川ルミ〕草の芽や文字の薄るる力石②春陰やさし石立てて天満宮③実南天決闘の地に力石⑦
〔一斗・銀〕持ち上げて蟻の棲処のちから石⑫
〔市堀玉宗〕大寒をものともせずに力石④
〔いっぷう〕風光る抱き地蔵とは力石⑥暑の兆す宮に力士の力石⑥
〔井手窪理〕山笑う中のお堂の力石⑥
〔伊藤以玖子〕花の下誰も試さぬ力石⑩
〔伊藤岳正〕上げ疲れ百足這い出す力石⑭喧騒を過ぎ越し熊野力石その上宮に競いし丈夫⑭
〔伊藤和子〕大柿の花のこぼれし力石①秋の日の静かにゆるる力石①力石くさむらに鳴く昼の虫①や杜の奥なる力石②置く露の光る路傍の力石②力石語る翁の汗光る②
 石担ぐ裸の胸厚し②豊の秋願を掛けし力石②老松や注連飾られし力石③力石競ひて担ぐ村祭③蜩の鳴きつぐ根方力石③力石桔梗の風の撫でて過ぐ③虫の音に押し上げられし力石③
 力石浜の男の汗のあと⑤
〔伊藤菰風〕蜩や晩年はかく力石⑤立春の川音高し力石⑤力石探し辿り来し炎天⑤
〔伊藤すみゑ〕古えをたずねて今につれもどし名付けて力石と人の言う⑦娯楽無き時代の楽しみ力自慢我こそ負けじ持つ力石⑦寒空に汗する若等力石時流しも今もなほ尋ぬ⑧
〔伊藤智恵子〕下萌や五つ揃ひし力石⑤下萌や吉宗の世の力石⑤
〔伊藤通明〕卯波立つ社の裏に力石③力石にも枯色のおよびけり③萬緑の色のまはりし力石
〔伊藤月江〕杜鵑草斜に苔むす力石①啄木鳥や杜に三つの力石④紅葉や四股名を刻む力石⑫
〔伊藤とら〕力石抱へ上ぐとき秋の声①秋深し樟の根方に力石②
〔伊藤夏代 〕秋草の中に埋もれし力石①知る人も無き力石秋暑し②
〔伊藤美穂〕狸様多くの力石(いし)とご一緒に⑪ギャラリーが囃し立てるよ力石⑪力石(いし)の上ナメクジが這いヘビが這う⑪エッ俺?路傍の石よ愛でられて⑪
 百日紅見守るダルマの力石⑪転がらぬ人生も有り神社隅⑪芝の地に歴史ありけり力石⑪燃ゆる風百日紅撫で達磨石⑪江戸の町かっぽれ踊る力石(いし)踊る⑪
 汽笛なる音聞こえしか力石⑪注連縄し俗から離れ力石⑫表記有りお守りも有り力石⑫奥ゆかし扉の向こう五つ石⑫律の風並べし石よ奥の庭⑫万緑の眠れる義士の墓近く⑫
 対の石寄り添えぬまま見つめ合う⑫風の道階段半ば石三つ⑫古堂前梅の香の下力石⑫暑き風高札下に石一つ⑫石上の夏陽炎を蟲が避け⑫石畑(いしばたけ)石石石と力石⑫
 挑発ス持ち上げてみろと石が言う⑫エッ?俺ッ?力石だった⑫転がすか抱きかかえるか石魂(いしたま)を⑫たまさかに篠突く雨と力石力石撫でてご利益有難き⑬
 知伽良さん大きな石に朱き文字⑬皐月晴れ力石(いし)を照らすか陽の光薄暑光黒き碑に照り力石蚊をパチンパチンパチンと力石ひっそりと露地にて御座す力石
 
ドッカーン六拾五貫有りし石シュロ覆うアレハズカシヤ力石風の香が撫でて過ぎゆく力石力石南天の赤を際立たせ志演社にいづ時よりか志乃武石⑬時と風ただただ流れ力石⑬
 満開を梅夢みしか力石⑬寒空も梅楽しみに力石⑬梅林隅から見ます力石⑬鶴と亀ナデナデナデテ力石⑬野ざらしも風流温雅力石⑬撫でし風木々揺れるとも石は凛⑬
 そよそよと風が緑に力石⑬陽がさして緑葉の陰力石⑬こぼれびがそよぎし中に力石⑬石の上灰桜色雨が降る⑬冬空に凛と置かれた力石⑬この石ねこの石だよね力石⑬
〔伊東弥太郎〕盤持のあか石あお石汗の痕①
〔稲田眸子〕大小の力石みな冬ざるる
〔稲葉由美子〕花びらに埋もれ湖畔の力石⑫
〔稲穂〕滴りや社に眠る力石⑧
〔井上綾子〕春ごとや力石にも人並び⑪
〔井上浩世〕力石並ぶ社や春きざす⑬
〔井上君枝〕力石浮かび上がらせ梅擬⑫朝寒や野々宮様の力石⑫秋耕へ譲り合ふ道ちから石⑫
〔井上四郎〕武運長久祈りし梅宮力石③
〔井上芳子〕空蝉や八幡宮の力石①
〔井上登〕雪明り元禄時代の力石⑥
〔井上律夫〕亡き人の思い重なる力石⑤力石強者どもの指の跡⑤魅せられた盤持ち石に傾む女⑤強者が盤持ち石にかけた意思⑤
〔井原美鳥〕囀や寸も動かぬ力石⑫かげろふて刻字うすれし力石⑫霾天(ばいてん)のここぞ踏ん張る力石⑬春更くと雀降り立つ力石⑬
〔今井正文〕夢の跡社草に横たう力石②力石力自慢の声どこに②人集うこの力石夢模様③日本一ここ桶川の力石③
今井麦早梅や日差しにまろき力石⑬亀鳴くや目方怪しき力石⑬
〔今泉晴美〕力石蟷螂斧を振りかざし⑫力石やんまの停まる五十貫⑫力石ふらここ揺れる境内に⑫大木の黐の花陰力石⑫手の跡か凹みのついた力石⑫
〔今村尚敏〕うららかや力石とて浮くごとし⑬野火走る地中に眠る力石⑬
〔芋寝〕力石撫でて終はりや祭笛⑫秋の宮土俵に隣る力石⑫
〔入岡夢生〕緑陰の馬頭観音力石竹皮脱ぎ盤石隠す堂の跡盤石に滲み入る喜雨や弘法堂まくなぎを拂いて撫する力石
〔岩倉佳子〕おもかるの石の重さに春遠し⑦
〔岩野正幸〕力石ごろごろ並びちちろ虫①空蝉の離れずにある力石②伊勢力士讃ふ碑文の施餓鬼寺③
岩淵喜代子〕立冬や浮き上がりさうな力石⑦ひぐらしや三十貫の力石⑧
岩渕ちよ万緑や殿の励みし力石⑤蜩や廟に三個の力石⑧
岩本夏柿〕くちなはや雨のにほひの力石⑫
〔位田克巳〕柿の木と共に語り部力石③初場所や宮に鎮座の力石③
〔上井恵美子〕力石に供ふ御神酒や紅椿⑩
〔上岡貞義〕草茂る尋ねたづねて力石風薫る宿場名残りの力石
〔上田桜〕依代の力石なり冴返る⑬
〔上田信隆〕帰省子に試して抱かす力石⑧
〔上西美枝子〕コスモスや寺に三つの力石⑪持ち上がらぬ力石並む寺小春⑬
〔植松幸子〕梅東風や不動に並ぶ力石②
〔上村末子〕過ぎ去りし力自慢をしのびつゝどっしりたゝずむ力石かな⑦
〔植山和代子〕宮寒し脇にかたまる力石⑥力石仰向くままに年迎ふ⑥力石彫りに力や冬芽吹く⑥
〔鵜飼紫生〕辻堂のおもかる地蔵ちちろ鳴く②
〔鵜澤寒月〕力石大黒様の米俵⑦
宇河雅之書き綴り重ねる想いもちからいし⑦
〔宇佐見万作〕夏晴れや百弐拾キロの力石②
〔氏家頼一〕下萌えのもたげて重き力石⑥力石五拾弐貫や蕗の薹⑦力石長命密寺実南天⑦榧の実の転がる処力石⑦蹲踞の馬酔木の花や力石⑦力石六拾五貫や菩提の実⑦
 荒梅雨や目方の増えし力石⑧しぐるるやくろがねもちへ力石⑨力石除夜の鐘撞く長命寺⑩
〔牛込はる子〕大盤石の頭上に盛る棕櫚の花⑪力石に縁なき夫よ荻若葉⑪さし石や強き父恋ふ黄落期
〔牛太郎〕石蕗咲くや二十五貫の力石⑩
〔牛朗〕夏休み謂れ訪ねて力石⑦
〔薄井逸走〕力石より解け初めり春の雪①彼岸花今は動かぬ力石①力石転がすほどに春一番①雨蛙抱えているや力石①力石男の汗がしみてゐし①早春の陽のふわふわと力石②
 力石文字の窪みに夏の苔②春昼のひそひそ話し力石②陽炎のゆらし易きは力石②春泥の深さは知らず力石②打ち水の届かぬ処力石②郭公や越後の寺の力石②花冷えの境内力石二つ②
 木枯らしや文字の薄れし力石③力石灼けるがまゝに並び立つ③境内に梅の干しあり力石③力石汗に男の体透く③吹き溜まる落葉の海に力石③町が市になりて立春力石⑦
 境内の落花の中に力石⑦春一番動くはず無き力石境内に冬の箒目力石⑦蟻の列ぐるりと力石の裾⑦力石天狗のうちわ花開く⑫重そうでなき力石菊人形⑫無住寺に五つの力石落花⑫
 力石乳歯のようにぐらぐらと揺する事しか出来ないでいる⑫
〔右田俊郎〕力石とある立て札も秋の暮①
内田庵茂〕天高し抱へてみたき力石⑦
〔内田正義〕下萌の押し上げてをる力石⑬
〔内出千鶴〕風に乗り出来た笑窪は花吹雪⑦
〔内山花葉〕小判形に力石擦れ宮涼し⑩蝉しぐれ水神様の力石⑩
〔うつぎ〕力石否冬瓜の売れ残る力石見おろしてをり立葵秋愁や撫でるばかりの力石⑧力石影を過りて蟻の道寒禽や樹下に鎮もる力石力石黙し寒禽しきりなる
 
寒風裡肩寄せあへる力石遠雷や小さき臍ある力石身に入(し)むや斎垣(いがき)となりし力石⑩穂絮(ほわた)とぶ右近の郷に力石⑩力石撫でて旅立つ草の絮(わた)⑩
 秋うらら石の下駄はく力石・越木岩神社⑩力石に屈めば藪蚊襲ひ来る・池田市鉢塚「五社神社」⑪竹落葉褥に力石二つ⑪力石木の実時雨を弾きをり⑪斑紋は汗の染みかも力石⑪
 力石喝と一太刀稲光⑫寒禽の声に研がるる力石⑫力石取り囲めるは力芝⑫力石転がつてをる大暑かな・畑天満宮⑬石頭撫で撫で小春の力石⑬
〔独活〕下萌の石をもたげて湧き出づる⑨
〔有働亨〕頬白や大磐石に雪残り⑧
〔ウド鈴木〕力石ウド挑戦しへっぴり腰おとなりさんが様子にふきだし⑩
〔宇野かよ子〕紅梅や「一力」の名の力石②
〔宇野慂子〕七五三の袂触れゆく力石③
〔うみすけ〕力石うんとこどっこい天までとどけ⑧
〔梅澤忍耕〕初午や抱ふる石に願ひ事⑪
〔梅田悦子〕若きらの腕を競いし力石ごろりと転がる神社結界⑫
〔梅田博〕初鵙やこの力石擡(もた)げんと⑩
〔梅彦〕若ものゝ力くらべや蔵ひらき⑥ 
〔浦上宏〕秋日和無双を競いし力石
④吾こそはと強力を競いし石ならん④力石も庭の景となりにけり④冬枯れの庭にすえたる力石④
〔浦沢勉〕欠け石も水にもまれて丸くなる⑦力石今は昔のものがたり⑦
〔英一郎〕でで虫の持ち上げてゐる力石⑧鵙高音何も語らぬ力石⑨
〔榮水朝夫〕銀杏落葉に埋れぬくもる力石⑩
〔江田章子〕力石神社の隅の先祖たち⑩力持ち覚えているよ力石⑩
〔江戸川散歩(小高根千尋)〕しぐるるや肩まで沈む力石⑧
〔榎本達二〕力石小栗判官もったかなぼくも持てたら二個持ちたいな①
〔江花君夫〕秋祭り力くらべのバンモチ石①
〔江見巌 」侘助や腰掛けとなる力石⑪水喧嘩でんと置かれし力石⑪
〔江見悦子〕重ね売る冬瓜力石のごと⑪
〔江守瓢太〕涼風の宮居の隅に力石法師蝉木陰に眠る力石薫風や社の中の力石汗の手で筆跡なぞる力石⑤ 
〔江守寛子〕冴返る瀧の社のちから石百余年経て涼しきや力石力石大樹のもとに秋の声力石石文字なぞる祭りかな
〔江良碧松〕松の花降りかかるこの石かつぎあぐ①お祭り青年の一人が力石かつぎ上げたるなり②
〔江連江女〕館涼し撫で艶しるき力石⑩
〔遠州悦子〕蝉時雨一人占めして力石⑧禊して力石あげ玉の汗⑧
遠藤ふみ江〕力石どかりと午後の霜柱⑦
遠藤真砂明〕緑蔭に置く須佐之男の力石⑦
遠藤良子〕草の芽の持ちあげてゐる力石⑦
夏来るふんばつてゐる力石⑨
〔大石〕僧兵や青葉の中の力石⑩
〔大石ひろ女〕花吹雪びくりともせぬ力石⑨
〔大内和憲〕万緑や地にくひ込める力石⑪
〔大江誉志〕雪かぶり人肌恋し力石今日もまた担がれぬまま陽は落ちて力石担ぐ気合で椿落ち古の怪力達に憧れて今日も担ぎし力石かな祭り終え肩のすり傷誇らしく
 懐かしやお祭りばやし肩の上⑨
〔大江美咲〕赤ら顔担ぐ彼見て頬染めて⑧平成に復活させたい力石⑧苔むした力石見て何想う時超えて競い集いし若い衆⑨迷い込み訪ねてみたら新発見⑨
〔大木茂〕初紅葉六十貫の力石⑪
〔大木たかし〕力石挑む日焼けの力瘤秋祭競ひのこもる力石甲虫古人の誇り力石
〔大串 章〕受験子の立ち尽くしたる力石⑩
〔大倉正子〕奉納者読めぬ大石木の実落つ飯食った何貫持った力石力石試して嫁御彼岸花力石二つ奉納露光る力石大小ありてライブ告踏石や落葉ちらちら力石腕自慢何貫持てた秋の空
大崎力石よわいわたしはまだもてず⑧
〔大崎紀夫〕うぐひすや座すに手ごろな力石④弁慶の力石とや春の鵙⑩
〔大下好子〕菜の花や元気をもらふ力石⑨春浅し今日もお洒落に力石⑨
〔大嶋嘉則〕ぜいたくとおごりいましむこの石のとおときおしえ忘れざらまし
大関靖博陽炎が持ち上げてゐる力石⑪
大田さつき〕力石へと神苑の道をしへ

太田とし子〕大寺につつじと並び力石⑦公孫樹ちる古刹の庭の力石⑦
〔太田裕子〕蟻いどむ五十貫てふ力石⑫寒晴や試してみたき力石⑫力石のひそひそ話秋の風⑫
〔大谷明美〕力石ためして指先まで凍つる⑥
〔大前繁雄〕高祖父のかつぎし石や秋の宮⑪
〔小笠原〕力なく砕けてかなし膝頭⑧
〔おかちか〕漁師の地から意思を伝承する⑧
荻巣昭子〕
力石子ども相撲の土俵脇⑫高麗村に紅葉且つ散る力石⑫竹の春持ち上げられぬ力石⑫
おたま〕力石持ち上ぐるまね柿の秋⑧

〔大津英世〕銀杏や安産祈る力石⑥
〔大出豊子〕春疾風港に残る力石①
〔大野鶴子〕老鶯や僧兵道の力石③
〔大野照幸〕力石二つを囲ふ芝桜⑩秋高し城守るかに力石⑩澄む秋の蹲踞の形(なり)の力石⑩秋祭の賑はふなかに力石⑩黄ばみたる中に三基の力石⑩秋高し文久とある力石⑩ 行く秋の寝たる姿の力石⑩ 境内の紅葉に映ゆる力石⑩秋蝶の二羽戯るる力石⑪赤鳥居連なる横の力石⑪桂月刻字掠るる力石⑪落つるかに見ゆるさし石秋黴雨⑪石濡れて九つ並ぶ秋思かな⑪秋めくや今は昔の力石⑪
 爽やかに野良猫歩む力石⑫つるつるの小さき丸石秋めけり⑫寺の秋ちよこんと座る力石⑫祀らるる大石四個敬老日⑫草津月まとめて置かる力石⑫秋霖に濡れて輝く力石⑫
〔大野裕康〕郭公や痩せの挑める力石③
〔大橋敦子〕炎昼の石担ぐ息ふれあへる④
〔大橋克己〕さし石は五十五貫目梅雨明けぬ
〔大原晴子〕力持ちなる人揃う荒みこしちちろ鳴くあたりどつかと力石秋時雨力石尚重く見せ
〔大矢白星〕初午や撫づるだけでも力石⑩
〔大家三代子〕力石土俵斜めに蟻の道荒梅雨や路傍に潜る力石常夜灯侍して磐石真菰草⑤蟻吹いて重軽石の大擡ぐ菅貫や願ひ様々力石
大柳篤子〕丈揃へさし石三つ春落葉②
〔ooyamadaisuke武藤隆司〕梅雨闇に竜の卵か力石⑬紅梅の寄り添ふやうに力石・浅草寺⑬寒波きぬ傷だらけなる力石寒波きぬ台座に揺らす力石⑬
大山百花〕初午や試してをりし力石①
〔岡澤田鶴〕力石駒留め石も露の石⑩
〔岡島毅〕力石少し重くて小鳥くる⑦
〔岡田邦男〕力石もたげるごとく霜柱⑩
〔岡田詩音〕炎天の松の根かたの力石⑥
〔岡田滋夫〕赤とんぼ土俵に据ゑし力石①
〔岡田二枝〕早春の水車の音や力石⑨ままごとのたんぽぽ並べ力石⑨
〔岡田まさ子〕
ひぐらしの境内に座す力石西日浴びバス停隅の力石捜しあて力石三つ秋の空力石円やかに三つ夏深し炎天の微動もせずに力石力石二三の刻字蝉しぐれ
 日盛に尋ね来て会ふ力石力石村里訪ね秋の暮秋一ト日鎮座まします力石
〔岡田真巳〕力石文字を彩る若葉かな⑫うららかや背の順に立つ力石⑫赤文字をなでる薫風力石⑫
〔岡野多江子〕力石大地もろとも凍てにけり⑥大年の雨のみがきし力石⑦
〔岡村敏子〕力石榎に抱かれ木下闇やいと花知るや知らずや力石・管天寺力石紅葉手にせし先祖様
〔岡本明美〕露しとどいつよりここに力石残暑厳しおもかる石もあがらずに
岡本英雄〕力石五拾貫とや夏社⑥
岡安邦彦〕電柱にポツンと残る楕円石⑤恩返し今は社の土台石⑤疑問符が付いてはぐれた路傍石⑤長老の記憶もおぼろ力石⑤壁際に取り残されし力石⑤乗り継いで未知なる石とご対面⑤
 夢に見たあの力石ここにあり⑤山門の落ち葉にのぞく力石⑤今の世に取り残されし力石⑤これは何文字刻まれた石一つ⑤胸騒ぐ石と出会いて夢気分⑤先達の教えを辿り夢の石⑤
 山門の脇にはぐれた力石⑤朽ち果てし社にポツン力石⑧苔むしてなお益荒男の名をとどむ⑧いにしえの賑わいつたう力石⑧益荒男の汗しみ込みし力石⑧差し石の鎮守の森に苔むして⑧
 村祭りおとこ舞台に差した石⑧益荒男の抱きし石も苔むして⑧
〔岡山裕美〕茶の花の香る相良の力石山笠を前に犇(ひし)めく力石⑬
〔小川恵美子〕力石羽根を休める秋の蝶⑩
〔小川和雄〕黄落葉まとって静か力石花の舞晴れ着姿の力石春雨に洗われ文字のあざやかさ春雷のとどろく中に力石一隅の丸い石にも花衣紅葉の散りゆく中に力石
小川達也五十貫と彫る力石銀杏散る⑤銀杏散る根元にならぶ力石⑤
小川七穂〕力石の微動を見たり落椿⑬
〔小川荻邨〕空蝉を見し天明の力石①
小川ひさこ〕力石三つ並べるも麗けし
小木曽あや子〕冬の蝶やすむ薬師の力石⑬
荻原芳堂〕露けしや触れてつめたき力石
於久昭臣〕秋蝶の羽休めゐる力石
奥清女〕注連張りて力石あり梅ふふむ下萌えの産土に見る力石春隣り力石見に宮巡る力石三十貫とや梅の宮
奥野雅應」楠の実の罅ぜし辺の力石⑪
小倉修子〕力石持てぬ知りつ午祭⑩
小倉良友〕道の隅ポツンと佇むちからいし⑦ちからいしみなを見送るバス停で⑧
桶崎正憲〕身姿(みすがた)を清める梅雨の音しきり⑦梅雨の朝清められたり力石⑦
力石たたずむ姿に我写す⑧
〔尾崎典夫〕幼き頃とても大きく見えた石今は小さく萎んで見る影も無しされど地を切る力我に有る筈もなし④
〔尾崎放哉〕蝉なくや草の中なる力石 ④
〔尾崎雅夫〕力石に相撲甚句を捧げをり⑫力石鎮守の杜に神迎⑫力石に込める火照りや秋祭⑫力石祭の後の静寂かな⑫朝夕に拝む関取力石⑫
〔オジャラ〕ケンタリ句碑となり力石の横へ⑥
〔おせろ〕稲雀片手で揺らす力石⑨
〔小田寺登女〕老鶯や片手に重き弥勒石⑩
〔小田洋子〕力石石に張り付く赤蜻蛉①杉落葉ふたつ並びし力石②力石美杉の里の水澄めり③
〔越智勝利〕とんぼうも目を剥く重さ力石⑪秋時雨力石てふ里妖し⑪神の留守勝手代役力石⑫田に田螺社に祀る力石⑫境内に夜狐がくる力石⑫日傘から力比べに拍手くる⑫
 麦踏に腕力余り石担ぐ⑫差し石の審判役の痩せ蛙⑫
越智照雄〕まわし締めかけ声ひとつ力石うずみし男社は喝采⑪
〔おっぺす〕力石を忘れて生きて敬老日③
〔小野和臣〕力石子らの拍手と蝉しぐれ⑨黒き跡汗落ちる夏力石⑨
〔小野寺清人〕力石置き金時の山笑ふ⑪
〔小野由美子〕春昼や三毛の陣取る力石⑬
〔小浜史都女〕白南風やこゑも力に力石⑥梅二月ひくりとうごく力石⑩
〔小山田柏泡行く秋や旧道辻の力石月あかり道標わきの力石この石が祭の主役か力石月光や地球儀のごと力石集会所花散り滑る力石力石語り継がれて年暮るる力石神と並んで炎天下
〔折原孝〕力石子らがステップ約十個
〔折原廣子〕力石にちよつと降り来し初雀⑫
〔折原梨陽〕力石眠りつづける冬の宮①
恩田周子東風吹くや富士塚にある力石⑬
【か】
〔かおる〕注連縄を巻かれて嬉し力石⑨お花見に尻寄せ坐する力石⑨苔むすや鎮守の杜に力石⑨力石鎮座しておる雨蛙⑨
〔柿本久喜〕なよなよと日影の草や力石力石声のか細き昼の虫力石に真直ぐ行けず蟻の列
〔花鏡〕花魁草女にもある力石⑧
〔蔭山一舟〕力石見て負けん気の人の秋③力石見て腰碎け宮の秋③
〔加古宗也〕強霜や鳥居の下の力石⑩夏草に沈みし宮の力石⑪
籠田幸鳴〕力石を軽々潜る寺の蟻 ⑬
〔香椎みつゑ〕色変へぬ松の根方の力石⑫
〔加瀬恵子〕夏日向よく持ち上げし力石⑪
〔連句〕力石南無八幡と彫られあり(片山多迦夫)前の北条後の北条(吉岡梅游)⑩
〔和雄〕夏草や銘の薄れし力石⑧
〔和美〕晩夏てふ火照りの残る力石⑧冬ざれの一山しづめ力石⑩身に入(し)むや影ぽつねんと力石⑩
〔糟谷倫子〕汗の子が力石抱く映画村⑩ひっそりと木の実をはじく力石⑩雪解の野に力石見え初むる⑪
〔かせだ俳人〕草餅や名を刻みたる力石 ⑧
〔和宏・小野和弘〕かたくりや鎮守の杜の力石
〔片岡久美子〕風光るむかし漁場の力石⑪
〔片岡千鶴子〕力石猫もひるねの秋日和力石見た事もなく秋日差し
〔片山和子〕「かつぎひや」若者競ふ秋祭秋祭若者競ふ力石秋暑し解るる明治の力石
〔括弧・大島英昭〕秋寂の櫛田神社に力石②麦秋や三十貫の力石③樫の葉を洩るる冬の日力石④正月の日の斑のとどく力石④炎昼の日本一の力石⑤春浅し五十五貫の力石⑩ 
〔勝田富人〕力石に託す想ひや汗滂沱⑫力石子に競り負けて春の風⑫
〔かつら子〕力石落葉に埋れねむりたる⑨力石汗と涙の歴史あり⑨ひなたぼこ仲間となりて力石⑨人知れず苔の花さく力石⑨
加藤明虫力石の乱杙三つ若葉風⑬蚯蚓鳴くこともあらんに力石⑬
〔加藤大二郎〕
春日和小鳥さえずる力石④コスモスの笑顔にほっと力石④コスモスが微笑かける力石④旅人の無事を祈って力石④旅人の心をいやす力石④忘れえぬ思い出の地場力石④
 秋深し落葉の下に力石④北風に落葉吹かれて力石④風雪もそしらぬ振りの力石④雪国の春がいとしい力石④指石に微笑みかける藤の花④
〔加藤碩信〕天高し誰も試さぬ力石⑩
〔門田重明〕杉落葉堂に埋れし力石⑥夏草や堂に一つの力石⑥
〔角谷美智子神苑に御輿の集う力石祭太鼓百段舁きあぐ力石
〔角野京子〕力石冴ゆる権内水路かな・皇大神宮 ⑪帆立貝の絵馬と並んで力石 ⑪力石抱ける樟の淑気かな⑬初日射す加賀屋新田力石⑬力石並ぶ神社や七五三⑬初鳩の群れの自在や力石⑬
 たわわなる石榴の奥に力石⑬力石尋ねて瓢の実を拾ふ⑬秋高し十五個並ぶ力石⑬
秋風や河口近くに力石⑬
迎春の幟はためく力石⑬住之江の屯所に冴ゆる力石⑬水仙を枕に並ぶ力石⑬
〔金子喜久男〕今昔の町の世相を封じ込め⑦
〔兼久ちわき〕秋蟬のぬけがら縋る力石⑩
〔加納 久〕境内の木の下かげにうづくまる力石あり雨に濡れつつ⑤
〔金明光威〕行く秋の宮居の隅の力石①
〔金子宗彰〕大江戸を沸かせし力木の芽吹く⑪降る桜背(せな)に休ます力石⑪疫病(えやみ)の世石の力を願ふ春⑪
〔金澤高栄〕秋日和抱き癖のあり力石⑫梅もみぢ土俵のそばに力石⑫木守柿力石にも目を配る⑫
〔金田知子〕狭霧降る鎮守の森の力石⑫秋澄むや二十八貫力石⑫
〔神蔵器〕力石二つ並びて小春かな
〔神谷信子〕杉の実の飛びつぐ宮の力石
〔上和田玲子〕力石の文字のかすれや亀鳴けり⑪初風や大小並ぶ力石⑪初秋の紫雲石てふ力石⑪力石に小三郎の名秋日燦⑪
〔亀嶋平蔵〕雲記りも晴れ行空の高き石のひろまるからに我はささへる④
〔亀元はるこ〕草茂る棚田の里の力石⑥万緑や村に残れる力石⑥
〔河合成近〕力石昔話が持ち上げる⑤
〔川口恭子〕力石残る鎮守や五月鯉⑫
川口誠一〕力石動かぬ儘や去年今年⑬
〔河口美津子〕七五三晴れ着で座る力石⑫
〔川崎富子〕お降りのあとをとどめて力石⑥梅かたし深く銘なす力石⑥
〔川崎房恵〕産土や緑雨の中の力石⑨
〔川島秋葉男〕新緑や吾子の抱きつく力石⑪
〔川住まさえ〕待春の社に丸き力石⑦
〔川瀬さとゑ〕蚯蚓鳴く陰刻深き力石
〔雅流〕末枯の野にごと転ぶ力石
〔河田里子〕力石祖母との願いかなう日々⑦秋空に光り輝く力石⑦祖母からの孫に伝わる力石⑦力石寒さに負けず凛として⑦力石緑の中でかがやいて⑦懐かしい思い出語る力石⑩
〔川田勝子〕力石水車のまわる里の春⑨力石梅の花咲く旧家かな⑨
〔河田博行〕力石心願成就意思の力⑦
〔河西都子〕「御館」にも力石あり花ハッ手⑦
〔河野伊葉〕黄落に命脈しづめ力石
〔河野綾子宮参り古梅と並ぶ力石
〔川野喜代子〕秋晴や出番待ちゐる力石若鮎や剣豪の地の力石花とべら匂ふ荷揚げ場力石⑪小社に差し石幾つ祭笛⑪
〔川原瀞秋〕瑞気吸ひ込み待春の力石⑩
〔河原まき〕澄む秋のみづはの杜の力石⑪力石のいはれを杜に秋の朝⑪秋日濃し八十と刻める力石⑪初風や力石三つ撫づる手に⑫力石にも柏手を打つ厄日かな⑫ 力石に寒禽の声降り止まず⑬
 力石の高さに凜と実万両⑬秋江の辺に力石てふ標⑬澄む秋の信濃に探す力石⑬
〔神田美穂子〕かたばみの種飛ぶ鞆の力石
〔神奈備〕力石をへたに持てば腰痛になるすぐ直るかどうか・・・⑥
〔連歌〕わくら葉やいなりの鳥居現れて(其角)文治二年のちから石もつ(才丸)①~⑬
〔木々朗〕下萌や境内隅に力石④
〔菊池孝枝〕緑さすほのと苔生ふ力石⑪
〔菊池葉子〕稲の香や据えられしまま力石稲の香や意外に小さき力石稲の香やもう誰も来ぬ力石
〔菊池洋子〕荒縄の注連飾して力石⑩
〔岸原清行〕緑陰に誰寄るとなき力石⑪風薫る四横綱の力石⑫
〔岸本豊平次〕境内の隅で埋れた力石⑪
〔北好夫〕力石の上に逆立つ四月馬鹿⑪さし石を担ぐ浜衆宵の宮⑫
〔木地光雄〕お前とは無言で語る間柄⑨
〔北川さちよ〕下駄履いて力石上ぐ秋祭
〔北迫正男〕万緑へ居座っている力石⑩
〔喜多亮司〕限りなく火照る大暑の力石⑥「力石を詠む」わが句より読み初め⑦
〔北野耀雪〕磐持の汗あと染みる黒さあり
〔北見さとる〕晩年や触れて小春の力石④⑧
〔北村あゆか〕藤の香や社の奥の力石⑪花過ぎの火照をさます力石⑪
〔北村淳子〕沙羅の花持ち上げかねる力石⑩
〔キチロー〕浜木綿や社にのこる力石④
〔木下楠夕〕永き日や文政ころの力石①
〔木村珠江〕元日のひかりの溜まる力石⑫
〔木村てる代〕草の穂に半ば埋もれし力石力石並ぶ宮居の実南天差し石に挑む童や若葉風空蝉や八弦力士の力石のどけしや宮居に小さき力石
〔久蔵久蔵〕実むらさき益荒男まちし力石⑫
〔恭子〕亀鳴くや神社に夫婦力石⑪
〔興津恭子〕松の芯担いでみたい力石⑩
〔玉章〕親分の門トに目方の知れた石・「柳多留五◯篇五丁(文化八)より」⑨銘のある石親分の門に置・「柳多留二六篇二七丁(寛政八)より」⑨
〔清野土半〕うぶどうなたの力石④
〔桐人〕入学の子と来て撫づる力石⑫花散るや百年動かぬ力石⑫
〔桐山美枝〕力石に触れて八十路の夏迎ふ⑫
〔銀波〕木下闇注連縄張りて力石⑨
〔空山〕草の花けんか収めて力石⑩
〔草深昌子〕青葉寺二つ据えたる力石④五十貫目余とやこの石春の泥⑩
〔草間三香子〕甘酒屋出て触るるや力石⑩
〔草皆五沼〕短夜や村に一つの力石⑨
〔曷川克〕秋祭隅にごろりと力石⑥
〔楠田かつ子〕草もみぢ無造作に置く力石⑬
〔朽木直〕冬ざれや捨て置かれたる力石⑪
〔工藤深雪〕新雪や降る日降らぬ日力石②
〔工藤泰子〕初潮の寄する雁木や力石⑪初潮や浜の名を記す力石⑪秋の高し沼名前神社の力石⑫草相撲沼名前神社の力石⑫神力の色なき風や力石⑫力石三つ重ねて山眠る⑫
〔邦夫〕蟇出でて朱文字浮きたる力石⑥
〔国彦〕動かずの力石なり春の雨⑫春風や老いて眺むる力石⑫花の宮半ば埋もれし男石⑫藤棚の影揺れてをり力石⑫
〔国弘〕力石洗ふがごとく蟬時雨⑧力石昨夜の雨すふ蝸牛⑩
〔久保一岩〕相撲会の拍手つづく力石①
〔久保園和美〕早梅や薄日を受くる力石⑫
窪野博〕この青石と人のカカァにゃ手を出すな⑤
〔久美二葉=原田久美子〕春の闇子を孕みたる力石⑬下萌えていささか軽し力石⑬万緑や吾に手を貸せ力石⑬
〔熊谷ふみを〕かげろはぬ亀甲石と力石④
〔熊本熊〕稲刈りの脇に転がる力石⑫
〔倉矢幸古里にどっしり一つ力石夏休力石ごと親子相撲力石背に子ら遊ぶ秋祭
〔栗原季星〕余花の蕊(しべ)降る重忠の力石⑪老鶯や過疎地の堂に力石⑪風薫る堂に謂れの力石⑪万緑や堂に大師の力石⑪山青葉神に祀られ力石⑪石の上や身重の青蜥蜴⑪谷に沸く夏霧濡らす力石⑫ 夏霧の晴れ行く堂や力石⑫尺蠖の律儀に測る力石⑫新緑や安産堂に力石⑫梅雨晴れの堂に武張りし力石⑫夏霧の晴れ行く堂や力石⑬地芝居の役者の差せる力石地歌舞伎の舞台の袖に力石
〔栗原ひろ子〕力石巡りし秋の一ト日かな昔日の秋物語る力石月明かり仄かに浮かぶ力石西日射す路傍に置かれ力石力石三つ置かれし秋の宮法師蝉鳴きし社の力石
 
力石日向ぼこりの猫であり
栗山和子〕花冷えや飽食の世の力石⑧
槫林(くればやし)匠子実南天持ち上げてみる力石
〔黒川礼人〕祭礼で勝ちし主は忘れられ何がしか語らんちからいし④
〔黒澤次郎〕力石をかこんで石蕗の花盛り⑩
〔黒田佳奈〕大寒に若人勇し力石③
〔ケイ〕力石まだらに濡らし青時雨⑧
〔毛塚静枝〕力石しぐれの重み加へけり③
〔月惑〕東風突くは五拾五貫の力石⑩力石移り碑を得て冬構え⑩柿落葉掃き清められ力石⑩木守柿遠くに見やり力石⑩秋嵐なほ鎮座して力石⑩秋雨や和暦も遠き力石⑩力石地の慟哭を鎮め秋⑩
 力石すぎゆく秋の深き黙⑩関八州おらが秋なり力石⑪秋空に四股を踏みたる力石⑪力石ひかり吸い込み春隣⑪春浅き神田せきたて力石⑪春雷や気象神社の力石⑪草若葉どしりと重き力石⑪
 蒲公英(たんぽぽ)の絮(わた)の行手に力石⑪麗らかや猫の寝そべる力石⑪村はずれ囀(さえず)りしみる力石⑫春愁や訪ね人なき力石⑫満天星(どうだん)の花に飾られ力石⑫
 冬ざれや読経染み入る力石⑫力石さては巨竜の寒卵⑫去年今年古刹の石は微動だに⑫誰ぞ知るや落葉の中の力石⑫行秋や擦れ文字なる力石⑫冬帝も手をこまねきて力石⑫行年や時の流れに力石⑫
 緑陰に身を寄せ合ひて力石⑫力石坐す片蔭に日はめぐる⑫高札に新樹のひかり力石⑫藤塚の夏を遠くに力石⑫青葉風やんごともなき力石⑫弁慶の力石へと蝉しぐれ片陰に居住まひ正し力石
 
小春日にやや猫背なる力石春分や影半分の力石春疾風なほ不動なる力石日向ぼこ瓜実顔の力石⑬木枯らしをうっちゃりにして力石⑬力石なぞる痕跡ひかる汗打水もなき境内に力石
 炎天や五拾五貫の力石夏空に睨みを利かせ力石
〔玄海〕三月の雨脚光る力石⑥
けん詩〕七五三力石にも触れさせる④
言成〕涼しさに挑んでみたる力石⑧弥勒石護る大師の廟涼し⑧老鶯の唄や重軽石に列⑧持ち上ぐる指に冷たき力石⑨
衒叟〕重石の持ち上がらぬや風光る⑩
小圷(こあくつ)あゆみ〕力石問はれ翁の瞳に光⑪
〔小池利夫〕神杉の種舞い降りて力石①恋猫や越す一飛びの力石②成人して我を試す力石③春雪の衣をまとう力石④赤トンボ一服どころの力石④初蝶の吹きもどされし力石
小泉恵子〕力石探し求めて辿り着く箱崎町の倉庫の跡に⑨七五郎の力石ありし郵船倉庫ビルの建ゐて跡形もなく⑨飛行機の低く飛びゆく箱崎の新川七五郎の力石いづこ⑨
 力石持ち上げたるか七五郎石塚ゐますいこのべの里⑨七五郎の怪力しのぶ石塚の杉山神社に御魂安けし⑨大欅の紅葉のしたる杉山神社石塚は平成三年三月の建立⑨
 亡き父の建立したる石塚の地雷石に若林七五郎の銘⑨雨あがりの宮に詣でる初冬の力石に注連縄かざられており⑨力石の文字のうすれし石塚の大欅の映ゆる境内にひとり⑨
 茜なす桜紅葉は艶めきぬ七五郎の御魂いかにゐますや⑨初冬に病もちつつ七五郎の歌を詠みたりあはき陽の中⑨
花籠を見たしと訪ひし杉山神社父が碑文を書きし石塚のあり⑩
 かけつけて石塚拝む祭の日若林七五郎の銘の力石あり⑩友の案内に稲荷神社を訪ねれば「福壽」といふ力石あり⑩内田家の木立の中に置かれある「大鵬」といふ力石には明治六年八月の銘⑩
 内田家に残る「大鵬」といふ力石神奈川権次郎が持ち上げゐたり⑩沖仲士として関西方面に出向きゐし権次郎力持ち興業を幾度もせしといふ⑩
小泉武彦〕じりじりと照らす日差しも耐え忍び⑦
甲州千草〕抱卵期座蒲団を敷く力石⑩
功雪〕力石花の下にて幾年ぞ⑩
河野威士〕軍神を祀る社に座しており石柱にそふ力石七つ⑪標にもなりたる石や力石在所の寺にたちて幾とせ⑪
幸路春人〕今は亡き力自慢は石となり⑤蝉しぐれはやし立ており力石⑦桜花散りて化粧の力石⑦露置きてあまた集いし力石⑦力石大小仲良く雪帽子⑦
小倉良友〕ちからいし皆で集まり力(りき)自慢⑦
こしだまほ〕熊野なる蔦のはなさぬ力石⑪
腰塚弘子〕下闇や楕円に並ぶ力石夏落葉忍と刻める差し石に蟻這うて七十貫の力石
小柴健一〕色鳥の飛び交ふ宮の力石①
小島和子〕朧の夜寂しくないか力石力石自由自在の蟻の列
児島一成〕初稽古入る気合いの力石力石炎暑に耐える修行かな
小島健〕あたたかや上総鎮守の力石④
児島たかこ〕錦秋や卆・米・傘寿の力石
小島利子〕力石試して終へぬ探梅行⑪
後凋庵〕力石苔むすままに年明くる⑥
 旱天や参道わきに力石⑧林火忌や汗の香残る力石⑧台風裡大地鎮むる力石⑧⑨注連飾る神木のもと力石⑨数へ日の駆込み婚や力石⑨歳末の御祓い待てり力石⑨秋の声神庫に副へる力石⑩
こすもす〕コスモスの迷路辿れば力石草紅葉しとねとしたる力石露けしや斯く円かなる力石秋風と潮騒を聞く力石海風のとどきて涼し力石⑩豊秋の郷蔵脇に力石⑩力石撫でるやに散る紅葉かな⑩
 力石膨らむごとき小春かな⑫
COSMOS〕虹消えて神社に三つ力石⑩
小袖〕力石凍つ恐竜の卵めき⑧青時雨刻印のなき力石草の花谷戸の小径に力石⑩尺測る手にひやひやと力石⑩手をおけば芯まで凍る力石⑪露の世の土に埋もれし力石⑫力石灼けて触るるを拒みけり⑬
 小春日や地蔵様めく力石⑬今はもう座して小春の力石⑬
小高根千尋〕冬ざれや戦火くぐりし力石⑦
小竹ヒサ子 緑蔭に任を解かれし力石⑬
児玉和子 神の留守五十貫目の力石⑬
五島高資〕玉の汗地にしたたるや力石⑦わたつみの海へつちふる力石⑦速川の瀬に坐す玉や龍天に⑦わたなかに生れて日陰の力石⑦ほのぼのと力石あり五月闇⑦
力石二つならべて青田波⑦
 滴るや光る海より力石⑦夕焼けの海より光る力石⑦磐座にみどり滴る力石⑦西日さす千引の石や力石⑦ガジュマルの片蔭にあり力石⑦
落ちてこそ咲く椿あれ力石⑦秋風の玉の枕や力石⑧
 秋風や玉を生みたる力石⑧陽炎や木の根に沈く力石⑧日盛や株に並め据う力石⑧炎天や日並めの株に力石⑧たまきはるいのち身に入む力石⑨あちかをし値嘉の岬や力石⑨秋風や肩を寄せ合ふ力石⑨
 かみなりや肩を寄せ合ふ力石⑩夕立や力石へと庭只海⑩切株に力石措く日の盛り⑩
寿〕力石の際に土筆やパリにテロ⑨
小濱けえ子〕椿照る日はなめらかに力石⑪力石しじまに葉擦れ棕櫚の花⑪
小林朱夏〕炎天や四股名を刻む力石⑨
小林伊久子〕動かざる弥勒石なり風死せり⑪
小林一秋〕秋冷や試す者なき力石⑧
小林寿恵王〕木の芽寺鉄鎖が囲む力石公孫樹の実鈴生る庭の力石とんぼうの逆立ち捧ぐ力石⑨秋雨や鎮守の杜の力石
小林尊子〕力石持ち上げるかや雨蛙⑨
小林尊晴新緑の木漏れ日軽し力石石に笑いかける石も含み笑い雨に濡れた美味しそうな力石水打てばうまそうであり力石静かなり蠅あふ向けに力石卯之助の百三十八貫置き土産
小林共代台風の眼の中にあり力石⑩
小林牧羊〕境内の春日しずかに力石春風や子等の唄声力石春の日に神の温みの力石
小林昌子〕笹鳴や刻字うするる力石⑩
〔小林美成子〕萬緑や腰割って抱く力石⑧力石は枕の形うららけし⑩
小林ゆきお五月晴盤持石の由緒書⑪五月来る卯之助銘の力石⑪さつき雨両手もて撫づ力石⑪力石擡(もた)ぐおどけや春の風⑪花は葉に気魄の詰まる力石⑪力石祀る三野宮涼し⑫
 のどけしや撫でるならひの力石⑫花添へて由緒書添ふ力石⑫力石五月の日差し束ねをり⑫春風や試すもおろか担ぎ石南吹くなべて角なき力石五月風朱墨の銘の力石
〔小林夕里子〕力石抱へしものに米五升天保四年の刻字はかすか④
〔小林米蔵〕戦前は寄りて競ひし力石に今は集まる人影もなし①
〔駒崎美佐子〕氏神様境内に健やかな子を授けよと安産祈願の力石⑩
〔小松清生〕力石若者たちが競いあう④
小室登美子〕藁砧の台となりけり力石
〔小柳俊次〕寒波急声ころしあう力石⑩
〔小山徳夫〕冬帝の据ゑてゆきたる力石⑬
〔近恵〕若草の寄り添っている力石⑥
〔近藤悦子〕梅雨の蝶ふりむきもせぬ力石⑨
〔近藤善子〕担げるを大試験とす力石②力石出番無きまま去年今年②益荒男の汗を知りたる力石③
【さ】
〔斉田千枝〕風光る野見宿祢の力石④
〔斎藤章〕力石担ぐ真似して秋祭⑧
〔斎藤文乃〕落ち葉降りて積もりて埋む力石④雪帽子丸くかぶりて力石④目覚めたる万治の石や花日和④卯之助の石撫で秋の社かな④雨水や濡れし力石かきつばた⑤力石探索の道蝉時雨⑤
 木の葉雨力石にも降りそそぐ⑤
〔さいとうかぜお〕力石の上で宿り木葉を落とす④
〔斉藤久美子〕冬日さす肌滑滑の力石⑫冬天へ塔押し上ぐる力石⑫ 凍蝶の終の止まり処力石
〔斎藤摂子〕茂り葉の影に拾五の力石⑩力石に刻字くつきり冬日濃し⑩力石に頼りなげなる冬の蜂⑩小春日や子の遊び場に力石⑩さし石の春落葉掃く宮司かな⑫高砂と刻むさし石春日濃し⑫
 力石水禍のありし謂れ読む⑫宮涼し創建の碑と力石⑫身に入むや富強てふ碑と力石⑫
〔斉藤利雄〕冬蜂のいのちと縋る力石⑩
〔齊藤保志〕探梅(たんばい)や影まろまろと力石⑩
〔齊藤まこと〕転がれる力石二個梅三分⑧
〔齊藤眞人〕秋日傘たたみて触るる力石
〔斎藤呆人〕銀杏のつぶても痒し「百貫余」①籾焼きの白煙煙し力石①稲刈りの手を休めての石談義①木枯しや大磐石も身を縮め②「卯之助」を今見つけたり五月晴れ②力石の探索終えて青田風②
 啓蟄やお前も出でよ力石②誰彼が担ぎし石や萩の風②菊を摘む妊婦に似たり力石②刻字をば読むかのごとくあきあかね②散り急ぐ花を惜しむか力石③指し石に掌置く二月尽③
 この一献訪ねし石の御年玉③力石に乗る子触る子蝉時雨③元日や石にも託す祈願望③冬のたり泰然自若の力石③寒凪や飯そこそこに石日和③珍しや高みの石に注連飾り③力石神酒注連飾りで崇められ③ 石や何処禰宜も見知らぬ春の暮れ③力石御堂の下で春を待つ③春うららあらら赤塗り力石③大磐石紅花商も足揃え③温き陽に八個の石の背比べ③元禄と漸く読めリ苔の石③力石摩利支天へと秋の蝶③
 「卯之助」を探して宮の荷風かな③境内のさつきの陰や「米七斗」③稲刈りの匂いや藪の力石③雪解けや隠れた石の頭見え③温き日の境内広し石胡坐③力石訪ねし杜に梅光る③埋もれし指し石僅か落椿③
 力石巡りて春の日が暮れリ③さし石や花追う園児眺めおり③鬼灯に添われ恥ずかし力石③蟷螂を背中におんぶ力石③団栗を踏みつ測るや力石③力石宮を護りて北に居り③日溜りや糞粒つけた石澄まし③
 力石バス待つ幼女の尻の下③小手毬の枝垂れる先に力石③土掻きて現る石や哀れなり③遥遥と尋ねし石は青葉闇③「卯之助」を尋ねて初夏に染まるまま③紫陽花の華やぎの陰力石③
 力石木の下闇に涼み居り③炎昼も十三個の石穏やかに③灼け石をくの字への字に走る蟻③雨俄か尋ぬる石はあと半里③旱天の慈雨欲しきかな和七像③風死すや骸の如き力石③夕凪の浦では石も微眠し③
 石を掘る吾に地蔵の日陰かな③つくばいはもと力石なり一葉忌③豆撒きの声を背中に石探し③彼の石は小春日和を独り占め③小春日や根方の石は孵るかも③梅の香や寛政の石と聞き染みし③
 力石遙か鴉の舞う辺り③差し石や頬から顎に苔の鬚④風光る社にひとつちから石④奉納と冬日に読めし手をさする④行く春やちから石には花の雨④寛政四浅き刻字に冬日さす④
 元禄の差し石ひとつ墓地の隅④さし石や刻字の無きは先もなし④行く秋や路傍に沈む力石④草むらのしとね涼しきちから石④念仏を子守唄にしてちから石④汗拭い黙して宝塔力石④
 暑き日や大師の元の力石④七拾貫そんなにねぇよと謙遜し④力石縁の下から四季を観て④神々の護り任さる力石④息白し子宝石に祈る女性④水枯れし池のふちには祈願石④苔墓石担がれ落され痛々し④
 地蔵盆ちから石にも香花あり④差し石にホケキョウ法華経梅の寺④天高く馬より肥えてちから石④影うごき日蝕のようちから石④暑き日や力石には日陰なし④盂蘭盆会僧行に見え力石④
 立ちたるは華の元禄ちから石④永き日やさがし草臥れ力石④水仙を踏み差し石の刻字読み④右ひだり蚊を叩きつつ玉子石④福々と肥たる仁王の力石④忠敬も断る全国石行脚④
 金蔵は内田も飯田も酒はロハ④さし石や銀杏ひろう老婆見て④小春日やぬっと立ちたる石の群れ④暮れ早しためつすがめつ刻字読み④差し石や師走の吾も独りきり④悪友の暑中メ-ルにチカラ石④
 尾道の和七の像や蝉しぐれ④蚊をはらい和尚の語る力石④下駄を履く力石あり梅雨の入り④差し石や植田の彼方塚に立ち④雷鳴やそれ測れ撮れ力石④差し石や棕櫚の傘にて陽を除けて④
 見捨てられ苔も乾きし力石④鈍色の差し石除けて枯葉吹き④片陰に古武士の如き力石④力石撮る不意に少女の夏姿④片陰に塚を護るや力石④炎昼も静かなるかなちから石④差し石につくつく法師一段と④ 埋み往く差し石二つ死人花④黙々と差し石渡る秋毛虫④力石よりは銀杏拾う妻④差し石や刻字拒否して目鼻乞い④力石測るや放屁放ちたり④盤持石とは俺のことかと力石言い④
 鷲石に鶴、亀、千鳥、なまこも居 龍虎、鳳凰、麒麟、馬、熊④卯之助や己が姿を魚吹で見④久々に魚吹訪ねし卯之助よ己れ像見てえへへと三言④差し石や君らには負けた汗だくだく④
 秋になりやっと日の目をちから石④思秋期や幻の仕舞を石に観る④秋風や陽射しに涼むちから石④差し石や遥か尾花のそよぎ見て④ちから石直ぐに此処にも冬が来るよ④玉石の雑めき仕切るちから石④
 碑に添いて幾たびの秋力石④雲龍石見付けて夕の蕎麦の味④嚏(くさめ)して野田で撮るなり力石④目に染みる赤き鳥居の稲荷社に坐すは卯之助足持石なり④花の散る墓地に七斗の身欠き石④
 元日や新羅三郎の力石④力石傾ぐ松をば支えなお④田草取る農婦に尋ね力石④暑き日や根方にゴロリちから石④土掻きて石に現る万治四年往時男の覇気ぞ迫り来④長々と落ち葉ふとんのちから石④
 枯山にアシカの如きちから石④差し石の面で威を張る七人衆④鷲石に丈夫六人名を刻み④稲妻やギロリ見上げる雲龍石④夕立や木陰はすでにさし石が④八坂社の差し石白し夏来たる④
 差し石に染みを遺して梅雨往けり④力石101㎏の昼寝かな④牽牛と織女か対の力石④天神にかしずく石石秋の声④差し石も目鼻をつけりゃ石仏に④見つけたのにまた忘れたかカメラ・メジャ-④
 平蔵は二十五歳から禁酒をし④姫石に振袖、おた福、観音石、緑、卯の花、梅花、初桜④力石安産の石に蹴り出され④ご利益の無き力石柵の外④力石も安産の石も唯の石④
 メタボ石見て四本目の団子食い④差し石や終の住処が路傍とは④力石入るは赤土野天風呂④潜りゆく鯨の背ごと力石④差し石やつと途切れたり法師蝉④秋の日や沈み横たう雲龍石④
 「卯之助」を探せず宮の荷風かな⑤五月雨の描く洋鼠やちから石⑤古狐の化身か石の大狸⑤水掛けて読むを乾きの勝る夏⑤伊勢松と巳之助秋の揃い踏み⑤力技意地の張り合い遊山石⑤
 侘しくも怨めしくもありいろは石⑤莞爾(かんじ)やな新助喜八の達磨石⑤力石撮る右手より汗の落つ⑤力石撮る背筋にツー汗走る⑤力石撮る指の股蚊に食われ⑤力石測る目盛りのまた翳み⑤
 炎暑なり石の地衣をば脱がせたき⑤あららららうふふふえへへだるま石⑤力石測る背後で窓閉まる⑤吾を見て石のそばの子呼ばるママ⑤石を観る吾を白目で視るママ・子⑤合点だな力神社に力石⑤
 罰当たりめ水輪代用力石⑤石を撮るどこかで秋刀魚焼いている⑤恐ろしき素足美脚や石歪み⑤木犀の芳香石に忍び寄り⑤差し石の向こうに柿を採る気配⑤樹の闇によくぞ差し石菊花展⑤
 短日や差し石隠す影長し⑤御力石拝む夫婦や小晦日⑤自若たる文八の石初詣⑤卯年やな卯之助と共に祝いけり⑤さし石や苔の衣に残る雨⑤ちから石春のうたた寝石ふとん⑥参詣の絵馬にも描かる力石⑥ 石探索終えて夜寒の帰り道遥か地平にぬっと満月⑥紅葉を背にし見栄張る力石⑥霧雨にひとつ濡れおり力石⑥天仰ぐ力石あり春嵐⑥悪友の投げた渾名や「石狂い」⑥秋さびて平蔵の石寡黙なり⑥
 介護車の退きて陽の射す夫婦石⑥下闇の勢州人の奉げ石⑥ご婦人の戦時の話石と聴く⑥秋山の角に謂われのちから石⑥広き畑沸き立つごとき杜の内力石あり秋蝉の声⑥埋もれし差し石のどか秋の午後⑥
 里の秋今日も見晴るかす力石⑥さし石の向こうかさこそ胡麻畑⑥差し石に映る葉影や秋日和⑥差し石の向こう社陰か咳払い⑥神木を護る差し石花曇り⑥ちから石いなご止まるやすぐに発ち⑥
 差し石よほらふた刷けのあかね雲⑥麗らかな境内やなぁ力石⑥潜りゆく力石あり冬構え⑦木漏れ日に藤の影あり力石⑦力石よもやアルミの檻の中⑦夜這い石色醒め褪めて囲われて⑦
 差し石の目上菜の花青い空⑦住職婦人力石(いし)の在るのを今知りぬ⑦目指す力石(いし)まだ先もっと先漕いで漕いで⑦若衆の競い彷彿力石(いし)の群れ⑦差し石を語る老婆や鄙の秋⑦
 差し石に石工座りて栗弁当⑦蟻地獄いつか差し石地中かも⑦荷鞍石語る古老の背にやんま⑦将門に奉げたる力石(いし)秋日射し⑦身に沁むや伏して息せぬ力石(いし)二つ⑦夫婦石羨ましきかな春の暮⑦ 梅の香や峯の薬師の力石⑦炎昼や石塔屋根有り力石(いし)に無し⑦さし石の捨て場か藪蚊蜘蛛毛虫⑦風立ちぬ江戸期の力石(いし)のかたわらに⑦『熊遊』の彼方や此方祭り笛⑦
 力石(いし)群れに目を凝らしつつ行く浴衣⑦スッスッと力石(いし)の此方を行く素足⑦下闇に控え勇むや力石(いし)の群れ⑦春だろか力石(いし)を越えてく揺らめきは⑦咲き散りし梅を仰ぎて力石⑦
 欠けてなお鎮守護るや力石⑦秋寒や差し石ほかに何も居ず⑦吾を待つ差し石よたり春疾風⑦今朝ほどの梅雨乾きしや力石⑦力石(いし)肌に温もりがある春近し⑧力石も「影向の松」に目を見張り⑧
 そこにだけ春が宿るや願以石⑧誰ひとり詠むことのなき力石室の八嶋の煙(けぶ)に鎮めり⑧草陰に隠れ涼むや力石⑧暑き日や歌舞伎化粧の智加良石⑧埋む力石(いし)首なき地蔵…半夏生⑧
 横綱の露払いかな力石⑧あっ鳥居え~貝塚の跡おっ力石炎昼も昭和さし石鯔背かな膝痛も力石(いし)を尋ねて古希の春力石(いし)を撫で膝さすりつつ春を食み秋の蚊や差し石の天絶え絶えに⑨ 石群れに刹那の想い射し入れて見れば「玉鶴」弥五郎の力石(いし)⑨艮(うしとら)に立ちて威を張る寒の力石(いし)⑨墨堤や力石(いし)の向かいに「桜もち」⑨言問えば力石(いし)より団子桜もち⑨
 武骨やな杜の差し石石灯籠⑨鰻食わず謂れの里の力石⑩炎暑なり差し石こぞりて陰目指す⑩師走にも睦み合うかや力石(いし)二つ⑩冬陽あびて万治の力石(いし)の笑みこぼれ⑩
 万治より令和の今もここに在る力石(いし)よ永遠(とわ)なれ今上の里に⑩天明の春から此処に差し石よ⑩一つだけ蚊帳の外かよ無刻力石(いし)⑩貧しくも終の棲家に眠る力石(いし)⑩
 差し石や柘植に隠るも尻の見え⑩春うらら木漏れ日力石(いし)の頬を撫で⑩姫娑羅のさざめく木陰力石⑪朔風も共に忍ぶや歌碑と力石(いし)⑪ふと想い力石(いし)を重ねた墓尋ね⑪
 さくら仰ぎ力石(いし)も崇めて独り言⑪花冷えや力石(いし)見る女性(ひと)の銀の髪⑪「巳之助」の墓にも香華入り彼岸⑪終えた力石(いし)この梅の香にまどろみて⑪刻字無き力石(いし)の悲哀や柳森⑪
 土掻きて石に現る万治四年往時男の覇気ぞ迫り来⑪足棒にして力石(いし)尋ぬ秋の暮れ⑪力石(いし)巡り終えて一献春の宵⑪力石(いし)たちの江戸のささやき五月晴れ」⑫
 「卯之助」の力石(いし)よ何処や冬至の湯⑫あと一つ「卯之助」の力石(いし)見つけたし⑫吾の咳犬の遠吠え万治力石(いし)⑫力石(いし)肌を撫でてくすぐる雪柳⑫枝先を力石(いし)に這わすや雪柳⑫
 鄙の力石(いし)時代(とき)の狭間に散った華⑫力石(いし)巡り終えて身震いクサメする⑫潜みたる力石(いし)に雨沁む二月尽⑫妖艶なヨシノ見上げる力石(いし)無口⑫
 力石(いし)面にひらりはらりとヨシノ舞う⑫力石(いし)の背の蜥蜴と対峙息を呑む⑫力石(いし)肌を忙(せわ)し躊躇(ためら)い往く百足⑫温々と新たなしとね休む力石(いし)⑬
 黒々とふくよかな力石(いし)初夏の庭⑬春惜しむ小祠の陰の力石⑬凍てつく力石(いし)に緑青のお賽銭⑬いつからか墓を仁王と護る力石(いし)⑬いつの日か仁王あうんと力石(いし)挙げむ⑬
 むずむずと小春日和の力石⑬梅の香や碇と力石(いし)の睨み合い⑬力石(いし)上に銅貨三枚祈・願・望⑬梅の香やしみじみと観る力石⑬小春日や斜めに埋む力石(いし)ひとつ⑬
 立春や子らの落書きちから石⑬石碑より小さき力石(いし)よ胸を張れ⑬紅白のさくら仰ぐや力石(いし)二つ⑬
〔西放〕早稲は黄に村社に力石ふたつ⑦
〔さえ子〕ぼけ封じの御力石や青木の実⑩
〔坂圭子〕葉桜の陰角柱の力石注連飾古びたりける力石木の葉散る石段となり力石
〔酒井一止〕
大百天百合さしかけて力石①大石を差したり今朝の霜柱①百日紅散らす根方の力石②遅き日の影切付けに力石②夏草や尻隠さずの力石②差し石の白き背中や木下闇②力石裏に小さき冬籠② 力石潜む繁みの竜の玉②元禄の切付け幽か苔の花②「棒石」の裾に幾つか蟻地獄②車座に花の宴や力石②⑥春光や姫と銘打つ力石②蚊柱の礎にして力石②去年今年地蔵の蔭の力石③
 藪陰に冬日を惜しむ力石③川の字に力石あり神の留守③神の留守敷石枕に力石③夕立の跳ね一尺や力石③指石の凹みの底の薄氷③小社の蚊柱立たす力石③笠地蔵に御座すか雪の力石③
 拝殿の左右端居の力石③苔生して古墳神社の力石③汗の児の馬に替りて力石③卯之助の汗血はるか大王石③下闇に亀や兎の力石③百年の昼寝亀石黄金石③七拾貫驚く間蚊の寄りて③
 指石の裾を取り巻く蟻地獄④黄落の海にぷかりと力石④秋燈や踞るのみ力石⑤薮際に冬陽を惜しむ力石無聊を託つ年の暮れかな⑤歓声は遠き日の夢力石蝉の時雨の常しえとこそ⑤
 参道に敷石枕の力石夢は往事の男振りかも⑤初午や鳥居隠れの力石⑤枡形に力石あり由井の宿桜海老漁る男持ちしか⑤大きさに難あり無銘力石怪童恋ひし百年の夢⑤力石連れて合祀の稲荷かな⑧
 邂逅や馴染みの力石(いし)の向こう傷⑧力石(いし)の背を色なき風の撫でゆけり⑧力人ありしと伝ふ大磐石⑨花片を化粧ひて雨の力石⑨蟻地獄ぐるりとりまく力石⑨
〔坂井翠波力石夏衣の禰宜に案内さる勝者の名涼しく刻む力石はだれ雪除きたしかむ力石その往時汗で競ひし力石神の庭霜を纏へる力石
〔酒井多加子〕養花天宮に三つの力石②
〔酒井美智子〕力石江戸の昔を偲ぶれば江崎の山にかなかなの鳴く⑩
〔酒井涼花〕かなかなや力石在る江崎山⑨虫集(すだ)く寺や二つの力石⑨力石訪ぬ古刹に秋の蝉
〔坂下千枝子〕力石撫でつつ太る七変化⑪蟻穴を出で攀ぢりはじめの力石⑪力石の上に踏んばる雨蛙⑪
〔坂下充子〕力石祭の男醸しをり法師蝉啼き初む杜の石三つ秋涼し木漏れ日載せし力石
〔坂本禮子〕秋蝶に力抜きたる力石⑥
佐川佳〕その昔若者囲む力石⑨力石せめて揺れ方競い合う⑨
〔佐久間清観〕奉納の力石抱く蜥蜴かな⑩
〔さくまゆうこ〕啓蟄や五十貫目の力石⑪
〔桜井筑蛙〕下萌や四十五貫の力石
〔櫻井幹郎〕蟾蜍(ヒキガエル)注連張る力石の陰
佐々木建成〕力石に雨の窪みや実万両⑦
〔佐々木達治〕時雨るるや古刹霊石力石⑬
〔笹木弘〕結婚を願ひ青葉の力石⑩力石を持ち上げしごと別れ霜⑬
〔佐々木よし子〕注連張られ昨日とちがふ力石⑩
〔笹田富士子〕一蝶の影の流るる力石一山の一寺涼しき力石夏草や先人夢の力石
〔佐竹昌子〕力石丸み帯びたり秋の声①前庭に力石坐し新松子持てさうな力石坐す秋の寺
さつき〕力石お気に入りらし赤とんぼ樹下涼し苔むす力石もまた夏草に覆ひ隠され力石相撲場の隅に鎮座す力石力石銀杏落葉をしとねとす力石水引草の花影に梅雨に濡れ深き刻字や力石
〔佐藤和子〕碑新に卯之助の石風薫る⑪風薫る我は得意と力石⑪
〔佐藤幸子〕力石手でふれて見る霜の朝⑦
〔佐藤利雄〕緑陰や三つ一列に力石
〔佐藤禎子〕新緑の磐座となる力石⑬
〔流石埜魚水〕境内に火照りのさめた力石ハレの地響き今は昔③
紗智子〕力石凍つる猛者なる男居ず⑦
〔佐藤かずえ〕春風に影やさしかれ力石⑨十薬や室の八嶋の力石⑨
〔佐藤さゆり〕子供の日びくともしない力石⑨残雪に見えかくれする力石⑨桃の花順番に持つ力石⑨紅梅や大きさ比べ力石⑨春めくや大小あれど力石⑨
 風薫る体力戻る力石⑨新樹光力授かる力石⑨夏木立熱さ伝わる力石⑨夏めくや力みなぎる力石⑨
春きざす力比べの力石⑩神宿るてふ力石春の風⑩春めくや力自慢の力石⑪早春や力出し切る力石⑪
〔佐藤山人〕凍てしまま挑み手のなき力石⑥
〔佐藤久子〕こけむして古城址語る力石①
〔佐藤満智子〕冬日差す五家武士の手玉石④
〔佐藤喜孝〕まろまろと木陰にすゞし力石⑩
〔佐怒賀直美〕大盤石叩けば杜の風光る
〔早苗〕神無月宮鳩力石宮守る⑨木の実降る痛さにたえる力石⑨夕虹を背にうけ雄々し力石⑨さし石も儘にならない現代ッ児⑨
〔佐野弓子〕
秋日傘めぐりて道の力石①ちちろ鳴く社の隅の力石②秋の蚊をはらひて触れむ力石②花木槿赤き台座の力石②豊の秋村一番の力石②百度踏む人に萩散る力石③秋の日に灼かれて道の力石③
〔沢井三柳〕度肝抜く月光著き力石春深き大盤石の大欠伸受験生大盤石へ来て憩ふ
〔澤田宏〕力石銀杏落葉に温められ⑥
澤田佳久〕かるがると力石越す蟻の列
〔猿谷紘平〕力石つわものどもの名をきざむ④
〔三刀〕秋愁や押して動かぬ力石秋雨に濡れて艶めく力石秋日影量目を刻す力石爽やかに教師の語る力石
山遊亭金太郎〕力石軽く持ち上ぐ新社員⑩青葉風少し持ち上ぐ力石⑩老鶯やびくともせずに力石⑩
 力石にどかと腰掛け日向ぼこ⑩体育の日国旗の下の力石⑩
〔サンライズ〕重いのさ鞆に置かれた力石⑨
〔塩谷健人〕末枯れや担ぎ手待ちぬ力石⑨
〔J次郎〕
降る花や往時の男の力石⑧
〔茂丸〕さし石や遊びと見えぬ腕くらべ①
〔静恵〕晩夏へと力石とて力抜く⑧俤(おもかげ)の立つ力石冱(いて)返る⑩
〔しずく〕炎天を躱す力や力石⑧
〔篠田邑草〕木下闇城主眠るや力石下闇に城主は眠り力石⑨力石触るれば聞こゆ法師蝉
柴田佐知子〕飛魚北風(あごきた)や男を待てる力石⑨
柴田志津子寒晴やふれたるのみの力石⑨
〔柴口れい子〕秋蝉や手にまわしみる力石秋空の躄(いざ)つてをりし力石
〔柴田良子〕力石に寒気あつまる朝の杜⑫神輿舁く昔ありけり力石⑫蜘蛛の囲や曰くありげな力石⑫青蜥蜴過ぎる参道力石⑫少年に髭初夏の力石⑫はつなつや男の子輝く力石⑫
〔柴山つぐ子〕力石卓袱台とし青き踏む⑨雪解風ふれて通るよ力石⑨力石撫ぜて心願成就かな⑨触れさせて貰ふ蛙や力石⑨若葉風包みてゆける力石⑨
〔渋田かおる〕馬酔木咲く誰も触らぬ力石⑬金縷梅や老母の掛けし試石⑬啓蟄や名も動き出す力石⑬下萌ゆる地にどつしりと力石⑬
〔渋田千々穂〕春愁や重さを見せぬ力石⑬力石試すことなく冴返る⑬うららかや九十余才の試石⑬力石何を語るか目借時⑬力石撫でていたはり春逝けり⑬寒風に傷なほ殖えて力石⑬
 力石気合ひ入れれば山笑ふ⑬
〔島崎萌芽〕
力石撫でまわされし秋の声⑩
〔嶋武志〕鎌倉権五郎景政の宮の力石かかえみんとて餅をほうばる⑩
〔島田房生〕とりもどす自信残暑の力石⑩
〔清水伊代乃〕力石と彫られし文字の深く澄む⑫
〔志水千代子〕枯れるもの枯れてどっかと力石
清水悠太〕力石に男の子黙禱七五三⑫冬帽や遠目に挑む力石
志水芳秀〕あたたかや村の鎮守の力石
〔下久保義一〕いにしえを偲びて辿る力石⑥
〔下鉢清子〕うららかやだれも担がぬ力石⑩
〔下村久美子〕喝采をあびる秋空力石
〔秀太郎〕東男の大石持國技を偲ぶ江戸趣味力遊び
〔樹筒〕力持ち自慢の石を奉納す⑩
〔純〕雲の峰大中小の力石⑧
〔純子〕力石一山治めたる淑気⑧
〔純子〕大暑ゆるがず雷電の手玉石⑩
〔祥雲〕宮相撲おっととっとと力石⑦
〔城貴代美〕力石撫でたるあとの風蘭よ⑩
〔しょうく〕十薬の花に埋もれし力石⑥
〔しようぶ〕石だけがおれの努力を知っている⑧
〔白石渕路〕初午や力石にも日の当たり⑩
〔しらぶる〕力石やんわり止まる赤とんぼ⑦
〔白木ひろ海〕道半ば力石撫で伊勢参り磐石の心で歩む初詣鏡餅持ち上ぐ男女力持ち御鏡の持ち上げ競ふ力持ち持ち上ぐる大鏡餅力持ち
白崎匠〕夕涼や番持ち石の残りけり父の日や男を競ふ力石夕涼や番持石の置くところ
白鳥国男〕力石なかば埋もれ藤袴⑪
〔しんい〕柊の花や宮居の力石⑥
〔新香〕力石の文字の剥落諸葛菜④
〔新宅春代〕大和川の春や祈願の力石⑬
〔神野宗義〕日脚伸ぶ寺の静かな力石①
〔西瓜堂〕緑陰や微かに動く力石⑧
〔翠峯〕大空にあぐらかきたる力石①
〔水明〕夏立つや大・中・小の力石⑪
〔すえ子〕残る虫鳴かずに縋る力石⑩
〔スエコ〕懐かしいお堂の庭の力石⑪
〔末政千代子〕磐持の謂繙く春灯下落椿磐持石の艶めけり着ぶくれて差し石巡る一日旅八斗石担ぎし老の炬燵守り
(ツチフ)れる盤持石の所在はも遠近に磐持見ゆる春の宮
 
夕涼や国の文化の力石脂汗かいているよな力石盤持ちに飲めよと注ぐ新走り颱風に殿と構えし力石力石地震の瓦礫に埋もれて夏祭り賑わゐ見てる力石露分けて盤持ち石を訪ねけり
 
蛇の衣絡まりをりし力石花蕎麦や古村に眠る力石散らばれる力石訪ふ去年今年名にし負う三國湊の力石みんみんと蝉鳴く宮の力石露けしや散らばりをりし力石磐持の沈むが如し苔の花
 
水温む床しき郷の力石露の世に一つ残りし力石力石おわす神社の草萌える春潮波音きこゆ力石草燃えて殿と動かぬ力石⑩下萌えて殿と動かぬ力石⑩吹雪中殿と動かぬ力石⑩
寿栄松富美〕大和川の春風受くる力石⑬
〔菅沼重夫〕
若者の汗にまみれた力石⑧
〔菅野日出子〕啄木鳥や大樹のもとの力石
〔菅野奈都子〕力石三つ並べて春動く⑧ひこばえや松竹梅の力石⑬あたたかやみなふれてゆく力石⑬神の留守どこを持ちても力石⑬陽を溜めてゐる待春の力石⑬
菅谷俊男〕きさらぎや手垢まみれの力石①
〔菅原末野〕炎天の火を吹きさうな力石④
〔須賀允子〕蜥蜴這ふ海の男の力石⑪
〔杉井梢虫〕紅花の栄え記せし力石桶川宿の汝こそ語り部商人の力顕す大盤石歴史を語る初午の朝いにしえの男は勝負力石若人の汗今に輝く
〔杉浦典子〕炎昼の力石てふ石三つ⑧力石眼に春の寒さかな⑪
〔杉江茂義〕秋蝶の流れてとまる力石
〔杉島紘子〕力石入道雲と果し合い⑧
〔杉原祐之〕力石七つ並びて黄水仙⑥
〔杉渕真喜子〕往年のさし石も今日日向ぼこ⑪力石ひょいと卯之助街青葉⑪力石に蟻の老若群れてをり⑪今世の祭には無き担ぎ石⑫
〔杉山佐都子〕花ふぶき受けて存在力石神無月社守りて力石蟋蟀(こおろぎ)のやがて静かに力石冬枯れを静かに吸いし力石蔦紅葉からまる里の力石霜柱大地に沈む力石
 
蜩の聞き納めなり力石夏の蝶羽根を休めし力石秋の蝉抜け殻残す力石力石守るが如く苔の花蝉の声力石抜け地底まで夏祭り過客をしのぶ力石空蝉の落ち来て跳ねる力石
 金魚売り寺庭濡らす力石⑦
〔杉山三記雄〕神社に力石あり寒緩む⑨
〔杉山洋子〕強者が喝采受けし遠き日よ宮にひつそり力石座す⑪
鈴木煙浪怪力の小太郎の石汗ばめる⑪
〔鈴木金光〕里の若衆ちから競いし力石神明み境内(にわ)にむかしを偲ぶ③
〔鈴木京子〕五月雨や苔のむしたる力石梅雨めくや文字の薄れし力石青芝に半分うもれ力石梅雨に入る二つ並びて力石
〔鈴木興仙〕嘉永春力士卯之助大磐石(チカライシ)肌のよき石に遊ばむ花の杜力石二つ並んで競い合い力石二つ並びて夏落葉
〔鈴木千年〕立冬や何のこれしき力石⑬
〔鈴木武吉〕玉石に我が名越残し消に計里天江登里て雲と難留らん②
〔鈴木直枝〕力石讃える紙垂の風涼④
鈴木義親〕西日受け二つ並びし力石炎天の松の根元の力石①祭あと松の根元の力石狛犬と注連飾られし力石力石日向に在りて温くきかな境内は秋蝉の声力石
〔スミレ〕神無月陽の当たりたる力石⑫
〔せい一〕蝉止る祖父の名のある力石⑨空蝉の小爪がとらう力石⑨蝸牛あゆみの光る力石⑨雪解水わけて二筋力石⑨ 
〔清月〕
力石擡(もた)げ競ひし寒修行
〔晴好雨独〕江戸の春力くらべの声聞こゆ⑥小春日や誇らしき名の力石⑧
〔せいじ〕遠足の子らも撫でゆく力石⑩天蓋の松色変へぬ力石⑩蟷螂の尻あげ縋る力石⑩蟷螂の斧かざしゐる力石⑪遠足にとり囲まるる力石⑪宮涼し双子ならびに力石⑬
〔正能裕久〕
日向ぼこ大盤石の文字たどる
〔正能秀子〕冬日向影もやわらぐ力石
〔青徳〕冷やかに胸押付る力石桶へ登て肴せる浜④
〔青嵐・鈴木浩〕金剛の汗して蟻の力石⑥
〔瀬崎こまち〕力石に挑むたをや女風爽か⑪力石の掠るる文字にこぼれ萩⑪力石の三つ並ぶ庭秋茜⑪力石に粘菌多し木の実落つ⑫杜さやか神馬足下に力石⑫
〔瀬島洒望〕暖かし社殿の右の力石⑩
〔瀬戸十字〕十薬の花明かりして力石①
〔千舟〕力石並ぶ境内神の留守⑨待春や神樹に添うて力石⑫下萌や肩寄せ合うて力石⑬春愁や石橋供養の力石⑬
〔そうけい〕深々と落葉に埋もる力石⑩力石にも小ぶりなる注連飾⑩初詣願掛け撫づる力石⑩
〔宗田桔梗(なおこ)〕近づけば数多の蛙力石
十亀カツ子〕万緑や翳りに沈む力石⑬
〔祖人〕
爽籟や昭和尽きても力石⑦力石立つや落花を浴びながら
〔素秀〕若芝に揺らぐかと見ゆ力石⑩黄落のうち敷く杜に力石⑪力石なでて祈願す秋遍路⑪黒南風に訪ふ弁慶の力石⑪千木高く帰燕見送る力石⑫
〔素水〕雪解やはれて出たるちから石④
〔素姓乱雑〕いにしえの華やぎ秘めり力石⑪濡れそぼる力石(いし)に褥(しとね)の落ち葉かな⑪初雪を載せて寒けきけふの力石(いし)⑪力石鳴動の地を鎮めたり⑪盤持ちの甚句流るる小京都⑪
 もの言わぬ石の謂れを偲びても栄華の出番夢のまた夢⑪静謐の宮に鎮座の力石眠るがままに年は暮れ行く⑪梅雨空に乾く間無しや力石⑪力石忘れないでと言いたげに⑫
 アキアカネ力石(いし)に止まりて目鼻描き⑫蘇る力石(いし)の威信に胸熱く⑫盤持ちの出番はまだかと力石(いし)は問ふ⑫力石誰か来ぬかと耳済ませ⑫鐘の音に屠蘇はまだかとふて寝力石(いし)⑫
 なぐさめに力石(いし)を訪う雀の子⑫初夢に石を上げたし縁起よく⑫一面の雪の世界に力石わずかに高くここだと示し⑫ときの世に沿えずふて寝の力石⑬地につきて眠り幾年(いくとせ)力石⑬
 いにしえを語らぬ力石(いし)や猛きなり⑬永き世の足跡埋(うず)む力石⑬力石地を離るるはいつの世ぞ⑬力石(いし)で継ぐ習い途切れて幾年ぞせめて残れや若人の意気⑬
〔素風〕
力石撫づれば冬のぬくみあり⑫
【た】
田岡千章〕下萌を円座としたり力石⑪
〔髙井美智子〕降りそそぐ木の実を弾く力石⑪冬怒濤ひびく弁慶力石⑪
〔田尾三千枝〕万緑や宮に黙せる力石⑫
〔隆雄〕露に濡れ御大師さんの力石④
〔高尾のり子〕力石目に留まらず草の花風雪に曝さる力石丸きちちろ住む力くらべの石白し
〔高木満枝〕力石弛みし注連を締め直す⑪
〔高木良多〕花の影曳く奉納の力石①
〔髙島慎助〕猛暑にも凛と立ちたる力石①「遠郷」の文字刻みたる力石出稼ぎ人の想い潜めて①人垣と石担ぐ人鰯雲①力石太根枕の日向ぼこ①去年今年全国行脚力石①力石に河津桜の散りそそぐ①
 春風や戸越の杜の力石②鶺鴒の尾に叱られる力石②「魁」と「虎勇」足下に従えて力持碑の栄華いずこに②富士塚の今踏み石か力石②祭衆に靴を脱がれる力石②曼珠沙華石取り囲み警護かな②
 五月雨のほとほとと打つ力石②足差しと言えど恐ろし巨石かな百六拾貫をいかに支えし②ムムムムムムムムムムムム力石②③ふんぞって地蔵護るか力石③土蜘蛛の巣のへばりつく力石③
 力石辿り振舞い麦茶かな③力石ポツネンとあり遍路道③ローで登る道最終の力石③廃宮の苔むすままの力石③秋風に馬の絵踊る力石③「おた福」の名の微笑まし力石③力石知る人もなくひっそりと③
 力石優しく抱くやウマゴヤシ③埋もれゆく羊歯の葉陰の力石③堂前の靴脱ぎ石に姿変え③蜻蛉の休み場所かや力石③力石杯状穴に夏の雨③廃村の静かに眠る力石かつては人のざわめきの中③
 秋祭り益荒男達の石担ぎ③それ担げ周りやかまし秋祭り③胸の傷やゝ誇らしげ秋祭り③二の腕の震えも空し石落とす悔やむ益荒男肩落とす③もうアカン担げず落とす力石③盆踊り腰掛けにされ力石③
 先祖の名残す石にも靴の跡③梅散りて白き衣の力石③恐竜の卵と子らが力石③力石刻字を埋めし初氷③廃宮の鳥居に代わる力石③力石そっと寄り添う蕗の薹③夕立にさも涼しげな力石③
 霰打つたかが霰と力石③力石持ち上げるほど力無し③雪かぶり宮居に耐える力石③花蔭に隠れて眠る力石③転がせば蟻の住処か力石③力石二つ寄り添い年をとり③
 力石愛しき人の触れる場所人知れぬ時頬紅を塗る③力石藪蚊とともに文字を読む③切付にぼうふら踊る力石③奉納の文字埋もれゆく力石③力石土筆が包む暖かさ③富士塚を支える雪の力石③
 力石三つ並びても忘れられ③冬枯れに刻字も寂し力石③冬の日にゴロリ昼寝か力石③子供らが跳び跳び遊ぶ力石③忘れられ瓦礫の仲間力石過去の栄華か利根の秋風③昔河岸面影も無く力石③
 たかが石ビクリともせず頭掻く「恥掻き石」の銘に微笑む③ゴロゴロリ裏の文字読む力石③雪吊りの重しか今は力石③日溜まりに寄り添い語る夫婦石❖見沼くらしっく館③蓑虫のすがりつきたる力石③
 蓑虫よ持ち上げるのか力石③大力に鶴亀立花才の春③⑥遠き地に卯之助の立つ宮の春③田に力男を示す力石③④忠敬の鼻くそほどの仕事かな④力石自重で土に身を沈め昔の姿少しとどめん④
 力石の露を払いて刻字読む④力石に座っている無礼者め④力石からはみ出している大きなお尻④六十歳に力石追う秋の風④陣取りか蝸牛三つ力石④石担ぐ人を想いて石を撫で④
 上がるかな鬼の形相力石④そら担げ老いのうるさい力石④紅鎧、花遊、遠郷、初桜、鶴亀、一心、千鳥、魁④炎天の「卯之助石」の熱きかな④亀石と力石とに見守られ幹半なる銀杏色づく④
 忘れられ無情の雨に力石④草枕記憶の隅の力石④力石記憶の隅に押しやられ若人の夢、若人の汗④春時雨薄紅衣力石④御柱法被行き交う力石やや寂しげに下馬橋の横④春うらら御衣黄まとう力石⑤
 臍まではなんとか上がる力石⑤霜柱北風小僧力石⑤麦秋を背にうたた寝の力石石担ぐ褌姿の益荒男の白き体の赤く染まりて⑤力石すら担げないのに君を抱き上げるなどとてもとても⑤
 冬の朝力石ほのかに白し⑤闇長く石探索の日短し⑤力石六人衆の揃い踏み⑤寒椿ぽとりと乗せて力石⑤道祖神力石巻く冬薔薇⑤七変化紫陽花の下力石⑤ミッキーのねぐらか雨の力石⑤
 力石やゝ温かし伊予の春⑤春を見る由加蓮台寺力石⑤最強の縁石に化け力石⑤古株に寄り添い添い寝力石⑤あら可愛いだるまに化けた力石⑤虫すだく栗名月の力石⑤
 君すらも抱き上げられないのに力石など⑤秋の宵刻字をたどる白き指⑤大御戸社鳥居転用力石⑤日緬寺寒風六個力石⑤富士よりも泰然自若力石⑤振れません石で作った小槌など⑤
 風温む伊予路に二つ力石⑥露天風呂平六地蔵力石⑥春を待つ力くらべの石ふたつ⑥力石木の根枕の夢見かな⑥力石(いし)を追い直ぐな航跡隠岐の島⑥見晴るかす富士の麓の力石⑥
 緑陰に力くらべの石みっつ⑥力石見て力石なる菓子を食う⑥力石(いし)椅子に玉蜀黍をかじる子等⑥縋り付く空蝉哀れ力石⑥シュラフ積みヤドカリの旅力石(いし)を追い⑥大榧を守るか二個の力石⑥
 鶯のこゑ聴く社力石⑥御衣黄のさくら咲きそむ力石⑥冬枯れや力くらべの石ひとつ⑥御神木護るや春の力石⑥見晴るかす白鷺の城力石⑥宮に雨ふるふる力石ゆるゆる埋もれ行く⑥
 かなかなと蝉の声聞く力石⑦ひとひらのはなびらふわりちからいし⑦下倉田町を見守る夫婦石⑦のどかなり鴫立庵の力石⑦力石冷たき石に血が通う⑦十薬の十字の花と五十貫⑦風香る松竹梅の力石⑦
 大榧も人もうらやむ夫婦石⑦大榧に抱かれ寄り添う夫婦石⑦高札場鈴鹿おろしと石三つ⑦力石馬頭観音与良の春⑦顔真っ赤担ぐか落とすか力石⑦風寒し月洲の宮の力石⑦秋深し瀬田八幡に石三つ⑦
 若人の愛惜秘める力石⑦海童社雲龍久吉力石⑦春近し竹冷の句碑力石⑧春風と影向の松と力石(いし)の群れ⑧弁天を護り寄り添う力石⑧小春日や花と銘ある力石⑧ひたすらに老婆の撫でる長寿石⑧
 時を経て健康長寿の石となり⑧初春の注連飾られし力石⑨玉遊と刻まれし石春日浴び⑨力石「松竹梅」の文字刻む東風吹く宮の片隅にあり⑨与良の春馬頭観音力石石庭を春風撫でて力石
 凛と立ち銀杏を守る力石力石の火照り少なく秋めきぬ瑠璃色の蜥蜴の遊ぶ力石「玉鶴」と優しき銘の力石春ふふふ肩を寄せ合う力石
⑨燈籠の宝珠で威張る力石⑤⑨花の昼宴の横の力石⑩
 杯状穴に五月雨ためて力石⑩
子供らが卓袱台にする力石⑩デンとして台風一過力石⑩八拾貫江戸のは組の力石⑩凛として江戸のは組の力石⑩力石挑む力士の力瘤⑩力石の刻字をたどり風薫る⑩
 啓蟄に埋もれていく力石⑩虚子庵と力石見て与良の春⑩藤の花匂う社の力石⑩春うらら今日も昼寝か力石⑩力石刻字に薄く初氷⑩病葉を一枚乗せて力石⑩青時雨ごろんとひとつ力石⑩
 風光る鞆の港の力石⑪蝉時雨焼けつくような力石⑪力石に座らんといてでかい尻⑪押すもダメ引いてもダメだ力石⑪ギブアップピクリともせぬ力石⑪夏草を掻き分け探す力石⑪
 緑陰にひっそりとある力石卯之助生家の庭の片隅⑪春の風紙垂ひらひらひらと智加良石⑫春の風十四の力石(いし)を撫で渡る⑫鬼子母神銀杏黄葉と力石⑫寄り添って雨の古刹の力石⑫
 鬼子母神木漏れ日浴びる力石⑫大石忌力石置く泉岳寺⑫小動(こゆるぎ)の小高き丘に力石(いし)二つ⑫梅が香や開口(あぐち)の神の力石❖開口神社⑫ででむしの這い跡光る力石⑫
 力石(いし)の上ギロリと睨む瑠璃蜥蜴⑫
東風吹いて松竹梅の力石⑬誰の腹ヘソまで残る力石⑬奈倉には女歌舞伎と力石⑬初春や注連張る力石(いし)の凛として⑬土止めの転用悲し力石⑬
 玉の汗ビクリともせぬ力石夏木立根元に白き力石冬は凍て夏は灼けつく力石今はただ苔の衣の力石兵どもの夢の跡かや小春日を浴びて鎮座の力石石蕗にそっと抱かれて力石 ⑬
〔高嶋文清〕力石迂回してゆく蟻の列⑧
高瀬俊次〕力石どつしり据ゑて島の冬⑪
高田佐土子〕初東風や宮に明治の力石⑪
〔高野清風〕
笑み栗や城に謂れの力石②つくつくや城に謂れの力石③樫の実や末社の脇の力石⑪小鳥くる鳥居に並ぶ力石⑪
高橋紀美子
春満月芝神明の力石

〔高橋城山〕
神の留守四十貫の力石④
〔高橋敏子〕青葉風薄れし銘の力石⑦
〔高橋宣之〕町内の団結示す力石⑦町内の絆深める石と意志⑦力石の持ち上げ競う町自慢⑧
〔高橋某〕花梨咲く柳屋守る力石③
〔高橋久雄〕二つ持つ纏と力石(いし)の三次郎⑪凄い男だ三次郎纏も振れば力石(いし)も持つ⑪纏持ち墓前の力石(いし)が物語る力持ちでも光ってた⑪
〔高橋美智子〕下闇に力たくはへ力石⑪
〔高橋善子〕春昼や江戸の名残りの力石③
〔高橋玲子〕力石底をくすぐる蟻の塔蜻蛉の寄辺となりし力石
〔高浜虚子〕下萌の大盤石をもたげたる④
田上登志郎〕元旦の畏(かしこ)まりたる力石⑨力石凭(もた)れ合ひして春寒し⑨力石王子の花に並び座す⑨水仙の合唱を聴く力石⑨時雨るるや畏まりたる力石⑨力石庭に額づき神迎⑨
 力石王子に鎮座神迎⑨力石畏まりして神迎⑨露けしや王子の跡の力石⑨力石時雨顔して神無月⑨
〔高見洋三〕草紅葉河津ゆかりの力石①
〔高道章〕夏草にふたつ重ねて力石⑪
〔高村令子〕梅天神二つ並びし力石①
〔高本がん〕堂裏の若葉明りに力石⑥竹落葉堂の静寂に力石⑥
髙安せい子初詣奥社に鎮座力石⑫
〔武井まゆみ〕秋うらら窪みもまろき力石⑪五月雨や苔つやつやと力石⑪秋興に持ち上げてみる弥勤石⑪
〔武井康弘〕力石蛙飛びつく大神社⑨
室の八嶋蛙飛び付く力石⑩風囲(かぜかこひ)神社に鎮座力石⑩
〔竹内弘子〕青葉光おんあびらうんけん力石⑩
竹内律子〕緑蔭の「力石」試す若きパパ⑪
〔武田花果〕力石灼けて突くかに元寇碑⑪
〔武田禪次〕鯛網や波止場に並ぶ力石⑪
〔竹笛〕蝉しぐれ丸み増したる力石④
〔竹森美喜〕力石試す気はなし業平忌⑪豊の秋五十貫もの力石⑫
〔田島和生〕一の宮苔の花咲く力石⑩
〔田島貞雄〕力石句碑に新門辰五郎⑦
〔多田悦子〕虫干のさまに並ぶる力石⑪
〔立崎ひかり〕小雀のとんと飛び乗る力石⑩苔の花五十貫目の力石⑫
〔竪ヤエ子〕力石稲荷の桜紅葉初む①
〔立脇操〕秋の野を転がりさうな力石十薬に囲まれている力石新春のどんと置かれし力石露けしや注連を廻らす力石⑥
〔田中一美〕力石に細き縄影島うらら④冬日まろし二十八貫の手玉石④
〔田中彼方〕力石五拾五貫余露しぐれ七之助奉納し力石(いし)に秋の草野ざらしの露こぼれゆく力石草茂るままに暮れゆく力石
〔田中京〕戦はぬシャモ秋麗の力石⑫
〔田中順〕紅梅の下にどつかと力石⑦
〔田中滝子〕力石苔むすまでも其処に在り⑦
〔田中紘美〕銀杏は力石とは知らず落ち⑦冬日向幾年御座す力石⑦
〔田中ゆきみ〕蝉の声したたかとあり力石
〔田中與志子〕切り干しの筵に一つ力石⑤
〔谷克己〕優男(やさおとこ)明日は明日はと素通りし⑦たまり場に自慢の声が行き交いし⑦鬼が来て漬け物石に持ち帰り⑧比べあう自慢話に石歩く⑧村町(むらまち)の歴史を語る道標(みちしるべ)⑧
 軽々と持ち上げてるのは夢の中⑧まだまだの修行足らずと石笑う⑧歳明ける動かぬ石にも鐘響き⑧石も泣く努力三年(みとせ)の冬の朝⑨信念を曲げぬ力で石動き⑨変わりゆく町を見守り幾年ぞ⑨
 雪帽子かぶる姿や辻の角⑨若者に負けじと石も腕磨く⑨
〔谷久雄〕秋深し今は昔の力石村祭ちから自慢の力石
〔谷口晃成〕刻字消え藪蚊立たせし力石蝉捕りのすこしとどかぬ力石半分は凍土かぶり力石
〔谷口和子〕庭涼し建御名方(たけみなかた)の力石
〔谷野由紀子〕色鳥や座布に据ゑたる力石②梅雨あがる寺に三つの力石⑫
〔田野倉和世〕頭を揃へ宮居に灼くる力石⑪江戸農家の庭に繡線菊力石⑫夏炉焚く古民家前の力石⑫蜩や文字くっきりと力石⑫力石と刻む字秋日濃かりけり⑫力石を上ぐる鋼の肌の汗⑫
〔田端薫〕力石亡父と競へる夫の汗
〔田端睦雄〕ドスン胸越しきらんかたげ石①
〔田原山人〕落し文三十貫の力石⑥
〔珠子〕二礼二拍花びら溜める力石⑥
〔田村公平〕冬ざれや持てるはずなき力石⑦
〔智恵子〕釈迦堂を抜けて緑蔭力石⑩
〔近沢正人〕秋晴れや小兵が担ぐ力石③渾身に稔りの秋を力石③
〔直心〕万緑や尾道にある力石①
〔千草啓一〕卯の助の刻印無きも力石⑧桜散る境内に咲く力石⑧お参りのパワー授かる力石⑧刻印の意味解せぬが力石(いし)二つ⑧彩の国天保の力石(いし)が久伊豆に⑧越谷に鎮座まします三の宮⑧
 地まつりに俵かついで米褒美⑧椿咲く社に鎮座卯之助が⑧しめ縄が霊験あらた力石⑧刻まれし五十貫の力石⑧天保力石(いし)朝陽を浴びて輝けり⑧力石縁起かついで宮参り 
〔筑紫次郎〕秋高し宮司の祓ふ力石
〔遅足〕七椙の大きな陰に昼寝かな⑥
〔千々和恵美子〕春時雨いよよ動かぬ力石⑬力石いま月光に浮き上る⑬
〔知念哲庵〕夏場所や片手で挙ぐる力石③
〔哲庵〕初午やぐいと差し上ぐ力石⑬
〔茅野溪水〕ちから石冬日をしかとなか空に⑥
〔千葉喬子〕鎌倉の秋や祖神の力石⑪権五郎の武勇身に入む手玉石⑪四手を吹く色なき風や袂石⑪厄日来るたぢろぎもせで力石⑪力石に海の記憶や男郎花⑪建替へや秋草に置く力石⑪
 秋濤寄す島奥院の力石⑪腰越状守るや時雨の手玉石⑪弁慶の汗の腕や手玉石⑫手玉石を過る江ノ電小鳥来る⑫弓立松の枯れを見てをり力石⑫
〔茶猫〕稲の香や以外に小さき力石⑦桜蘂ふる産土の力石⑦
〔地湧〕神社には武士(もののふ)鍛える力石⑫
〔千代子〕下萌えて担ぐ人なき力石⑨
下萌えて殿と動かぬ力石⑬
〔塚本道子〕顔のない男が石を抱いてくる①
〔佃実〕力石余熱残れり夏の夜⑦萩咲いて名刹に座す力石⑦草茂る中に立札力石⑧
〔辻トシ〕万緑の宮に鎮座す力石白蛇祀る垣の礎力石秋晴れの御堂の陰の力石
〔辻二喜子〕秋祭ありし主役の埋もれ石秋天の大燈籠の力石子等遊び社の萩の三つ石子等の声三つ石並び天高く
〔辻井桂子〕力石二つ並びて草紅葉
〔辻が花〕老鶯や産土神の力石⑩
〔辻光政〕力石空を見上げて細雪⑦
〔筒井みつ江〕赤とんぼひとつとまりし力石
〔角田晶生〕壮士(ますらお)の抱ける想い力石高く奉げるそいと一息⑦染みたるは汗のみならず力石是非に聞きたし何の染みたる⑨成し遂げし吐息も荒く血管の両の腕(かいな)に浮かび脈打つ⑨
 
冬空に何も語らぬ力石くちなきおもいいかにはからむ⑩人々の想い担いし力石益荒男どもが戯れの跡⑩境内の隅に転がり眠りたる力石(いし)の見たるは在りし日の夢⑩
 公(きみ)がため力(つと)め果たさん石かたく奉げ持上(もた)げん二十六貫⑫さねさし相模国(さがむのくに)の腰越の小動山(こゆるぎやま)の神すさぶ力石(いし)⑫
〔角田桑里〕若草に転がってゐる力石⑩
〔椿本格三〕初明り光返せし力石力石男の汗の染み光る春の雪落ちては溶けぬ力石嬌声も飛び力持ち競ふ秋朱のもみぢ力比べの頬に散る名月に定かに泛(うか)ぶ力石
 藁塚囲む村の鎮守の力石持ち上げし石を濡らせし秋時雨担ぐほど汗の重みや力石⑤磐石や稲架の向かうに神の森⑤積りたる雪の丸みや力石磐石を秋の時雨の鎮めたる
〔坪内秋野風〕冬温し棚の中なる力石力石貫匁で表示して寒し放置さる盤持石にある余寒春を待つ盤持石の五つかな春寒し宮居に残る力石
〔土永竜仙子〕待春の丸き顔して力石①
〔鶴井玲子〕遠き日の青空高く力石⑩誇らしく持ち上げ示す一人前⑩
〔鶴崎久枝〕秋燕や水屋の横に力石
〔鶴田武子〕風花や大きさ違ふ力石薫風や少し動かす力石
〔出口サツエ〕小鳥来る海人の社に力石⑥
〔テツコ〕待春や土に埋もれし力石
〔てつや〕冬すみれ咲いて名のある力石③
〔徹矢〕力石並ぶ境内四万六千日⑧
〔寺本ひで子〕石二つ声なく置かれ秋日和①秋深し丸三角の力石長老の話の涼し力石判読の出来ぬ字涼し力石
出羽里石〕力石王子の花に競ひけん⑨
土肥あき子〕冬晴やふたつ揃ひの力石⑬力石伍拾五貫目風薫る⑬
〔土居静香〕力石影を一つに冬に入る⑨
〔戸板康二〕初不動江戸のむかしの力石④
橙黄子〕磐石へ道ののりたる落葉かな⑤
道舟〕夏場所や綱歴代の力石⑧
徹〕宵宮にて男が競う力くらべ⑫
〔トシばあちゃん〕力石太陽の光に輝きぬ⑦力石手を合わせれば願い事力石持てないままにだいている⑦力石重くて持てぬ幼き子⑦力石雪におおわれ美しい⑦力石寒さに負けず鎮座する⑦
 力石遠い昔より鎮座する⑦秋空をそめて拝む力石⑦力石おがめば長生きできるでしょう⑦
徳安実蔵〕力石かつぐ力で世をかつげ④
〔德山八重子〕春日和力石守る樟大樹⑬
十倉和子 渾身の蝉の声弾く力石力石に挑す若い衆祭前
ととろ〕初詣五十貫目の力石④
TOTORO〕梅雨晴や苔の生えたる力石⑩
殿尾千恵〕秋声や家守りゐる力石②秋声や代々のこる力石②力石座する山風秋の声③
〔土橋正子〕無患子や享保と記す力石注連飾る郷土自慢の力石
〔飛田小馬々〕実梅落つ立て札欠けたる力石
〔富田久右衛門〕いつまでも変らぬ御代の力石六十一で心持よさ③
〔富田澄江〕啓蟄の志演神社の力石③
(智理北杜)力石男気示す神事ぞと古(いにしえ)今に伝うる標(しるべ)⑭
〔豊実〕小鳥来て和らぐ杜や力石⑬
〔鳥居美智子〕うららかに指の窪ある力石④
とりけら〕雨上がり生き生き緑力石⑫
鳥越梺〕炎天や真黒き鬼の力石⑩

内藤静力石蹴つて飛び立つ初雀⑨
〔内藤羊皐〕ねんねこや社傍への力石⑩
〔なおこ・宗田桔梗〕紅葉影揺れ通しなる力石⑬秋日いま光と影に力石⑬
〔長井敦子〕かげろへる火の見櫓や力石⑪蟻の巣やおむすび型の力石⑫てふてふや差し石およそ三十貫⑫ 
〔中井一雄〕秋の蚊のよろけ出づるや力石 ④
〔長井那智子〕青嵐駆け降りたる参道を昇り到れば力石あり⑥
永井三枝 こども相撲の社や注連飾巻く力石⑬
〔仲井義明〕天高し子らの跨がる力石
〔永井良和〕ニコライの鐘きく春夜の力石⑨力石まつりの騒の遠くあり⑨春雷や鬼が置き去る力石⑨朧めく重さ明かさぬ力石⑨力石洗ふ飛沫に冬の虹⑬
〔永井玲子〕力石転げて来さう春一番⑬
〔仲尾弥栄子〕蟷螂の構へてゐたる力石神の留守諸手に余る力石(仲尾弥栄子)
〔長岡実〕力石試す子どもや夏祭り④鉢巻の浴衣姿や試し石④汗浮かべじっとたえゐる力石④持ち上げて汗の笑顔や力石④
〔中川達雄〕弁慶の力石とや草青む
〔中川晴美〕七斗石担ぐ褌や祭笛①差し石につけても父を秋風裡力石競うて秋の里神楽浦祭を明日に運べる力石
〔長倉千代〕過し世のロマンを語る力石⑥時は今忘れないでと力石⑥力あり病いも癒す力石⑥粋だよね男を示す力石⑥雨に濡れイケメンだよね力石⑥過疎の村忘れ去られた力石⑥
 春浅し冨士を見上げる力石⑨笹鳴きをじっと聞いてる力石⑨若衆の汗のにじんだ力石⑨ふる里の寺に座したる力石⑨力石静かに見ている秋祭り⑨落椿力石をもかくしおり⑨
〔ながこ〕卯の花や連れの上げたる力石⑪緑蔭や試してみたき力石⑪青水無月まう上げられぬ力石⑪木下闇濡るることなき力石⑪
〔中斎ゆうこ〕力石ひびに触れもす愁思かな秋興や腰かけてみる力石
〔中澤清〕あきらめて腰をかけたか力石⑦さし上げる桜載せたる力石⑦赤とんぼちょっと休んだ力石⑧夕焼けに見とれ休んだ力石⑧つくしんぼ横から顔出す力石⑧幼子もためしてみるか力石⑧
〔中嶋きよし〕力石蟻登り来て仰ぐ空⑪花苔を纏ひ幾年担ぎ石⑪力石担ぐつもりか蟻集ふ⑫さし石の撫で肩叩く木の実かな⑫さし石はどんと台座に神送る⑫
〔中嶋富雄〕うだる夏凛とたたずむ力石⑫緑陰に苔のむしたる力石⑫
〔中島八起〕新緑に鎮もる杜の力石⑪
〔中者正機〕注連の藁打つにほどよき力石⑦
〔永田英子〕仲仕の名彫りし秋暑の力石⑤
〔永田二三子〕秋蝉や集めてありし力石④
〔永田満徳〕さへづりのつぶだちてくる力石⑧
〔中田真綾〕五月雨を曲げて伝わす力石⑫
〔中谷葉留〕冬ぬくし柵の中なる力石⑨
〔長谷弘〕進学の子を占ってみる力石④力石自慢の腕汗光る④境内の紅葉映して力石④力石雪に埋もれて時機を待つ④
〔中塚玲子〕たんぽぽを咲かせ二トンの力石①
〔永廣結衣〕力石インスタ映えの春拾ふ⑫力石座りたさうに春休み⑫
〔長戸健市〕萬緑の色に伝はる力石⑩
〔中西美穂子〕雷はげし対峙せしごと力石夏草や埋もれし石にある力丸々と月日を重ね露の石夏草や埋まるる石の力秘め
〔長野眸〕松過ぎの今年は重き力石⑥
〔永淵惠子〕力石動いてゐたる宮日あと⑨
〔中御門あや〕なだらかなさし石三つ草青む②
〔中村和子〕夏落葉一枚のせて力石③
〔中村和弘〕啓蟄の最もすみに力石⑨
〔中村克久〕差し石の番付を見る浦祭
〔中村圭吾〕この石をあげたら言うぞ愛してる⑧
〔中村武男〕頭が暗くなる炎天の力石⑩冬霧を来て黎明の力石⑩
〔中村千恵子〕蝉ぬけし穴八方に力石⑩
〔中村千久〕木の葉散る五十貫目の力石⑩
〔中村幹子〕眼を閉ぢて触れれば聞こゆ力石(いし)の声⑪祭りの夜娘子魅せん力石⑪勇み肌祭りの主役力石⑪力石祭囃子に勇み肌⑪注連縄を掛けてこの力石(いし)晴れ姿⑪
 祭りの夜社の隅の力石目覚めて見るや今の賑わい⑪力石挑む男にほれぼれと娘のありて力瘤⑪昔人の祭りの証しよ力石⑫国巡り己の歴史遺しゆく力石なる関取り表よ⑫
 名告(なの)らねば路傍の石よ力石⑫大磐石年縄をしめ土俵上年縄をゆつたりと締め大磐石
〔仲山クニ子〕しばらくは青葉時雨の力石⑫
〔灘岡怜子〕力石寂と境内苔の花⑥樟若葉日差しをはじき力石⑥蟻地獄覗く床下力石⑥
〔夏柿〕匂ひ立つ茅の輪の先に力石⑨
〔夏目〕伝説になった惣作神の石⑩神の石子供相撲に目を細め⑩惣作よ良くぞ担いだ神の石⑪
〔波野〕春の雲役目を終えし力石⑧
〔浪速の長州力〕力石上げれば天国落とせば地獄⑧
菜々〕金秋の洩れ日を浴びる力石力石銘の達筆さはやかに歌膝に力石撫ず木の葉髪力石三つ並びて日向ぼこどんぐりの杜にまろびて力石力石武蔵決闘碑に並ぶ
 力石冷ゆ一乗寺下がり松
 小鳥来るおむすびに似し力石⑩豊年や俵型なる力石⑩平成の小春にまろぶ力石⑩
〔鍋井健弘〕葉桜や客見送りし力石⑫
〔鍋島広〕力石に朝日の翳りちよつとこい⑪
〔並木邑人〕帰るさの気紛れ梅の力石
〔行方克巳〕夏落葉大磐石にとまりけり⑧
楢崎智恵子きらん草紫紺に敷きて力石
〔成田美代〕落蝉や軽く叩きて力石⑨秋暑く撫でて三つの力石⑩
〔縄田惠子〕新緑の神社の隅の力石⑫
〔南陽彰悟〕古枝地に着き新芽出て満開樹齢は600年細長丸形力石⑩
〔生川弥生〕刻(とき)かけて北風さらされ力石⑦我一番木枯あらがふ力石(生川弥生)⑦
〔鳴海清美〕六月の陰りありけり力石①
〔新倉眞理〕力石に太々巻ける注連飾⑫梅ふふむ枕のごとき力石⑬
〔新保主〕炎昼や肌着掛けある力石打水のすぐに乾ける力石
〔新保笑子〕磐石に張り付くやうな冬の蜂冬天や個個に名の有り力石
〔新保康子〕冬の日や路標にまがふ力石
〔仁木道代〕秋風や今は用なき力石①萩の野に力だめしの石四つ②声かけて角力けいこの力石③
〔西尾京子〕秋澄むや触れて息づく力石⑫
〔西尾芳子〕里宮に神楽の太鼓力石⑥宮の灯の点り神楽や力石⑥神楽酒酔ひ痴れし人力石⑥力石と宮も古りし里神楽⑥里人の集ふ神楽や力石⑥力石座る宮居や里神楽⑥葉桜や昔も今も力石⑥
 新樹光自慢の祖父の力石⑥短夜の祖父の語りし力石⑥桐の花祖父が掲へし力石⑥宮若葉土俵名残や力石⑥接待の草餅ぬくし力石⑥遍路みち鈴の音響く力石⑥堂縁に草笛吹く子力石⑥
 栗の花匂ふお堂や力石⑥田植終へお堂に憩ふ力石⑥去年今年宮の灯りや力石⑦亥の子唄宮に聞こゆる力石⑦初詣子等にぎやかに力石⑦くれなゐの落葉を載せし力石⑦力石木の葉時雨の中にあり⑦
 暮早し参道脇の力石⑨時雨るゝや社の庭の力石⑨初詣力石にも声をかけ⑨力石ならぶお堂や初詣⑩
〔西聰太郎〕あやめ咲く室の八島や力石⑧
〔西村敏子〕豊の秋史跡に置かる力石⑬
〔西村なぎさ〕天高し五十貫余の力石⑬
〔西村麻紀〕涅槃西風ぐいと触れたる力石⑬
〔西村雅夫〕寒明や力を秘めし力石⑥
〔西村美由紀〕秋暑し担ぐ人なき力石③雷神に揺がぬ宮の力石③力石羽根を休めて赤蜻蛉③秋風や忘れられゆく力石③夕立に打たれし神の力石③人知れず風雪に耐へる力石⑤月揺れて漁火遠く力石⑤
 春惜しむ宮の片隅力石⑤満月に見られてをりし力石⑤もう読めぬ字の薄れたる力石⑤目の前に鰯雲ある力石⑤早春のあまねく日ざし力石⑤明の春掃き清められ力石⑥峯の宮歴史を語る力石⑥
 初御空でんと構へて力石⑥法師蝉鳴く小社の力石⑥満月や音一切あらず力石⑥星空を湛えて避暑の力石⑥
〔西山かず〕力石三つ並んで夏に入る⑥苔の花昔を語る力石⑥
〔西山サチ子〕力石片陰にあり艶持てり梅雨空に角落としたる力石
〔新田雅一〕暖かや境内の脇力石⑨春の日の郷人集う力石⑨
〔二宮英子〕力石撫でて立ち去る桃の花⑩
〔丹生谷劔多利〕佃暑し鬼が上げたか力石①力石あれば持ち上げてみたいような②
若ものの目になって見る力石⑥力比べの若者もいない夏⑥
〔丹羽みどり〕秋の田の小高き杜の力石新米を供へし宮の力石爽やかに翁の語る力石力石湧き立つ蝉の声の中微動だにせぬ炎天の力石蝉採りの親子撫でゆきう力石⑤
 力石撫でる日焼の太き腕⑤今年米供ふ社の力石⑤鳥居より虹を抱きし力石⑤
〔根岸三恵子〕力石祀られてをり午祭⑬
〔野木編〕力石おれがおれがと群とんぼ⑩花苔の靴跡くつきり力石⑪下萌や古き社の力石⑪
〔野口雨情〕福野四つ角人寄せ石はひるの日中も寝てばかり⑤
〔野口加津美〕力石影に寄り来る寒さあり⑥力石根のある如き寒さかな⑥力石居据ってをり竜の玉⑥
〔野坂潭〕秋雨やまあるく濡れし力石⑧春愁や重さうにある力石⑨
〔野崎フク子〕緑陰に五十貫もの力石⑥
〔野村喜舟〕力石落葉の中に据りけり④
〔野村真富〕色男力と金はなかりけり④
〔紀子〕力石三十五貫日短①
〔海苔子〕春夕焼赤き文字浮く力石④さし石の朱き文字消す冬の雨④
〔のり子〕手弱女の凭る紅葉や力石⑤力石明るくなりし枯木山⑤力石硬く巻きたる冬キャベツ⑤竜の玉鑿跡浅き力石⑤冬草の色あはあはと力石⑤綿虫や土にめりこむ力石⑤
〔則子〕天高し五十貫余の力石⑨
〔のんちゃん〕炎昼や微動だにせぬ力石⑤
【は】
〔梅翁〕うかれ女なれとつよき心中大磯に残すかたみの力いし④
俳人男〕宮若葉鉛色なす力石⑪
〔俳人二百面相〕春泥や肩に差し上ぐ力石⑨
秋冷やぎくりと腰に力石⑩
〔萩原和子〕暗がりに虫鳴く寺の力石百日紅真下にありし力石尼寺の力石とは文字刻む
萩原まさこ〕小鳥来る日のぬくもりの力石⑪露けしや宿場の端の力石⑪力石へ急なきざはし鵙猛る⑪
〔萩原陽里〕炎昼やどこへも行けぬ力石⑪木下闇梃子でも退かぬ力石⑬転がりて神楽笛聴く力石⑬
〔はく子〕神苑の力石より秋の声暦日の苔露けしや力石⑧
触れもしてあひ秋惜しむ力石⑮小鳥来る巨卵のごとき力石⑩歴年の汗の滲みたる力石⑩力石四角三角宮四温⑫さざんかの花びら載せて力石⑫
〔白雲〕秋しぐれ力石あり村の辻⑦
〔箱崎昭〕初詣語り草聞く力石⑫力石若者たちの糧となり⑫
〔橋口熱子〕奥殿にさし石三つ花の昼②
〔橋爪吉雄〕秋日和切付のある力石秋日さす二つ並びて力石力石ここにありけり天高し
〔橋本恭子〕秋闌くや丸し丸しと力石⑫力石に紅葉衾の二三枚⑫七五三聲余所に聞く力石⑫
橋本京子 初春やためす稲荷の力石
〔橋本まり子〕春の雪小栗判官力石⑧
〔芭蕉〕春を経し七ツの年の力石❖「出羽羽黒山本坊において、元禄二、六、四」①
〔長谷川霜月〕古稀よりは永き枯野や力石⑧鵙鳴いて休むことなし力石⑧
〔長谷川瞳〕初蝶は牛若丸か「弁慶の力石」てふ石に止まれり⑥
〔秦なつ〕石臼を餅つく場所に持ち運ぶ力石揚げし腕持て祭ばち力石持たげし人と紅葉狩秋うらら力石抱き恋芽生ふのどかさや世変り置かる力石
〔服部武〕長き夜に語り継がれし力石力石苔むし今は夏草に鏡餅賭けて挑んだ力石
〔服部善男〕先人の汗がしみ入る力石⑦力石誰かためしてほしそうな⑦力石いつからそこに居るのやら⑧
〔法被衣〕力石あまた並びて油蝉⑧
〔英平八郎〕掌の汗を拭きて一撫で力石⑦浄蓮寺西日に染みる力石⑦試めさずに触れて旱の力石⑧晩年と言ふ掌に触れて旱力石⑧力石九十キロの灼けに触れ⑧乾きたる力石も恵みの夏の雨⑧
 秋霖に濡れて艶めく力石⑧去年今年此処に鎮まる力石⑧力石御館に示す年新た⑧力石緑雨に濡れて青さ増す⑧
〔馬場良亀〕夏の夜を競ひし昔力石①
〔羽林〕秋暑し男を試す力石⑦
〔馬場菜摘〕炎天に忘れられしか力石③今はたゞ灼くるのみなる力石③力石海軍記念日忘れざる③
〔ばふき〕力石水無し池の傍にあり庭師の手入れが行き届いて居る⑨力石固定されたる風情なり動かせそうにないのが残念⑨力石五穀豊穣願うもの祭礼の具よ皆を集めて⑨
〔浜田優子〕春女苑山の形の力石⑪
〔塙光子〕力石腹ひくひくと瑠璃蜥蜴⑪
〔浜崎秀吉〕二才中(青年)のことなら俺に聞けと無言の石④
〔林貞子〕風雪に耐えいる五個の力石春祭みなぎる力ちから石力石日差をあびて山笑う
〔林千代子〕朝露の流るる跡の力石秋暑しぬくもり残る力石とんぼ飛ぶ野路に鎮座の力石
〔林淑子〕蝶々も羽を休める昼下がり⑦
〔林紀夫〕下萌や軽きにみゆる力石⑪
〔林保夫〕若連の力比べの夢の跡⑪
〔速見洋子〕緑陰に神の依代力石⑫優勝を賭ける力士の力石⑫おもかる石双手に軽し春の雪⑫
〔原茂美〕ちちろ鳴く宮に二つの力石小鳥来る樟の根元に力石②白露やしこ名刻める力石⑧
〔原田しずえ〕川石を力石とす初紅葉⑩
〔原田千寿子〕 薫風や白鵬といふ力石⑬
〔原田ミチ子〕敷松葉幾代眠らせ担ぎ石⑫
〔原田峯子〕秋祭いにしえびとの力石⑪
〔針ヶ谷隆一〕石蕗咲けり乾ききったる力石①
〔播广義春〕滝しぶきかかる鬼八の力石⑥力石を挙げて意気込む年の暮れ⑥緑陰に彼の僧兵の力石
〔治男〕弁慶の力石あり秋の橋⑦力石の句歌あつめし本涼し⑧
〔春生〕力石家宝に稲を刈りにけり⑥
〔春名あけみ〕江の島に花の雨降る力石⑪
〔東人はるひと〕秋蝉や累々と臥す力石⑧秋冷や自己申告の力石⑧
〔半澤ひ〕緑陰や文字の薄れし力石⑬
〔半田卓郎〕ちちろ鳴く永遠の命の力石⑩
〔ひかり〕力石銘は横綱菊の紋宮相撲揃ひ踏みめく力石村祭り土俵の脇に力石出来秋の宮に伝はる力石秋日洩る樹下大小の力石力石寄せて祀りし宮さやか宮小春誰も彼も撫づ力石
 
力石宝と寄せし宮さやか
〔蟇目良雨〕緑蔭に息凝らしけり力石①緑蔭に大中小の力石
〔樋口威虎〕緑陰の斑影受けし力石残鶯の声幽かなり力石仏法僧鳴く境内や力石
〔ひこばえ日向亮司〕六日はや忘られもして力石⑩五月雨や小さくも見え力石⑩
〔比沙子〕冬ざれやどかんとかまへ力石⑧一枚の寒晴れを乗せ力石⑨
〔久重凛子〕凍蝶の息ととのふる力石
〔久田青藤〕力石訪ぬる道に秋の雨
〔久松久子〕一陣の爽籟一乗力石⑫
日髙道を〕力石やや重たげに冬の庭
〔秀子〕三伏の社にあまた力石⑩
〔秀島千鶴〕梅東風や四拾八貫力石④
〔英世〕紅葉散る大横綱の力石⑨袴著や大横綱の力石⑨
〔日根野聖子〕力石もち上げるふり秋うらら⑪か弱さを演じて秋の力石⑪ばあちやんの草餅のやう力石⑫蟻這うてこそばゆさうな力石⑫甲斐性を形にすれば力石
〔檜鼻ことは〕汗の子や集ひし辻の力石
〔百鬼〕赤とんぼに去られて只の力石⑥
〔百姓〕秋立ちて重軽石の軽きかな③
〔百丈〕ちから持ち汗かく業もすすみかな①
〔兵頭正敏〕意思あらば動かざるものなし力石⑤恐竜の卵にまごう力石⑤夏草や鳥居を守る力石⑤その力恵み下され力石⑤我が力いざ試みん力石⑤力石尋ねあぐねて力尽き⑤これこそが力石ぞと思いきに⑤ 我が望み世に再びの力石⑤その昔集うや村人力石⑤力こぶ百千倍の力石⑤寄りそえる夫婦のごとく力石⑤試みる人絶えたるか力石⑤苔むしてしばし憩える力石⑤刻みたる文字跡かすむ力石⑤
 厳かに鎮座まします力石⑤持つは無理尻の下なる力石⑤力石金と力は無かりけり⑤へめぐりて憩う社の力石⑤
〔平井さち子〕春昼や誰も試さぬ力石①
〔平井智子〕力石たたいてなぜて初詣③
〔平井秀策〕薫風や五つ六つと力石⑥古里に力石あり竹落葉⑥
〔平井正次〕霜の朝力石押しのけ蕗の薹⑥坊さんも墓石になりて力石⑥
〔平井紀夫〕うららかや大小並ぶ力石⑩夏の日や榊の蔭に力石⑩爽やかに薄明纏ふ力石⑪
〔平岩新〕権五郎鎌倉一の力持ち⑩
〔平野紀美子〕草萌ゆる磐持石に小糠雨磐持の謂かすれし花の冷え
〔平野杉盗子〕力石に添ふて一ひら桜かな⑧力石上げし男や雑煮餅⑧杖ついて眺む祭や力石⑧木枯しの力石にも挑むなり⑧稲刈るや社にどかと力石⑧
〔平野貴〕力石力石秋風が見え①
〔肥留間康一炎天の木陰にひっそり力石
〔廣川敏子〕春桜咲く桜散る古の力比べ⑥
〔廣上正市〕桜蘂(しべ)降る曽我兄弟の力石⑩
〔弘子〕囀りや五拾五貫目力石⑩
〔ひろ志〕寒ゆるむ境内に置く力石⑬力石かつぐ漢の大くさめ⑬若衆の担ぐ大石春夕焼⑬下萌や庭に転ぐる力石⑬春の庭力試しの抱へ石⑬石担ぐ力自慢に飛ぶ蜻蛉⑬
〔広渡敬雄〕ひんやりと力石あり宵祭⑫潮の香の樟の若葉や力石⑬白幡に茅花流しや力石⑬
〔廣瀬雅男〕朴落葉被りてゐたり力石⑨
初詣力石にて休みけり⑫
〔ひろちゃん〕佐保姫の座り給ふや力石⑧春陰の農の庭なる力石⑧農の家どつかと凍てし力石⑨力石残して廃れ農の家⑩三月や力やや抜き力石⑪
〔宏虎力石由緒の重さ秋惜しむ力石侍らしておる冬木かな
木の葉髪持ち上げられぬ力石⑩手を添へて秋声聞かむ力石⑪鈴虫の鈴振りやまぬ力石⑪新松子落ちて刎ねたる力石⑪
〔廣畑育子〕力石置かるる宮に佗助咲く④
〔皓皓〕慰霊碑や秋に後るる力石⑧
〔風天〕力石夏日に焼けてをりにけり⑨
〔深川知子〕冬草のなほ青あおと力石②
〔深沢伊都子〕新涼や手尺で計る力石⑫
〔福井芳野〕力石五十貫とや蚊の名残り⑫
〔福江ちえり〕炎昼や手擦れのしるき力石巣穴より蟻湧き出せば力石⑥秋雨や苔のかがふる力石白露や貫目を刻む細き文字⑥肌色の盤持石へ秋の雨⑥秋草を四方に倒せる力石⑥
 神の留守門前に立つ力石⑥苔むせば落葉の刺さる力石下萌や盤持石の影まろし根上りの藤に抱かれ力石青蛙盤持石に坐りけり夏闇に対の灯明力石病葉の掠めて散るや力石
 まづ夫の触るるさし石夏祭炎帝の盤持石へ諸手かなさし石の刻字の摩滅夏の露横たはる抱き石に触れ原爆忌拝殿に並ぶさし石初茜⑩さし石の刻字うるほふ春の雪⑩
〔福岡勇〕力石話を聞きに出たならば我が祖先の名が出る内田金蔵今日も墓石に花と香を
〔福岡三品〕田植機の止め置くところ力石⑥雨合羽投げ掛けられし力石⑥大杉の空ろにむささび力石⑥
〔福岡モモエ〕時鳥社に尋ぬ力石⑥大杉の新緑暗き力石⑥小流れの水音夏めく力石⑥
〔福島きさ子〕つちふるや漁港に二個の力石
〔福島せいぎ〕お遍路が腰掛けてゐる力石①露しとど女人が試す力石⑩
〔福田多計夫〕力石くろきは汗の手型かも
〔福田太ろを〕十の文字四っつの重き花の昼落葉浴ぶ埋もれし力石(いし)に染みひとつ大磐石の銘春光に隠れなし②ひめみやさまのすみれやさしき力石②力石ぬくし仁王の力瘤
 蟻穴を出でて上がれる力石春落葉老樹が護る力石寒月に腰を浮かせる力石
〔福冨清子〕秋茜つんつん寄り来力石⑧
〔福村陽子〕ひつそりと力石なる春日かげ若い衆の汗のにほひの力石
〔藤井一彦〕力石強者どもが夢の跡④木漏れ日に静かに眠る力石④力石あゝ力石力石④今年こそ上げてみせるぞ力石④力石上げた男の仁王面④赤鬼の顔して上げる力石④
〔藤井ただし〕楠若葉語らざれども力石③力石負ひ素戔鳴の神還る⑥
〔藤井なお子〕力石半分埋れ麦の秋⑪緑陰や続々消ゆる力石⑪
〔藤枝昌文〕さし石を一重二重の蟻地獄⑩初しぐれ宮に無銘の力石⑩産土神の磐持石の秋湿り⑩産土神の秋の日の斑の担ぎ石⑩一枚の楠落葉置く力石⑩力石の担ふ梵鐘木の実落つ⑩
 力石に柞(ははそ)紅葉の二三片⑪
〔藤岡稔郎〕力石担ぎあげたる涼しさよ①
藤垣とみ江〕磴(とう)上るヨイショ炎暑の力石⑩
藤倉頼江華鬘草(けまんそう)の影をもらひし力石⑬
藤田千代子〕冬日向八十貫の力石⑦
〔藤田良〕春愁や艶々とある力石⑨
〔藤永善章〕わかき日のおもかげしのぶ力石①
〔藤野某〕小春日や手擦れて丸き力石④
〔藤原俊朗〕参道の十三の石風薫る⑪神前に紅葉そめたる力石⑪野分だつ微動だにせぬ力石⑪青嵐力試しの石七個⑪春の日や形のたがふ力石⑬
〔布施まさ子〕力石打つてころがる木の実かな④
〔ブチ君〕成人式に力石かつぐひ孫かな⑦
文雄〕梅雨空にドスンとふたつ力石⑩
〔古岡壽美恵〕にび色に沙羅の芽吹きや力石⑦緑立つ松の根方や力石⑧
〔古川一耕〕若きどち集い競いしバン持ちの石に触れれば秋陽の温し①
〔古川さかえ〕冬晴るる宮に昔の力石①
〔古川泰山〕秋雨に艶めく苔や力石⑧
〔文蔵〕沈丁や八十貫の力石④草萌や文字の朱の浮く力石④力石転がる社草萌ゆる④蟋蟀の本降りとなる力石⑥
〔文ちゃん〕うろこ雲岬に三つの力石⑦
〔眸子〕寒菊や浪除稲荷の力石④
〔坊城俊樹〕江戸の世の春を重ねて力石⑬
望生ちから石揚げて臍にも夏休み⑩
〔鉾崎ちえみ〕力石気も集まれば軽くなり③大丈夫と元気与えし力石(鉾崎ちえみ)③
〔細川悦子〕力石昔偲ぶや蝉時雨力石庇護せし古刹ちゝろ鳴く剛力を偲ぶ小社(おやしろ)夏木立
〔星川波〕力石ゆすりて子等の夏休み⑥
〔保泉一生〕朽ち果てし社の庭の力石安永二年の刻み文字見ゆ⑦
〔蛍〕斑雪伝金時の力石⑥
〔掘一郎〕木の葉雨二人で挑む返し石
〔堀井より子〕楠若葉四十八貫の力石⑪青嵐永久にあがらぬ力石⑪蟻の列やすやすのぼる力石⑪
〔堀越純〕枯芭蕉室の八嶋の力石⑧
〔堀瞳子〕影四つ置く力石つづれさせ?
〔堀向博子〕椎若葉日を照りかへす力石
〔ぽんこ〕色変へぬ松のしもとに力石樹下さやか謂れ札読む力石遥拝所そびらに秋気力石力石まぶしからずや秋日落つ堆(うずた)かき落葉に埋もる力石下闇に苔むしてをる力石
 樹下涼し謂れ札たつ力石⑩小鳥来る連理の大樹力石⑩力石へと黄落す百年樹⑪もの言はぬ力石撫ぜ秋惜しむ⑫堆き樟の落葉に力石⑫こすもすに撫でられてをる力石⑫黙として酷暑に耐ふる力石⑫
 手に触れて日の温みある力石⑫夏の日を避けるすべなし力石⑬
〔凡士〕蝉しぐれ文殊の寺に力石⑪下闇に知恵つくとゐふ力石⑪降りしきる松葉に埋もる力石⑪緑陰に従軍の碑と力石⑪蛞蝓の銀の道あり力石⑪桐一葉落ちたるところ力石⑫力石発止と打ちて椿落つ⑫
 月光の一条力石を射す⑫
〔本多静枝〕文月の光を反し力石
蝉時雨鎮守の杜の力石力石祭の子らの囲みをり
本玉秀夫〕啓蟄や動かぬものに力石⑩
〔本多遊子〕力石に岩右エ門とや轡虫⑫寒晴や航路の下の力石⑫力石に日脚届かぬ小春かな⑫ぺつたりと秋冷いたる力石⑫力石にいちやうもみぢのまた当たる⑫台風裡タワーの裾の力石⑫
 あの石もこれもさし石暮早し秋風や漁夫の名刻む力石江の島をおさへ春待つ力石さし石群るおたぬき様の十三夜さし石に光る一円水の秋さし石の横につめたき石の牛
 短日や石に凭(もた)るる力石
ほんだらつこ凌霄花(のうぜんかずら)散り行く先の力石⑨
【ま】
〔マーちゃん〕新緑や五十貫目の力石④雨しとど立夏の午後の力石④
〔麻衣〕吹き溜まる落葉に埋もれ力石⑩
〔前川紀美代〕力石座する山村稲の秋運ためす小さき石の秋祭秋の空一尺ほどの力石
〔前川千可子〕力石横たふふたつ新松子(しんちぢり)なにげなき力石とや秋の風力石刻字うすれし秋の寺力石峙(そばだ)てくらべ秋祭晒(さら)されし力石とや草の花力石ふたつどっしり秋の寺④
〔前田雅章〕秋晴や昔語りの力石
〔牧田正太郎〕力石高々盆の月に差す祭来る神室の中に力石
〔まこ爺〕弁慶の手玉の石や秋暑し⑤
〔まこと〕力石ごろんと置かれ実南天⑩
〔正岡子規〕陽炎や土に埋もる力石④春風や肩をはなるゝ力石④
正木むさを鶴亀の力石撫ぜ末枯野⑬
〔正城房子〕秋祭りの魂が忘れぬ力石③草相撲宮に鎮座の力石③秋日燦長寿萬歳力石③
〔増井美和〕緑蔭に町衆寄りし力石虫時雨磐石草に埋もれし梅雨湿り滑らかなりし力石御神木茂りし辻に力石力自慢二見が浦に御祓(みそぎ)せる
〔増田敏子〕力石試しもすなる神の留守⑪
〔増田みきお〕初秋の古刹に古(こ)りし力石⑨力石ふたつ鎮座す盆の寺⑨新涼や鎮守に丸(まろ)き力石
〔まちこ〕春遠からじ若衆の力石⑤力石三十五貫笹子鳴く⑤新雪の遠嶺かがやく力石⑤
雲浮ぶ春の伊予路の力石⑤料峭や松影うつす力石⑤力石春水ひびく里にかな⑥馬酔木咲くほどよき距離に力石⑥
 力石めのう文様きぎす鳴く⑥傾ぎ咲く薄墨桜ちから石⑥しずかなる辛夷咲く村力石⑥
〔松井徒歩〕御降りや蛇を模したる力石⑦春北風(はるきた)や仲仕の競りし力石⑦木枯や決闘地なる力石⑧
〔松浦陽子〕 風光る社殿に並ぶ力石⑬春日差す神木を背に力石⑬
〔松浦竜昇〕力石おちばをそっとのせてみた⑧
〔松尾杏史〕祀られて秋暑のいたる力石①
〔松尾利夫〕十六夜や宮居にのこる力石①
〔松尾良久〕梅探る鎮守に円き力石⑩
〔松岡明子〕花の城持ち上がりそう力石③力石足跡拝むおじぎ草③葺原の国を担ぐや力石③力石豊年満作勇み肌③凩や日本男子の力石③
〔松岡洋己〕力石ごろりと二つ冬日中③
〔松岡まさこ〕力石転がりそこら下萌ゆる⑧
〔松崎岳〕父さんと力石持ってみたけど重かった④
〔松下美奈子〕 探梅の末社ひつそり力石⑬力石三つならべて梅香る⑬父祖の地の掌にあたたかな力石⑬水張りし棚田のふもと力石⑬代々の田を打つ傍に力石⑬風光る干拓の地の力石⑬
 干拓の東風吹く村の力石⑬春雨や遺産となりし力石⑬
〔松瀬青々〕冬至とて男にやどる力かな⑩
〔松田明子〕露のせて五十余貫の力石⑨
〔松田和子〕深秋や「おもかる石」を試し持ち⑧
〔松田郷人〕歓声に秋の灯ゆらら力石⑦力石かこむ人びと夏祭り⑦頬かぶりして軽々と力石⑦力石合社のいわれ語りつぐ⑦明治の世半里かつぎて力石⑦どんど焼く灰の降り積む力石⑦
〔松田ひろむ〕力石うずうず銀杏紅葉まだ①
〔松谷卓紀〕力石枯れ葉の中に沈んでる力石昼寝してゐる神社かな
〔松谷梨加〕空蝉の持ち上げてゐる力石
〔松平菩提子〕夏草や路傍に久し力石
〔松永さち子〕花冷えや焦土のいろの力石
〔松永浮堂〕力石どすんと寒の来てゐたり④
〔松原利恵〕秋風や舟石玉石力石力石人肌こいし居待月山若葉六根清浄力石春光や生きいきセミナー力石力石落葉引寄せくつろげり身に泌むや公然と座す力石
〔松本旭〕力石摩すれば冬日ざらざらす
〔松本案山子〕青時雨たれが差したか力石⑧緑蔭に忠敬像も力石も⑧黒南風の境内に座し力石⑧雷鳴や重なる朱書き力石⑧
〔松本島春〕力石並ぶや蝉の声援に③梅雨明けの地にやや沈み力石③
〔松本俊介〕夏痩や父祖の名残る力石⑧
〔松本節美〕力石這ひのぼりたる毛虫かな
〔松本正子〕力石南天の花零れをり⑧
〔松本千佳子〕鳥曇地べた離れぬ力石⑬
〔松本英乃〕鶯や幣かかりたる力石⑬
〔松本ヤチヨ〕秀吉の力石あり桜咲く④
豆狸〕藤の実の落ちてはじける力石秋蝶の翅やすめをる力石落とし水四囲に高鳴る力石草隠れなるは白露の力石下闇の龕に鎮もる力石
〔黛まどか〕月光の浮かせてゐたる力石⑬
〔磨家泉〕大寒や根が生えしごと力石⑬
〔丸谷三砂〕冬眠の蛇の真上の力石④
丸見恵美子〕寒明けや手唾で挑む力石⑨屋根替や今は無名の力石⑨
〔満天〕秋蝶のつかずはなれず力石
小鳥来る樹下に寄り添ふ力石秋日和鳥居くぐれば力石黄落の樹下に鎮座す力石⑩小鳥来る宮居の樹下に力石⑩
〔ミーコ〕春潮や社に今も力石⑥
〔三浦秀水〕力石祭団扇に赤い帯①神木の茂りて暗き力石②産土の幟はためく力石②朱の鳥居落葉はりつく力石③村祭幣振る禰宜や力石③
〔三浦政子〕菊咲くや二十七貫力石①秋風や銘文うすき力石①力石そ知らぬごとき秋の風①秋立てる野に吹かれをり力石①秋水をなすり読みとく力石②秋天や奉納の文字力石②露むすぶ宴のあとの力石②
 洗われて台風一過力石②露けしや村社にありぬ力石③力石指なぞらえて暖かし③力石夜辺の秋水ためてをり③力石むかし気負いの音頭取③
〔三河晃〕一輪の露草のぞく力石④
〔美紀子〕金縷梅(まんさく)や寺領に残る力石⑬
〔幹三〕力石五十貫とや薄暑光⑪
〔三澤福泉〕祭り笛でんと置かるる力石黄水仙庭に置かるる力石木下闇五十五貫の力石力石取り囲みゐる落椿⑪力石の言はれの碑文祭笛⑪柱の持ち上げてゐる力石⑪花の寺ただそこにある力石⑫
 力石に偲ぶいにしへ花吹雪⑫樟若葉膨らむ杜や力石⑬草萌や朱文字微かに力石⑬囀りの溢るる朝力石⑬
〔水井豊月〕桃咲くや宮に並べて力石⑧
〔水谷英一〕力石芯の芯まで灼けており③力石掌の触れられぬほど灼けり③
〔水谷道子〕差し石の窪みに映るる夏の雲③ひねもすを落花浴びゐる力石⑬
〔水谷光子〕蝶々や御祓ひ受けし力石⑪力石競べ遥かや里若葉⑪陽炎や文字のうするる力石⑪
〔水野悦子〕枯蔓に大きな力石を巻く⑧
〔水野正章〕梅雨の入重み増したる力石⑫大小の汗で濡れたる力石⑫
〔溝口稔〕秋風や鎮守の森の力石⑦
〔みち〕下闇やまづは一服力石⑧秋深し哀歓抱きて力石⑨
〔道子〕冬萌や持ちあげてみん力石⑩
〔みち代〕どんぐりに一打を食らふ力石⑬
〔光子〕神渡まるく撫でゆく力石⑬
〔光野及道〕昂(たかぶ)れるもの抱かせり露の石
〔三橋岳嶺〕「力石」滑橢圓形衆目驚 鍛與娯樂壯心亨 工夫競力内觀旅 神域人夛願事成⑭
 「滑らかな楕円形衆目驚く鍛えることと娯楽壮心亨る工夫して力を競う内観の旅神域は人多く願い事成る」(意訳・遠井精岳)⑭
〔みどり〕下萌や鞆の仲仕の力石⑥
〔南桂介〕寒禽や父が動かす力石⑩
〔みのる〕 彫りし文字古りて露けき力石秋日影矩形卵形力石秋風や力石にも裏表物言はぬ力石にも秋意あり力石撫でて秋思を分かちけり力石探し巡りて秋の野路妹背めく力石あり村時雨
 かたけ石とて一碑たつ紅葉影力石撫づ時雨傘傾けて
身に沁むや瓦礫紛れに力石慰霊碑に侍る白露の力石しぐるるや海鼠に似たる力石力石撃ちたる神の木の実かな
 力石訪ひて秋蚊に恋はれけり
力石撫でて末社の秋惜しむ力石抱擁したる小春かな力石行脚のひと日野路の秋街道の千種隠れに力石⑩力石撃ちて刎ねたる木の実かな⑩
 力石存問の掌にあたたかし⑩赤とんぼ翅やすめゐる力石⑪力石めぐりす里は豊の秋⑪錦して神さぶ杜や力石⑪力石涼し白玉砂利の上に⑬
〔稔〕磐持ちの石に跳ね飛ぶ霰かな⑩
〔宮内和代〕春風や肩欠けもして白龍石⑪神木と伴に大磐石の春⑪
〔宮内圭子〕荒梅雨の雨跳ね返す力石
〔宮口信正〕力石永遠に伝えん去年今年⑤左義長の火の粉を浴びし力石
〔宮国勉〕あぎいす むちあぎらいだな あららがま(力石 持ち上げられず コンチクショウー)⑥
〔宮﨑二健〕春雨に打たれ艶めくちから石⑥
おみくじも小枝に濡れて力石⑥シクラメン濡れ烏森神社の力石⑥鬼が来て置き忘れたか力石⑥歓楽街の路地の芽ぐみや力石⑥ちから石見やり傘さす春の暮⑥
〔宮崎しずえ〕力石動かすやうに地虫出づ⑬
〔宮崎やすこ〕力石夏草の中鎮座する⑥薬師堂葉桜の影力石⑥
〔宮原喜行〕力石可憐に咲いたトルコ花⑪
〔宮本百合子〕薄暑光神社にひとつ力石④
〔宮本芳子〕秋風や庭に黙せし力石蝉時雨滲み入る如く力石⑨ちちろ鳴く寺に安らぐ力石
〔三代川次郎〕秋日濃しめ組ゆかりの力石①
〔みよ子〕神の留守餅のやうなる力石⑧
〔麦門冬〕力石夜毎に蚯蚓遶り啼く⑤
〔棟方武城〕豊年や村に五つの力石⑫力石担ぎ上げたる天高し⑫力石男は裸誇るべし⑫雪解けてまず現るる力石⑫湯の町や力石にも花ふぶき⑫花咲くや腰かけられて力石⑫洗はれて祭ちかづく力石⑫
 月光に集まつてゐる力石⑫色変へぬ松に集まる力石⑫
〔村上喜代子〕さし石の梅雨の重さといふべかり⑩
〔茂木敏江〕力石一番小も持ち上がらぬ45キロとは吾より重い⑩氾濫の小畔川から流れ着くごとくに鎮座す力石三つ⑩神木の赤青欅の葉陰には力石三つ要のようだ⑩
 大男のだいだらぼっちが軽々とかかげたろうか力石三つ⑪力石どこかにないかとてくてくと神社や寺をめぐる朝なり⑪休憩に寄りし神社に見つけたり秋陽を受けて力石二つ⑪
 揚げ雲雀囀ずる神社にどっしりと刻印のある力石あり⑪四ヵ所の神社をめぐり力石探せどまたもや収穫はなし⑪千の樹齢の杉に寄り添える力石ふたつどっしりとして⑬
 対岸の侠客がかかえ奉納か五十貫余の力石でーん⑬
〔持田きよえ〕さし石はかつてヒーロー秋祭⑫
〔持田忠子〕おもかる石やっと上がって椎若葉②
〔望月昭子〕無造作に置かるる寒の力石⑦松過の日差に映ゆる力石⑦力石まあるく丸く雪積もる⑦
〔望月茂〕紫陽花にかくれ力石顔覗く⑥
〔望月志津子〕寒晴や宮居に残る力石⑦
〔望月順代〕青春の思い出浮ぶ力石⑦力石むねまであげてホッと一息⑦榧の木と共にいすわる力石⑦力石かつげた俺に娘くれ⑦
〔望月澄子〕江戸つ子の力石なり鵙高音⑪黄落や鬼門守るかに力石⑪
〔望月久代〕力石持ち上げる如霜柱⑤うららけし土俵に並ぶ力石⑤
〔望月三千生〕葉桜の下に佇む力石⑩
〔元木伝吉〕手に触れるだけに残暑の力石④
〔本西満穂子〕力石雪を被りて尚丸く⑨
〔森岡恵子〕散る柳どかと居座る力石⑪
〔杜幸子〕山つゝじ集ふ神社の力石力石鎮めとも座す宮の秋力石訪ぬ玉垣竹の春力石訪ね昂ぶる蝉時雨
〔森清堯〕力石の朱字の百貫桜東風⑩
〔森下久恵〕年男担がにゃならぬ力石③力石触って明日の運動会③
〔森田峠〕判官の力石あり山笑ふ⑧
〔杜の住人ふくろう鳥〕昔の人はたんでもこんくれえの石はふんがちいだもんだ⑥
〔森本和子〕蝉しぐれまつただ中の力石力石三個に託す里祭担ぐ人無き力石秋深し新秋や人知れず置く力石力石萩こぼる宮眺め置く大小の力石置く街暑し祭旗並ぶ街道親子石
 
まんまるの力の石に月白し秋声に力の石も加はりぬ秋風の杜に包まる力石力持ち競ふ石群とんぼ生る秋嶺を背に並べ置く力石麓村力石ある紅葉寺秋立つや力比べの石三つ
 里村の力比べの石さやか夏木陰長寿の石の謂れ読む大木の涼も新たに力石力石包み込みたる蝉しぐれ秋暑し石段続く力石力石取り巻く樹々のもみぢけり力石尋ねて走る秋日和
 力石桜もみぢの影写し黒々と力の石に月照らす秋雨や忘れられたる力石力石長老に聞く盆休人知れずある力石木の実降るとんぼうの宿り場となる力石力石遊び場になる夏休
 蘆の川望む麓の力石力石陰で鳴きたる昼の虫こほろぎの住処となりし力石
〔森本泰司〕散る桜祠の横の力石⑪椿落つ大地にでんと力石⑪力石サツキに抱かれ幾年か⑪力石木漏れ日揺れて時刻む⑪境内の忘れし石に桜舞ふ⑪雨上がり生き生き緑力石⑪雨降りてもみじ着飾る力石⑫ 破損しも文化伝える力石⑫雨に濡れ紅葉踊る力石⑫力石風雪に耐え春を待つ⑫力石びくともしないさわるだけ⑫力石文字薄れ消えただの石⑫柿実り花咲く境内力石⑫散歩道秋桜ゆれる力石⑫
 力石子らとともに晴れ姿⑬木漏れ日に二つ寄り添う力石⑬初春やロマンあふれる力石⑬子ら競う郷土かるたに力石「りきみたる顔まっかっか力石(富士見文化財かるた)」⑬ 春うらら猫もチュ~する力石⑬
 地蔵様ひょいと担げば大目玉⑬銀杏舞う境内静か力石⑬その価値に猫もとびつく力石⑬
〔守屋明俊〕誰が産みしか炎日の力石⑪前の世は力石かも日焼けの子⑪蟻と我どちらが非力力石⑪草若葉して力石明るうす⑪力石不動明王風薫る⑪力石濡らす卯の花腐しかな⑪
 力石茅の輪くぐりて力得る宮⑫力石から染められて黄落期⑫根の生えし力石とも草の絮⑫さし石や鯊跳ねて堀明るうす⑫金輪際凍ててさし石動かざる⑫力石武蔵死闘の京寒し
 血ではなく紅葉で染めよ力石若衆の夜毎汗かく力石寺尾関逝きしか凍つる力石
〔森山久代〕夏落葉に埋もれてゐたる力石⑪
【や】
〔矢浦詠正〕紅葉散る村社に力石ふたつ⑦童話野の村社に残る力石猛者来る時を待ちてゐしかに⑧五月雨に面磨かるる力石⑧
〔矢浦みち子〕神の留守童話にもなる力石⑦
〔八木健〕自惚れを加勢に担ぐ力石⑪力石肩によろめく色男⑪担ぐ目に汗が沁み込む力石⑪秋天にもちあげられし力石⑪秋祭いそいそとして力石⑪荒梅雨に洗はれ光る力石⑪境内に退屈かこち力石⑫
 夏草の下に隠れて力石⑫自分史を語らず寡黙力石⑫力石なでつつ古人を褒めたたへ⑫へなちょこは撫でてゆくだけ力石⑫力石精神論をあざ笑ふ⑫叩かれてじっと我慢の力石⑫
〔八木大和〕力石地よりあらはに麦の秋⑫大根の花やつらなる力石⑫
〔矢口征子〕力石並ぶ境内女郎花⑫雛飾る蔵の街角力石⑫花散るや浮きたるごとき力石⑫花疲れ力石をば腰掛に⑫てふてふや錨と並ぶ力石⑫水夫らの汗の染みたる力石⑫
〔康〕力石雪間に丸く坐りをり⑥
〔安井博子〕力石でんと座りて秋高し③
〔安田青葉〕末枯や根付いてゐたる力石⑨
〔安原敬太郎〕春疾風どんとかまえる力石④
〔八尋信子〕幾年や五月雨を受く力石⑪
〔柳紅生〕力石持ち上げてをる霜柱⑥
〔柳田芽衣〕さし石を撫でてやすらう鯊日和④
〔矢野孝子〕花楠や俵の形の力石⑧
〔山内英子〕提灯花揺れゐる道に力石
〔山内京子〕片蔭もなき力石身じろがず⑦大西日眺むるばかり力石⑦
〔山内窓柿〕注連張って力石ありほとどきす①
〔山内節子〕風待ちの古江や露の力石⑪
〔山内卓〕法師蝉独りぼっちの力石⑦鐘の音や紫薇搖れでんと力石⑦力石モダンな庫裏と花蘇鉄⑧力石据わる寺出て稻稔る⑧力石陰に躊躇ふ蟻のゐて⑧
〔山尾かづひろ〕梅雨の闇叶ふ重さの力石⑨
〔山尾玉藻〕老鶯のこゑに傾げる力石⑫
〔山岡蟻人〕正月の力石なり触れてもみ⑥力石揚げし窪みや薄氷⑦
〔山川京子〕力石たづねたづねて奥美濃の山奥までも訪れたまひけり④これやこの郡上高鷲の力石村の若い衆競ひし思ほゆ④稗飯を食べつつ意気の高かりし村人ゆかしき力石かも④
〔山岸樵鹿〕めりこんで力石三つ春の昼⑪
〔山口君男〕虚無僧の祭り見て来し力石⑫
〔山口須美子〕灸花若衆娯楽の力石力石宝前の百日紅もえ秋の雨力石抱く榎の根
〔山口たけし〕冬初め少し動ける力石天神にさし石三つうららけし千両や丸く小さき力石⑩
〔山口マサエ〕さし石や鳩のつきくる春の宮②④
山口美智〕笹鳴や謂れ彫りたる力石⑨
山崎桂子〕力石五拾貫とや枇杷熟るる

〔山崎ちづ子〕力石われの居場所と青蛙⑨蟋蟀や荒れし社の力石⑬
〔山崎雅也〕雄略の御世の郷宮宵祭り力石あげ若者競う⑩
〔山崎美智代〕身のしまる霊気の石の神無月願ひ事多き力の石に露宵宮の灯のとどく力石益荒男の日焼も眩し力持力持ち胸を叩くや胸の汗旅立ちに手を置く石のあたたかし
 
力石路傍のしるべ小鳥くる力持ち気合を入れる極暑かな無住寺に遊ぶ子等あり力石信仰の心うすくも石に願道端の暑さに灼ける力石古墳へと続く路傍の力石⑤子等触れし夏越の宵の力石⑤
 茅の輪あり自若泰然力石⑤
〔山下卓郎〕力石淡雪置くもすくと消ゆ⑬
〔山下塔矢〕春雨にほのりぬくもり力石⑫
〔山下美津留〕村祭り力石には近寄らぬ⑩
〔山下ヨシ子〕越ヶ谷の巡行跡に力石語り継がれる卯之助のこと⑩力石撫でては偲ぶ名を馳せた我の郷土の卯之助のこと⑩
〔山田天〕蟬時雨保利の社の力石⑪力石孤高の威風いなびかり⑪秋風と樟の大樹と力石⑪力石近づく蜈蚣(むかで)寄せつけず⑪秋夕焼パワー漲る力石⑫
〔山田とみ代〕対のまま重き春秋力石蹲くまる落葉の中の力石若衆がかって汗した力石
〔山田南耳〕枯蓮や雷電の墓力石⑦
〔山田弘子〕鶯の声の真下の力石⑤春昼や誰も試さぬ力石⑨
〔山田文子〕寒に入るころがるだけの力石⑥
〔山田真砂年〕虎が雨男の子の好きな力石緑蔭に男の子の好きな力石力石押せばぐらりと暖かし⑬力石きれいに雪の払はれて⑬
〔山田みちを〕宮の凍て維新またぎし力石③
〔山田嘉子〕清正の力石なり落葉舞ふ
〔山近由美子〕行司立つ土俵の真中の力石⑪
〔山根真矢〕照り雨の四葩やかへし石もまた⑪
〔山野きみ子〕力石黒光りして梅祭る①満月や松の根方の力石②
〔山村和由〕大きさは愼先生のお墨付き②③桶川に名跡残す力石名跡に日本一の力石③風雪雨に耐えたご褒美稲荷城楽しみに力くらべを待っている力石保存管理に知恵がいる
〔山本鬼之介〕花冷をまとひ更なる力石⑪
〔山本髙三〕力石君のランクは超一流⑦いにしえを永久(とわ)に伝えるちからいし⑦いにしえを未来につなぐちからいし⑧いにしえの夢を伝えるちからいし⑧若衆を手玉に取った力石⑧
 力石あなたの出番待っている⑧力石これまでもこれからも⑧浄蓮寺仁王に代わる力石⑧浄蓮寺連れ合いを待つ青い石⑧
〔山元重男〕空風に盤持石の並び居り④
〔山元志津香〕初蝶の吹きもどされし力石①
〔山本修巳〕蝉時雨能登の神社の力石⑩
〔山本はじむ〕力石上げし余韻の爽やかに⑪力石どすんと坐る白露かな⑪坐りたるままに九月の力石⑪
〔山本万象〕七五三記念写真は力石⑩宮相撲社の一隅力石⑩
〔山本久枝〕力石思わず拝む秋日和
〔山本ふみ子〕花苔の力石ふと撫でてみし草茂るふたつ並びし力石夏草の寄り添ふ如く力石
〔山童〕草むしり埋もれたままの力石④残雪やお堂の前の力石④
〔優〕初詣力石にも置く一貨④
裕子〕初午や重し軽しと力石⑧
悠人〕力石ふたつまろべり草雲雀力石三十二貫目柿若葉⑧酉の市力石なぞ持てりやせぬ⑨
有香〕啄木鳥や刻印著き力石⑧力石肩を並べし樹下涼し⑩
〔幸恵〕囀や弥彦の杜の力石⑪
〔ゆき子〕落葉降るまろまろとして力石⑧
〔雪子〕風花や子らの撫でゆく力石
〔由美子〕万緑を支へてをりし力石⑧
〔ゆらぎ〕秋祭り力較べの丸い石⑤
〔よう子〕どんぐりを拾ひて供ふ力石⑩秋思あり持ち上げ禁と力石⑩力石おしやべりしさう宮小春⑩寒禽の鋭声が射抜く力石⑪白日傘傾けて撫づ力石⑬柵の中鎮座の力石小春⑬
〔要介〕春の蠅とまる百貫力石⑥
〔横井正光〕雲の峰男或る日の力石炎天下熱ほとばしる力石
〔よこかな〕力石かついだ分だけ力こぶ⑧力石の上にも三年オレのもの⑧力石みたいなパンが食べたいな⑧
〔横田初美〕啓蟄や鯰抑ふる力石④
〔横田嘉男〕力石動かざる日々冬日向⑩百年の石百年の冬構え⑩
〔横手季〕小男の汗の気合や力石①萩むらをささえてをりし力石②腰下ろす冬日を溜めし力石③花びらを浴びて眠そう力石③
〔横森みゆき〕懸巣鳴く金時神社の力石①山茶花や四股名刻める力石②
〔横山照子〕茂りたる社を守る力石⑧夏祭り注連新しき力石⑧
〔横山豊〕力石持てれば大人でもどうなる?⑪
〔与志魚〕うぐひすや村に伝はる力石⑪
吉川孝子 蜥蜴去り十六貫の石残る⑬
〔吉川弘美〕春の宮樟の根方に力石⑬
〔芳賀正利〕風薫る村の広場に力石 ⑬
〔よし子〕力石試す人なく灼けにけり力石灼けゐて何も語らざる⑩野路さやか試してみよと力石⑩炎昼やじつと我慢の力石⑫
〔好子〕銀杏を掃き寄せてある力石⑩木犀の香にまとわるる力石⑩台風一過一葉張り付く力石⑩台風に叩かれてゐる力石⑩小春日やのっぺらぼうの力石⑩
〔吉沢美佐枝〕芽起しの雨に艶増す力石⑥
〔よし女〕力石ここよここよとちちろ虫秋雨に濡れて円かや力石
〔吉田伝治〕緑陰に昔のまゝの力石
〔吉田康子〕力石の湿りてゐたる秋の昼②
〔吉田泰子〕力石七つ転がり露しづく力石くぼみに光る露の玉玉垣を滑る一葉や力石奥宮の水音澄めり力石⑥尺蠖に測られゐたり力石
〔吉武三和子〕訥々と露の謂れを力石蟷螂の斧ふりかざし力石力石輪中の郷に秋惜む
〔吉冨健〕力石祀りて子供相撲かな⑫力石染めて路傍の梅擬⑫傍らに石を祀りて秋祭り⑫
〔吉冨梨枝子〕力石秋風に乗る子等の声⑫落葉散る土俵の脇の力石⑫赤とんぼ手洗い水と力石⑫
〔吉原晃〕石、俵担げなくては半人前⑦石よりも重くなったか女房殿⑦若人の汗の滴で穴が穿(あ)き⑧意志硬しされど挙がらぬ力石⑧重量挙げ今は昔の力石⑧
〔吉原尚誠〕強力(ごうりき)も勝てぬ力の霜柱⑦
〔吉原絵里菜〕力石私の方が重いかな⑦
〔吉村征子〕風光る誉れ刻める力石⑪
〔よしむら忠治〕力石抱き上げてみる四月馬鹿⑥蝸牛登り切ったり力石⑥
〔米田陽子〕下萌えや動かぬままの力石⑩
〔頼住一昭〕今や昔力自慢と力石⑦
〔依田善朗〕力石春の土より抱き起こす⑩
【ら】
〔蘭丸〕良日に力石触れ鳥帰る⑨
〔流離〕北風やまず注連縄ゆるる力石・さいたま市西区西遊馬「氷川神社」⑬
〔瞭〕鳥雲に深川八幡力士石⑥
〔リラ〕力石たなびく桜が持ち上げる⑧
〔りんこ〕葉桜や拝殿横の力石⑩
〔れいこ〕力石傾きしまま注連飾り①
〔麗子〕力石さする男の大マスク⑩
〔呂笳〕国一の誰やら揚たちから石④
【わ】
〔若月和豊〕なで肩の石に刻みし担(に)の思い④お前なぁ~未だ持てんかと父笑うスマンけど退いてくれるか赤蜻蛉お前が重い…と言い訳すお前なぁ~未だ持てんかと六斗石⑤
 まだまだか?若中組の六斗石⑤軽々と曲持ち見せる人気者⑤若中組の稽古に注ぐ蝉時雨⑤掛け声を黙って見上げる切付石⑤動かんか~可愛いあの子が待っている⑤
 丁髷を結えばあの力石(イシ)上がるかなぁ?⑥漬物石上がらんようではあれ(力石)は無理!⑥力石路地の奥で睨んでる⑥一斗酒飲んで差し石片手持ち⑥
 酒(ササ)気分勢いで持つ石の面(カオ)石は黙って身じろぎもせず⑥力石小春の日差し去年(こぞ)の雪⑦
〔わかば〕秋茜湧く境内の力石宮うらら斎垣に覗く力石秋さぶや触るれば動く力石樹下涼し大中小と力石⑪身に入むや苔の判官力石小栗判官力石」⑪力石涼し卵のごと白く・畑天満宮⑬
〔若林照子〕いにしへの汗しみこみし力石草いきれ忘れ置かれし力石力石葛広がりし隠さるる
〔湧甫〕囀りや鹿島の森の力石⑦
〔和田喜代數〕若者ら力競ひし力石競はずなりていつか失せたり①
〔和田清〕差し石を差したる肩も里祭
〔和田きよし〕差し石の肩なだらかや秋日差し
〔和田照海〕雛の灯や弛みてをりぬ力石⑩力石祀られてより遠卯波⑩磯蟹の夜這遊びや力石⑩寄生虫の風にもこぼれ力石⑩海酸漿立ち上らむと力石⑩どんよりとして夕凪の力石⑩春の潮岬に三つの力石⑩
 力石担ぐ勇像萩こぼる⑩秋の潮岬に三つの力石⑪
〔和田義男〕蘇る黒虎相撲や力石⑤
〔渡辺をさむ〕寒晴れの風息留め力石⑨
〔渡辺庄一〕力石明治男の汗が染む夏の雨力石尚重く見ゆ炎昼の微動だにせず力石
〔渡辺扇大〕冬うらら雀跳ねをる力石⑬
〔渡辺強〕重軽の石撫でてより初詣⑪石奉じ夜通し目抜き盆踊⑫つばめ飛ぶ天竜川に投げし石⑫夏の海見下ろし社力石⑫夜泣き石春の夜遅く子のぐずり⑫夏の果城跡奉り力石⑫
 花相撲の余興に担ぐ力石⑬夏草や流転の地蔵力石⑬
〔渡辺政子〕ちちろ鳴く飛鳥の杜の力石行く秋の地衣の乾ぶる力石
〔渡邊眞知子〕あたたかや四股名彫られし力石⑬
〔渡辺僚子〕力石桜紅葉を映しをり秋の蝉大樹の下の力石山神に添うて奉らる力石彫りあとの薄らへてをり力石清水も奉られてをり力石木漏れ日に注連に紙垂力石
〔wariオジ〕力石の要領でスイカ抱え上げ⑧
【詠み人知らず】

東男の力を飾る祭りかな①力持名残りを止めし江戸の華①力持辰巳男の伊達姿①ちちろ鳴く半眼蘇生の力石①下萌や村の社の力石①力石こころむ男山動く①初詣ためしてもみる力石①
しぐるるや社に四つの力石①腕自慢昔のバーベル力石②昔の仕事は力が必要力石②おもかるの石の雪や誕生日②根切には浅間神社の力石③力石を見つけた裏通りのお稲荷さま③団栗を拾ひ並ぶる力石④
触れてみたいな力石八幡様が待っている④名おあげて若き力の花納④若い衆の虫薬なりちから石④明神様の力石とてその石に腰をかくればその豪い石を上げねばならぬ「浄瑠璃」④磐石の力露一顆の力④
磐石のいのち息づく寒の闇④金色の蜥蜴大磐石を攀づ④石庭のそこかしこにぞ力石差し挙げ易く丸形にして④持ち上がるかな力石④昔の若しゅう力くらべ④力石を上げて腕くらべ④草茂り沈みし谷戸の力石④ひとひらの花散りかかる力石④花冷えやびくともせざる力石④力石ひょいと持ち上ぐ老の春④雷電の力石知る梅雨最中④寒晴やぴくりともせぬ力石④わしが総社の力石そんじょそこらの石じゃねえ④
あげれるもんならあげてみいわしが総社の力石④野谷峠の番持石は馬狩「おその」さ思い返せば軽る御座る⑤西東力競ふる仲仕衆山も散して運ふ町方⑤大江には力自慢の盤持石⑤
綿虫の過ぎる古刹の力石⑤綿虫の消えゆく力石の影⑤貫目摩れ霜の花咲く力石⑥顔がよくても女にゃもてぬ腕と度胸で力石⑥
若き日に競いて挙げし力石この七椙の森に安らぐ⑥
おのこらの力競いし時は過ぎ美を競い合う現代(いま)の青年⑥力くらべばんもち石を軽々と⑥四十八貫石ふん担いだよ俺がむらのこのわかもの⑥
力持ち担ぎ望み果たさん五つ石若い衆の声髙らかに勲しの石⑥力石谷保から運んだ長五郎「こがねい郷土かるた⑥持ちゃげてみられーけえが昔の力石じゃー⑥江戸期民の力秋意ほのかに山谷の里力石⑥
神様になった黒渕力石⑥八兵衛うなるばかりで持ち上がらず⑥力石若衆たちの腕自慢⑦力石担ぐ男の心意気⑦時雨るるや力試しの江戸の石⑦持ち上げて力自慢が懐かしい今の若者できるかな⑧
大人への登竜門と言われても力およばぬわが身かなし⑧久岑寺満瑞さんは力もち昔話の志段味小僧⑧行岡のげんじょはやしのちから石あげたばかりで日がくれた⑧凍つる手に滑り落ちたる力石⑧
弁慶の力を当てに初もうで⑧年寄りの仲間入りしてお守りに弁慶の力石我は買いけり⑧秋與やごろんと二つ力石⑧新涼や一七〇キロの力石⑧持てあぐむ稷のもとの力石⑧今もなお力自慢を待ちわびて⑧
りきみたる顔まっかっか力石⑧秋暑しどつしり鬼の力石貫目摩れ霜の花咲く力石力石傳がしてあり銀杏の實陽炎や棚の中なる力石下萌やためして合点力石正月や奉然自若の力石
桃月夜若衆がきほふ力石
若人が力ためすと挑みあい汗しみこみし名物の石⑨⑫冬日あび鈍く輝く力石武者人形百十貫の力石力石立ち公孫樹を囲みをり勇者の名刻む力石天高し
堂裏の紅山茶花や力石
秋風や注連縄古りし力石⑨冬菊の盛る祠や力石寒晴や六十貫の力石天を衝く公孫樹若葉や力石白梅のふくらむ蕾力石梅雨明や己が目方の力石探す⑨⑩
力石晩夏の火照残りたる
重いのさ鞆に置かれた力石唯の石ちから石とや冷たかり初不動江戸のむかしの力石⑩住吉さんあきつ休める力石⑩酔芙蓉朝青龍の力石⑩綿虫や彫り文字赤き力石⑩
今ちっと端からきばる力もち⑩すゞみ場で汗かいて見るちから石⑩ロマンあり我堂八幡宮力石⑩力石ほんとに持てたか七十貫目⑩恐竜の卵めく力石たんぽぽ黄⑩力石軽きカメラに収まりぬ⑩
兵(つわもの)が腕力競う力石⑩力持ち三ノ宮卯之助旅巡業⑩力石より虫の音響く⑪清水鳴る寺に在るもの力石⑪剛力を高めし力石(いし)の末哀れ⑪春めきて力石(いし)をおとなう鳥の声⑪桜花(はな)だより力石(いし)に一片舞い来る⑪すずみ場で汗かいてみるちから石⑪いい馬鹿さ涼んだ石で汗をかき⑪初詣力石撫でボケ封じ⑫ちから石うちから聞こえる踏んばりの声⑫ほんまにいっぺん持ったろうと思てます力持ち代継の石をきゃあかため⑬臍まではなんとか上がる力石⑬空蝉しかと掴む力石夏祭りぬるばんどうの力石⑬力石シマの誇りか新春や⑬獅子舞やぬるばんどうの力石歴史を紡ぐ新春畦布⑬
若者が力を競い持ち上げるぬるばんどうの力石かな⑬

【14に使用】
【あ】
〔赤池幸代〕力石水引草がみえかくれ⑭
〔雨宮清子〕久々に力石に会い知己と逢う⑭
〔生田裕子〕千歳飴引き摺る傍へ力石⑭
〔池尻輝美〕秋晴や大楠の根に力石⑭
伊藤美穂石なれど風有りがたき木陰かな
〔井上浩世〕力石三基の並ぶ梅雨の宮⑭
〔今村尚敏〕緑蔭や卵のごとき力石⑭初春やいざ持ち上げむ力石⑭博多場所潮風わたる力石⑭緑蔭や卵のごとき力石⑭
〔内田正義〕秋雨にいよよ鎮もる力石⑭
〔上西美枝子〕力石の深き刻字に苔青し⑭
〔上村春美〕初紅葉挑戦者待つ力石⑭
〔埋金年代〕力石秋の日差しにふくらみぬ⑭
〔江濱百合子〕のどけしや妊婦の撫づる力石⑭
〔小野由美子〕身に沁むや試す人なき力石⑭

【か】
〔角野京子〕梅雨深し鬼熊門の力石⑭ 新田に春の日の濃き力石⑭樟の花降れる海老江の力石⑭保存樹の芽吹く宮居に力石⑭梅雨深し弓弦羽宮の力石⑭
〔河野京子〕どくだみや触るる人なき力石⑭
〔河原まき〕愛日や力石三つ縦置きに⑭
〔小町〕空蝉の縋る櫛田宮 (くしだ)の力石⑭

【さ】
〔斉藤摂子〕春落葉払へばそこに力石⑭
〔寿栄松富美〕力石三基並びて梅雨の空⑭
〔菅野奈都子〕春一番四股名のしるき力石⑭力石据ゑて社の初紅葉⑭
〔進千賀子〕力石力競べか蟻二匹⑭

【た】
〔髙岡秀基〕丸石や塞の神かと思いしが力競べの名残りなりけり⑭
〔竹島勝代〕草紅葉もちあげられぬ力石⑭
〔德山八重子〕刻印を読む水無月の力石⑭

【な】
〔新倉眞理〕力石のごとき冬瓜もらひけり⑭
〔西村麻紀〕力石撫でて色なき風の中⑭
〔野添優子〕力石八坂神社の緑雨裡に⑭

【は】
〔深川隆正〕初午や持ち揚げられぬ力石⑭
〔藤原俊朗〕夏の果神社の隅の力石⑭
〔古田秀〕力石浮かす春外套のまゝ⑭

【ま】
〔松浦陽子〕里若葉宮座の守りし力石⑭八坂社の新樹に染まる力石⑭力石の深き刻字や苔青し⑭力石爽気を纏ひ凛然と⑭
〔松下美奈子〕山里の梅咲く宮の力石⑭力石見守る島の宮相撲⑭鵙猛る廃れ置かれし力石⑭
〔松本千佳子〕秋草のかげに鎮もる力石⑭身に入むや雨の色して力石⑭秋光のじわりと滲む力石⑭しぐるるや社の裏の力石⑭
〔水間道偷〕春一番宿禰の力石動く⑭
〔宮崎しずえ〕深秋の力石にて集まりぬ⑭

【や】
〔山下美佐〕力石持ち上げてみる山開⑭夏草の底に鎮もる力石⑭山茶花や姫宮につと力石⑭
〔吉川弘美〕万緑裡苔むす三つの力石⑭

【ら】

【わ】

【吟詠地無し】
〔太田裕子〕風光る野見宿祢の力石⑭

〔詠み人知らず〕小春日や大中小の力石⑭





【未使用】

薄紅葉木漏れ日降りぬ力石(なおこ)西宮市甑岩町「越木岩神社」《ゴ》
空蝉のしかと爪たつ力石(ぽんこ)《ゴ》
力石にて曲がりたる蟻の道(和繁)西会津町新郷井谷「秋葉神社」《ゴ》
力石狗尾草(えのころぐさ)に隠れけり(和繁)西会津町新郷井谷「秋葉神社」《ゴ》
力石擽つてゆく小灰蝶(うつぎ)豊能町高山「高札場」《ゴ》
一枚の紅葉葉乗せて力石⑭(髙島愼助)
春寒し境内隅に力石(いし)三つ(髙島愼助)舟橋市飯山満町「能満寺」
子に添い寝境内隅の力石(髙島愼助)三浦市宮川町「円覚寺」
こりゃいいわシュロが日傘の力石⑭(髙島愼助)生野区桃谷「御幸森天神宮」
滴りを受け涼しげな力石(髙島愼助)
秋の風金剛の文字鮮やかに⑭(髙島慎助)明石市人丸町「柿本神社」
泊り屋の若衆の汗力石⑭(髙島慎助)宿毛市山奈町芳奈「下組泊り屋」

初桜島にも在りし力石(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
力石の影も丸くて春眠し(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
春うらら角を持たざる力石(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
力石まで桜蘂降る島の坂(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
残花より雨の滴や力石(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
春雨に黒光りして力石(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
落花啼鳥島の高みに力石(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
春の日の頂点にあり力石(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
銀杏若葉注連に囲われ力石(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
力石に春潮ぞうぞうと間近(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
四五枚の花屑を付け力石(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
春雷や笑みし如くに力石(山田真砂年)「江島神社奥津宮」《稲》
夏草や庚申塔と力石(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
虚子庵や力石まで秋の風(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
汗の小諸ごろんごろんと力石(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
梅雨しとど虚子庵裏の力石(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
夏草に埋もれ力石二十貫(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
夏草の三叉路にあり力石(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
男梅雨吹かるるままに力石(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
力石冷たし馬頭観世音(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
炎昼や三叉路にあり力石(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
風花や根の生えたやう力石(山田真砂年)小諸市与良町「馬頭観音」《稲》
虎が雨鋼光りに力石(山田真砂年)「鴫立庵」《稲》
枇杷の花ずんぐりむつくり力石(飛田小馬々)「芝大神宮」《稲》
花の雨小さく見ゆる力石(飛田小馬々)「江島神社奥津宮」《稲》
力石大きな躑躅落ちてをり(飛田小馬々)「江島神社奥津宮」《稲》
力石口めく穴に花の屑(飛田小馬々)「江島神社奥津宮」《稲》
山車進む曾我兄弟の力石(廣上正市)二宮町「川匂神社」《稲》
春荒やどかと動かぬ力石(大坪正美)「江島神社奥津宮」《稲》
力石に龍の爪痕春惜しむ(大坪正美)「江島神社奥津宮」《稲》
桜蘂降るや鎮もる力石(大坪正美)「江島神社奥津宮」《稲》
鶯や苔の生えたる力石(大坪正美)「江島神社奥津宮」《稲》
花散るや六百年の力石(滝代文平)「江島神社奥津宮」《稲》
花屑の御堂の屋根や力石(滝代文平)「江島神社奥津宮」《稲》
力石を雨のうがつや春落葉(滝代文平)「江島神社奥津宮」《稲》

風死して卯之助担ぐ力石(渋田かおる) 《海坂俳句会》 
力石なぜか持てそう冬日和(貴世)「江島神社奥津宮」《波》
蟻一匹乗せて古刹の力石(俊郎)舟橋市飯山満町「能満寺」《いには俳句会》

幾重にも青葉づくしや力石(河野伊葉)松山市味酒町「阿沼美神社?」《天為俳句会》
金秋に包み込まれし力石(河野伊葉)豊中市若竹町「若宮住吉神社」《天為俳句会》
露置きて仏映して力石(河野伊葉)豊中市若竹町「若宮住吉神社」《天為俳句会》
新涼に趺座の如くは力石(河野伊葉)豊中市若竹町「若宮住吉神社」《天為俳句会》

梅の香や村社の跡に力石(成田眞啓)(吟詠地不明)《あすか》
啓蟄や日を跳ね返す力石(金井玲子)横浜市南区弘明寺町「弘明寺」《あすか》
東風吹くやびくとも動かぬ力石(大木典子)藤沢市藤沢「白幡神社」《あすか》

力石目まとひ払うにも力(守屋明俊)「宇佐神宮」《閏》
夏負けの予防にと触る力石(守屋明俊)「宇佐神宮」《閏》
五月風喝采宿る力石(小林ゆきお)越谷市三野宮「香取神社」《閏》
力石担ぎ上げたり五月風(小林ゆきお)越谷市三野宮「香取神社」《閏》
木五倍子咲く日本一の力石(水谷光子)桶川市寿「稲荷神社」《閏》
十五夜や若衆宿には力石(大和田いそ子)宿毛市山奈町芳奈字宮の下「浜田の泊り屋」《閏》
力石加勢の声のさはやかに(大和田いそ子)「浜田の泊り屋」《閏》
泊り屋に置き力石春近し(大和田いそ子)「浜田の泊り屋」《閏》
春や大小揃ふ力石(大和田いそ子)「浜田の泊り屋」《閏》
緑さすさし石種のかたちして(本多游子)千代田区外神田「神田明神」《閨》
句碑めきて万太郎忌の力石(本多游子)千代田区外神田「神田明神」《閨》
さし石に雨の道ある卯月かな(本多游子)千代田区外神田「神田明神」《閨》
力石賑やか風鈴また増えて(本多游子)港区芝大門「芝大神宮」《閨》
五の字赤々炎熱の力石(本多游子)港区芝大門「芝大神宮」《閨》
力石から生姜塚へと秋の風(本多游子)港区芝大門「芝大神宮」《閨》
力石に力ひと文字豊の秋(本多游子)新宿区西新宿「成子天神社」《閨》
力石七つ仰向け鰯雲(本多游子)新宿区西新宿「成子天神社」《閨》
草の実や敷石のごと力石(本多游子)新宿区西新宿「成子天神社」《閨》
涼しさや大樹の陰の力石(本多游子)大田区矢口「新田神社」《閨》
力石の背ナしつとりと草いきれ(本多游子)大田区矢口「新田神社」《閨》
夏草や奥歯のやうに力石(本多游子)大田区矢口「新田神社」《閨》

空蝉のひとつ爪立て力石(河村正浩)下松市末武上「花岡八幡宮」《山彦》
露草の露にまみれて力石(河村正浩)下松市末武上「花岡八幡宮」《山彦》
八千草へ憩ひしごとく力石(河村正浩)下松市末武上「花岡八幡宮」《山彦》
冬温し閼伽井傍の力石(河村正浩)下松市末武上「花岡八幡宮」《山彦》
力石座る参道恵方道(河村正浩)下松市末武上「花岡八幡宮」《山彦》
雪少し被り無名の力石(河村正浩)下松市末武上「花岡八幡宮」《山彦》
力石囲む土筆の螺髪かな(河村正浩)下松市末武上「花岡八幡宮」《山彦》
鎌首をもたぐる蛇や力石(河村正浩)下松市末武上「花岡八幡宮」《山彦》
峰雲や誰も触らぬ力石(河村正浩)下松市末武上「花岡八幡宮」《山彦》
弁天の祠や冴ゆる力石(河村正浩)下松市二宮町「弁財天」《山彦》
力石十薬の花際立たせ(河村正浩)下松市二宮町「弁財天」《山彦》
荒梅雨に力石とてきつと鬱(河村正浩)下松市二宮町「弁財天」《山彦》
炎天の誰も触れない力石(河村正浩)下松市二宮町「弁財天」《山彦》
峰雲へ力んで見ゆる力石(河村正浩)下松市二宮町「弁財天」《山彦》
謂れ読み子等撫でて行く力石(河村正浩)下松市二宮町「弁財天」《山彦》
撫でるだけの四十貫の力石(河村正浩)下松市二宮町「弁財天」《山彦》
この世をば拗ねてゐるかに力石(河村正浩)下松市二宮町「弁財天」《山彦》
力石浮かせて百の落椿(平川扶久美)下関市中之町「亀山八幡宮」《山彦》

力石伝説奇し山笑ふ(蒼空蒼子)
むくむくと白曼珠沙華ちから石(秋尾敏)流山市流山「長流寺〕《軸》
花陰やびくともせずに力石(安東洋子)渋川市白井「白井宿」

炎天のパワー与(あずか)る力石(髙橋久江)「飯沼観音」
新涼の御宝となり力石(髙橋久江)「飯沼観音」
七難を与へよ炎天力石(田谷ひろし)「飯沼観音」
炎天下胸張って対峙力石(田谷ひろし)「飯沼観音」
力石昂ぶりは内懐に(田谷ひろし)「飯沼観音」
晩年のわれに炎天力石(田谷ひろし)「飯沼観音」
炎天のごとき晩年力石(田谷ひろし)「飯沼観音」
炎天のわれに与へよ力石(田谷ひろし)「飯沼観音」
秋高し今昔かかへ力石(榊原妙子)「飯沼観音」
力石撫でて三拝今朝の秋(𠮷原静江)「飯沼観音」
力石ふれて心身涼新た(𠮷原静江)「飯沼観音」

夏旅の想い出のなかに力石(飯島治蝶)越谷市越ヶ谷「中央市民会館」
夏想起石に日本一力持ち(飯島治蝶)越谷市越ヶ谷「中央市民会館」
夏の日に想起三ノ宮卯之助碑(飯島治蝶)越谷市越ヶ谷「中央市民会館」


力石抱きて咲けり石蕗の花(太田孝史)《陸》
脚踏みの別れ鴉や力石(きりぶち輝)《陸》
炎天の力石撫で打つ平手(蔵本丈晶)《陸》
花八手幾千の沁み力石(大久保八千代)《陸》
雪の果て訪ふ城の力石(及川よし子)《陸》
二十貫の力石に乗つている大西日(渡部洋一)「青梅市郷土博物館」《陸》
大寒や地にめり込みし力石(星野澄江)《陸》
七五三詣りにひそと力石(山本一糸)《陸》
力石五十五貫に降る落葉(大久保八千代)《陸》
力石軽く寄せあり三十三才(みそさざい)(山本千代子)《陸》
蝶翔ちてゆらぐと見えし力石(小木曽あや子)《陸》
春の夜や神馬いななく力石(永井良和)《陸》
二の丸門力石据え紅葉堀(川上みさ子)《陸》

力石枯葉に沈む峡の宮
(五十嵐道夫)坂井市三国町加戸「消防倉庫前」

梅雨闇に深き眠りの力石(武藤隆司ooyamadaisuke)「大宮八幡宮」
春疾風転がりさうな力石(武藤隆司ooyamadaisuke)「大宮八幡宮」
青あらし龍の卵か力石(武藤隆司ooyamadaisuke)「用賀神社」
梅の実や吉と刻みし力石(武藤隆司ooyamadaisuke)「用賀神社」
青草が持ち上げてゐる力石(武藤隆司)「神田明神」
青草や黒く光れる力石(武藤隆司)「神田明神」
力石青草離す人のなく(武藤隆司)「神田明神」
青草が抱く卵型力石(武藤隆司)「神田明神」
孵化するや青草抱く力石(武藤隆司)「神田明神」

力石男前です腕だめし君のためにと力が入る(小林裕子)袋井市浅名「諏訪神社」
若さゆえ力を競う若者よ誰が一番男前かな(小林裕子)富田林市嬉「腰神神社」
力石鍛錬励む若衆熱狂した庶民文化(芝田 悟)津幡町川尻「醫師神社」
競い合う汗が染み込む力石昔を語る郷土遺産(芝田悟)津幡町川尻「醫師神社」
力石昔を語る遺物なり若者たちの鍛錬道具(芝田悟)津幡町川尻「醫師神社」
若衆バンモチ石を持ち上げる一人前の名前刻まれる(芝田悟)津幡町川尻「醫師神社」
鍛錬すバンモチ石は娯楽の場差し上げる人声かける人(芝田悟)津幡町川尻「醫師神社」
新米や試しに挑む力石(須藤秀太)《春燈》
届きたる書籍の文字たどり力石(いし)へ想いを馳せるひと時(素姓乱雑)
柿喰らひ片手で挙げる力石嘘です神様落とします(俳人二百面相)戸田市氷川町「新曽氷川神社」

担げぬも触れて爽やか力石(ひろ志)横浜市港北区師岡「師岡熊野神社」
担げぬも触るゝ手の汗ちから石(ひろ志)横浜市港北区師岡「師岡熊野神社」
万緑や池畔に四つ力石(ひろ志)横浜市港北区師岡「師岡熊野神社」
境内の豊遊石へ秋の蝶(ひろ志)横浜市鶴見区矢向「日枝神社」
秋草や担ぎし石に男の名(ひろ志)横浜市鶴見区矢向「日枝神社」
照葉して社に列ぶ力石(ひろ志)横浜市鶴見区矢向「日枝神社」
大石を掲げてなんぼ秋祭り(ひろ志)横浜市鶴見区矢向「日枝神社」
苔の花増えて埋むる力石(梦月)横浜市神奈川区東神奈川「笠䅣稲荷神社」
尋ね来て詠んで涼んで力石(梦月)横浜市鶴見区岸谷「杉山神社」

天清和雲母のひかる力石(風子)岡崎市矢作町宝珠庵「八幡宮」
棕櫚の花かげの濃くある力石(風子)岡崎市矢作町宝珠庵「八幡宮」
茅花ながし巡る神社の力石(風子)岡崎市矢作町宝珠庵「八幡宮」
蟾蜍出て夜な夜な動く力石(当卯)岡崎市矢作町宝珠庵「八幡宮」
はざがけし石抱く諸手村社(鶴見貞雄)結城市北南茂呂「香取神社」
落葉に埋もれておりし力石(鶴見貞雄)結城市北南茂呂「香取神社」
冬日差す松の根方の力石(哲庵)「法明寺(鬼子母神)」
春泥や松の根方の力石(哲菴)「法明寺(鬼子母神)」

ひぐらしの声聞いてをり力石(土居郁雄)《土居組》
邯鄲やさし石枕秋闌ける(土居郁雄)《土居組》
さし石や六花舞い散る住吉社(土居郁雄)《土居組》
しぐるゝや濡れたるままに力石(土居郁雄)《土居組》
さし石や天に差し出すもみじ晴れ(土居郁雄)《土居組》
悲しさは落ち葉の下の力石(土居郁雄)《土居組》
気が付けば茅の輪の下に力石(土居郁雄)《土居組》
初興行今日は俵か力石(土居郁雄)《土居組》
力石名前を刻む男達(土居郁雄)《土居組》
笛太鼓管絃祭の力石(土居郁雄)《土居組》
野づら積み地蔵の上の力石(土居郁雄)《土居組》
秋風や二つ寝そべる力石(四宮陽一)長岡京市馬場「自治会館」《土居組》
力の字石に溶けそう秋の暮(四宮陽一)長岡京市馬場「自治会館」《土居組》
落葉踏み十まで数ふる石の群れ(四宮陽一)千代田区神田須田町「柳森神社」《土居組》
奉納てふ文字辛うじて夏の夕(小竹哲)宝塚市高志司「素盞鳴神社」《土居組》
さし石の上はすかひに啞の蝉(小竹哲)「久保神社」《土居組》
玉垣の脇に斃るる石柱の銘は大阪力持講(小竹哲)「久保神社」《土居組》
噺家もちょいと試すや力石(小竹哲)「大阪天満宮」《土居組》
コンクリに三体ながら固定され力競べも叶はざりけり(小竹哲)「大阪天満宮」《土居組》
地蔵堂辻に餞暑の力石(小竹哲)池田市井口堂「地蔵堂」《土居組》
力石かそれかあらぬか有馬みち能勢街道の岐るる処(小竹 哲)池田市井口堂「地蔵堂」《土居組》
仰向けに負け認むるか力石(小竹哲)明石市鍛冶屋町「浜光明寺」《土居組》
秋彼岸子午線上の力石(小竹哲)明石市人丸町「柿本神社」《土居組》
ちはやぶる神代の杜の磐座の傍(はた)にさぶらふ力石かも(小竹 哲)池田市鉢塚「五社神社」《土居組》
力石榊の緑あらたなり(小竹 哲)池田市鉢塚「五社神社」《土居組》
百貫もひょいと担がむ手力男(小竹 哲)池田市鉢塚「五社神社」《土居組》
坪庭の小松のもとに銘なくは磐持石と誰か知らまし(小竹 哲)淀川区十三東「神津神社」《土居組》
百度石句碑筆塚はありなめど磐持石のいづくなるらむ(小竹 哲)箕面市箕面「西江寺」《土居組》
捨て石にまがふずんべら力石(小竹 哲)箕面市箕面「西江寺」《土居組》
郷倉や三斗四斗五斗一面子(小竹 哲)箕面市牧落「牧落会館」《土居組》
刻まれし銘は風雨にさらされてペトログリフとなりにけるかな(小竹哲)都島区本通「都島神社」《土居組》
境内の掃き浄めたる白砂に担がれし日を思ひいづらん(小竹哲)都島区本通「都島神社」《土居組》
石神の眷属ならん力石山の神ともあひ似たりけり(小竹哲)四日市市山城町「櫻神社」《土居組》
力石うへに置かれし賽銭は神となりぬるしるしなるべし(小竹哲)四日市市松原町「聖武天皇社」《土居組》
力石に懸想したるか山の神(小竹哲)《土居組》
秋雨のぽつりぽつりと力石(小竹哲)川西市火打「勝福寺」《土居組》
右ハ多田左在所より集ひ来し若い衆(しゅ)の汗娘子の声(小竹哲)川西市火打「勝福寺」《土居組》
双つ石ダイダラボッチの玉と見ゆ(小竹哲)池田市畑「天満宮」《土居組》
前垂れを懸けし人あり小力石(小竹哲)池田市畑「天満宮」《土居組》
花の寺だれも見向かぬ力石(大野照文)《土居組》
紅葉降り無骨和らぐ力石(大野照文)《土居組》
秋の夜星が染み入る力石(大野照文)《土居組》
名刹に重みを添える力石(大野照文)《土居組》
色男小指でなでる力石(大野照文)《土居組》
漬物に力石とは母強し(大野照文)《土居組》
炎陽が石に染み入りセミ静寂(しじま)(大野照文)《土居組》
力石担げる歳の来ぬままに(大野照文)《土居組》
アキレスよ背負ってみるかと力石(大野照文)《土居組》
力石その親玉は地球なり(大野照文)《土居組》
八月や重き影なす力石(髙岡秀基)《土居組》
瑠璃トカゲ石を土俵に身じろぎぬ(髙岡秀基)芦屋市上宮川町「阿保天神社」《土居組》
力石動かせぬ文字枯尾花(髙岡秀基)《土居組》
いにしえの若き熱気が苔むして(髙岡秀基)《土居組》
力石ググって重さ調べる子(髙岡秀基)《土居組》
さし石に刻まれし字は読めねども鑿の深さは重く残りし(髙岡秀基)《土居組》
秋まつり露店賑わう境内の隅に休みし奉納の石(髙岡秀基)《土居組》
掘り出され過去を夢見る力石(清水真保)和歌山城《土居組》
冬日受く城を支えし力石(清水真保)和歌山城《土居組》
秋空を腰掛けてみる力石(清水真保)大阪府泉南郡田尻町吉見「春日神社」《土居組》
弁慶の汗も吸いしか力石(片山旭星)土居組
祭神崇めて挑む力石(片山旭星)土居組
春光や力士所縁の力石(片山旭星)土居組
刻まれし文字に春日や力石(片山旭星)土居組
蝉時雨社に並ぶ力石(片山旭星)土居組
祭神崇めて挑む力石(片山旭星)吟詠地無し《土居組》
春光や力士所縁の力石(片山旭星)大阪府大阪市東住吉区山阪「山阪神社」《土居組》
刻まれし文字に春日や力石(片山旭星)「山阪神社」《土居組》
蝉時雨社に並ぶ力石(片山旭星)「山阪神社」《土居組》



秋光を溜めて息づく力石(菅野奈都子)「太宰府天満宮」菅野組
山茶花の小さき莟や力石(埋金年代)「太宰府天満宮」菅野組
秋高し濡れて艶やか力石(赤池幸代)「太宰府天満宮」菅野組
風花のふれては消えて力石(松下美奈子)「太宰府天満宮」菅野組
冬隣人寄せつけぬ力石(松本千佳子)「太宰府天満宮」菅野組
夏盛ん博多祇園の力石(松下美奈子)福岡市「櫛田神社」菅野組
秋気澄む古刹につどふ力石(松下美奈子)福山市「沼名前神社」菅野組
柳散る旧街道の力石(角田智子)藤沢市藤沢「白旗神社」弁慶の力石・菅野組
冬怒涛佇み変へぬ力石(渋田かおる)「志賀海神社」菅野組
水木紅葉散り敷く宮の力石(久美二葉)福岡「水鏡天満宮」菅野組
小春日や三百五拾斤余力石(生田裕子)福岡「水鏡天満宮」菅野組
暮れの秋栄華を眠る力石「稲益孝子)久留米市「塚島天満宮」菅野組
冷まじや千年宿る力石(稲益孝子)久留米市「塚島天満宮」菅野組
豊年や村にひとつの力石(西村麻紀)吟詠地無し菅野組

担ぎ上げしぼる雄たけび熱帯夜(夏目)入善町新屋「住吉神社」
夏の夜に膂力(りょりょく)尽くすや男衆(夏目)入善町新屋「住吉神社」
汗の手におもかる石の軽きこと(舟津)「伏見稲荷大社」《引鶴》重軽石
浅草寺人群避けて力石庶民の生活見守らむかな(茂木敏江)「浅草寺」
浅草寺にぎわい避けて力石江戸の文化を今に伝える(茂木敏江)「浅草寺」
ひいふうみい刻印ありし力石浅草寺境内まとめられあり(茂木敏江)「浅草寺」
力石庶民の生活見守らむ(茂木敏江)「浅草寺」
浅草寺人群避けて力石(茂木敏江)「浅草寺」
山奥の稲荷神社に手を合わす右奥見れば力石あり(茂木敏江)ときがわ町椚平「稲荷神社」
荒梅雨に磨かれ殿と力石(望月久代)清水区由比東山寺「東山神社」
炎天から担いで見よと力石(森田真臣)生野区桃谷「御幸森天神宮」
丸石を成人の証持ち上げし(濵田秀之)串本町江田「徳大明神社」
機械化で不要となりし力石(濵田秀之)串本町江田「徳大明神社」
春散歩力試しの石見遣る(平賀敦巳)横浜市緑区西八朔町「杉山神社」
穀雨かな腰を据ゑたる力石(文室七星)
若者の相撲稽古や力石(柳東)


江戸の世の春を重ねて力石(詠み人知らず)
力石おれがおれがと群とんぼ(詠み人知らず)
力石百年灼けて鎮もれる(詠み人知らず)
大石を見て想像の春日和 本当の重さ確かめたくて(詠み人知らず)河内長野市東片添町「路傍」
春散歩力試しの石見遣る(詠み人知らず)横浜市西八朔町「杉山神社」

★春寒し社の隅に力石(栄子)弥彦村弥彦「弥彦神社」《水明熊谷句会》(重軽石)
★下萌えて遊び心の力石(かづひろ)東京都北区岸町「王子稲荷神社」《あすか》重軽石
★涼新た願掛け石と力石(角野京子)笠岡市白石島「開龍寺」《雲》伝説上
★春愉し重軽石の順に待ち(新倉眞理)京都市北区紫野今宮町「今宮神社」《雲》重軽石
★力石誰もスマホで撮りもせず(髙岡秀基)《土居組》
★小春日や試して軽き力石(榎原洋子)福島区鷺洲「了徳院」《雲》重軽石
★滴りのガマに子宝ちから石(又吉なお) 国東郡伊江村「ニャティヤ洞」※占いに使用。菅野組
★若夏や戦禍の島の力石(又吉なお)国東郡伊江村「ニャティヤ洞」菅野組
★苔寒し神話の国の力石(もとこ)「高千穂峡」《ゴ》伝説上
★祇園会や物言ひたげな弁慶石(四宮陽一)中京区弁慶石町《土居組》伝説上
★弁慶の汗も吸いしか力石(片山旭星)京都市三条麩屋町《土居組》伝説上

知らぬ街訪ねる先に力石(伊藤美穂)
夏の日にムヒ忘れたり力石(伊藤美穂)
脳トレね歩いて探索力石(伊藤美穂)
撫で石よシルバーレディ長寿也(伊藤美穂)大田区仲六郷「北野神社」
陽炎の奥に見えしは力石(伊藤美穂)荒川区西尾久「八幡神社」
冬霞囲いの中の力石(伊藤美穂)大田区萩中「萩中神社」
富士塚のメインは私力石(伊藤美穂)大田区本羽田「羽田神社」
藪の中いずこにみえる力石(伊藤美穂)東京都港区芝公園「丸山稲荷神社」
力石庚申様に見守られ(伊藤美穂)文京区根津「根津神社」
東海路力競いし赤い文字(伊藤美穂)品川区南品川「海雲寺」
新宿の杜涼風吹いて力石(伊藤美穂)新宿区須賀町「須賀神社」
夏の風力石(いし)にそよぎて宮流れ(伊藤美穂)杉並区善福寺「井草八幡宮」
南風を石石石が受け流し(伊藤美穂)杉並区善福寺「井草八幡宮」
蛇紋石(じゃもんせき)見つめし先に力石(伊藤美穂)世田谷区中町「天祖神社」
社隅(やしろすみ)共に濡れます石二つ(伊藤美穂)世田谷区中町「天祖神社」
同石も風代わりしも雅致の顔(伊藤美穂)東京都港区白金「立行寺」
注連縄を横目で睨む達磨石(伊藤美穂)東京都港区白金「立行寺」
杉山の小高き丘に力石(いし)一つ(伊藤美穂)横浜市港北区樽町「杉山神社」
麗らかな風御神籤下力石(伊藤美穂)横浜市港北区箕輪町「諏訪神社」
山越えし訪ね尋ねし力石(伊藤美穂)横浜市港北区大曽根台「八幡神社」
木の下は涼しいですか力石(伊藤美穂)杉並区阿佐ヶ谷「神明宮」
早梅と庭に似合し力石(伊藤美穂)墨田区文花「香取神社」
弘化四年かムンズと座る鬼面石(伊藤美穂)墨田区向島「三囲神社」
力石富士塚の中同化して(伊藤美穂)江東区南砂「富賀岡八幡宮」
ハラン下見えねども有る対の石(伊藤美穂)墨田区両国「回向院」
鳥居影かくれんぼかな力石(伊藤美穂)台東区東上野「下谷神社」
ドッカーン流石巳之助力石(伊藤美穂)台東区浅草「清光寺」
天届く鳥居と供に力石(伊藤美穂)川崎区小田「日枝大神社」
春深く緑の下に力石(伊藤美穂)大田区西蒲田「熊野神社」
力石忘れられたか木の下に(伊藤美穂)大田区新蒲田「道塚神社」
紫陽花のつぼみの下に力石(伊藤美穂)墨田区押上「飛木稲荷神社」
山吹が覆いかぶさる力石(伊藤美穂)川崎市中原区上丸子山王町「日枝神社」
庚申の脇を固めし力石(伊藤美穂)台東区下谷「小野照崎神社」
この石ねこの石だよね力石(伊藤美穂)東京都中央区新川「新川大神宮」
立石に惹きつけられる朱の文字よ(伊藤美穂)新宿区原町「宝禄稲荷神社」
木陰翳(こかげかげ)密かに見えし力石(伊藤美穂)新宿区新宿「太宗寺」
欠けし石石に意思無く此処に居し(伊藤美穂)文京区本郷「法真寺」
小高丘小ぶり三つの力石(伊藤美穂)横浜市旭区小高町「小高神明社」
林中(はやしなか)社左右に力石(伊藤美穂)横浜市旭区小高町「小高神明社」
草の香がほのかに香り力石(伊藤美穂)横浜市保土ヶ谷区仏向町「杉山神社」
鳥居向こうに小さき見えし力石(伊藤美穂)横浜市保土ヶ谷区仏向町「杉山神社」
冬晴に現代文字と力石(伊藤美穂)横浜市都筑区川向町「稲荷神社」
お辞儀型くの字のままで力石(伊藤美穂)横浜市都筑区川向町「稲荷神社」
蝉時雨ポツンとひとつ力石(伊藤美穂)横浜市鶴見区東寺尾「白幡神社」
石壱(いしひとつ)夢見ヶ崎の丘の下(伊藤美穂)川崎市川崎区北加瀬「寿福寺」
冬ざるる海風近し力石(伊藤美穂)川崎市川崎区塩浜「神明神社」
ここにまた旧東海道力石(いし)三つ(伊藤美穂)大田区大森北「磐井神社」
碑と共に過ぎし日々有り力石(伊藤美穂)練馬区豊玉南「氷川神社」
華なくも緑葉(みどりは)ともに力石(伊藤美穂)大田区池上「堤方神社」
階段を登り続けて力石(いし)訪ね空見上げれば雲急ぎ足(伊藤美穂)横浜市都筑区南山田町「山田神社」
白梅と風流な寺力石(伊藤美穂)「石観音」
もうすでに白梅咲きて力石(伊藤美穂)「石観音」
凛と立ち仲良く三つ並んでる(伊藤美穂)川崎市中原区井田中ノ町「井田神社」
背を比べもう伸びないね力石(伊藤美穂)川崎市中原区井田中ノ町「井田神社」
力石お手植え銀杏お友達(伊藤美穂)「海南神社」
力石龍神木と共に有り(伊藤美穂)「海南神社」
力石三浦の風が頬を撫で三崎六合(伊藤美穂)三浦市三崎六合「妙義神社」
軒先に隠れるように力石(伊藤美穂)三浦市宮川町「円覚寺」
薄彫りに春先の風力石(伊藤美穂)三浦市宮川町「円覚寺」
浦賀にて潮の香りと力石(伊藤美穂)横須賀市東浦賀「叶神社」

夕立や稲荷にふたつ力石(天野翔 )鎌倉市雪ノ下「三栄稲荷神社」
夕立をあやぶみて去る八幡宮稲荷に寄りて力石見る
(天野翔)鎌倉市雪ノ下「三栄稲荷神社」
大小の忘れられたる力石八坂大神(おおかみ)社務所の庭に(天野翔)鎌倉市扇ガ谷「八坂大神」
汗ぬぐふ八坂大神力石(天野翔)鎌倉市扇ガ谷「八坂大神」
力石ふたつを避けて銀杏散る(天野翔)鎌倉市扇ガ谷「八坂大神」
力石ふたつ鎮もる大神の社の前に歴史説く人(天野翔)鎌倉市扇ガ谷「八坂大神」
それとなくふたつ置かるる力石もののふが手に馴染みて丸き(天野翔)鎌倉市扇ガ谷「八坂大神」
力石ふたつ確かめ写真撮る梅雨の晴れ間の風むし暑き(天野翔)鎌倉市扇ガ谷「八坂大神」
枯葉散るさつきの蔭の力石(天野翔)大磯町大磯「鴫立庵」
歳晩の朝日さしくる力石(天野翔)大磯町大磯「鴫立庵」
年暮れて探しあてたり力石(天野翔)大磯町大磯「鴫立庵」
落葉掻終へたる庭の力石(天野翔)半田市岩滑中町「八幡神社」
しぐるるや斐芽(ひめ)の祠の力石(天野翔)半田市東本町「業葉神社」
江戸の世に据えられしとふ力石子安、子宝、安産に効く(天野翔)半田市東本町「業葉神社」
いつしかに赤き祠に納めらる女陰の形の力石はや(天野翔)半田市東本町「業葉神社」
そのかみの旅人たちも試しけむ藤沢宿の弁慶の石(天野翔)藤澤「白旗神社」
お賽銭ともみぢの落葉力石(天野翔)藤澤「白旗神社」
力石けやき黄葉(もみぢ)をまぶしめる(天野翔)藤澤「白旗神社」
義経の御霊を祀る忠友殿よこに鎮もる弁慶の石(天野翔)藤澤「白旗神社」
弁慶の力石見る七五三(天野翔)藤澤「白旗神社」
七五三子に触らせる力石(天野翔)藤澤「白旗神社」
義経の首洗ひ井戸弁慶の力石見る白旗の秋(天野翔)藤澤「白旗神社」
腰越に待たされし日々弁慶が身体きたへし手玉石あり(天野翔)鎌倉市腰越「満福寺」
春まつり客の立ち寄る力石(天野翔)神奈川県藤沢市江の島「江島神社奥津宮」
奥宮の亀甲石と力石注連(しめ)新しくありがたく見ゆ(天野翔)「江島神社奥津宮」
力石亀甲石にも初詣(天野翔)「江島神社奥津宮」)
岩槻藩卯之助寄進の力石八十貫に一円硬貨(天野翔)「江島神社奥津宮」
江ノ島や鳥居と桜力石(天野翔)「江島神社奥津宮」
注連縄(しめ)張りて春陽(はるひ)を浴ぶる力石鳥居にかかる桜見てをり(天野翔)「江島神社奥津宮」
奥津宮参道わきの力石春陽(はるひ)をあびて笑ふが如し(天野翔)「江島神社奥津宮」
海舟の書の「賀来神社」境内に力石見る梅雨に濡れつつ(天野翔)藤沢市鵠沼「賀来神社」
梅雨日照り糸杉下の力石(天野翔)鎌倉市十二所「十二所神社」
つやめきて楕円形なる石あればこれぞと思ふ十二所神社(天野翔)鎌倉市十二所「十二所神社」
花ちるを見上げてをりし力石(天野翔)鎌倉市山ノ内「浄智寺」
はすかひに桜見上ぐる力石「七福神」の幟はためく(天野翔)鎌倉市山ノ内「浄智寺」
浄智寺の花に魅せられ入る客の誰も気付かぬこの力石(天野翔)鎌倉市山ノ内「浄智寺」
タチヒガンさくらの大樹力石(天野翔)鎌倉市山ノ内「浄智寺」
力石ふたつつややか立彼岸(天野翔)鎌倉市山ノ内「浄智寺」
力石ふたつを訪ねタチヒガン咲きたるを見て引き返したり(天野翔)鎌倉市山ノ内「浄智寺」
本殿の縁側石に腰かけて「山神宮」の力石見る(天野翔)藤沢市立石「立石神社」
つやめける「山神宮」の力石幾千人の手に擦(こす)れけむ(天野翔)藤沢市立石「立石神社」
力石そばに日焼の道祖神(天野翔)藤沢市宮前「大門」
「大門」の立札下にふたつあり「力石」とふ文字のかすれて(天野翔)藤沢市宮前「大門」
「大門」の立札下の力石大小合はせ四十六貫(天野翔)藤沢市宮前「大門」
緑陰やほぞの形の力石(天野翔)藤沢市遠藤「御嶽神社」
注連(しめ)張れる陰(ほと)のかたちの力石御嶽神社は富士に真向かふ(天野翔)藤沢市遠藤「御嶽神社」
そのかみの若衆が力競ひけり今注連(しめ)張れる陰形の石(天野翔)藤沢市遠藤「御嶽神社」
力石見つけてうれし夏木立(天野翔)戸塚区平戸町「白旗神社」
力石探す神社の正面に笹竜胆の家紋が光る(天野翔)戸塚区平戸町「白旗神社」
盆栽のごとき植木の傍にあり角張る石の横の丸石(天野翔)戸塚区平戸町「白旗神社」
力石見つけて帰る軒先に雀ちゆりちゆり鳴きにけるかも(天野翔)戸塚区平戸町「白旗神社」
緑陰の石段のぼり本殿のめぐりに探すかの力石(天野翔)戸塚区平戸町「白旗神社」
鐘楼のそばの八つ手の下にあり見過ごしやすきその力石(天野翔)横浜市栄区上郷町「光明寺」
立札に石の由来の書かれたり八つ手掻き分けその文を読む(天野翔)横浜市栄区上郷町「光明寺」
立札は八つ手に隠れ読み難し一度見過ごすその力石(天野翔)横浜市栄区上郷町「光明寺」
力石見て牛に逢ふ梅雨の空(天野翔)横浜市港南区上永谷「永谷天満宮」
丸き石いくつもあれば台に載るものこそ力石と思へり(天野翔)横浜市港南区上永谷「永谷天満宮」
力石の所在確かめのぼりたり天神山の紫陽花の道(天野翔)横浜市港南区上永谷「永谷天満宮」
にいにいのかぼそき声や力石(天野翔)戸塚区矢部町「街山八幡神社」
この水に汗拭ひけむ力石(天野翔)戸塚区矢部町「街山八幡神社」
石段をのぼりきりたる左手に水盤舎あり力石あり(天野翔)戸塚区矢部町「街山八幡神社」
樟青葉根方にあまた力石(天野翔)磯子区岡村「岡村天満宮」
あらたまの年を占ふ力石(天野翔)磯子区岡村「岡村天満宮」
力石三つ鎮まる大暑かな(天野翔)横浜市磯子区杉田「八幡神社」
狛犬の風化可笑しき境内に見回し探すかの力石(天野翔)横浜市磯子区杉田「八幡神社」
新しき狛犬横にそれぞれが灯籠もてる力石三つ(天野翔)横浜市磯子区杉田「八幡神社」
本殿の脇に梅咲く力石(天野翔)茅ヶ崎市本村「八王子神社」
梅の木の根方にふたつ力石笹に隠れず竹垣の中(天野翔)茅ヶ崎市本村「八王子神社」
炎天下石の鳥居と力石(天野翔)茅ヶ崎市十間坂「第六天神社」
天神の御由緒書の下に置く鳥居のそばの力石二つ(天野翔)茅ヶ崎市十間坂「第六天神社」
暑き日も雅楽聞えて石三つ(天野翔)保土ヶ谷区天王町「橘樹神社」
力石三つに暑さ極まれり(天野翔)保土ヶ谷区天王町「橘樹神社」
たすき石さし石とも言ひ持ち上げて天地神明に誓ひしといふ(天野翔)保土ヶ谷区天王町「橘樹神社」
両手かけもち上げむとする力石小学生の父母が笑へり(天野翔)保土ヶ谷区天王町「橘樹神社」
炎帝が根負けしたり力石(天野翔)戸塚区下倉田町「路傍」
郷土誌に記載されたる力石川匂神社の立札の下(天野翔)「川匂神社」
力石といふには大きすぎないか五郎十郎が身体鍛へし(天野翔)「川匂神社」
あらたまの年の日の丸力石(天野翔)茅ヶ崎市小和田「熊野神社」
夏祭りくれば出番の力石(天野翔)茅ヶ崎市小和田「熊野神社」
青潮のうねり間近に力石(天野翔)湯河原町吉浜「小道地蔵堂」
土用波とどろく浜の力石(天野翔)湯河原町吉浜「小道地蔵堂」
女躰(によたい)といふ珍しき名の神社にも力石あり社務所の前に(天野翔)川﨑市幸区幸町「女躰神社」
酒を競ひ力を競ひし境内に十一の石肩寄せあへり(天野翔)川崎区大師町「若宮八幡宮」
湧水に汗流しけむ力石(天野翔)鎌倉市岩瀬「下関青少年広場」
上総掘り湧水井戸の水を汲む芝生はづれに二個力石(天野翔)「下関青少年広場」
天神の祭りなつかし力石(天野翔)鶴見区矢向「日枝神社」
それぞれに文字刻まれし石六つ中に「白虎石」「龍虎石」あり(天野翔)鶴見区矢向「日枝神社」
大津より勧請せしとふ天神の庭に鎮まる力石六つ(天野翔)鶴見区矢向「日枝神社」
「白虎石」「龍虎石」とふ名もありて力競ひし昔しのばゆ(天野翔)鶴見区矢向「日枝神社」
蝉しぐれ誰が持ち上げし白虎石(天野翔)鶴見区矢向「日枝神社」
万両の朱実かがやく庭隅の「水神」脇にならぶ三つ石(天野翔)小田原市堀之内「若宮八幡宮」
それらしき石の三つ四つ蝉しぐれ(天野翔)保土ヶ谷区境木本町「境木地蔵堂」
迷ひつつたどりつきたる地蔵堂力石また見つけ難しも(天野翔)保土ヶ谷区境木本町「境木地蔵堂」
老人に聞けど知らぬといふ答境木地蔵の力石はや(天野翔)保土ヶ谷区境木本町「境木地蔵堂」
本堂の横の植木の元にあり三つ四つ並ぶそれらしき石(天野翔)保土ヶ谷区境木本町「境木地蔵堂」
力石いづこと探す境内に蝉鳴きやまぬ境木地蔵(天野翔)保土ヶ谷区境木本町「境木地蔵堂」
力石鳥居の脇に置かれたり卵立てたるごときが二つ(天野翔)横浜市港北区綱島東「諏訪神社」
正月の粥占ひや力石(天野翔)横浜市港北区師岡町「熊野神社」
いの池の蛙を聞くや力石(天野翔)横浜市港北区師岡町「熊野神社」
アカガシの木蔭に涼む力石(天野翔)横浜市港北区師岡町「熊野神社」
力石いづこと問へばいの池のほとりにあると巫女は答へき(天野翔)横浜市港北区師岡町「熊野神社」
いの池の由来書きたる札の下名前刻める力石四つ(天野翔)横浜市港北区師岡町「熊野神社」
筒粥の神事の後に競ひけむ力石四ついの池の辺に(天野翔)横浜市港北区師岡町「熊野神社」
大楠の根の間(はざま)なる力石「子宝安産」の立札の下(天野翔)「笠䅣稲荷神社
力石探す笠稲荷には子宝を得し祝詞ひびかふ(天野翔)「笠稲荷神社」
秋風や栢(かや)の古木と力石(天野翔)金沢区瀬戸「瀬戸神社」
栢の木の秋風を聞く力石(天野翔)金沢区瀬戸「瀬戸神社」
注連張れる栢(かや)の古木の根方には石碑とならび力石あり(天野翔)金沢区瀬戸「瀬戸神社」
カヤの木と共に年経る力石木は老ゆれども石は変はらず(天野翔)金沢区瀬戸「瀬戸神社」
狛犬の尻辺の下の力石楠の古木の根を鎮めたり(天野翔)横浜市港北区箕輪町「諏訪神社」
どんよりと空は曇れり力石ひとつ見つけて帰らむとする(天野翔)横浜市港北区箕輪町「諏訪神社」
奉納の手水の鉢を支ふるか地に埋めたる力石いくつ(天野翔)神奈川区神大寺「日枝神社」
力石踏みて手水を使ひけり狛犬二頭の守る境内(天野翔)神奈川区神大寺「日枝神社」
秋風やひとりわが見る力石(天野翔)開成町「観音堂」
力石ひとつ加へて三つがあり観音堂の右脇隅に(天野翔)開成町円通寺「観音堂」
戦前の力自慢を伝へたり観音堂の上り段そば(天野翔)開成町円通寺「観音堂」
草刈の翁と探す力石白滝不動の階めぐりつつ(天野翔)横浜市中区根岸「白瀧不動尊」
さはやかな朝の礼拝力石(天野翔)川崎区大島「八幡神社」
大いなる鳥居のそばに力石ふたつ置かれて立札のあり(天野翔)川崎区大島「八幡神社」
力石と書かれし場所に石三つ「稲荷大明神」の立札の下(天野翔)川崎区渡田「新田神社」
力石三つ見つむる背後には新田義貞公の銅像(天野翔)川崎区渡田「新田神社」
力石三つのうちの中の石注連縄張られ左右より高し(天野翔)川崎区渡田「新田神社」
力石探す八幡秋まつり(天野翔)平塚市宮前「八幡宮」
武蔵山が奉納したる力石右の手形と「武運長久」(天野翔)平塚市宮前「八幡宮」
ぎんなんの散り敷くを踏む力石(天野翔)都筑区茅ヶ崎東「壽福寺圓通閣」
大銀杏下の藪陰のぞき込み力石ふたつ三つと数ふ(天野翔)都筑区茅ヶ崎東「壽福寺圓通閣」
ぎんなんを踏みて近づく力石(天野翔)都筑区茅ヶ崎東「壽福寺圓通閣」
古びたる鳥居の前に立ちたれば秋の日射に照る力石(天野翔)三浦市三崎町六合「妙義神社」
ぼた餅の形をしたる力石 人目引くなり祠の前に(天野翔)三浦市三崎町六合「妙義神社」
古びたる鳥居の前に立ちたれば祠の前に力石照る(天野翔)三浦市三崎町六合「妙義神社」
幾人の手に擦(こす)れけむ力石朝の日に照る白きぼた餅(天野翔)三浦市三崎町六合「妙義神社」
「祝七五三詣り」の幟立つところ石段下に力石あり(天野翔)三浦市南下浦町「白山神社」
蕎麦粒は二十七貫、ボタ餅は二十八貫、米粒は十七貫と記されてあり(天野翔)相模原市南区鵜野森「日枝神社」
大欅大楠の根のあらはなる日枝神社には力石三つ(天野翔)相模原市南区鵜野森「日枝神社」
三つ石に米粒、ボタ餅、蕎麦粒の名前と貫目あるを記せり(天野翔)相模原市南区鵜野森「日枝神社」
大松と白蛇伝説あるといふ力だめしの石を見る庭(天野翔)相模原市中央区矢部「村富神社」
本殿の左手奥に囲はれて二つならべる力くらべ石(天野翔)相模原市中央区矢部「村富神社」
力石七つのむかひ俳諧の「独吟万句詠草塚」あり(天野翔)川崎区観音「石観音堂」
なにごとか文字彫られたる石の面に「二十七」なる数字が見える(天野翔)川崎市幸区塚越「御嶽神社」
公園の一部となりし八幡宮誰か気付かむ三つ力石(天野翔)中原区刈宿「八幡神社」
いつよりか力自慢を止めにけむ鳥居の下に蹲(うづくま)る石(天野翔)中原区苅宿「八幡神社」
天神の天高くして力石(天野 翔)川崎市市幸区下平間「天満天神社」
力石ほか手ごろなる丸石もあまた集めし天神の脇(天野翔)川崎市市幸区下平間「天満天神社」
楠の木と力石三つ奉納の碑の立てられて玉垣の元(天野翔)川崎市幸区鹿島田「鹿島大神」
塀際に秋の朝日の力石(天野翔)中原区木月「住吉神社」
力石探して歩く座間の秋(天野翔)座間市新田宿「公民館」
卵石菱形石を持ち運び力競ひし村の先祖は(天野翔)座間市新田宿「公民館」
力石らしくは見えぬ石ひとつ古き石碑の間に鎮まる(天野翔)座間市緑ヶ丘「道祖神」
柿熟れて昔を語る力石(天野翔)座間市入谷「道祖神」
青筋をたててふんばり若者が二十五貫の石持ち上ぐる(天野翔)座間市入谷「道祖神」
若きらが石持ち上げて自慢せり娯楽少なき戦後の村は(天野翔)座間市入谷「道祖神」
指先の跡とおぼしき穴あまた手玉石にも袂石(たもといし)にも(天野翔)鎌倉市坂ノ下「御霊神社」
袂石十六貫に手玉石二十八貫ならべて祀る(天野翔)鎌倉市坂ノ下「御霊神社」
新年の開運祈願手玉石(天野翔)鎌倉市大町「八雲神社」
楠若葉根方にふたつ手玉石(天野翔)鎌倉市大町「八雲神社」
手玉石ふたつに楠の若葉影(天野翔)鎌倉市大町「八雲神社」
手玉石ふたつ据ゑたりつばめ来て楠の若葉の空にさへづる(天野翔)鎌倉市大町「八雲神社」
神木の楠若葉せり手玉石(天野翔)鎌倉市大町「八雲神社」
立札は「新羅三郎手玉石」楠の若葉の匂へる庭に(天野翔)鎌倉市大町「八雲神社」
今の世に残れるふたつ手玉石新羅三郎がからだ鍛へし(天野翔)鎌倉市大町「八雲神社」
大いなる銀杏三本を見て歩く本殿脇の力石まで(天野翔)茅ヶ崎市円蔵「神明大神」
力石の左手奥に祀られて景能公の石像が立つ(天野翔)茅ヶ崎市円蔵「神明大神」
古き代の力競べを想ひをり弥生時代末期の遺跡(天野翔)茅ヶ崎市西久保「日吉神社」
朝光(あさかげ)の銀杏根方に力石(天野翔)茅ヶ崎市南湖「八雲神社」
大いなる鳥居くぐりて本殿の銀杏根方に見る力石(天野翔)茅ヶ崎市南湖「八雲神社」
本殿の灯籠脇に佇みて石を見おろし松風を聞く(天野翔)茅ヶ崎市南湖「八雲神社」
大いなる護国之碑のもと力石らしきが二つ他と並びて(天野翔)茅ヶ崎市菱沼「八王子神社」

「巳之助」を掘り出し満ちて梅の花(斎藤呆人)江戸川区東葛西「香取神社」
力石気付く人なし北の風(斎藤呆人)越谷市袋山「袋山集会所前」
白黒の力石(いし)かや凪の二月尽(斎藤呆人)小山市東野田「野田神社」
差し石ようるさくねえか蝉しぐれ(斎藤呆人)三鷹市中原「中嶋神社」
秋晴れて友の見つけし力石(いし)を見に(斎藤呆人)川口市安行吉岡「氷川神社」
行っちゃうの?と言う力石梅雨晴れ間(斎藤呆人)野木町友沼「水神宮」
睦まじく午睡してるや力石(いし)二つ「弥五郎」ついに「八斗」娶るか(斎藤呆人)吉川市木売「集会所」
力石(いし)を追いまた夏が来て春が去る(斎藤呆人)所沢市南永井「稲荷神社」
言うなればただの力石(いし)にも春が来る(斎藤呆人)越谷市増林城ノ上「稲荷神社」
踏み石の正体知れり冬日にて(斎藤呆人)吉川市上笹塚「天満宮」
力石(いし)肌に赤きペンキの傷の痕(斎藤呆人)五霞町元栗橋「稲荷神社・池成集会所」
「三十メ」と初めて読まれ力石(いし)となる(斎藤呆人)「路傍・大澤家畑地」
力石(いし)に成りてやっと二度目の春迎え(斎藤呆人)「路傍・大澤家畑地」
「歌石」の末尾が読めぬスルメ噛む(斎藤呆人)江東区佐賀「稲荷神社」
紅白のさくら仰ぐや力石(いし)二つ(斎藤呆人)さいたま市岩槻区掛「稲荷神社」
秋の日や力石(いし)に気付くは吾ひとり(斎藤呆人)桶川市小針領家「路傍」
小春日や足元に風力石(いし)に風(斎藤呆人)杉戸町才羽「八幡神社」
秋晴れや文政力石(いし)の住処まで(斎藤呆人)杉戸町下高野「永福寺」
朔風(さくふう)に吐息を乗せて左門力石(いし)(斎藤呆人)幸手市外郷内「共同墓地」
朔風(さくふう)や身を固くして左門力石(いし)(斎藤呆人)幸手市外郷内「共同墓地」
力石(いし)ふたつ宝永からの昼寝かな(斎藤呆人)白岡市千駄野「稲荷神社」
皐月の境内捨て置かれた二十五メ(斎藤呆人)久喜市栗橋北「八坂神社」
春北風ペダル軋ませ力石(いし)巡り(斎藤呆人)
暑き日や見付け日ままの力石(斎藤呆人)春日部市粕壁「粕壁神明社」
秋晴れや友の見つけし力石(いし)を観に(斎藤呆人)川口市安行吉岡「氷川神社」
秋晴れて友の見つけし力石(いし)を見に(斎藤呆人)川口市安行吉岡「氷川神社」
鈴なりの柿や此方(こなた)に力石(斎藤呆人)常総市内守谷町「香取神社」
蝉時雨どこ吹く風の力石(斎藤呆人)三鷹市中原「中嶋神社」
力石(いし)肌に点々黒子(ほくろ)吾の汗(斎藤呆人)久喜市上清久「長宮神社」
力石“知らねぇ”と老婆顎(あご)マスク(斎藤呆人)五霞町山王「日吉神社」
少年の傘の日除けで撮れた力石(いし)(斎藤呆人)板橋区四葉「稲荷神社」
朔風(さくふう)も共に忍ぶや歌碑と力石(いし)(斎藤呆人)越谷市増林「天神宮社」
置き場所で悲喜こもごもの力石(いし)の末(斎藤呆人)久喜市河原代「稲荷神社」
力石(いし)を見るダメージジーンズのペアありて(斎藤呆人)世田谷区代沢「北澤八幡神社」
踏み石は力石なり天満宮(斎藤呆人)吉川市上笹塚「天満宮」
「晴風(せいふう)」の丸き墓石や青嵐(斎藤呆人)豊島区巣鴨「本妙寺」
「熊遊(くまあそび)」に見入る銀髪春ショール(斎藤呆人)「浅草寺」
秋の日や路傍の石は力石(斎藤呆人)桶川市小針領家「路傍」
力石(いし)群れを襲うや北の風の群れ(斎藤呆人)柳森神社
二月もカオス 磐石(ばんじゃく)の力石(斎藤呆人)三野宮神社
年の瀬や力石(いし)にむなしき盃状穴(斎藤呆人)松伏町町田島「香取神社」
埋む力石(いし)彼方のサクラ知らぬ日々(斎藤呆人)杉戸町才羽「八幡神社」
暑き日や見つけた日のまま力石(斎藤呆人)春日部市粕壁「粕壁神明社」
敬老日紙(し)垂(で)張り付いた力石(斎藤呆人)白岡市高岩「天満神社」
真冬日や埋み行く力石(いし)吾の如(ごと)(斎藤呆人)越谷市袋山「袋山集会所」
風も無き冬のひととき力石(いし)ふたつ(斎藤呆人)栃木県小山市上野田「野田神社」
温き日や盃状穴の力石(いし)眠る(斎藤呆人)越谷市砂原「共同墓地(角堂坊跡)」
枯草の小祠護りて力石(斎藤呆人)松伏町大川戸「上新田集会所跡」
梅もまだ桜もまだか力石(斎藤呆人)松伏町上赤岩「寺地集会所」
緑陰に六個の力石(いし)や赤不動(斎藤呆人)足立区梅田「明王院」
“ドスコイ”と力石(いし)挙ぐ男秋祭り(斎藤呆人)越ヶ谷「中央市民会館」
初春やただ蹲(うずくま)る力石(斎藤呆人)松伏町上赤岩「岩岸集会所」
力石(いし)探しここ一番の缶ビール(斎藤呆人)五霞町郊外

増村の「五平どんの屋敷の力石」石なき今も屋号は五平どん(雨宮清子)清水区増「斎藤宅」
竹ぼうき跳ねるや力石(いし)の前うしろ氏子ら集う朝の境内(雨宮清子)江東区牡丹「住吉神社」
力石に片手あずけて草むしり(雨宮清子)江東区牡丹「住吉神社」
神さまの用心棒か力石(雨宮清子)江東区牡丹「住吉神社」)
「やっと見つけてくれたか」とゴロリ傾く力石(雨宮清子)富士宮市内房仲「山王宮・宝鏡庵」
石垣仲間はずれの力石を笑う(雨宮清子)富士宮市内巡沢「祥禅寺」
平三郎この地に新風(かぜ)を起こしやれ(雨宮清子)杉戸町才羽「八幡神社」

★夏雲やこれぞ讃岐の力石(月惑)さぬき市多和力石「路傍」《花鳥》
★炎天や源氏をはやす力石(月惑)さぬき市多和力石「路傍」《花鳥》
★弁慶の石に漲る力こぶ(月惑)さぬき市多和力石「路傍」《花鳥》