コーヒー・ブレイク(28)晩秋の風物詩
2015.11.22
近所の古い民家の庭先に、形のよい古い柿の木が2本あって、この季節前を通るたびにその実の熟し具合が毎年気になるわけだが、今年は実の数がやけに少ないと思っていたら、ある日突然全く無くなってしまっていた。まだ収穫にはいくらなんでも早かろうにいったいどうしたのだろう、と関係者でもないのにずっと気になっている。
里ありて柿の木持たぬ家もなし 芭蕉
日本の秋の風情になくてはならない柿の木だが、原産は中国あたりらしいから意外だ。もちろん私の大好物でもあるので、後悔のないように今年もかなりの量を食した。そして生の旬が過ぎても干し柿という楽しみがあるからたまらない。
村いくつ過ぎても木曽路柿すだれ
ちなみに、正月に串柿を鏡餅、橙とともに飾るが、あれはそれぞれ、鏡餅を“鏡”に、橙を“玉”に、串柿を“剣”になぞらえて、“三種の神器”を表わしているのだとか。この歳まで知らなかった。
(文中、俳号のない句はネットから気に入って拝借したもの。高名な俳人の作かも知れないが当方無知なためあしからず。)
早速軒先に吊るしてみると、これがなかなか楽しい。甘〜くて美味しい干し柿になるまで2〜3週間、毎日変化を楽しみながら、見上げて時に触れて待つ喜びはこの上なく穏やかなものである。
柿干して借景狭くなりにけり
吊し柿ここにこのまま暮すなり
昨年、たまたま近所のスーパーに干し柿用の柿が売っていたので、興味半分で8個だけ買って作ってみたら、これが予想以上によい出来だったので、それに味をしめて今年も早くからそのスーパーに入荷の催促までしていたが、先日ようやく店頭に並んだので、とりあえず全部買って帰ってきた。以前あれだけ食わず嫌いであった夫も、昨年自家製のを恐る恐る食べて以来すっかりファンになり、今年は買い占めに一役買うまでになった。
3年前