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  リウマチとともに


レンタルDE車いす・野外コンサートへ(1)

               


●問い合わせ

 熊野本宮大社跡地で行われる野外コンサートに、昔なつかしいシンガーたちが出演すると知って心が動いた。ぜひ、行ってみたい。
 でも、野外だけに会場へのアクセス方法や会場の様子がわからず不安だ。早速、事務局に電話を入れてみた。
「あまり歩けない障害者なんですが、何らかの対応をお願いできますか?」
「ああ、近くまで来たらスタッフに声をかけてください」
一応はそう答えてくれたものの、通り一遍の口調でそれ以上私には聞く勇気が湧いてこない。やっぱり、だめか・・・。
 
 ネットのお友だちPさんなら音楽好きでいっしょに残念がってくれるだろう、そしたら気も済むだろうと、気持ちを切り替えて彼女の掲示板へ投稿した。
 ところが、親切で行動派のPさん。わざわざ、コンサートの事務局まで直接電話で問い合わせをしてくれた。そして、事情は説明してあるので、本人の私から担当の方に電話を入れてみては、と。
 「ふぁいともっていきましょう」という、温かい言葉もメールに添えられてあった。そうだ、あきらめないで、もう一度交渉してみよう。
 
 電話にはPさんのときと同じ担当者が出て、すぐに前日の問い合わせの件だと了解してくれた。
 私は一度だけ近くまで行ったときのあいまいな記憶を頼りに、たずねた。ネット上の案内地図を見ると、大社までの長い参道は車進入禁止となっているが、何とか乗り入れさせてもらえないか。あるいは、参道のほかに近道がないのかどうか。
 返事は、車を通すことは絶対にできない。また近道ならたしかに農道があるが、雨が降れば足元は悪くなるし、ヘビが出ないとも限らない。参道はきれいな石畳でできている。一番いいのは、車椅子を持っているならそれで参道を通って会場まで入ること。そうすれば座ったまま音楽を聴くことができる。(ん?きれいな石畳?)
 もう少し見通しの持てる返事が聞きたかったが、言葉は丁寧でもそれ以上とりつく島がなさそうな雰囲気。またも中途半端に引き下がることになった。


●交渉

 きょうだいの家族がすでにチケットを買って、出かける予定にしていた。しかし、車椅子を借りるから連れて行ってとは言いにくい。
 踏ん切りがつかない気持ちを、たまたま来合わせた友達に話した。彼女はあっけらかんとして、「あら、気軽に頼んでみたらいいのに。私だったら車椅子を押すくらい訳ないわ」。そういうものだろうか。
 いまだかつて、一度もそういうことは頼んだことがない。生活に必要なこと以外はできるだけ世話をかけまいと、ひそかに「いい子」(?)を心がけてきたから。でも言い出さなければ、コンサート行きは実現しない。
 勇気をふるって電話した。あっけないくらい、あっさりと「いいよ」だった(男きょうだいは言葉少なだから戸惑うが)。
 嬉しくなって、早速、社会福祉協議会で車椅子の借用手続き(一時的な借用なら、無料になる)。出かける前日、仕事帰りに借りに行って、私の車へ積み込んでもらった。

 
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