深海系魚類料理   紀伊大島☆★☆★☆『椿道旅館』のお料理です

< 赤と黒の世界=深海魚の体色はニ色のみ?! >

『金目鯛の仲間』

「金目鯛(本金目)の魅力」 江戸言葉で「小股(こまた)の切れ上がった良(い)い女」と言うのがあるが、「小股とはそも何ぞ」と現代解釈では諸説あるが、この金目鯛こそ真に小股(尻尾)の切れ上がったあでやかな姿である。真鯛同様、上品な味で、どのような料理にしても美味くて色んな調理法がある。近縁種のチカメキントキ(次の画像)同様不思議な目をしている。魚は大抵釣れ上がって来た時が最も美しいのだが、この魚はその姿だけでなく一際目が美しいのだ!オレンジがかった金色の透き通った目!不思議な感慨をもたらす美魚である。



金目鯛の造り       同酒蒸し


金目鯛の干物       同澄まし汁



「チカメキントキ」
 やはりキンメダイの仲間で、本金目(前述)より身が締まっており、薄造りにすれば勝るとも劣らない高級魚であり、こちらの方を格上とする人も多い。

チカメキントキ      同薄造り        同アラのセージキノコロースト



「洋風のセージローストは絶品である」
 右上の画像はお客様に提供した姿造りの残り(アラ)を洋風料理のお惣菜にしたもの。当館は和風料理中心の為、4〜6泊もしてくださるお客様以外に提供したことの無い料理であるが、家庭料理のみに留めておくのはもったいないくらい、キノコ類とハーブ類とがマッチした実に美味しい料理である。


「カネヒラはチカメキントキの近縁種か?」 身のしまり具合や味は本金目よりチカメ金時に近い種類のようだ。色合いや姿同様、前二種に比べて味もやや格下の為、地元の漁師さんなどは「泥金目」などと失礼な呼び方をしている。しかし、浅場の多くの魚と比べれば引けを取らない食材なのに。

カネヒラ     同カネヒラの薄造り



「ヨロリの姿と味」 南紀ではヨロリと呼ばれているが正式にはクロシビカマスと言う。ヨロリとは体が平ったくて細長くよろよろとして釣り上げられるからその語源となったのか?。ハモ同様口に鋭い歯があり小骨が多いので、幅5mm程度の間隔で背骨まで切れ目を入れてやると、口当たりや歯ざわりに差し障りない。煮付けが絶品であるが干物もまた美味く朝食時にお客様が賛嘆してくださる。
 深海魚の黒物?の中で、煮物料理は後述のクロムツと双璧であり、上品で濃厚な味わいがするのだが、何故か串本では商品価値(値段)がクロムツより低いのだ。4年も串本で宿泊業をして解った事だが、小骨切りが必要な為、低い目に評価されているのだ。
 北方から移住してきた人間にとって、「小骨切りくらい大した手間か?」と思われるのだが、ドッコイ南国の人は「大層な手間だ」と思っているのである。スーパーなどで、前日出ていた姿なりの鍋魚が翌日切り身になって高目の値段で売られれているが、1日古い魚であるにも関わらず、これがよく売れているのだから、「所変われば人ならぬ価値観(勤労観?)が変わる」で移住後数年は信じられなかった。



生魚           干物        煮物(ゴボウ添え)


「超深海の最高級魚アコウダイは石鯛・石垣鯛・クエに勝るとも劣らない味わいである」

 *珍味のサブページに詳細あり


アコウダイの水炊セットと薄造り(切り身・内臓・皮)


「アカイサギの等級は如何?」 深場(水深100〜200m)の魚は何故かほとんどが高級魚である。例えばこのアカイサギなど深場魚では並みクラスだが、浅場魚や磯魚と比較すると高級魚と同格の味なのだ。イサギなど水深100m以深で釣れるものは全く同種なのに旨味が濃くて格上である。どうやら水圧が高くなればなるほど旨味が高まる法則でもあるのかも知れない。このアカイサギ、塩焼きもうまいが、身がしっかりしているので薄造りにして、紅葉おろし・ネギ・ポンズ醤油で食べると上等の味になる。


アカイサギ        同薄造り        同塩焼き     


「クロムツの赤ちゃんは南蛮漬けの最高峰!」 クロムツは高級魚である。身は柔らかいが皮下脂肪が多く旨味が濃い為、煮付けが一般的で実に美味しい料理である。そして、さらに絶品なのがその赤ちゃんの「南蛮漬け」なのだ。これまで、マアジやキビナゴや小グレやキスやキュウセンベラなど、南蛮漬けに最適な魚を調理して来て、これらの魚が一番美味しいと思ってきた。ところが、串本で開業して「ムツ子」が手に入るようになり、これを南蛮漬けにしてみたら、何と上には上がまだまだある事が良く解かったのだ。ムツ子の南蛮漬けを、一度口に含んで噛み締めると、ジワーッと皮下脂肪がにじみ出して実に美味いのだ。「これぞ正しく南蛮漬けの最高峰だ!」とつい心の中で叫んでしまうのだ。


クロムツ    同煮付け(ゴボウ添え)    ムツ子の南蛮漬け


幻となった最高級魚アカムツ』

  黒ムツの資源はまだまだあるが、赤ムツの資源は相当枯渇しているようだ。地元のスーパーなどで赤ムツを見かける機会は年に10回も無い程で、極めて希少な最高級魚になってしまっている。同じくらいの価格(味格)の深海魚アコウダイの方が冬場よく見かけるのでまだ資源が残されている方である。
  緋色の品の良い金属色の姿は実に美しい。姿同様その味わいは、黒ムツよりももっと軽く爽やかな油分に満ちて、口の中でそこはかとなく広がる優美な旨味は他に類を見ないものである。この微妙にして淡麗かつ崇高な味わいは、じっくり口に含んで賞味してもらわない限り、とても共感してもらう事は出来ない貴重な味覚であろう。
 この魚の居所(ヤマ)を知る漁師はいない為、他魚漁の外道でたまたま紛れ込んで獲れているようである。串本町は橋杭地区の漁師さんに聞いた話であるが、マイボートを持ってたびたび釣に行くご近所の人(アマチュア釣り師)がアカムツのヤマを唯一知っていて、GPS(グローバルポジショニングシステム)に覚えこませて、狙って釣ってくるそうである。「ウラヤマシ〜!」

アカムツ              焼物


アラ炊き            薄造り



『深場オコゼ・ガシラの仲間の味格やその持ち味は?』

「沖ガシラ2種と本ガシラの優劣は如何?」 旨味の比較は【ウッカリカザゴ<アヤメカサゴ<本カサゴ】となり、浅場の本カサゴは大きくなっても30Cm止まりだが一番美味い。
 左の画像の2種類のガシラ(関東ではカサゴと呼ぶ)はどれも水深100〜200mの岩礁地帯で釣れる魚である
上の鮮やかな黄橙色の沖ガシラ(ウッカリカサゴ)はいかにも美味しそうだが意外に不味い。下の赤茶色の沖ガシラ(アヤメカサゴ)の方がズッと美味い。ところが串本のスーパーでは同じ売り場の同じコーナーで全く値段に差別無く同列に売られているのだ。翌朝、同じ売り場をのぞいてみると、売れ残っているのは色鮮やかだが不味いうっかりカサゴと決まっているのだ。魚の味の格付けにはきわめて厳格な、串本の人達を相手にしているのに、どうして同じ値段にしているのか、鮮魚部の店員さんに聞いてみると、魚市場で同じ木箱に入って一緒にセリにかけられているからだとの答えである。魚市場の矛盾を踏襲していて良いのか何年も同じ答えが出ているのに?止められないのだろうか!
 
沖ガシラ2種(上はウッカリカサゴ下はアヤメカサゴ」    ガシラ (浅場の本カサゴ)


「アヤメカサゴと本カサゴ」
 両種とも色形がそっくりなので最近まで同一種類とみなされていたそうだが、最近の研究で別種である事が確認されている。釣り師や漁師の間では、本カサゴの方がどちらかと言えば美味いと知っていたし、同じ本カサゴでも最も浅場に居る(メラニン色素の沈着した)黒いカサゴの方が一層美味いと経験的に周知していた。
 因みに、ウッカリカサゴは大きくなると60Cmになり、その色彩はもっと変化し、暗赤色に変わり気持ち悪いくらい生々しい色彩となる。


沖オコゼ(イズカサゴ)とその水炊き

「イズカサゴは水炊きが美味いがアヤメカサゴは造りが美味い」 「イズカサゴ沖オコゼ」はその名の通り毒針を持っており、釣れ上ってきたら、胸ヒレや背びれの毒針を直ぐにはさみで切り取ってしまう事になっている(左上画像にも背ビレが無い)。油断してして針に刺されでもしたら何時間も激痛に耐えねばならないからだ。この魚は水炊きにすると随分上品な味わいで上等の鍋料理になる。ところが、薄造りにすると美味であるが、どこか生具さが残り品の無い味となる。
「アヤマカサゴ」の方は薄造りにして紅葉おろし・ネギ・ポンズ醤油で食べるとなかなかの味わいである。もちろん水炊きも美味いが味の格はイズカサゴに勝てない。


「メダイ(女鯛)=地元名ダルマ」  瀬戸内海で獲れる小型の「ウオゼ」の仲間で、これをもっと大型にした南紀の深場魚。体高が低く体幅が広くて、下あごが独特の形(受け口)をして、その上体表には粘液(ヌメリ)が多いと言った特徴を持っている事から、両種の先祖は極く近過去に枝分かれしたものと素人にも推測がつく。ウオゼは瀬戸内地方ではシズ(遊女名)と呼ばれているが、このメダイも標準和名は女鯛と呼ばれており、いずれも女性を想起した命名である。ふっくらとした体型や粘液に包まれた体表がつい女性名詞をつけたがる理由のようだ。但し、串本ではダルマとも呼ばれており、顔のあたりをクローズアップしてみればさもありなんと思われるのだが、あまりに色気のない命名だ!
 串本近辺でよく獲れるようだが、スーパーや普通の魚屋さんではたんまにしか見られない。が、病院や大手ホテルに下処理して納めている魚屋さんでは良く見かける魚である。
 食材としては、淡白な白身でウオゼとよく似た味だが、やや大味である。但し、頭が小さくて歩留まりが良くかつ大型の為、また沢山の切り身が取れて値段も安い為、大口需要向きの魚となっている。

料理法は、 一般的には照り焼きだろうが、ウオゼ同様柚庵焼が一番上品な調理法と思われる。


メダイ       同柚庵焼き       ウオゼの柚庵焼き



「キツネダイの魚相は狐そっくり!」 アカイサギと同じ場所で釣れるが数は少ない。その味はやはり上々であり薄造りが美味い。また残りをアラ炊きにするとこれまた美味い高級魚である。


キツネダイ      同薄造り(紅葉おろし・ネギ・ポンズ醤油)      同アラ炊き


「ヒシダイの造りはフルーティ!?」 市場に出て来ないが、キツネダイやヒシダイも美味い。取り分けヒシダイの薄造りは他の魚では味わえない上品で個性的な摩訶不思議(まかふしぎ)な味がするのだ。どんな味かというと、その切り身(造り)がフルーティな味がするのだ。まさか魚の味にフルーティなどと?!と読者はいぶかるかも知れないが、本当に涼やかでフルーティな味なのだ。
 
魚長は大きくて25Cmあればよい方で、体高が高くて菱形(トランプのダイヤ型を少しへしゃげた型)をしている。開業以来4年経つが魚市場にも魚屋にもスーパーにも出て来ない。過去、何度も南紀の深場釣りで釣り上げているので獲れているはずなのだが?!推測するに、尾っぽの方の下半身しか身が採れない(身が少ない)為、商品価値無しとして雑魚(ざこ)扱いされ?捨てられ?ているのかも知れない!!!。
 串本で旅館業を始める前は、同じ南紀の日置川町笠甫まで来て、乗合船に乗せてもらいよく釣っていた。開業後は忙しくてあまり釣りに行けて無いので画像が収録できないでいた。そのオレンジがかった明るく綺麗な金属色の魚体を読者にお見せしたいと思っていたのだが、意外と早くヒシダイの画像を収録する機会が来た。串本町は橋杭海水浴場のそばにある
漁師の宿「葵茶屋」さんのHPに掲載されていたのだ。御主人が深場の釣りもされ、宿の献立例にこのヒシダイが掲載されており、これを偶然見つけたのだ。早速女将さんにお願いして画像をコピーをさせてもらった次第だ。


ヒシダイ
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