第 7 号  2006年7月25日発行
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 ラムサールの海を守れ  6月議会主な議案
 一般会計補正  藤田勝彦一般質問
 仲江孝丸一般質問  町政トピックス


ラムサールの海を守れ  議会が意見書を可決

 4月19日 紀南環境整備公社(県、みなべ町以南の11市町、産業界で構成、昨年7月設立)の理事・評議員会は廃棄物最終処分場の最終候補地五箇所を決定・発表しました。
 この内二箇所は串本町高富地区にあり、藤田議員は4月30日に公社を訪れ調査を行い、5月12日の臨時議会で緊急質問をして町長の姿勢を質しました。質問の要点は以下の通りです。

@ 大阪湾フェニックス計画の地域指定を受ける努力がなされたのか。

A 公社設立は昨年の7月である。このわずかな期間に総額80億円に及ぶ事業にも関わらず、最終候補地5箇所を机上調査のみで選定した公社の作業は拙速ではないか。

B 4月19日の理事会において町長は、我が町の事情、とりわけラムサール条約に登録された事の世界的な意義について発言されたのか。

C 町長は串本町高富地区は元々、選定されるべき地域ではないこと、我が町として受け入れられないことを強く主張すべきである。

 これに対し町長、当局から「フェニックス計画への取り組みは、田辺・新宮広域でかって要請したが瀬戸内国立公園法の関係で地域の指定をうけられなかった」「事務局主導で選定作業がすすめられてきた。理事会では特に意見を申し上げなかった」「ラムサール条約は世界的に認められた重いものと認識している。最終調査の中で意見を述べてゆく」「内外の意見を聞きながら当町の拠って立つ位置を明確に主張する」等答弁がありました。
 今議会で共産党議員団は志を同じくする同僚議員共々、高富地区の候補地撤回を求める議会の意思決定をかちとることに力を尽くしました。定例会開会前の早い時期から藤田議員作成の意見書案をもとに何度かの協議が行われました。
 議員の多くは程度の差はあっても高富地区を候補地として認められないという点では一致し、最終的に撤回を求める意見書提出で大方の合意を得、議会最終日に橋爪副議長が意見書案を提案しました。 和田議員が反対討論を行い続いて仲江議員が賛成討論。採決の結果16対1の圧倒的多数で可決し、意見書は公社理事長と県知事宛てに届けられることになりました。

6月議会主な議案 top

◎ 繰越明許費の繰越報告について
 昨年度事業の中で次の6事業が年度内に工事を完了できず、今年度に繰り越されています。

 ・津波避難タワー建設事業
 ・田並三尾川線橋梁改良事業(宮前橋)
 ・動鳴気漁港地域水産物供給基盤整備事業
 ・サンゴ台中央線新設事業
 ・白野漁港機能高度化事業
 ・潮岬中学校新増改築事業

 津波避難タワーについては5月の臨時議会で予算補正されています。予定されていた国500万5千円、県384万3千円の交付金が事業繰越のため交付が受けられず、一般財源を充てざるを得ないことになりました。業者選定におけるトラブルが原因との説明で町長も指導監督の責任を陳謝しましたが、財政認識と事務執行の甘さを強く指摘するところです。(尚、国の交付金は名目が他の防災事業に振り変わって交付されています)

◎ 潮岬財産区管理委員の選任について
  春日 昌康 氏    羽山 耿  氏
  高瀬 誠   氏    西角 久  氏

◎ 串本町情報公開条例の一部を改正する条例
 情報公開にあたって公務員の職、氏名については公開すると改正するもの。

◎ 串本町火葬場所例の一部改正について
 串本町から他町の病院や福祉施設に入所して住所変更された方でも、火葬場の利用については町内在住者としての利用料とする改正。

◎ 公の施設の管理について
 指定管理者制度の導入に関わり、コミュニティーセンター・へき地保育所・集会所・憩の家・防災センター等については指定管理者制度になじまない施設であり、直営とする条例改正が行われました。これらの施設については、区・公共的団体に業務・運営の委託を行うことになります。それぞれの施設の内容に応じて、委託の契約が交わされます。

    
一般会計補正(主なもの) top

○ 給与改訂や人事異動に伴う人件費の補正
 管理職手当は手当額を1/2に下げたが、手当を支給する職員を増やしたため102万4千円の増額となっている。

○ 臨時職員の採用          201万4千円
 新町発足時から一般事務への臨時職員は採用しないと言明してきた事や、職員を10年間で60名削減するとの方針からみても、安易な臨時職員の採用は認められないと議会は強く反発した。

○ 国際交流事業費          200万円
 トルコ国メルシン市の民族芸能祭(9月9日)へ黒潮太鼓グループ等8名を派遣するというもの。当初予算で3名派遣の計画が議決されていた。補正でその事業を膨らませることは当初予算審議の形骸化につながる。他の議員からもトルコ交流は身の丈にあったものにすべきとの指摘もされた。

○ 財政調整基金への積立金      4671万7千円
 平成17年度の決算見込みで一般会計では約3億円の黒字を計上したことにより当初予算での基金の取り崩しが不要になるとともに剰余金の一部を積み立てるもの。

○ 小規模土地改良事業        1006万円

○ 水産業振興費で費用弁償や旅費の追加補正   264万7千円

○ 特定利用斜面保全事業 (西の岡整備・土地購入に係る予算) 8629万円
 県営事業だが土地購入、残土処分、進入路は町の事業となっている。土地の単価は 山林15筆14599u(700円/u)畑30筆8742u(7500円/u)原野3筆1033u(7500円/u)。
 所有者は38名の個人と1社の法人。平成21年度の完成を目指している。

○ 住宅資金貸付事業特別会計繰り出し金   3976万2千円
 会計上の赤字を消すため平成23年頃まで毎年4千万ちかく繰り入れしたいということだが、肝心の滞納への取り組みについて、管理課を廃止し、職員を移動するなど体制が弱体化しており、町長のこの問題に対する認識が問われている。

○ 豊かな体験活動推進事業委託料       565万円

○ 和深中学校閉校記念誌作成補助金       50万円

 質疑終了後、角・藤田両議員が反対討論、結城議員が賛成討論を行い、採決の結果賛成10人・反対7人で可決。

【採決の結果】

反対したのは
仲江 藤田 浜田 村上
清水      
賛成したのは
谷口 水口 結城 古久保 橋爪
梅野 椿谷 漆畑 寺町 和田

 
 
藤田かつひこ一般質問 top


@ 紀南環境整備公社の最終予定候補地の選定について
 選定作業のありかたと公社理事会の責任についての町長の認識を問う。不適切な決定について軌道修正すべきではないか。わずかの期間に1万2000筆もの署名が集まった。関係地区の方の自然と生態系を守ろうという熱意とそれを支持した町民の思いをどううけとめるのか。

A 国の医療制度の改変と串本病院
療養病床の入院基本料が軽い症状の人について大幅に引き下げられている。病院経営にとって厳しくなるが、地域医療をまもり、町立病院の責任を果たすためにも一方的に退院を迫ることをすべきではないこと。

B ふるさと振興公社の組織について
 三つの施設について町との委託契約が適切に行われていないこと。職員の雇用形態がばらばらな上に事務局の責任と権限が明確でなく職員の指揮、命令系統の統一が取れていない。組織の改善見直しをはかるべき。

C シイタケ栽培大型共同作業所について
 不法な産廃投棄は完全に撤去されているか。協力企業の交替による、労働不安の解消を。現場で働く人たちの声がきちんと会社側に届けられるシステムを企業に要請すべき。

仲江たかまる一般質問 top

@ 古文書の保存・管理について
 古文書の保存管理が充分ではない。古座古文書は捕鯨・災害・外国船など貴重な史料が残されている。旧串本の古文書も含めて管理責任を明確にすべき。

A 住宅貸し付け事業の改善について
 滞納額が十億円にせまり町政の重要課題であるにもかかわらず、管理課の廃止で現在の担当課に過去の経過を知る職員は誰もいなくなった。解決の考えがあるならそれにふさわしい態勢を組むべきだ。

B 宝嶋ゴルフ場開発計画について
 かつて町を二分する争いがあったが、未だに計画はなくなっておらず、契約を結んで手付け金だけで放置されている地権者が多くいる。売買交渉には町も関わってきたので解決に向けて取り組む責任がある。

C 紀南環境整備公社の廃棄物処分場計画について
 ラムサール条約登録地の保全は国家的な責任だ。町長は保全に向けた姿勢を示すべき。
 高富が五カ所の最終候補に残ることは既に3月25日の「第3回紀南の最終処分場を考える委員会」で発表されている。理事が「4月19日まで知らなかった」では済まされない。

町政トピックス top

★ 5月から取り組まれてきた町長の町政報告会は26会場で延べ554名が参加。会場により参加者の数にばらつきがあったことや、会の持ち方に改善点はあるものの、取り組んだ事は評価したい。

★ 最近は町も修学旅行の誘致に力を入れているが、6月15日に東大阪の楠根中学校がカヌーやシュノーケリングの体験で来町。定着してくれればうれしいのだが。

★ 6月議会の一般会計補正予算は採決の結果7対10で可決となった。あと2名が反対に回れば否決であり、「賛成だがイエローカードだ!」などというよく判らん賛成討論もあって、松原町政は相変わらず不安定だ。

★ 地元水産物のブランド化に向けて大学教授やコンサルを招いた会を開いているが、回を重ねるごとに参加者が減少。肝心の水産業者が集まらず行政職と町議ばかり。これでいいの?

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