串本町の化石について
串本町の化石 解説:左向 幸雄
 私たちの住む串本町には化石を含む地層が広く分布しています。
牟婁層群と熊野層群という地層で、牟婁層群は深い海の堆積物で、普通化石はほとんど含まれませんが、
田子の海岸では例外的に多くの貝類化石が見つかっています。
熊野層群は下部より下里累層、敷屋累層、三津野累層の3累層に区分され、
其の内、下里累層と敷屋累層が分布し多くの化石が見つかっています。
地質年代は、三葉虫、アンモナイト、恐竜などの時代よりずっと新しい新生代中新世中前期の1800万年〜1500万年前で、
そのすべてが海に棲む生物化石です。
多くの化石が見つかった地域は、田子海岸(牟婁層群上部 貝類など)田並海岸(下里累層下部 貝類、ヒトデなど)
高富海岸(下里累層中部 貝類、生痕など)植松海岸(敷屋累層下部 貝類、有孔虫、サメの歯、海綿、ウニなど)
大島田代海岸(敷屋累層下部 貝類)荒船海岸(貝類 生痕など)などがあります。
各地域の化石を今後詳しく解説します。
「串本町の化石1」荒船海岸の生痕化石
荒船海岸の生痕化石・写真と説明
 荒船海岸では一般に生痕化石と言われるものや、貝類、有孔虫が見つかっています。
同じ地層からの貝類化石の解析から、水深200m〜400m位の海底の生物群と考えられます。
 当地域の生痕化石で、凝灰質砂岩の風化面に見られるものは最高の保存状態で、
このように美しく風化露出しているものは大変珍しいと思います。