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初めて見るように
海に落ちてゆく夕陽を見ている
いつもの帰り道 車を停めて

坂を下りて一日が始まり
坂を上りつめて一日が終わる
居場所を少し変えたら
海が眼下いっぱいに広がったが
帰って行く先は
空っぽの巣に変わりない

鳥や獣が小枝や枯草を集めて営巣する
わたしもくちばしに餌をくわえて巣にもどってゆく
やがてわたしの体に時間が降り積もると
草や木の色に同化して
誰もまわりと区別がつかなくなるだろう

ただ 今はもう少し
夕陽の美しさについて誰かと語りたい



















                                                       (2003年7月)

 
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