田原地域における地層分布について 写真 解説
写真1の説明
中央左上から右下に走る赤茶色〜茶色の砂岩層の海側(右)が敷屋累層、陸側が下里累層。
地層はおおむね東に傾斜し海側の敷屋累層が上の地層(新しい)であることが分かる。
前方の山は荒船海岸の基部(田原海水浴場付近)。地層の走行などから、荒船海岸にも敷屋累層の分布が推測できますが、実際は分布しません。
従って東西に走る推定断層が田原川河口付近から東に走っていると考えられます。
写真2の説明
中央を斜めに走る赤茶色が境界の砂岩層。海側が敷屋累層。
この付近に分布する敷屋累層は、ほとんどが黒灰色の泥岩で層理が明瞭ではありません。遠くに見えるのは大島。



写真3の説明
荒船海岸入り口に見える森戸崎
海岸では、この付近からキャンプ場手前まで分布している地層は、泥を含んだ灰色の砂岩で
層理面は不明瞭ですが、特に泥の多い部分は風化に弱くへこんでいるため、縞状に見えます。
このような砂岩層は同じ下里累層でも、串本から田並に至る海岸には分布していません。









写真4の説明
少し黄色みを帯びた凝灰質砂岩にしばしば見られるコンボリュートラミナ。(渦巻状葉理)
コンボリュートラミナは混濁流堆積物(タービダイト)にしばしば見られる堆積構造で、
堆積直後の地層中の水が、堆積物自体の重みや振動(地震など)によってラミナが流動変形して、
波状や渦状の形態になったもので、急速に堆積した地層に見られます。





写真5の説明
コンボリュートラミナ
写真4と同じコンボリュートラミナ。比較的厚い砂岩層に見られたもので、
渦巻きや波状の上下に平行なラミナ(葉理)が見られます。
混濁流の規模や堆積した位置によって色々な形をしています。
写真6の説明
写真5の説明を参照のこと

写真7の説明
急傾斜の泥岩勝ち互層
 荒船海岸入り口では、地層の傾斜は比較的穏やかですが、先端に進むにつれて傾斜が急な地層が多くなってきます。
写真7・8は直立近い急傾斜で、熊野層群分布域の海岸では珍しく、大地の巨大なエネルギーが伝わってきます。
 あまりなじみのない互層と言う言葉ですが、普通、砂岩泥岩が交互に堆積した状態の地層を指します。
(石灰岩砂岩等の互層も有りますが、砂岩泥岩互層が多いので)その内、泥岩が優勢のときは、泥岩勝ち互層、逆の場合は砂岩勝ち互層といいます。
写真8の説明
写真7の説明を参照のこと
写真9の説明
特異な風化
 ある一定の泥岩層に見られた蜂の巣状風化面です。
南紀では、おなじみの虫喰い岩の超ミニ版?とでも例えましょうか、大変綺麗な風化面です。
穴の大きさは、1mmほどから1cm以上までさまざまで、風化が進んでいるものは、かなり深い穴になっています。
 風化といえば、風雨や波など物理的な要因が多いのですが、このような蜂の巣状風化は物理的要因だけでは説明できず、化学的な要因も考えられています。
写真10の説明
写真9の説明を参照のこと