コーヒー・ブレイク(36)金魚を飼う

2017.5.4

 メダカは以前から飼っているがやはり地味目なので、目の楽しさで言うと金魚かなと思い、2か月ほど前にペットショップへ出かけた。商売上手な若い店員の口車に乗せられて、飼育に必要と言われるもの一式とともに12匹買ってきた。とは言っても室内の水槽ではなく、大きな鉢に水を張り庭先で飼うわけで、必須と言われたエアーポンプを取り付け、早速6匹ずつ2つの鉢に放してみた。染付の火鉢と、信楽の取っ手付き大鉢である。知らなかったのだが、カルキ抜きの水を用意するのに5分とかからないとか、金魚の糞をバクテリアで分解し水質を守るとかいう液体などもあって、今では便利なものである。(どちらも高価な液体ではあるが・・・)

 とはいうものの、まだその頃は水温も低いし、ペットショップでぬくぬくと泳いでいた金魚が環境の変化に耐えられるのか、しばらくは心配で気が気ではなかった。今では暖かくなったが、日もよく当たるので藻の発生はやむを得ず、時々は水を替えながら様子を見ているが、それにしても金魚の動きは見ていて飽きない。それぞれに個性があって、臆病なのも大胆なのもいる。大食漢も少食ももちろんいる。鉢に付いた藻を、いつ見ても食べている大食らいの一匹を、私は“おデブ”と呼んでいるが、体がまたひと回り大きくなったようだ。

 ある日、エアーポンプの泡の近くで腹を見せているのがいたので、一瞬死にかかっているのかと思ったが、よく見ると、泡の動きに身を任せて遊んでいるのだとわかってきた。上から見ると頭部に赤いハート模様があるので“ギザギザハート”と名付けたのだが、このエアーポンプのまわりにやってきては、時々泡の出口で腹を出して、泡の刺激でも楽しんでいるのか、まるでジャグジー風呂である。こんなことをするのはギザギザハートだけだが、余程気に入ったのか毎日一人でこの遊びに興じているのだ。

 家の中から窓越しに、この遊び好きの様子を観察していると私も時間を忘れるのだが、ふと、似た者同士のようにも思えてきた。

 “ギザギザハート”

右側が“おデブ”