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  海の縁(ふち)



朝焼けの海辺
地球の卵のような
まぁるい石を拾った
雲間から伸びる光を浴びて
渚は金色に輝いている

波にもまれ、揉まれて
どこから来て
いつからここにいるのか
私の手のひらにおさまる偶然は
遠い日からの
約束だったかのよう

太平洋の彼方では
地に異変が起きて
海が見えない速さで波動を伝えていたという
その日

波はたえまなく
盛り上がり 砕けていた
激しさの頂に
はじける飛沫
退く波と打ち寄せる波が
一瞬ぶつかり せめぎ合う

まぁるい石を握りしめて
海の縁を歩く
振り返ると
砂浜につづくわたしの足跡
明日にはもう消えているとしても
いま在ることが 少しだけまぶしい







                                                     (2009年2月)

 
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