もう少し もう少しでとどく と思うのに そこで目が醒めてしまうのである 指先は何をまさぐっていたのか 夏雲が去ったあとに ふいに草丈だけが高くなっている 昼下がり とどきそうで とどかないまま 朽ちるにまかせている廃船と 1本の むごいほどに際立った水平線の風景 夢のつづきは 見ることができるだろうか (1994年6月)