コーヒー・ブレイク(19)いつもの秋

2014.9.23

 この夏は、雨の降り方が尋常ではなかった。気候帯が変わってしまったのか、スコールのような激しい雨だったが、それも通り雨ではなく一か所で長時間降れば、河川も地盤も持ちこたえられなくて大災害となる。

 ススキが風に揺れる様ほど、心に沁みる秋の風景はなかろう。そこで、我が家の狭い中庭にも植えてみたが、3年たった今、しっかり根を張って大変な勢いになりつつある。園芸品種だからと、甘く見ていたようだ。それはともかく、ロールスクリーン越しに室内から見る影絵のススキは、正に日本人が昔から描いてきた文様のように、流れゆく季節を見事に切り取って見せてくれるので、柄にもなくつい感傷にも浸りたくなるのだ。

 そんな狂ったような夏だったのに、気が付けばちゃんと秋は来ていて、いつもの花たちが時季を逃さず当たり前のように咲いている。ススキと萩と彼岸花が咲き揃う、今の季節が私は好きだ。

ピンクのノウゼンカズラ