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  南紀通信4 学校



初冬だというのに
汗ばむような陽射し
やや遠く
ミニマラソンのスタートを告げる
スピーカーの声が空を駆ける

ひとっこ一人いない
校舎と運動場
その片隅を さっきから
走っているのはワタシ

水飲み場をのぞいて
ちょっと立ちどまり
古びた石の階段の上
風のようにひらり
ここからは
立てつけの悪い職員室のガラス戸も
もうひとつの木造校舎につづく
渡り廊下もすっかり見渡せる

寒い日は足踏み
炎天にはへたりこみそうな生徒達が
何千何万人並んできただろう
こわれかけた朝礼台の前
目を輝かせて
縦横に走りぬける この楽しさ

しっぽをしまい忘れて
悪童達に発見されぬよう
今日だけの
ワタシの運動会
きんもくせいが いい匂い







                                                         (1991年2月)

 
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