プリザーブ(保存食)
[ ピクルス・ジャム・塩漬け・乾燥品ETC ]
「ハジカミ茗荷(みょうが)の甘酢漬け」 ハジカミ生姜は料理屋さんなどの添え物としてポピュラーだが、同じハジカミでも(姿は良く似ているが)茗荷の方は食べた事の無い人が多いはず。当館では焼き魚(や貝類料理)に添えて出している。生(ナマ)でよく刺身のツマにされているのは同じ茗荷でも花芽の方である。こちらはの方は新芽(茎)であり、5月頃に生え出し地上高15−30Cmになった頃を見計らって地下茎(写真の白みがかった部分)から切り取り、生姜と全く同じ調味料で同様に酢漬けする。花茎のように強い香りではなくあっさりと上品な味がする。この新芽を生のまま軽く火にあぶり味噌を付けて食べると絶品である。美里の茗荷畑(5坪程度)と同じくらい串本でもこの茗荷が広がってくれると、取り立ての焼き茗荷を珍味としてお客さんにお出し出来るのだが。いくら丈夫で繁殖力の旺盛な茗荷といえどもやはり5−10年は(根が縦横に繁茂するよう)養生しておく必要がありそうだ。つまり、新芽ばかり採集していたら絶滅してしまう恐れがあるから、食べたくても当分の間は辛抱せねばならない!


「やはり洋食にこそマッチするキューリのピクルス」 教科書を元に、初めてキューリのピクルスを作り、数ヶ月間漬け込んだ後、手製のピクルスを試食してみたのだが、何か変な味であり出来そこないではないかと懐疑的になったものだ。ところが、ある時単独で食べずに、燻製やハム・ソーセージなどと共に食べると、何とこれが美味くてピッタリマッチしているのである。「西欧で生まれた料理は西洋料理にこそマッチするように出来ている」と言うあたりまえの真理を再確認した出来事であった。
日本のスモモが欧米で改良されてプルーンやソルダムになって戻ってきたように、サクランボがブラックチェリーになって戻ってきたように、(花類も同様だが)コクのある欧米風の味になって戻ってきているのは、「食品と食品との調和の大原則(風土や民族の一貫性))」=「予定調和」が働いていて改良された結果なのだ。
金時生姜の甘酢漬け 黄色と緑色ズッキーニのピクルス



人参とハヤトウリのピクルス ハヤトウリのピクルスと漬け込み材料
「串本大島は金柑の大産地」 ここ大島の樫野地区は金柑の大産地である。その加工製品も、ワインやリキュールやドリンクやジャムやマーマレードなど、みやげ物屋さんで多種類売っている。何時も親切にアドバイスして下さる、同業の樫野の民宿屋さんから、巨大な金柑(これまで見た中で最大級)をどっさり頂き、これを甘露煮にして、朝食の添え物にしている。また、甘露煮を作ると、その副産物として残った果汁液が金柑シロップになり、子供さんの食前酒!?いや食前飲料に出したりして喜んでもらっている。
金柑の実 金柑シロップ




金柑の甘露煮 串本特産蒲鉾・錦卵焼きの添え物(朝食)
「柚子の実は捨てる所の無い貴重な食材である」 美里町(00年まで住んでいた)のご近所の農家から、大量の柚子の実を毎年頂く。生のまま中身をくり抜いて、皮の部分を上下にカットし、フタと容器に加工して柚子釜を造り、(柚子皮・柚子酢も入った)酢ナマコを入れると、見た目も大変美しく自慢の冬場の一品となる。01年の冬にはナマコ嫌いのお客さんが二人ほどナマコ好きになって帰って行った。また、半分に切って果汁を絞り冷蔵庫で保存する。これを濃口醤油と混ぜ合わせて、冬のフグやクエの水炊き用ポン酢の材料となり、まろやかで上品な味に仕上がるのだ。残った皮は、柚子ピールやマーマレードにしたりする。さらに、半個ずつラップにくるんで冷凍しておき、取り出して清汁の浮かしや他の料理のトッピングや下味付けに使え大変重宝している。
柚子ピール 柚子ピールのショコラ


冬イチゴのジャム(左下左) 柚子のマーマレード(左下右)


キーウイーとリンゴのハイブリッドジャム(右上左) スグリのジャム(右上右)
* キーウイーとリンゴとの相性は抜群であり格調高いジャムに昇華する!一度挑戦されたい!
有機栽培人参のフルーティジャム ブルーベリーのジャム


スグリの実 冬イチゴの実


「冬イチゴと娘達の思い出」 12月になると、野イチゴ摘みが娘達の楽しみになっていた。美里町在住時代に、川向いの杉林の下に、冬イチゴ(ユキノシタのような形の濃い緑の毛の生えた葉で地上をはっている低い草)の大群落があり、度々摘みに行っては生食したり、ジャムにして保存したリして楽しんだものだ。大島の当館敷地内にも生えているが数が少なくて実が小さいので残念ながらジャムにできる程は採れない。その味は素直で上品で飽きの来ない味であり、まさに日本の味といえるものだ。近頃の園芸ブームで外国籍のベリー類が沢山入ってきていて(これはこれで素晴らしいのだが)こちらのほうに詳しい人が多いようだ。しかし、この野イチゴといい桑の実といいスグリの実といい、日本の在来種にも様々なベリーがあり、味・姿共に立派な品種が沢山あるので是非見直して欲しいと常々思っている。
「桑の実とジャム」 「桑の実酒」


「桑の実の魅力発見」 04年6月、桑の木が大きくなり、沢山成った実を摘んでは、手作りのパイナップルシャーベットでトッピングに使ったり、ジャムにしたりして楽しんだ。そしてさらに、沢山の実が採れる為、試しにリカーと氷砂糖で漬け込んで、桑の実酒を作ってみたのだが、これが大成功であった。その綺麗な色合い(ワインレッド)と言い、(まだ熟成させてない為生硬なアルコール臭があるものの)コクのある味わいと言い、なかなかの果実酒となり、久方ぶりの新メニューが開拓できて大いに満足したものだ。3〜5年後に熟成したものが味わえると想像するとわくわくしてしまう。(余程食いしん坊か飲兵衛かと思われてしまいそうだが!?)
「桜湯の一時(ひととき)」 1998年頃、貴志川のほとり(美里町)の段々畑(当時ほとんど手入がなされておらず荒れ放題だった)を取得して開拓し、早咲きから遅咲きまで多くの種類の桜の苗木を40本程移植した。そして10年以上が経過し、それぞれに大きくなったのだが、普賢像と言う里桜(遅咲き八重桜=大阪造幣局に多い)も6mになり、花を沢山付けるようになった。この花は食用にもなる花で、3−8分咲きの頃を見計らって花を採集し塩漬けにして保存して置いた。これを取り出して湯飲みに入れ熱湯を注ぐと綺麗な桜湯になった。
当初は、京都御室の有名な桜守り、佐野藤右衛門(代々の植木屋)さんの著作を読んで深く感銘し、その中に紹介されていた塩漬けを試しに作ってみた。これを賞味すると、昔飲んだ(商品の)桜湯とは違い、桜色の美しさや味・香りが不十分に思えた。翌年は、本格的な保存食=プリザーブの教科書で勉強し、もっと下処理を丁寧にし、白梅酢などを使う方法でやってみたら大成功であった。やはり植木屋さんが片手間に塩のみ使ってやる素朴な方法では不十分だったのだ。また、藤右衛門さんは黄色の鬱金(うこん)も桜茶に出来るが、発色が悪いと言っていた。やはり、味香りを固定する白梅酢が必要なのかなと思い、この次は黄色の桜湯を本格的な方法で作ってみようと思っている。(大島に移住して来てこの2品種の苗木を移植したが未だ花を採集出来る程に大きく育ってはいない)
桜湯の味は強烈なものではないが、ほのかな桜の香りとかすかな酸味に加えて薄い塩味がうまく調和して上品な味わいがする飲物だ。心にゆとりのある時(茶の湯のひと時のような)、美しい姿を愛でつつ、ゆっくり楽しむ事をお勧めしたい。
桜湯 桜の花の塩漬け




普賢像桜(遅咲き八重桜) 鬱金(うこん)桜(遅咲き八重桜)
「赤イカの塩辛はお茶漬け類の最高峰!」 M屋の塩辛は有名でありこれを食べた人は多いと思われる。しかし、赤イカの塩辛を食べた人はそう多くは居ないはず。M屋のは原料にスルメイカを使っており、これはこれだけで食べるとそれなりに美味しいのだが、食べ物一般に言える事だが、よく似た種類の物を同時に食べると残酷なほど優劣が決まってしまう事が良くあるものである。イカの塩辛などその典型である。ここ串本では夏場を中心として、ほとんど年中赤イカが取れる為、小さくても造りにするかフライにするかして食べると最高に美味いのだが、もう一つの絶品が塩辛なのだ。夏場(一番良く取れ大きい)、お客さんに造りを出すが、残りの肝付のゲソやエンペラ(ヒレにあたる)を塩辛にして保存して置くのだ。開業前、我家では私と三女とで独占かつ競合して食べていたのだが、気持ち悪がっていた家内までもが、近頃、この魅惑的or悪魔的な味に執り付かれてしまい、私の方は嬉しさ半分OOOO半分と言ったところである。お茶漬けは、ナス・キューリの古漬けや昆布など諸々の美味い茶漬けがあるが、この生々しい茶漬けは別格官幣大社扱いされるべき高級食品である。


「鮎のウルカ田楽・風呂吹き大根」 鮎ウルカとは何の事だかご存知ですか。鮎の内臓(エラ以外)を塩漬けして長年保存熟成させた物を言うのです。貴志川へ鮎釣りに通っていた時、鮎釣りの手ほどきを始め美里町定住に一方ならぬお世話になった方のお父さん=地元の古老=に、鮎のハラワタは貴重なものだから塩漬けにして保存して置くように、と教えて頂いた。当時からこれを忠実に守って保存していたのだが、正直それ程貴重な調味材料とは思ってもいなかった。後日、旅館業を始めて、田楽や風呂吹き大根を何度も何度も作って来て、その味噌の隠し味として使うようになって見て、一際格調高い美味に仕上がるのは、これを加味する事によってこそと、ようやく確認する事が出来たのだ。
毎年、鮎釣りや網漁で採れた、鮎のハラワタを集めて瓶詰めして冷蔵庫に保存して置き、たまに出しては味噌に混ぜて、田楽まがいのものを作ってはいたのだが、それ程美味い物とは思ってもいなかった。鮎ウルカの本当の値打ちが解ったのは開業してからである。私の姉達に本格的な田楽味噌の作り方を家内が教わり、それに鮎ウルカを加味してみて(ウルカ味噌にまた柚子を加味して柚子味噌に)、ようやく完成し絶妙な味の逸品になったのである。今では、大きな川沿いの料理屋さんくらいしか出せない料理となっているはず。


「シイタケの季節は何時!?」 去年春、美里町で駒打ち(クヌギの木の原木にシイタケの菌を植え付ける)したホダ木を串本に運んできて竹薮の中に立てかけておいた。そして、今年の春は初物のシイタケが採集出来、焼きシイタケが食べられた。秋になって秋雨前線が来た後、美里町ではシイタケが発芽するのに、10月になっても全く出てこない。ひょっとして、串本は温暖すぎるのか?風が強く乾燥しすぎるか?潮風がシイタケの発芽の妨げになるのか?等色々と憶測し、何らかの原因で秋のシイタケ栽培は不可能になったようだとすっかり諦めていた。
11月も下旬になって、竹薮の中に入り、シイタケのホダ木置き場をふと見ると、何と無数に発芽して、一部は直径20Cmもの見事な傘に成長しているではないか!諦めていただけに見事なシイタケの群れが無数に生えているのを見て、家内と大感激したものだ。
早速、大型は焼きシイタケのレモン醤油がけでいただいたり、ご近所におすそ分けしたりした。中型は、宿の料理に使ったり、干しシイタケにしたりして正月のおせち料理や出汁の材料にすることにした。


「天日干しと人工乾燥のシイタケの違い」 市販の人工乾燥シイタケと手作りの天日乾燥シイタケとを一度食べ比べて見て下さい。その味の差は歴然です!親類などに干しシイタケをおすそ分けすると、これは美味いシイタケだとよく誉めてもらえる。また、食品の成分分析にかけると、人工干しはビタミンDが極めて少ないとの結果が定説である。やはり、自然の太陽がビタミンDの供給源なのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。
お正月のオセチ料理屋シイタケの甘煮などに使っているが好評だ。
「栗の甘露煮」 美里町には栗の木が5〜6本あった。9月に入ると早生の木から収穫が始まる。


栗の甘露煮 栗の茶巾



≪果実酒色々≫





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