墨の濃淡のように すうっと道が途切れている 合流地点でふり返ると いっしょに歩いてきたはずの あなたがいない 歳月をかけて 上手に消えてくれたわね ありがとう 痛みを伴ったのか そうでなかったのか もう定かでないところまで来てしまった 今なら ひとりで歩いてゆける 診察室の壁に 広げられたレントゲン写真1枚 右腕の尺骨が 橈骨に向かってつぶやいている ※前腕は並行した尺骨と橈骨で構成されている。 わたしの橈骨は途中から欠損しているのがわかった。 (2009年7月)