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  繕う



ほころびの場所は
いつも決まっている
わたしのいびつな心と体の動きが
身にまとっているものにまで 現れて

針は
ことばや視線にもぐり込めば
小さな傷を作るが
細い糸に助けてもらえば
裂けてしまった部分さえ
とりあえずは
ひとつにつなぐことができる

わたしは 昔
見よう見まねで針を持ち
拵えたほころびをこっそり始末してしまう子供だった
母はそんなわたしに
言えばいいのに と
あきれ顔をした

休日の窓辺で
自分のいちばん恥ずかしい部分に向き合っている
わたしの背に
冬の陽は ときおり
雪雲をよぎらせて翳る

自分のほころびだけ繕い
他のだれかの裂け目について
目を逸らせてはこなかったか
ふいに
手のなかの針がわたしを刺す








                                                      (2005年2月)

 
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